諮問第81号の答申 :社会生活基本調査の変更について

府統委第18号
平成28年1月21日


総務大臣
山本 早苗 殿

統計委員会委員長
にしむら きよひこ


諮問第81号の答申
社会生活基本調査の変更について

 本委員会は、諮問第81号による社会生活基本調査の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。

1 本調査計画の変更
(1)承認の適否
平成27年9月28日付け総統労第101号により総務大臣から申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審査した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件のいずれにも適合しているため、「社会生活基本調査」(基幹統計調査。以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
ただし、以下の「(2)理由等」で指摘した事項については、計画の修正が必要である。

(2)理由等
ア 報告を求める事項の変更
(ア)「在学、卒業等教育の状況」の変更
本申請では、調査票A及び調査票Bの在学、卒業等教育の状況に係る調査事項について、以下のとおり(図1参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) これまで「在学中」と「卒業」に分けて在学中又は卒業した学校種を選択する形式としていたが、「在学中」か「卒業」を選択した上で、同一の学校種の区分により在学中又は卒業した学校を選択する形式に変更する。
2(2は丸の中に数字) 学校種として「専門学校」を追加し、修業年限別に把握する。
これらについては、専門学校の在学者数が多い(注)ことを踏まえ、当該学校種の区分を新たに追加するとともに、修業年限別に把握することで従来の調査結果との時系列での比較可能性を確保するため、変更するものであり、教育と就業状態、生活時間の配分との関係のより的確な把握に資するものと認められることから、適当である。

図1
変更案
調査票A及び調査票Bの在学、卒業等教育の状況に係る調査事項の変更案
現行
現行の調査票A及び調査票Bの在学、卒業等教育の状況に係る調査事項

(注)平成27年学校基本調査(文部科学省所管の基幹統計調査)の結果(速報)によると、専門学校(専修学校のうち専門課程を置く学校)の在学者数は約58万8千人であり、短期大学(約13万3千人)や高等専門学校(約5万8千人)より多い。


(イ)「子の住居の所在地」の削除
本申請では、調査票Aの子の住居の所在地に係る調査事項について、図2のとおり、削除する計画である。
これについては、平成23年調査(以下「前回調査」という。)の結果において、子の有無及び当該子の住居の所在地による60歳以上の世帯員の生活時間の配分への影響はほとんど認められないことから、引き続き本調査事項を把握する必要性が低下したとの判断により削除するものであり、報告者負担の軽減に資するものと認められることから、適当である。

図2
変更案現行
(削除) 現行の調査票Aの子の住居の所在地に係る調査事項

(ウ)「ふだんの片道の通勤時間」の削除
本申請では、調査票Aのふだんの片道の通勤時間に係る調査事項について、図3のとおり、削除することを計画している。
これについては、本調査事項は、ふだんの片道の通勤時間の状況を把握(ユージュアル方式)するものであるが、通勤・通学時間の状況に関しては、別途の調査事項である「生活時間について」においても実際の通勤・通学時間を把握(アクチュアル方式)しており、後者の方が調査結果の利用頻度が高いと考えられることから、本調査事項については引き続き把握する必要性が相対的に低いとの判断により削除するものであり、報告者負担の軽減に資するものと認められることから、適当である

図3
変更案現行
(削除) 現行の調査票Aのふだんの片道の通勤時間に係る調査事項

(エ)「ふだんの健康状態」の変更
本申請では、調査票A及び調査票Bのふだんの健康状態に係る調査事項について、以下のとおり(図4参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) これまで、ふだん仕事をしている世帯員(有業者)のみを調査対象としていたが、ふだん仕事をしていない世帯員(無業者)も含めた15歳以上の全ての世帯員に調査対象を拡大する。
2(2は丸の中に数字) 設問文に「ふだんの生活への影響の有無などにより」との健康状態を判断する際の基準を追記する。
これらについては、有業者だけでなく無業者の健康状態が生活時間の配分や生活行動に及ぼす影響の把握に資するものであり、また、当該設問文の追記によって報告者による回答の客観性の担保に資するものと認められることから、おおむね適当である。
ただし、以下のとおり、修正する必要があることを指摘する。
1(1は丸の中に数字) 子供の健康状態に関連した家事時間などについてより有用なデータを得る観点から、調査対象を10歳以上の世帯員に拡大すること。
2(2は丸の中に数字) 国際比較可能性の向上を図る観点から、国民生活基礎調査(厚生労働省所管の基幹統計調査)の健康票における把握方法と同様、i(iはローマ数字の1))健康度に係る選択肢として、「ふつう」の選択肢を設け、選択肢を5区分とすること、また、ii(iiはローマ数字の2))報告者の心理的な負担を考慮し、「悪い」の選択肢を「良くない」とすること(図5参照)。
図4
変更案
調査票A及び調査票Bのふだんの健康状態に係る調査事項の変更案
現行
現行の調査票A及び調査票Bのふだんの健康状態に係る調査事項

