諮問第68号の答申 :国勢調査の変更について

府統委第99号
平成26年10月20日


総務大臣
山本 早苗  殿

統計委員会委員長   
にしむら きよひこ


諮問第68号の答申
国勢調査の変更について


 本委員会は、諮問第68号による国勢調査の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。



1 本調査計画の変更
(1)承認の適否
 総務大臣から諮問のあった平成26年6月16日付け総政企第122号の別紙に付す平成26年6月6日付け総統勢第97号により申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審議した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件のいずれにも適合しているため、「国勢調査」(基幹統計調査)(以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。

(2)理由等
ア 報告を求める事項の追加・削除
(ア)「8 現在の住居における居住期間」及び「9 5年前の住居の所在地」の追加
 居住状況に関し報告を求める事項(以下「調査事項」という。)について、本申請では、図1及び図2のとおり、「8 現在の住居における居住期間」及び「9 5年前の住居の所在地」を追加する計画である。

図1
8 現在の住居における居住期間
8現在の場所に住んでいる期間 ・生まれてから引き続き現在の場所に住んでいる場合は出生時からのみに記入して下さい

図2
9 5年前の住居の所在地
9 5年前(平成 年10月1日)にはどこに住んでいましたか ・平成 年10月1日より後に生まれた人については出生後にふだん住んでいた場所を記入してください ・5年前に同じ市内の他の区に住んでいた場合は他の区・市町村に記入して下さい ・他の区・市町村の場合は都道府県・市区町村名も書いて下さい(東京都区部と政令指定都市の場合は区名まで

 これらについては、平成27年の本調査の調査時点(平成27年10月1日)と前回の22年の本調査(以下「前回調査」という。)の調査時点(基準期日:平成22年10月1日)との間の23年3月に東日本大震災が発生し、東北地方を中心に甚大な被害を受け、大規模な人口移動が起こっていることから、当該震災の影響を居住期間や移動状況の観点から把握するために追加するものである。
 これらにより得られるデータは、大規模災害等の発生時における影響の推計やその後の復興状況の評価等に資するものと認められることから、当該追加は適当である。

(イ)「住宅の床面積」の削除
 住宅に関する調査事項について、本申請では、図3のとおり「住宅の床面積」を削除する計画である。

図3
住宅の床面積
(4) 住宅の床面積の合計(延べ面積) ・居住室のほか玄関・台所・トイレ・浴室・廊下・押し入れなどの床面積も含めます ・営業用の部分及び他の世帯の使用部分は除いてください

 これについては、1(1は丸の中に数字)本調査事項は、前回調査では各調査事項の中で最も記入状況が悪く、平成27年国勢調査第2次試験調査(平成25年6月に実施)において設問配置の工夫を行うなどの改善方策を模索したものの記入状況の改善が図れなかったこと、2(2は丸の中に数字)本調査事項に関するデータは、住宅・土地統計調査(総務省所管基幹統計調査)の結果による代替が可能と考えられること等から、適当である。

イ 報告を求めるために用いる方法の変更等
(ア)調査組織の変更(集合住宅の管理会社等への調査員業務の委託)
 調査組織について、本申請では、大規模な集合住宅や社会福祉施設等(以下「集合住宅等」という。)において、その管理会社や施設の運営法人等(以下「管理会社等」という。)への調査員業務の委託を可能とする計画である。
 これについては、1(1は丸の中に数字)当該委託により、管理会社等の管理人など集合住宅等及びこれらに居住する世帯に詳しい者が調査員業務を実施することとなるため、調査実施の円滑化が図られること、2(2は丸の中に数字)調査員の確保が困難となっていく中で、市町村(特別区を含む。以下同じ。)における調査員確保業務の負担軽減に寄与するものであること等から、適当である。

