(別添)21世紀出生児縦断調査について

(別添)

21世紀出生児縦断調査について


「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月25日閣議決定。以下「第2(2はローマ数字)期基本計画」という。)には、厚生労働省が実施している一般統計調査の「21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)」について、調査対象者が平成25年度に中学生になったことを勘案し、関係府省との調整を含め、今後の調査の方向性や調査内容について検討し、平成26年度末までに結論を得ることとされている。
(1)施行状況報告等
厚生労働省では、当初、調査対象者が中高生となっていく中で、厚生労働省の施策との直接的な関連が薄くなり行政上の必要性が乏しくなること等から、厚生労働省として本調査を継続実施することは困難と考えていたが、外部有識者による「厚生労働統計の整備に関する検討会」において、本調査結果は、対象者の就労以降まで長期的に捉えることにより、幼少期の育ち方が就労等に及ぼす影響も分析が可能となるなど、少子化対策を検討する上でも有用であるため本調査を継続すべしとの強い意見があった。また、文部科学省からは、同省の第2(2はローマ数字)期基本計画の取組事項に対する対応の検討に当たり、本調査の調査客体を継続して活用することが有益との認識が示された。このため、厚生労働省としては、両省にとって有益な調査となるよう、学校生活、学力等の文部科学省の行政施策に資する調査項目に重点を置きつつも、厚生労働省としての必要な調査項目を加えた上で、文部科学省を主体とする共管調査として本調査を継続実施していくことを両省間で確認した。
また、文部科学省においては、本調査について、学校教育段階での取組と就業や職業生活との因果関係を明らかにできる等、教育の効果を測定できる貴重な調査であることから、調査の継続実施に向けて平成28年度予算の確保、実施体制の整備等に向けて検討中である。
(2)施行状況等に対する評価
本調査の結果は、文部科学省と厚生労働省との共管の調査となることで、当初の主目的である我が国の少子化対策のみならず、教育面を含む政策の検証に資するものとなり、将来的には労働市場におけるキャリアパスを把握することにより様々な政策の検証・評価に資するものと考えられる。また、縦断調査であるがゆえに、必要な事項について過去に遡った把握も可能であるなどの潜在的な可能性も有している。さらに、本調査は、学術的な面でも長期にわたる縦断調査の結果による分析の可能性を有し、調査が継続実施されることにより価値を増すと考えられる貴重な調査である。
文部科学省及び厚生労働省での検討を進めている状況ではあるが、本調査を両省の共管調査として継続実施するとの結論については評価し、さらに基本計画に掲げる厚生労働省の取組事項への対応としても実施済みと評価できる。
(3)今後の施策の方向性等についての基本的な考え方
文部科学省及び厚生労働省は、本調査が縦断調査として同一調査客体に対する調査結果を積み上げていく重要な調査であり、将来的にもその結果を有効に活用するために、共管調査としての継続実施に向けた検討を推進するとともに、必要な予算の確保や体制の整備に努める必要がある。
統計委員会としても、本調査が公共財としての価値が極めて高い調査であり、共管調査としての予算や体制面を含めた今後の取組に期待し、引き続き注視していくこととする。