岩井 優介
多国間経済室APEC係長
経歴など
- 平成27年4月
- 総務省採用
情報通信国際戦略局国際政策課
- 平成29年7月
- 同 大臣官房総務課
- 令和元年7月
- 同 サイバーセキュリティ統括官付参事官付
- 令和2年11月
- 同 情報通信政策研究所調査研究部
併任 情報流通行政局情報通信政策課情報通信経済室(~3年3月)
- 令和3年3月
- 配偶者同行休業(~4年5月)
- 令和4年5月
- 総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課主査
- 令和4年6月
- 同 電気通信事業部消費者行政第二課不適正利用防止係長
- 令和5年7月
- 同 電気通信事業部利用環境課違法・有害情報対策係長
- 令和6年6月
- 現職
あるべき社会を考える
自由で公正な貿易・投資体制の推進
皆さんの日々の生活において、低価格で多様な他国の製品やサービスに触れる機会は多いと思いますが、その機会は国際貿易の拡大を通じた経済効率性の向上や自由化等によりもたらされています。
しかしながら、過去数年、米中間の緊張の高まりや新型コロナウイルスの拡大、ロシアによるウクライナ侵略等世界の不確実性が高まる中、各国による輸出・投資管理政策の強化や自国中心主義的な産業政策の動きなど、世界経済のブロック化につながりかねない動きも見られます。
こうしたグローバル経済の危機への対処として、政府では、ルールに基づく自由で公正な貿易・投資体制を推進するべく、世界貿易機関(WTO)や経済連携協定(EPA)等でのルール形成等に努めています。
総務省が所掌する情報通信分野においても、外国企業の参入を認めない国もあれば、イノベーション・経済活動を重視する国など各国の立場は様々なところ、日本と価値観の違う国々との間でも双方得るものがあるように交渉等を進めています。一単語のニュアンスの微妙な違いを確認する場面もあり、英語が不得手な私は毎日四苦八苦ですが、上司とも協力しながらチームで日々業務に取り組んでいます。
皆さんが思うあるべき社会とは?
皆さんは日々の場面場面で社会のあるべき姿を思い描くことはありますでしょうか?
総務省のミッションの一つである「安心・安全にインター ネットを利用できる社会の実現」を例にとって考えてみると、その言葉には誰もが賛成できるものだと思います。しかしながら、その姿を実現する方法まで掘り下げると、表現の自由や通信の秘密と、治安のバランスをどのように考えるかで、国家による監視等の法的規制が望ましいとする立場や、事業者の自主的な取組が望ましいとする立場がそれぞれ生まれ、あるべきとする安心・安全の姿が異なることがあります。
社会的課題に対してどのような対策を取るかは、必ずしも絶対の解があるものではありません。対策に当たっては、現在起こっている問題を調査し、あるべき姿を考え、関係者を交えて議論を尽くし、合意できた策を実行する必要がありますが、そのプロセスにおいて行政が果たす役割は依然大きいです。
その役割を果たすのは大変ですが、一人で業務をするわけではありません。悩むことがあれば、同僚や上司に気軽に相談、時には議論できる雰囲気が総務省にはあります。本書を読む皆さんとも、今後のあるべき姿の実現に向けて一緒に取り組めることを願っています。
