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  統計委員会

府 統 委 第 5 号
平成21年1月19日


総 務 大 臣
   鳩 山  邦 夫 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第11号の答申
平成21年に実施される全国消費実態調査及び全国単身世帯収支実態調査の計画について


 本委員会は、総務省が平成21年に実施を予定している全国消費実態調査(指定統計第97号を作成するための調査)及び全国単身世帯収支実態調査(統計報告の徴集)の計画について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1. 承認の適否とその理由等
    (1)  適否
     計画を承認して差し支えない。
     なお、計画の実施に際しては、以下の理由等に留意することが必要である。
     
    (2)  理由等
     全国消費実態調査
    (ア)  調査対象
     全国消費実態調査は、世帯の収支及び貯蓄・負債等の実態を把握する甲調査(2人以上世帯及び単身世帯が対象)と、世帯構成員の個人的な収入及び支出の実態を把握する乙調査(家計調査が終了した2人以上世帯が対象)により構成される。今回の調査では、このうち、甲調査について、2人以上世帯の調査対象数を約2,000世帯縮減し約52,000世帯とするとともに、従前の寮・寄宿舎単位区調査(単身世帯約600世帯)を廃止し、単身世帯の調査対象数を約4,400世帯とする計画である。
     これについては、地方公共団体等の事務負担の軽減を図るとともに、後述の全国単身世帯収支実態調査の実施や寮・寄宿舎が減少している現状を踏まえた措置であり、調査結果の精度上も大きな影響はないことから、適当である。
    (イ)  調査事項
     調査事項については、1.「家計簿A」及び「家計簿B」において、IT化の進展により、商品・サービスを購入する際の決済手段の多様化を踏まえ、購入代金の支払方法として「電子マネー」を追加する、2.「耐久財等調査票」において、耐久消費財の調査品目の一部を見直す、3.「世帯票」において、「就業・非就業の別」における就業者の雇用形態を「正規の職員・従業員」、「パート」、「アルバイト」等に細分化する等の変更を行う計画である。
     これらについては、IT化の進展により多様化する購入代金の支払方法の実態や世帯員の雇用形態の実態をより的確に把握するとともに、世帯における耐久消費財の普及動向や家計ストックとしての実物資産額の的確な推計に資する等の観点から変更を行うものであり、おおむね適当である。
     しかしながら、「世帯票」における就業者の雇用形態として、「パート」と「アルバイト」に区分することについては、本調査においては、両者を区分する必要性が乏しいことから、両者を統合し、「パート・アルバイト」とする必要がある。
     また、「家計簿A」及び「家計簿B」における「電子マネー」の定義については、「記入のしかた」等において分かりやすく説明を行い、記入者に混乱が生じないようにする必要がある。
    (ウ)  調査方法
     調査方法については、公共サービス改革基本方針(平成18年9月5日閣議決定。平成20年12月19日改定)に基づき、地方公共団体において、実地調査に係る業務を民間事業者に委託することを可能とする計画であり、これについては、適当である。
     また、調査対象からの照会等に的確に対応するため、民間事業者を活用したコールセンターを設置するとともに、調査対象の利便等を図るため、政府統計共同利用システムを活用したオンラインによる申告も可能とする計画であり、これらについては、適当である。
     ただし、コールセンターの設置に当たっては、調査実施者において、民間事業者を十分指導し、電話がつながらない等の事態が生じないよう措置することが必要である。また、オンラインによる申告方法の導入に当たっては、調査客体が使い易い設計とするとともに、「記入のしかた」等において利用方法等について分かり易い説明を行う必要がある。
    (エ)  集計事項
     集計事項については、調査事項の変更に対応して変更する計画であり、これについては、統計需要に即したものとなっており、おおむね適当である。
     しかしながら、世帯類型別の外に、非同居の家族を含めた分類による集計を行う必要がある。
     
