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「平成21年度テラヘルツ波帯の情報通信利用に関する調査報告書」の公表
〜テラヘルツ波帯の情報通信利用に関する調査検討会報告〜

報道発表/平成22年4月15日

  総務省近畿総合通信局(局長:稲田 修一)では、「テラヘルツ波帯の情報通信利用に関する調査検討会」(座長:永妻 忠夫 大阪大学大学院基礎工学研究科教授)を昨年9月に設置し、テラヘルツ波を利用した無線による高速・大容量通信の可能性について検討を行い、この度、当該結果を取りまとめたので公表します。

(注1)テラヘルツ波とは、1テラヘルツ(10の12乗ヘルツ)前後の周波数の電磁波で、光波の直進性と電波の透過性を兼ね備えた波長領域です。
(注2)テラヘルツ波の研究開発が周波数の低い方から高い方に向かって進んでいる中、今回の調査検討会では、近未来を念頭に置いて、0.1テラヘルツから0.5テラヘルツ程度までを検討対象とします。

1 調査検討会の基本方針

情報通信分野におけるテラヘルツ波帯については、研究開発から実利用に向かう転換期にあり、将来的には、高速大容量無線、高精細映像データ(ハイビジョン映像など)の非圧縮無線伝送、データの瞬時転送、高セキュリティ通信などへの応用や送受信機の小型化等が期待されています。

当該調査検討会の基本方針としては、テラヘルツ波を利用した無線による高速・大容量通信の産業ニーズと技術シーズをマッチングさせることにより、今後一層大容量化が進む有線系情報通信ネットワークと、情報家電や通信機器等へのテラヘルツ波利用の可能性及び課題を探ることであり、平成21年9月18日に同調査検討会を設置し、平成21年度内に5回の会合を開催、及びデモ実証実験を実施しました。

2 調査報告書

【内容】

  • 主にテラヘルツ無線のニーズ、競合技術との違い、技術的実現性等についての議論を深めることを目的として行った、5回にわたる調査検討会での専門家の講演と質疑応答等についての内容。
  • 本年1月29日、大阪大学中之島センターで実施した「第7回産学官連携セミナー」におけるテラヘルツ波帯の近未来の利用をイメージしたデモンストレーション実験の内容及び当該実験の見学者に対するアンケートの結果などの取りまとめた内容。

【構成】

(1) 調査検討の背景

  情報通信の大容量・高速化が一段と進展しており、高精細画像(ハイビジョン)データをはじめとする超大容量のデータ伝送が、映像機器、医療機器やストレージデバイスを扱う分野で必要。今後、無線の高速化が進むにつれ、数年後には数10Gbpsから100Gbpsに達すると予測。

(2) 超高速無線のニーズ

[アクセス・ホームネットワーク、放送分野、高精細映像分野、高速インターフェース等]
  今後さらなる高速無線技術を必要とする各分野の第一人者からの講演、質疑応答を行い、超高速無線使用の各利用シーンにおけるニーズについての取りまとめ。

(3) 無線の高速化に向けた最新の技術動向

[マイクロ波無線(TransferJet)、ミリ波無線(60GHz無線)、赤外線無線(Giga-IR)]
  高精細3D映像の通信ではTbpsを超える通信速度が必要との報告もあり、このニーズに応えることも各無線通信方式の共通課題。利用シーンに適した通信距離の確保を考慮しつつ、超高速・大容量無線通信を実現するためには、情報の流路としてのパイプの太さ(占有周波数帯域幅)の拡大も有力な選択肢の一つ。広帯域かつ未開拓の周波数帯として残されているテラヘルツ波帯の無線通信への利用に大いに期待。

(4) テラヘルツ無線の実現に向けて

[利用シーン、テラヘルツ無線を可能とする要素技術の動向と課題、テラヘルツ無線の研究開発事例、電波行政上の課題]
  各分野の第一人者からの講演、質疑応答を行い、伝送距離・アプリケーションに応じた利用シーンや大容量・近接無線通信の具体例、デバイス・アンテナ技術、ミリ波帯のアダプティブアレイアンテナ技術の動向、要素技術の課題、国内外での研究開発事例、電波行政上の諸課題についての取りまとめ。

(5) 最後に

[未検討な項目、さらに深掘り等が必要な項目]
ア. 大量の画像データを取扱う医療系機器での高速無線リンクのニーズの把握
イ. 機器内での無線インターコネクションのニーズの把握
ウ. 無線LAN、モバイル無線でのニーズや具体的な利用シーンの把握
エ. 常時接続から瞬時接続への変化によるネットワークの省エネ化にもたらす影響の把握
オ. 無線機器間の干渉の可能性や電波天文などの観測(受動)業務への影響の把握
カ. 周波数が高いことによるデメリットやリスクの詳細検討
キ. 計測技術のトレンドやメーカーの動き
ク. IEEE802委員会での議論

(6) デモンストレーション実験の実施報告、アンケート結果

ア. テラヘルツ波帯の近未来の利用をイメージしたデモ実験
高精細映像の非圧縮無線伝送再生
大容量映像データの瞬時無線ダウンロード
ノートパソコンへのOS、ソフト等の瞬時無線ダウンロード
イ. アンケート結果
   テラヘルツ波帯の情報通信利用に対するニーズが高い。
高速・大容量無線通信によるデータ、映像・放送コンテンツの送受信
機器間の複雑な配線を無くした無線化 など

3 構成員

別紙1のとおり

連絡先
近畿総合通信局 情報通信部 情報通信連携推進課
担当:石塚、中居、堺
電話:06-6942-8623

別紙1

「テラヘルツ波帯の情報通信利用に関する調査検討会」構成員名簿

(五十音順・敬称略)
座長 永妻 忠夫 (ながつま ただお) 大阪大学大学院 教授
委員 伊藤 宏樹 (いとう ひろき) 京セラ株式会社
委員 大西 大 (おおにし だい) ローム株式会社
委員 井元 孝史 (いもと たかし) 関西電力株式会社
委員 門 勇一 (かど ゆういち) 日本電信電話株式会社
委員 作野 圭一 (さくの けいいち) シャープ株式会社
委員 斗内 政吉 (とのうち まさよし) 大阪大学 教授
委員 寶迫 巌 (ほうさこ いわお) 独立行政法人情報通信研究機構
委員 松岡 泰助 (まつおか たいすけ) 関西テレビ放送株式会社
オブザーバー 井口 昭彦 (いぐち あきひこ) アストロデザイン株式会社
オブザーバー 小川 晃一 (おがわ こういち) パナソニック株式会社
オブザーバー 金岡 泰弘 (かなおか やすひろ) 関西電力株式会社
オブザーバー 久々津 直哉 (くくつ なおや) 日本電信電話株式会社
オブザーバー 関根 徳彦 (せきね のりひこ) 独立行政法人情報通信研究機構
オブザーバー 武井 裕介 (たけい ゆうすけ) 京セラ株式会社
オブザーバー 帆足 聡一郎 (ほあし そういちろう) 関西テレビ放送株式会社
オブザーバー 向井 俊和 (むかい としかず) ローム株式会社
オブザーバー 室谷 真一 (むろや しんいち) 関西電力株式会社
オブザーバー 矢板 信 (やいた まこと) 日本電信電話株式会社
オブザーバー 山陰 大亮 (やまかげ だいすけ) 関西電力株式会社
オブザーバー 山下 育男 (やました いくお) 関西電力株式会社
オブザーバー 笠松 章史 (かさまつ あきふみ) 総務省情報通信国際戦略局技術政策課研究推進室
(事務局)近畿総合通信局情報通信部情報通信連携推進課
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