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  統計委員会

府 統 委 第 63 号
平成21年8月24日


総 務 大 臣
   佐 藤  勉 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第17号の答申
日本標準職業分類の統計基準としての設定について


 本委員会は、日本標準職業分類(以下「本分類」という。)を統計法第2条第9項に規定する統計基準(以下「統計基準」という。)として設定することについて審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  統計基準としての設定について
    (1)  適否
     本分類については、統計基準として設定することが適当である。ただし、2のとおり諮問案の修正等を行うことが適当である。
     
    (2)  理由
     統計基準とは、平成20年12月22日の「公的統計の整備に関する基本的な計画」に関する答申(以下「基本計画答申」という。)のとおり、統計間の統一性、総合性が確保され、国内的及び国際的な統計の比較可能性が向上するという直接的な効果のほか、個々の統計における恣意性を排除し、客観性を確保するなどの効果が期待されるものである。
     近年における労働市場の構造変化を背景に、職業別に結果を表章する各種統計を総合的に活用することが、これまで以上に重要となってきているとの認識の下、すでに基本計画答申において、本分類を新たに、新統計法(平成19年法律第53号)第2条第9項に規定する統計基準として設定する必要があるとの答申しているところであり、本分類を統計基準として設定することが適当である。
     
  2.  諮問案の修正等
    (1)  一般原則に関する事項
     「日本標準職業分類一般原則」については、職業の定義、分類の適用単位と基準及び職業の決定方法の部分に関して、以下の措置を行った上で、統計法に規定する統計基準に含めることが適当である。
     職業の定義
    職業、仕事及び報酬の定義を明確化する。
     分類の適用と基準
    a職業分類は仕事を分類するが、人に対してその仕事を通じて適用し、職業別の統計表章に用いられること、b人に対して本分類を適用する場合に、仕事の対象期間・時点等に関しては、個々の統計調査等に依ること、を明示する。また、仕事の遂行に必要な知識や技能、組織の中で果たす役割など、職業の分類を区分する際に着眼する事項を明確にする。
     職業の決定方法
    複数の分類項目に該当する仕事に従事しているものの職業の決定手順について明確にし、自衛官・警察官・海上保安官・消防員及び大学の教員などの例外の扱いも含めて明示する。また、見習・補助者、職場のリーダーの扱いについて明示する。
     
    (2)  分類表に関する事項
     諮問されている分類表について、分類項目名称の表記の統一を図る他、以下の修正を行うことが適当である。
     大分類項目の名称について、「作業者」の表現は「従事者」とする。
     大分類B専門的・技術的職業従事者に関しては、研究者について、自然科学系、人文・社会科学系の分野区分を設ける。また、紛れのない表現とするため小分類「電気・電子技術者」の名称変更を行う。また、中分類「情報処理・通信技術者」に新たに小分類「情報処理プロジェクトマネージャ」を新設する。
     大分類C事務従事者に関しては、全般的な事務を行う場合を想定し、今回新設した小分類「一般事務員」及びその属する中分類「総務事務従事者」の名称について、紛れのない表現とするため、それぞれ「総合事務員」、「一般事務従事者」とする。
     大分類H 生産工程従事者(諮問案では生産工程作業者)に関しては、今回大幅に改定した中分類項目の構成について、紛れのない名称とする。また、小分類項目「一般機械器具」について、一般という単語の表す内容が明確でないことから、「はん用・生産用・業務用機械器具」とする。
     大分類I 輸送・定置・建設機械運転従事者の名称を、輸送・機械運転従事者と変更する。
     大分類K 労務従事者(諮問案では労務作業者)に関し、
    (ア)  該当する仕事の範囲を明確にするため、大分類名称を運搬・清掃・包装等従事者に変更する。
    (イ)  中分類「その他の労務作業者」を「包装従事者」及び「その他の運搬・清掃・包装等従事者」に分割し、それぞれに小分類「包装従事者」及び「その他の運搬・清掃・包装等従事者」を置く。
    (ウ)  小分類「一般廃棄物処理従事者」について、その主要な仕事を表す観点から、「ごみ・し尿処理従事者」とする。
     なお、1.大分類A 管理的職業従事者の定義中、「専ら経営体の全般又は課(課相当を含む)以上の内部組織の経営管理に従事するものをいう。」から、他の大分類の定義とのバランスを考慮して「専ら」の文言を削除し、2.大分類K 運搬・清掃・包装等従事者に関しては、紛れのない表現とするため、大分類項目の定義を、「主に身体を使って行う定型的な作業のうち、運搬・配達・梱包・清掃・包装等に従事するものをいう。」と変更することが適当である。
     また、別途作成される説明文及び内容例示等の文書において、上記に関する事項に合わせて適切な整備を行う必要がある。
     
    (3)  適用に当たっての留意事項
     日本標準職業分類の分類表に関して、以下の範囲内の使用は、日本標準職業分類の適用の範囲内とすることが適当である。
     分類表の一部の分類項目のみを使用する。
     小分類項目の下に細分類項目を設ける。
     中分類項目に関して、当該項目に含まれる小分類項目の単位で分割し、同一大分類項目内に、新たな中分類項目を新設する。又は、同一大分類項目内において、複数の中分類項目を集約して新たな中分類項目を新設する。
     小分類項目に関して、同一中分類項目内で分割し、当該中分類項目内に新たな小分類項目を新設する。又は、同一中分類項目内において、複数の小分類項目を集約して新たな小分類項目を新設する。

       ただし、ウ及びエにより分類項目を分割又は集約する場合、分割することによって新設した分類項目を他の分類項目と集約すること、又は集約することによって新設した分類項目を分割することはしない。
     
  3.  今後の検討
     大分類F 保安職業従事者のうち自衛官・警察官・海上保安官・消防員については、昭和35年の日本標準職業分類制定以来、管理者等を分離した分類項目とはなっていない。一方、現在の国際標準分類等では管理者等を分離した分類項目となっている。
     今回の諮問は、近年の社会情勢の中における日本標準職業分類の重要性に鑑み、早期に統計基準として設定しようとするものであるが、国際標準分類及び諸外国の分類においても管理的職業等とそれ以外の分離の基準が区々であることや、当該職業では特殊な職位名称が多く報告者負担を増加させる可能性があること、などに鑑み、今回の改定においてこの点について結論を得ることは困難であり、時間をかけて検討する必要がある。
     
     また、今回の職業分類は、国際比較性の向上や産業分類から独立したものとすることなどを目指しているが、個人の仕事の内容が欧米ほど明確化されていない状況などから、それを徹底させることが現実的でないと判断した部分もあり、今後の実査における状況等を見つつ、この点についてもさらに検討していく必要がある。


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