(イ)報告を求めるために用いる方法の変更
i(iはローマ数字の1) オンライン調査の全国展開等
 報告を求めるために用いる方法(以下「調査方法」という。)について、本申請では、前回調査で東京都において試行的に導入したオンライン調査を全国展開するとともに、スマートフォンにも対応するオンライン調査システムを構築することを計画している。
 また、オンラインによる回答を推進するため、紙の調査票の配布に先行して、オンライン調査の回答期間を設定する方式(オンライン先行方式)により、調査を実施する計画である。
 これらについては、正確かつ効率的な統計の作成や調査対象世帯の負担軽減・利便性の向上に寄与するものと認められることから、適当である。

ii(iiはローマ数字の2) 任意封入方式の導入
 調査方法について、本申請では、報告者から調査員への調査票の提出方法に関し、調査票を封筒に入れ密封した形で提出する全封入方式から、封入するか否かは報告者の判断に委ねる任意封入方式に変更する計画である。
 これについては、調査員による高齢者世帯等への記入支援や記入内容の確認の円滑化、誤記入等による記入不備の改善等に寄与するものであることから、適当である。

iii(iiiはローマ数字の3) 郵送回収方式の市町村長による採否
 調査方法について、本申請では、調査票の郵送回収を調査方法の一つとして原則としつつ、市町村の実情に応じ、市町村長の判断により郵送回収を行わないことも可能とするように変更する計画である。
 これについては、1(1は丸の中に数字)比較的規模の小さな市町村では、調査員による回収が大きく機能し、郵送回収を必ずしも必要としない場合があること、2(2は丸の中に数字)郵送回収を行わない場合でも、調査票の封入提出の活用やオンラインによる回答により、プライバシー意識の強い報告者について、当該意識への配慮や回答機会が確保されることから、適当である。

iv(ivはローマ数字の4) 調査員による他計報告調査の併用
 調査方法について、本申請では、「住宅の建て方」等に関する調査に当たり、報告者自ら報告する自計報告方式から、原則として調査員による他計報告方式に変更する計画である。
 これについては、当該調査事項は調査員が外観等から把握が可能であることから、適当である。

(ウ)調査方法の変更等に伴う市町村の負担軽減方策
 今回、総務省は、民間事業者によるコールセンターにおいて、従来の調査対象世帯からの照会への対応に加え、新たに調査員からの照会にも対応する等の措置を講じる計画である。
 これについては、オンライン調査の全国展開等に伴い増加が予想される市町村の調査対象世帯等からの照会対応業務について、その負担軽減に寄与するものであることから、適当である。

ウ 集計事項の変更及び調査結果の公表期日の早期化
 今回、総務省は、オンライン調査の全国展開などに伴う産業・職業の機械的な符号格付(注)の導入による効率化や産業・職業の同時格付などの事務処理の見直しによって、
1(1は丸の中に数字) 集計事項については、集計体系を見直し、従来、異なる時期に別個に作成・公表していた産業等基本集計及び職業等基本集計について、就業状態等基本集計等に再編し、産業・職業に関する集計表として一体的かつ同時に作成・公表すること
2(2は丸の中に数字) 調査結果の公表については、調査実施から調査結果の最終公表までの期間を前回調査における3年1か月から2年3か月に短縮し、公表時期の早期化を図ること
を計画している。
 このうち、集計事項については、就業者の職業と勤務先の産業は密接な関連があることから、両者を一体的に集計・公表することは統計の有用性の向上に寄与するものであり、また、調査結果の公表については、調査実施から調査結果の最終公表までの期間の短縮は研究者等の利用ニーズに応えるものであることから、いずれも適当である。

(注)調査対象者が記載した勤務先の産業や職業について、統計処理が可能となるよう、分類基準に従い、分類符号を付与すること。

2 諮問第18号の答申「国勢調査の変更について」(平成21年9月14日付け府統委第73号)における今後の課題及び公的統計の整備に関する基本的な計画(平成26年3月25日閣議決定)における指摘への対応状況について

 本調査については、前回調査に係る統計委員会の答申(諮問第18 号の答申 国勢調査の変更について(平成21年9月14日付け府統委第73号)。以下「前回答申」という。)における今後の課題及び「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月25日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、以下の3事項に関する検討等の必要性が指摘されている。
 1(1は丸の中に数字) 前回調査の実施状況等を踏まえた調査事項、調査方法等の改善の検討
 2(2は丸の中に数字) 調査票様式の「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否等の検討
 3(3は丸の中に数字) 調査結果の一層の公表時期の早期化
 これらの指摘に関する総務省の検討状況の概要は、別添のとおりである。