図5
統計委員会修正案
調査票A及び調査票Bのふだんの健康状態に係る調査事項の統計委員会修正案

(オ)「学習・自己啓発・訓練の状況」及び「ボランティア活動の状況」の変更
本申請では、調査票Aの学習・自己啓発・訓練の状況及びボランティア活動の状況に係る調査事項について、以下のとおり(図6参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) これまで活動の種類ごとに「しなかった」又は「した」を選択した上で、「した」を選択した場合には、1年間における当該活動の実施頻度を記入する形式としていたが、活動の種類ごとに「しなかった」か「した」かを記入するのではなく、実施頻度欄に「0:まったくしなかった」の選択肢を追加するとともに、実施頻度が不詳の場合の選択肢として、選択肢「8:何日ぐらいしたかわからない」を追加する。
2(2は丸の中に数字) その他、記入漏れや記入誤りを防止するための注釈等の追加、修正を行う。
これらについては、報告者負担の軽減に資するとともに、未記入を防止し、調査結果の正確性の確保等に資するものと認められることから、適当である。

図6
変更案
調査票Aの学習・自己啓発・訓練の状況に係る調査事項の変更案
調査票Aのボランティア活動の状況に係る調査事項の変更案
現行
現行の調査票Aの学習・自己啓発・訓練の状況に係る調査事項
現行の調査票Aのボランティア活動の状況に係る調査事項

(カ)「スポーツ活動の状況及び趣味・娯楽活動の状況」の変更
本申請では、調査票Aのスポーツ活動の状況及び趣味・娯楽活動の状況に係る調査事項について、以下のとおり(図7参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) 前記(オ)と同様の変更を行うほか、趣味・娯楽活動の種類について、「映画鑑賞」及び「DVD・ビデオなどによる映画鑑賞」を「映画館での映画鑑賞」及び「映画館以外での映画鑑賞」にそれぞれ変更する。
2(2は丸の中に数字) 「映画館以外での映画鑑賞」及び「カラオケ」の配置を変更する。
3(3は丸の中に数字) その他、注釈の文言を変更する。
これらについては、報告者にとっての分かりやすさ・記入のしやすさに配慮したものであることから、適当である。

図7
         変更案
調査票Aのスポーツ活動の状況及び趣味・娯楽活動の状況に係る調査事項の変更案
         現行
現行の調査票Aのスポーツ活動の状況及び趣味・娯楽活動の状況に係る調査事項

(キ)「旅行・行楽の状況」の変更
本申請では、調査票Aの旅行・行楽の状況に係る調査事項について、以下のとおり(図8参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) これまで、活動の種類ごとに「しなかった」又は「した」を選択した上で、「した」を選択した場合には、1年間における当該活動の実施頻度を把握する形式としていたが、当該活動をしていない場合は実施頻度欄に「0」と記入することにより把握する。
2(2は丸の中に数字) 国内と海外それぞれについて「業務出張・研修・その他」を削除する。
これらのうち、1(1は丸の中に数字)実施頻度欄の変更については報告者負担の軽減に資するものと認められること、2(2は丸の中に数字)「業務出張・研修・その他」の削除については、当該項目により得られるデータの利活用状況がみられず、引き続き把握する行政利用上のニーズも認められないことから、おおむね適当である。
ただし、「業務出張・研修・その他」を削除することに伴い、報告者が回答するに当たり紛れが生じないよう、業務出張や研修については本調査事項で把握する旅行には含まれないことを記入要領に明記する必要があることを指摘する。

