ア |
特定調査票による調査結果の毎月公表の可能性の検討
本課題は、前回答申の際、同答申を踏まえ新設された特定調査票による調査について、各府省から毎月公表等各種要望があることが想定されたため、当該要望を踏まえた検討を行うことを求めたものである。 これについて、総務省は、検討を進めてきたものの、1(1は丸囲み数字)特定調査票の調査対象者数は基礎調査票のものの1/4に過ぎないという精度上の問題があること、2(2は丸囲み数字)各府省から毎月公表等の要望がなかったこと、3(3は丸囲み数字)特定調査票のうち、今回、基礎調査票に移された雇用形態を把握する調査事項以外の調査事項は、意識面に係るものが主となっており、毎月公表することが適当なものなのか疑義があったことから、これまで慎重に対応してきたとしており、やむを得ないものと考えられる。 |
イ |
被調査経験の有無によって生じる回答傾向の違いを踏まえた推計方法等の検討
基礎調査票による調査は1年に2か月、2年間調査することとされている。このため、本課題は、調査対象者が1年目の1か月目か2か月目か等の被調査経験の有無で調査の回答傾向が異なるおそれがあることから、それを踏まえた推計方法等の検討を行うことを求めたものである。 本課題への対応として、総務省は、平成20年に同省において開催した雇用失業関係調査の研究会において、14年1月から19年10月までの5年10か月間における雇用者数、完全失業者数等の主要な4種類の数値について、米国等で被調査経験の有無の影響を緩和するために使用されている継続標本の前月差を重視した推計方法を用いた推計値(AK推計値)を試算し、これと従前からの推計方法による推計値を比較した。その結果、両推計値はその水準や変化の動向がおおむね一致しており、推計上問題となるような被調査経験の有無による調査の回答傾向の差異は認められなかったため、従前からの推計方法等を見直す必要はないとしており、妥当なものと考えられる。 |
ウ |
データの多角的・機動的な利用に関する検討
本課題は、前回答申による特定調査票の新設を契機として、基礎調査票と特定調査票の調査項目等のクロス集計表を整備すること等を求めたものである。 これについて、総務省は、平成14年1月から、前回答申を踏まえた新たな調査計画に基づく結果表に、「基礎調査票における年齢階級、現職の従業上の地位等の調査事項」と「特定調査票における前職の離職時期、前職の従業上の地位等の調査事項」とのクロス集計表、「基礎調査票における年齢階級、現職の従業上の地位等の調査事項」と「特定調査票における教育、転職・追加就業希望者等の調査事項」とのクロス集計表等を追加し、公表している。 |
エ |
情報通信技術の活用等による公表の早期化に関する検討
本課題は、昼間不在世帯の増加や電子政府の推進を背景として、オンライン調査の導入による公表早期化について検討することを求めたものであるが、これについて、総務省は検討を進めてきたものの、以下の理由から、当該導入は当面困難であるとしており、妥当なものと考えられる。
1 |
(1は丸囲み数字) 調査月の翌月末に公表するというタイトなスケジュールの中で、報告方法が複数になると、報告内容の確認に多くの時間と手間が必要となるため、オンライン調査の導入が真に効率化に寄与するものか疑問があること。 |
2 |
(2は丸囲み数字) 既にオンライン調査を一部導入している国勢調査等については、国民ニーズへの対応の必要性や周期調査であり調査結果の公表まである程度の時間があるため、当該導入を行っていること。 |
3 |
(3は丸囲み数字) オンライン調査の導入が有効であるためには、調査対象者が長期間固定しているものである、調査対象者がオンライン調査に十分対応できる一定の情報通信技術を有している等の環境が必要であるが、労働力調査の場合、現時点ではこうした環境が整っていないこと。 |
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