 別添の総務省の検討状況については、次の点が認められることから、前回答申及び基本計画の指摘事項に関する対応として評価できる。

1(1は丸の中に数字) 前回調査の実施状況等を踏まえた調査事項、調査方法等の改善の検討について
 平成23年度以降、「平成27年国勢調査計画会議」や「平成27 年国勢調査有識者会議」等において、調査事項や調査方法等の改善について、前回調査以降の社会経済情勢の変化・ニーズ(平成23年3月の東日本大震災の発生に伴う大規模な人口移動等)や前回調査の実施状況(各調査事項の記入状況等)を踏まえて検討を行い、その結果により想定された改善方策に関し、試験調査の中で有効性や問題の有無等を検証した上で、27年の本調査において、以下の調査事項及び調査方法の変更を行うことを計画していること。
i(iはローマ数字の1) 調査事項
・ 「現在の住居における居住期間」及び「5年前の住居の所在地」の追加
・ 「住宅の床面積」の削除
ii(iiはローマ数字の2) 調査方法
・ オンライン調査の全国展開
・ オンライン調査の実施に当たってのオンライン先行方式の採用
・ スマートフォンにも対応するオンライン調査システムの構築
・ 集合住宅の管理会社等への調査員業務の委託
・ 任意封入方式の導入
・ 郵送回収方式の市町村長による採否

2(2は丸の中に数字) 調査票様式の「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否等の検討について
 平成25年の第2次試験調査において、4名連記式と3名連記式の2種類の調査票を用いて調査し、その報告者から各連記式の記入のしやすさについてアンケート調査を実施するとともに、当該試験調査に携わった調査員や地方公共団体からの意見聴取を行った。これらの結果等を踏まえて、調査票様式の「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否を検討した結果、調査の効率的かつ円滑な実施等の観点から、当該変更を行わないとの結論を得たこと。

3(3は丸の中に数字) 調査結果の一層の公表時期の早期化について
 「平成27年国勢調査計画会議」等において、調査の各段階における作業期間の短縮の余地を検討して、産業・職業の機械的な符号格付の導入等により、集計段階の作業期間の短縮が可能であることを明らかし、これを踏まえ、平成27年の本調査において、調査実施から調査結果の最終公表までの期間を前回調査における3年1か月から2年3か月に短縮し、公表時期の早期化を図ることを計画していること。

3 今後の課題
 本申請による平成27年の本調査に係る計画の変更では、調査方法については、オンライン調査の全国展開、任意封入方式の導入、集合住宅の管理会社等への調査員業務の委託等、また、調査事項についても、東日本大震災の影響把握の観点からの調査事項の追加等、重要な変更が多数行われ ることとされている。
 また、これらの変更については、前述2のとおり、総務省において事前に様々な検討を行った上で実施することとしているものであるが、平成27年の本調査の実施時には、想定外の事象が生じる可能性も否定し得ないところである。
 このようなことから、総務省は、平成32年の本調査の企画に当たっては、調査方法、調査事項等に関し、27年の本調査の実施状況を慎重かつ丁寧に精査し、それらを踏まえ今回の変更等の有効性等について十分な検証を行うとともに、社会経済情勢の変化に基づく検討等を行い、その結果を適切に反映したものとする必要がある。

[別添]
表 前回答申及び基本計画の指摘事項に関する総務省の検討状況
前回答申等の指摘事項指摘事項に関する総務省の検討状況の概要
1(1は丸の中に数字) 前回調査の実施状況等を踏まえた調査事項、調査方法等の改善の検討

[前回答申の今後の課題]
 平成27年に実施する国勢調査の企画に当たっては、平成22年に実施する国勢調査の実施状況及び社会経済情勢の変化やニーズを踏まえ、調査事項、調査方法等について、更に改善を検討する必要がある。

[基本計画における指摘]
 国勢調査について、ICTや高齢化の進展等を踏まえ、オンライン調査の対象を全国に拡大するとともに、報告者の特性にも配慮した記入支援を行うなど、調査方法等の見直しを進める。
1(1は丸の中に数字) 本調査の調査事項、調査方法等の改善について、総務省統計局内の関係者で構成する「平成27年国勢調査計画会議」(平成23年10月に設置)や外部有識者及び地方公共団体を構成員等とする「平成27年国勢調査有識者会議」(平成25年6月に設置)等の関係会議において検討を行うとともに、想定される改善方策の妥当性等を検証するため、平成27年国勢調査試験調査を3回(第1次試験調査:平成24年7月に全国14市町で実施、第2次試験調査:平成25年6月に全国14市区町で実施、第3次試験調査:平成26年6月に全国52市区で実施)実施した。これらの検討等の結果は、以下のとおりである。