図8
変更案
調査票Aの旅行・行楽の状況に係る調査事項の変更案
現行
現行の調査票Aの旅行・行楽の状況に係る調査事項

(ク)「スマートフォン、パソコンなどの使用状況」の追加
本申請では、調査票Aにおいて、図9のとおり、2日間にわたり、スマートフォン、パソコンなどの使用目的、使用時間帯及び使用時間数を把握する調査事項を追加する計画である。
これは、近年、スマートフォン等が急速に普及する中、別途の調査事項である「生活時間について」の調査対象日となる2日間におけるスマートフォン、パソコンなどの使用状況(使用目的、使用時間帯及び使用時間数)を把握し、「生活時間について」において把握されたデータと合わせて分析することとするものである。
これについては、スマートフォン、パソコンなどの使用が1日の生活時間の配分や生活行動に及ぼす影響の把握に資するものと認められることから、おおむね適当である。
ただし、「交際・つきあい・コミュニケーション」の対象の区分のうち「友人・知人」については、報告者が回答するに当たり紛れが生じないよう、実際に会ったことのない人はこれに含まないことを調査票上にも明記する必要があることを指摘する(図10参照)。

図9
変更案現行
スマートフォン、パソコンなどの使用目的、使用時間帯及び使用時間数を把握する調査事項の追加 (新設)

図10
統計委員会修正案
スマートフォン、パソコンなどの使用目的、使用時間帯及び使用時間数を把握する調査事項の統計委員会修正案

(ケ)「介護支援の利用の状況」の変更
本申請では、調査票A及び調査票Bの介護支援の利用の状況に係る調査事項について、以下のとおり(図11参照)、介護支援の利用頻度の区分を変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) 「月に1日以内」と「月に2〜3日」を「月に3日以内」に統合する。
2(2は丸の中に数字) 「週に2〜3日」を「週に2日」と「週に3日」に分割する。
3(3は丸の中に数字) 「週に4日以上」を「週に4〜5日」と「週に6日以上」に分割する。
これについては、これまでの調査結果における「介護支援を利用している」者の利用頻度に係る各区分の出現状況をみると、「月に1日以内」及び「月に2〜3日」の割合が低く、「週に2〜3日」や「週に4日以上」の割合が高い状況となっていることを踏まえ、利用頻度の区分の統合又は分割を行うものであり、介護支援の利用の状況と生活時間の配分への影響との関係のより的確な把握に資するものと認められることから、適当である。

図11
         変更案
調査票A及び調査票Bの介護支援の利用の状況に係る調査事項の変更案
         現行
現行の調査票A及び調査票Bの介護支援の利用の状況に係る調査事項

(コ)「在学・在園の状況」の変更
本申請では、調査票A及び調査票Bの在学・在園の状況に係る調査事項について、図12のとおり、これまで、保育所(園)に在園している場合は延長保育の利用の有無を、また、幼稚園に在園している場合は預かり保育の利用の有無をそれぞれ把握していたが、保育所(園)や幼稚園の別にかかわらず、また、認定こども園に在園している場合も含め、「ふだんの在園時間」を把握する計画である。
これは、世帯により保育時間数や延長保育及び預かり保育の利用時間数が異なるため、子供の在園時間の実態をより的確に把握することができるよう、また、平成27年4月から教育と保育を制度的に一体として提供する新たな幼保連携型認定こども園が創設されたことに伴い、これに在園している場合も含めて、ふだんの在園時間を把握するよう変更するものである。
これらについては、子供の在学・在園の状況が保護者の生活時間の配分に及ぼす影響等のより的確な分析に資するものと認められることから、おおむね適当である。
ただし、保育所、幼稚園等に在園している子供の「ふだんの在園時間」の区分のうち、「12時間以上」については、他の統計調査の結果等に鑑みると、当該区分の回答数が少数に止まる可能性も考えられることから、「8〜11時間」及び「12時間以上」の区分をそれぞれ「8〜10時間」及び「11時間以上」に修正する必要があることを指摘する(図13参照)。

図12
変更案
調査票A及び調査票Bの在学・在園の状況に係る調査事項の変更案
現行
現行の調査票A及び調査票Bの在学・在園の状況に係る調査事項

図13
統計委員会修正案
調査票A及び調査票Bの在学・在園の状況に係る調査事項の統計委員会修正案

(サ)「携帯電話、パソコンなどの使用の有無」の削除
本申請では、調査票Bの携帯電話、パソコンなどの使用の有無に係る調査事項について、図14のとおり、削除する計画である。
これについては、現在、携帯電話やパソコンの使用が一般的となったことや、他の調査においてもこれらの機器の使用状況を把握していることから、引き続き本調査事項を把握する必要性は低いとの判断により削除するものであり、報告者負担の軽減に資するものと認められることから、適当である。