     全国単身世帯収支実態調査
    (ア)  全国単身世帯収支実態調査の位置付け
     全国単身世帯収支実態調査は、単身世帯の捕捉が困難になっている現状を踏まえ、民間調査機関が管理する登録モニター等の中から選定した全国の年齢60歳未満の単身世帯(若・中年単身世帯)の収支及び貯蓄・負債等の実態を調査することにより、若・中年単身世帯の所得・消費・資産の水準及び構造等を明らかにし、もって全国消費実態調査の結果を補完することを目的とし、統計報告の徴集として実施しようとするものである。
     これについては、全国消費実態調査に係る累次の統計審議会の答申における指摘を踏まえた措置であり、適当である。
    (イ)  調査対象
     調査対象については、総務省の指示に基づき、業務を受託した民間調査機関が管理する登録モニター等の調査協力世帯の中から選定した全国の年齢60歳未満の単身世帯約1,600世帯とする計画である。
     これについては、前述の統計審議会の答申の指摘を踏まえるとともに、現在の民間調査機関の受託能力を勘案したものであり、適当である。
    (ウ)  調査事項
     調査事項については、平成21年全国消費実態調査の単身世帯調査と同様に、「家計簿A」、「家計簿B」、「年収・貯蓄等調査票」、「耐久財等調査票」及び「世帯票」の5種類の調査票により、単身世帯の収支及び貯蓄・負債、耐久消費財、住宅・宅地等の家計資産を把握する計画である。
     これについては、平成21年全国消費実態調査の結果を補完するという本調査の目的にかんがみ、適当である。
    (エ)  調査方法
     調査方法については、民間調査機関に実地調査に係る業務を委託し、民間調査機関が選任した調査員により、又は、郵送若しくはオンラインにより実施する計画であり、これについては、民間調査機関の受託能力を勘案したものであり、適当である。
     ただし、調査実施者において、民間調査機関と十分な意思疎通を図るとともに、調査対象の秘密保護に欠けること等のないよう民間調査機関の業務の実施状況についてモニタリング等を適切に実施する必要がある。
    (オ)  集計事項
     集計事項については、全国消費実態調査の単身世帯調査と同様の事項について集計、公表するとともに、参考系列として、同調査の結果との統合集計(単身世帯計、総世帯)を行い、その結果を公表する計画であり、これについては、おおむね適当である。
     ただし、統合集計を行うためには、少なくとも、全国単身世帯収支実態調査と全国消費実態調査の調査対象との間で集団の性格に差異がないか否かを検証するために、アンケート調査等を実施する必要がある。
     
  2. 今後の課題
    (1)  全国単身世帯収支実態調査は、全国消費実態調査を補完する見地から、今回初めて、民間調査機関が管理する登録モニター等を対象として調査を実施するものであるため、モニター調査の調査結果の精度に及ぼす影響等について十分な検証を行うとともに、全国消費実態調査の結果との統合集計の方法やその結果の妥当性についても併せて十分な評価を行う必要がある。
     このため、調査実施者は有識者等から成る研究会を設置するなどして、これらの検討を行う必要がある。
     
    (2)  全国消費実態調査について、より的確に家計の実態を把握する等の観点から、今後、地方公共団体等の事務負担や記入者負担にも留意しつつ、以下の課題について見直しを進める必要がある。
     家計の個計化の進展を踏まえ、より的確に家計の実態を把握する観点から、次のような検討を行う必要がある。
    1.  甲調査の「年収・貯蓄等調査票」について、資産の個計化を捉えるため、貯蓄現在高を世帯員別に把握することの可否。
    2.  現在、家計調査の終了世帯を対象に実施している乙調査(個人収支簿)について、「公的統計の整備に関する基本的な計画」に関する答申(平成20年12月統計委員会)(以下「基本計画答申」という。)において、「家計収支を把握する各種統計調査において、個計化の状況をより的確に把握することに関して検討する。」(平成23年中に結論を得る。)との指摘が行われていることから、この検討状況を踏まえた本調査の在り方。
     家族の形態が多様化している状況を踏まえ、甲調査の「世帯票」について、「(16)その他の人の場合」に「世帯主との続柄」を追加することなどにより、非同居の家族を含めた多様な家族類型別集計を行い、公表することを検討する必要がある。
     甲調査の「世帯票」において、住宅に関する事項を把握しているが、住宅・土地統計調査、国勢調査等においてもほぼ同様な調査事項が盛り込まれており、所要の調整を検討することが必要となっている。これについては、基本計画答申において、「住宅・土地に関する統計体系について検討する。」( 平成25年調査の企画時期までに結論を得る。)との指摘が行われていることから、この検討状況を踏まえつつ、対応を図る必要がある。
     家計資産を的確に把握する観点から、次のような検討を行う必要がある。
    1.  甲調査の「年収・貯蓄等調査票」において、株式を国内、国外別に把握することの可否。
    2.  現在把握していない「宝石・貴金属、美術品、骨董品等」の世帯の資産について、諸外国の調査事例やその結果表章の状況を踏まえつつ、その把握の可否。 その際、価格評価の方法の検討とともに、どの調査票(耐久財等調査票、年収・貯蓄等調査票)で把握することが適当かについても検討する必要がある。
     


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