i(iはローマ数字の1) 調査事項
(i(iはローマ数字の1))社会経済情勢の変化・ニーズを踏まえた改善
 前回調査の実施後の平成23年3月に東日本大震災が発生し、東北地方を中心に甚大な被害を受け、大規模な人口移動が起こったことから、当該震災後初めての人・世帯に関する全数調査である27年の本調査において、当該震災の影響を人口移動等の観点から把握する必要性が生じた。
 このため、平成27年国勢調査計画会議等において、前回調査以降、東日本大震災を挟んだ5年間における人口移動の状況の把握を目的とした調査事項の追加を検討した結果、新たな調査事項として「現在の住居における居住期間」及び「5年前の住居の所在地」を追加することが有用と想定され、かつ、これらの事項について3回の試験調査で検証等を行ったところ、特に記入上の問題等が無いことも確認された。
 以上のことから、平成27年の本調査の調査事項として、「現在の住居における居住期間」及び「5年前の住居の所在地」を追加することが適当との結論に至った(本文1-(2)-ア‐(ア)参照)。

(ii(iiはローマ数字の2))前回調査の実施状況を踏まえた改善
 本調査の調査事項のうち「住宅の床面積」については、前回調査では各調査事項の中で最も記入状況が悪いものであったことから、その改善を図る必要があった。
 このため、平成27年国勢調査計画会議等において、回答方式や設問配置の工夫による改善方策を検討し、その効果を第2次試験調査において検証したが、改善を図ることはできなかった。これに加え、本調査事項に係るデータについて、他の統計調査の結果による代替可能性等を検討した結果、住宅・土地統計調査の結果により代替が可能と判断された。
 以上のことから、本調査事項については、平成27年の本調査の調査事項から削除することが適当との結論に至った(本文1-(2)-ア‐(イ)参照)。

ii(iiはローマ数字の2) 調査方法
(i(iはローマ数字の1))社会経済情勢の変化・ニーズを踏まえた改善
 国勢調査については、近年、個人情報意識の高まりやオートロックマンションの増加等により、調査困難なケースが増加しつつある。一方、情報通信技術の急速な発展に伴い各種の統計調査に導入されつつあるオンライン調査については、国勢調査においても、前回調査の際に東京都で試行的に導入されたところであるが、報告者の負担軽減・利便性の向上による回収率の向上等が期待されることから、その導入地域の更なる拡大を図る必要がある。
 これらのことを踏まえ、平成27年国勢調査計画会議等において、調査方法の改善方策を検討した結果、以下の方策の実施が効果的であると想定された。
・ オンライン調査を全国展開すること。
・ オンライン調査の実施に当たって、紙の調査票の配布に先行してオンライン調査の回答期間を設定する方式(オンライン先行方式)を採ること。
・ スマートフォンにも対応するオンライン調査システムを構築すること。
 このため、当該方策の有効性や問題の有無等について、第1次及び第2次試験調査で検証等を行った結果、当該方策には相当程度の有効性があり、かつその実施に特段の問題もないことが確認された。
 以上のことから、平成27年の本調査の調査方法として、オンライン調査の全国展開等の方策を講じることが適当との結論に至った(本文1-(2)-イ-(イ)-i(iはローマ数字の1)参照)。