図14
変更案現行
(削除) 現行の調査票Bの携帯電話、パソコンなどの使用の有無に係る調査事項

(シ)「生活時間配分」の変更
本申請では、調査票Bの生活時間配分に係る調査事項について、以下のとおり(図15参照)、変更する計画である。
1(1は丸の中に数字) 「インターネットの利用」の調査項目を「スマートフォン・パソコンなどの使用」に変更する。
2(2は丸の中に数字) 「スマートフォン・パソコンなどの使用」について主行動と同時行動それぞれの別に把握する。
これは、近年のスマートフォン等の急速な普及を踏まえ、インターネットに接続していない状態での利用も含めてこれらの情報通信機器の使用状況を把握できるよう、「インターネットの利用」から「スマートフォン・パソコンなどの使用」に変更するとともに、スマートフォン等の使用の実態をより的確に把握するため、主行動と同時行動の別にその使用実態を把握するよう変更するものである。
これらについては、スマートフォン等の使用が生活時間の配分に及ぼす影響のより的確な分析に資するものと認められることから、適当である。

図15
         変更案
調査票Bの生活時間配分に係る調査事項の変更案
         現行
現行の調査票Bの生活時間配分に係る調査事項

イ 報告を求める者の変更
本申請では、報告を求める者の数について、前回調査と比べ、調査票Aについては約7万8000世帯(約18万4000人)から約8万3000世帯(約18万6000人)に、調査票Bについては約4,700世帯(約1万1000人)から約4,900世帯(約1万1000人)に変更する計画である。
これについては、前回調査においては、平成23年3月の東日本大震災の発生に伴い、被害が甚大であった岩手県、宮城県及び福島県(以下「東北3県」という。)の一部地域の調査区を調査対象から除いて実施されたが、現在は、東北3県においても本調査を実施することが可能であることから、前回調査の東日本大震災への対応前の当初計画と同程度の標本規模とするものであり、適当である。

ウ 報告を求めるために用いる方法及び報告を求める期間の変更
本申請では、報告を求める者の数について、前回調査と比べ、調査票Aについては約7万8000世帯(約18万4000人)から約8万3000世帯(約18万6000人)に、調査票Bについては約4,700世帯(約1万1000人)から約4,900世帯(約1万1000人)に変更する計画である。
これらについては、以下の理由から、適当である。
1(1は丸の中に数字) オンライン調査の導入に関しては、公的統計の整備に関する基本的な計画(平成26年3月25日閣議決定。以下「第2(2はローマ数字)期基本計画」という。)において推進を図ることとされているほか、個人情報保護意識の高まりや報告者のライフスタイルの多様化等への対応、電子調査票に実装されるチェック機能による調査員等の調査票の審査業務の負担軽減、結果精度の確保・向上等にも資するものであること。
2(2は丸の中に数字) 調査票Aへのオンライン調査の拡大に伴い、経由機関である都道府県における調査票の提出状況の把握等に必要な時間を確保するため、報告を求める期間を1日延長するものであること。
一方、平成27年国勢調査(総務省所管の基幹統計調査)においてオンライン調査が全面的に導入されたことにより、統計調査におけるスマートフォン、タブレットなどによる回答が国民に浸透したものと考えられることから、本調査におけるオンライン調査の導入をより効果的なものとするためには、これらの情報通信機器による回答を可能とすることが重要である。しかしながら、本調査におけるオンライン調査の実施に当たっては、政府統計共同利用システムを利用して実施することとしており、現時点では同システムがスマートフォン、タブレットなどによる回答に対応していないことなどから、今回の調査においてこれらの情報通信機器による回答に対応できないことはやむを得ないものと考える。

