昭和60年版 通信白書 資料編

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4 放送

(1)放送

 我が国の放送は,国内放送についてはNHK,放送大学学園及び民間放送129社(59年度末現在)によって行われており,国際放送についてはNHKが実施している。
 放送の種類としては中波放送,短波放送,超短波放送(FM放送),テレビジョン放送,テレビジョン音声多重放送,テレビジョン文字多重放送及び衛星放送がある。
 なお,民間放送129社の内訳は,ラジオ・テレビジョン兼営社36社,ラジオ単営社27社,テレビジョン単営社66社である。
ア.放送網の形成
(ア)放送局の置局

資料2-107 放送種類別放送局の置局状況(1) 資料2-107 放送種類別放送局の置局状況(2)

(イ)放送局等の設置

資料2-108 放送種類別放送局等の設置状況(59年度末現在) 資料2-109 テレビジョン放送局数の推移

イ.放送時間
(ア)NHK

資料2-110 NHKの放送種類・放送事項別放送時間及び放送時間比率

(イ)民間放送

資料2-111 民間放送の放送種類別1日あたり放送時間(各年1〜3月平均) 資料2-112 民間放送の放送種類・放送事項別放送時間比率(各年1〜3月平均) 資料2-113 民間放送の広告主の産業別放送時間比率(各年1〜3月平均)

ウ.放送の受信状況
 NHKが59年11月に行った「全国視聴率調査」によれば,テレビジョン放送(NHK及び民間放送)に対する国民の接触者率(テレビジョン放送を少しでも見た人の割合)は,平日89%でほとんどの国民が何らかのかたちでテレビジョン放送を見ていることを示している。また,視聴時間は,平日1日平均3時間6分となっている。
 一方,ラジオ放送に対する国民の接触者率は,平日31%であり,テレビジョン放送に比較して国民の接触者率は低く,聴取時間も少ないが,ラジオ放送は,聴取者態様の変化に対応することによって,安定した聴取状況を保っている。

資料2-114 ラジオ及びテレビジョン接触者率の推移(各年11月調査) 資料2-115 ラジオ及びテレビジョン平均視聴時間量の推移(各年11月調査) 資料2-116 NHKの放送受信契約数の推移

エ.テレビジョン放送の難視聴解消
(ア)難視聴の現状

資料2-117 難視聴の現状

(イ)難視聴の解消
A 辺地難視聴の解消
 辺地難視聴については,これまで中継局及び共同受信施設の設置により措置されてきたが,難視聴の解消が進むにつれ,残存難視聴地域は散在,狭域化し,解消効率が低下してきたことから,NHKの難視聴については59年度以降は衛星放送によって全国的規模において解消を図ることとした。
 また,民間放送についてはNHKと比べ中継局の置局の格差がなお大きいことから,引き続き中継局の設置により解消することとなっている。

資料2-118 民間放送の中継局建設数の推移

B 都市受信障害の解消
 郵政省は,51年「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」を策定し,建築主,受信者等の当事者が受信障害解消について協議する際の当面の基準的考え方を明らかにし,当事者間に紛争が生じないよう指導を行ってきた。また,受信障害の解消手段としては,主として有線による共同受信施設が利用されてきたが,受信障害の態様によっては,SHF帯の周波数による放送が有効であるので,SHFテレビジョン放送局の免許方針等を策定し,受信障害の解消に無線も活用できる道を開いた。
 一方,地方公共団体においても,受信障害の予防と解消に関する条例,指導要綱を策定するものが多くなっている。
 また,郵政省は,55年度以降受信障害の程度及び範囲を確定するための客観的評価手法の調査研究,複合受信障害の解明及び比較的単純な受信障害についてその範囲を求める調査要領の策定等を行っており,59年度はその実態調査を行った。

資料2-119 都市受信障害世帯数の推移

オ.多重放送
 テレビジョン音声多重放送については,53年以来実用化試験局として実施されてきたが,「放送法等の一部を改正する法律(昭和57年法律第60号)」が施行された57年12月1日以降逐次実用の放送局へ移行を行ってきた。
 文字多重放送についても同法の施行によって実用化の道が開かれたが,郵政省としては,これが全く新しい放送サービスであることから,今後の需要動向を見極めるとともに円滑な実用化の促進を図っていくため,差し向きは実用化試験局として実施していくこととし,58年10月から東京,大阪において,NHKが,主として聴力障害者向けにパターン方式により,連続テレビ小説の字幕番組,ニュース,天気予報等8項目について放送を行っている。文字多重放送における週平均の延べ放送時間は59年度後半で759時間である。

カ.放送大学学園
 放送大学学園では,60年度から63年度までを第1期計画として関東地区を対象に60年4月から授業を開始した。
キ.国際放送
(ア)国際放送の概要
 国際放送には,郵政大臣の命令による国際放送とNHKの業務としての国際放送とがあり,NHKはこれらを一体として行っている。
 放送番組は,ニュース等報道番組が68.3%,国情紹介番組が26.3%及び娯楽番組が5.4%となっている。使用周波数帯は,6,7,9,11,15,17及び21MHz帯である。