(ii(iiはローマ数字の2))前回調査の実施状況を踏まえた改善
 本調査の調査方法について、前回調査では、改善方策の検討を必要とする課題として以下のようなものが認められた。
・ 集合住宅等の管理人など集合住宅等の居住世帯に詳しい者に調査員業務を行ってもらうことは、調査実施の円滑化等に寄与するものであるが、調査員報酬は制度上、調査員本人に支払うこととなっていることから、管理人が管理会社等に雇用されている場合、調査員報酬を受け取ることができないとの理由で、当該管理人等に調査員業務を受託してもらうことができない事例が多数発生した。
・ 報告者から調査員への調査票の提出方法として、調査票を封筒に入れ密封した形で提出する全封入方式を導入した結果、調査員が調査票の回収時に記入内容の確認や記入指導等が行えないため不詳が増加し、また、これに伴い、市町村における調査票の審査事務の負担も膨大となった。
・ 調査方法の一つとして、郵送回収方式を導入したところ、多数の市町村から、記入不備に伴う審査事務の負担増等を理由として郵送回収の見直しを求める意見が提示された。
 これらのことを踏まえ、平成27年国勢調査計画会議等において、調査方法の改善方策を検討した結果、以下の方策の実施が効果的であると想定された。
・ 集合住宅等の管理会社等の管理人等への調査員業務の委託については、管理会社等との間で調査員業務の委託契約を締結し、当該業務に対する報酬を管理会社等に支払うことにより、当該委託を可能とすること。
・ 報告者から調査員への調査票の提出方法については、全封入方式から、封入するか否かは報告者の判断に委ねる任意封入方式に変更すること。
・ 郵送回収方式については、市町村の実情に応じ、市町村長の判断により郵送回収を行わないことも可能とすること。
 このため、当該方策の有効性や問題の有無等について、第1次及び第2次試験調査で検証等を行った結果、当該方策には相当程度の有効性があり、かつその実施に特段の問題もないことが確認された。
 以上のことから、平成27年の本調査の調査方法として、集合住宅等の管理会社等の管理人等への調査員業務の委託等の方策を講じることが適当との結論に至った(本文1-(2)-イ-(ア)及び(イ)-ii(iiはローマ数字の2)、iii(iiiはローマ数字の3)参照)。
2(2は丸の中に数字) 調査票様式の「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否等の検討

[前回答申の今後の課題]
 調査票の紙面の制約を解消するとともに、調査票の記入しやすさを向上させる観点から、今後の世帯構成の推移を踏まえ、調査票様式について「4名連記式」から「3名連記式」への変更の可否等を検討する必要がある。
2(2は丸の中に数字) 平成25年6月に、14市区町の168調査区を対象として、4名連記式及び3名連記式の2種類の調査票を用いて第2次試験調査を実施し、当該調査においてオンライン回答をしなかった世帯に対して、更に各連記式の調査票への記入のしやすさに関するアンケート調査を行い、その結果等を踏まえ、4名連記式から3名連記式への変更の可否を検討した。その検討結果は以下のとおりである。
i(iはローマ数字の1) アンケート調査の結果では、4名連記式と3名連記式の問で「記入しやすかった」及び「記入しにくかった」との回答の割合に大きな差は無かった。
ii(iiはローマ数字の2) 第2次試験調査を担った調査員及び地方公共団体からは、次のような意見が多数寄せられた。
・ 3名連記式の調査票と4名連記式の調査票は、文字や全体の見やすさの点で大きく変わらないこと。
・ 3名連記式の調査票を使用する場合、4人世帯には2枚目の配布が必要となるため、調査票の不足連絡、受付整理事務及び審査事務が煩雑になり、調査員の事務負担にもなること。
・ 前回の平成22年国勢調査の結果では、4名以上世帯の割合が22.2%、5名以上世帯の割合は7.8%となっていため、調査票様式を4名連記式から3名連記式に変更した場合、2枚目の調査票を配布する割合が、3倍程度増えることになること。
iii(iiiはローマ数字の3) 上記i(iはローマ数字の1)及びii(iiはローマ数字の2)を踏まえ、平成27年の本調査においては、調査の効率的かつ円滑な実施等の観点から、4名連記式から3名連記式への変更は行わないとの結論に至った。
3(3は丸の中に数字) 調査結果の一層の公表時期の早期化

[基本計画における指摘]
 調査結果について、一層の公表時期の早期化に努める。
3(3は丸の中に数字) 平成27年国勢調査計画会議等において、調査結果の一層の公表時期の早期化を図るため、調査票の配布、回収、審査、集計、公表等調査の各段階における作業期間の短縮の余地等を検討した結果、産業・職業の機械的な符号格付の導入等により、集計段階の作業期間の短縮が可能であることが明らかになった。
 これを踏まえ、平成27年の本調査において、調査実施から調査結果の最終公表までの期間を前回調査における3年1か月(最終公表:平成25年10月)から2年3か月(同予定:平成29年12月)に短縮し、公表時期の早期化を図ることが適当との結論に至った。(本文1-(2)-ウ参照)。