エ 集計事項の変更
本申請では、調査票Aにおける「スマートフォン、パソコンなどの使用状況」に係る調査事項の追加、「ふだんの健康状態」や「在学・在園の状況」に係る調査事項の変更等に伴い、関連する集計事項を変更する計画である。
これらについては、スマートフォン、パソコンなどの使用が1日の生活時間の配分や生活行動に及ぼす影響、有業者だけでなく無業者の健康状態が生活時間の配分や生活行動に及ぼす影響、子供の在学・在園の状況が保護者の生活時間の配分に及ぼす影響等のより的確な把握に資するものと認められることから、おおむね適当である。
ただし、「在学・在園の状況」に係る調査事項について、より有用な集計を行い、ワーク・ライフ・バランスや男女共同参画に関する施策の検討に資する観点から、夫婦共働きか否か(有業者、無業者の別)だけではなく、有業者については正規の職員・従業員、正規の職員・従業員以外の別の詳細な類型別に表章する必要があることを指摘する。

オ 東日本大震災の影響に伴う調査計画の規定の削除
本申請では、前回調査の実施に当たり、東日本大震災の影響により東北3県の一部地域を調査対象地域から除く等としていた調査計画の規定を削除する計画である。
これについては、現在は、東北3県においても他の都道府県と同様の調査計画により本調査を実施することが可能であるため、前記の対応に係る調査計画の規定を削除するものであり、本調査の実施に当たって東日本大震災の影響が解消されたことによる変更であることから、適当である。

2 統計委員会諮問第28号の答申(平成23年1月)で示された「今後の課題」への対応状況
本調査については、前回調査に係る統計委員会諮問第28号の答申(以下「前回答申」という。)における「今後の課題」において、国民の個人情報保護に関する意識の高まり、ライフスタイルや居住形態の変化等といった調査環境の変化に的確に対応しつつ、調査の円滑な実施を確保するため、調査票の提出方法の多様化について検討を行う必要があると指摘されている。
これについて、調査実施者は、前記(2)のウのとおり、調査票Bだけでなく、調査票Aについてもオンラインによる報告を可能とし、全ての報告者を対象にオンライン調査を導入することとしている。また、調査実施者は、封入又は郵送による調査票の提出方法の導入についても検討を行ったが、前回調査においてやむを得ない事情から封入又は郵送により提出された調査票の記入状況をみると、これらの調査票の都道府県での補筆割合は、封筒の封がされずに調査員が回収した調査票の約2倍となっているほか、補筆修正ができず集計から除外された調査票の割合も2〜3倍となっており、調査結果の正確性の確保の観点から、封入又は郵送による調査票の提出方法を全面的に導入することは困難としている。
これらの調査実施者の対応のうち、全ての報告者を対象にオンライン調査を拡大し、調査員又はオンラインによる提出方法を原則とすることは、前回答申における指摘への対応として適当である。また、封入提出や郵送提出でなければ調査票が回収できない場合等に限り、これらの提出方法を認めることは、やむを得ないものと考える。

3 第2(2はローマ数字)期基本計画における指摘事項への対応状況
本調査については、第2(2はローマ数字)期基本計画において、欧州統計家会議(CES)による「生活時間調査に関するガイドライン」(Guidelines for Harmonizing Time-Use Surveys)の内容を精査し、本調査の調査計画の検討に活用することとされている。
これについて、調査実施者は、今回調査の調査計画の検討に当たって当該ガイドラインの内容を精査したところ、本調査の調査計画は、当該ガイドラインの勧告におおむね対応したものとなっているとしている。
この調査実施者の結論については、次の理由から、適当である。
1(1は丸の中に数字) 調査実施者の結論のとおり、本調査の調査計画は、当該ガイドラインの勧告におおむね対応したものとなっていること。
2(2は丸の中に数字) 当該ガイドラインに勧告として掲げられている事項のうち、主観的幸福感の指標の把握については本調査で対応していないが、主観的幸福感の指標の把握に関しては我が国においても様々な意見があるところであり、慎重に検討すべきと考えられること。

4 今後の課題
報告者の利便性の向上を図り、オンライン調査の更なる利用を促進する観点から、今後の情報通信技術の更なる発展及び政府統計共同利用システムの改修状況等も勘案しつつ、次回調査(平成33年調査)に向けて、パソコン以外に、スマートフォンやタブレット等の他の情報通信機器による回答が可能となるよう検討する必要がある。検討に当たっては、今回のオンライン調査の結果についても検証を行い、その結果をも踏まえ対応する必要がある。