資料2-120 テレビジョン音声多重放送の実施状況(59年度末現在) 資料2-121 60年度第1学期学生受入れ状況

(イ)国際放送の拡充強化
 国際放送の拡充強化については,八俣送信所について,59年度から4か年計画でNHKの経費負担によりKDDの協力を得て同施設の整備拡充が行われることになった。さらに,59年4月から放送時間については一般向け放送が1日3時間延長され,地域向け放送と併せて40時間に拡充されるとともに,海外中継局については,外務省等関係機関の協力を得て,新たにガボン共和国に確保することができ,59年4月から1日6時間の中継放送を開始した。

資料2-123 国際放送の実施状況の推移

ク.事業経営状況
(ア)NHK
A NHKの事業収支状況

資料2-124 NHKの収支状況 資料2-125 NHKの経営事業収支の推移

B NHKの財務状況

資料2-126 NHKの財務状況

(イ)民間放送

資料2-127 民間放送の収支状況 資料2-128 民間放送の営業収入等の推移

(2)有線テレビジョン放送

ア.概要
 引込端子数が501以上の有線テレビジョン放送施設の設置については,郵政大臣の許可を要し,引込端子数が51以上の施設及び引込端子数が50以下の施設で自主放送を行うものは,業務開始の届出を要し,また,引込端子数が50以下の小規模施設でテレビジョン放送の同時再送信のみを行うものは,業務開始の届出を要せず有線電気通信法に基づく設備設置の届出を要する。

資料2-129 規模別有線テレビジョン放送施設数及び受信契約者数の推移 資料2-130 都道府県別有線テレビジョン放送施設数(59年度末現在)

イ.許可施設

資料2-131 有線テレビジョン放送許可施設許可件数等の推移

(ア)施設の規模及び運営主体
 施設の規模の推移をみると,施設の大型化が進んでいる。現在,我が国において業務を行っている最大規模の施設は,引込端子数約3万9千のものであるが,59年度中に許可になった施設の中には設置完了時の引込端子数約4万7千という大規模なものがある。
 しかし,許可施設の約半数近くは引込端子数501から1,000までのものによって占められている。

資料2-132 規模・運営主体別有線テレビジョン放送許可施設数(59年度末現在) 資料2-133 運営主体別有線テレビジョン放送許可施設数及び構成比

(イ)業務内容
 業務内容別にみると,その大部分はテレビジョン放送の同時再送信のみを行うものであるが,同時再送信に自主放送を併せ行うものも徐々に増加しつつある。
 現在,行われている自主放送番組の一般的な内容としては,地方公共団体や農業協同組合からの広報,地域社会のニュース,ショッピング情報,市町村議会中継,地域住民参加番組,テレビジョン放送番組の再放送等がある。

資料2-134 業務内容別有線テレビジョン放送許可施設数及び構成比の推移

 同時再送信業務を行う施設を目的別にみると,辺地難視聴及び都市受信障害の解消を目的とするものが多いが,番組の多様化を目的とするものもかなりである。また,最近の特徴として難視聴解消,番組多様化等の目的と併せて,住宅団地の美観を目的とするものが増えてきている。

資料2-135 同時再送信業務の目的別有線テレビジョン放送許可施設数及び構成比(59年度末現在)

(ウ)料金
 有線テレビジョン放送の役務の料金としては,契約料(加入金)及び利用料(維持管理費)を徴収しているのが一般的であるが,営利事業として番組の多様化のための区域外再送信を行う施設に比較的高額な料金を徴収しているものがみられるのに対し,都市におけるいわゆる補償施設では,契約料は無料,利用料は無料又は比較的低額なのが一般的である。
 なお,最も高額な契約料は85,000円,利用料は3,000円(月額)となっている。

資料2-136 有線テレビジョン放送許可施設の料金の状況

ウ.業務開始届出施設

資料2-137 業務開始届出施設の現況(59年度末現在)(1) 資料2-137 業務開始届出施設の現況(59年度末現在)(2)

(3)有線ラジオ放送

 有線ラジオ放送は,当初ラジオ放送を共同で聴取するものから始まったが,その後,農山漁村において地域情報を伝達するためのもの,都市において飲食店等に音楽を放送するためのものなどが次第に発達してきた。
 有線ラジオ放送業務は,共同聴取業務(ラジオ放送を受信して再送信するもの),告知放送業務(ラジオ放送以外の音声その他の音響を送信するもの)及び街頭放送業務(道路,広場,公園等公衆が通行し又は集合する場所で,音声その他の音響を送信し,又はラジオ放送を受信して再送信するもの)に分類される。

資料2-138 有線ラジオ放送施設数の推移

 なお,有線音楽放送業務については,一部業者が無許可道路占用,無断電柱添架等の違法な行為によって施設を設置する状況が絶えないため,58年6月,その正常化を図る目的で法律改正が行われ,違法状態の是正に努めているところである。

資料2-139 業務内容別有線ラジオ放送施設数及び構成比(59年度末現在)
 

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