木村 美穂子
情報流通適正化推進室課長補佐
経歴など
- 平成28年4月
- 総務省採用
情報流通行政局情報通信作品振興課
- 平成29年7月
- 同 情報流通行政局衛星・地域放送課
- 令和元年7月
- 同 国際戦略局国際経済課多国間経済室WTO・EPA係長
- 令和3年7月
- 米国留学(ペンシルベニア大学)
- 令和5年6月
- 総務省総合通信基盤局電気通信事業部利用環境課課長補佐
- 令和6年7月
- 現職
SNS時代の「国家百年の計」に向き合う
SNSと私たち
みなさんは普段SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使っていますか?私にとっては、友人たちとの交流のみならず、普段の情報収集にも欠かせない存在になっています。このようにSNSが多くの人に利用され、みなさんの生活に根づくほど、色々な使われ方がなされるようになりました。それは悲しいことに、適切な方法だけではなく、他人を傷つけるような方法も含まれてしまうのが現状です。
「情プラ法」の誕生
令和6年5月、私がチームの一員として関わった、プロバイダ責任制限法改正案が国会で成立しました。この改正法は、インターネット上の違法・有害情報に対処するため、大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除対応の迅速化と運用状況の透明化を義務付けるものです。これは、日本では初めてSNS事業者に公法的な義務を課す法律になります。法律の呼称も「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」に改め、インターネット上の違法・有害情報への対策として、大きな一歩を踏み出すこととなりました。とはいえ、移り変わりが激しいSNSの世界では、新たな課題が次から次へと浮かび上がります。偽・誤情報やなりすまし、選挙への影響等、SNSの負の側面への更なる対応が求められています。
これからも自由に意見を語り合うために
ともすれば、「SNSをもっと規制すればいいじゃないか」という議論に陥りがちですが、私たちが忘れてはいけない視点があります。それは、SNSを規制することが、ルールを守って使っている大多数の人たちの表現の自由を制約してしまうことになりかねないことです。また、その政策は、政府による言論統制につながるきっかけを作り出してはいないか、という視点も肝要です。政府にいながらして、憲法的見地から政府を疑う、そんな複雑なバランス感覚が求められます。様々な弊害に対処しつつも、10年後も、100年後も、私たちが自由闊達に意見を述べ合い、人と関わり合う言論空間を守るために、今どのような政策が必要なのか。そんなSNS時代の「国家百年の計」に携わる醍醐味と畏怖が、総務省にはあると考えています。

