用語の説明

 本書における主な用語については、次のとおりである。

○地方公共団体

政令指定都市

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定を受けた人口50万以上の都市(札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市及び福岡市。ただし、岡山市は平成21年4月1日の指定であるため、平成20年度決算においては含まれていない。)をいう。

 政令指定都市では、都道府県が処理するとされている児童福祉に関する事務、身体障害者の福祉に関する事務、生活保護に関する事務、精神保健及び精神障害者の福祉に関する事務、都市計画に関する事務などの全部又は一部を特例として処理することができる。

中核市

 地方自治法第252条の22第1項の指定を受けた都市(函館市、旭川市、青森市、盛岡市、秋田市、郡山市、いわき市、宇都宮市、前橋市、川越市、船橋市、柏市、横須賀市、相模原市、富山市、金沢市、長野市、岐阜市、豊橋市、岡崎市、豊田市、大津市、高槻市、東大阪市、姫路市、西宮市、尼崎市、奈良市、和歌山市、倉敷市、福山市、下関市、高松市、松山市、高知市、久留米市、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市及び鹿児島市。ただし、前橋市、大津市及び尼崎市は平成21年4月1日の指定であるため、平成20年度決算においては含まれていないが、平成21年4月1日に政令指定都市となった岡山市が含まれている。)をいう。人口30万以上の都市について、当該都市からの申し出に基づき政令で指定される。

 中核市では、都道府県が処理するとされている事務の特例として政令指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県が処理するほうが効率的な事務その他中核市において処理することが適当でない事務以外の事務、すなわち民生行政に関する事務、保健衛生に関する事務、都市計画に関する事務、環境保全行政に関する事務などの全部又は一部を特例として処理することができる。

特例市

 地方自治法第252条の26の3第1項の指定を受けた都市(八戸市、山形市、水戸市、つくば市、高崎市、伊勢崎市、太田市、熊谷市、川口市、所沢市、春日部市、草加市、越谷市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、厚木市、大和市、長岡市、上越市、福井市、甲府市、松本市、沼津市、富士市、一宮市、春日井市、四日市市、岸和田市、豊中市、吹田市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、明石市、加古川市、宝塚市、鳥取市、呉市及び佐世保市。ただし、熊谷市は平成21年4月1日の指定であるため、平成20年度決算においては含まれていないが、平成21年4月1日に中核市となった前橋市、大津市及び尼崎市が含まれている。)をいう。人口20万以上の都市について、当該都市からの申し出に基づき政令で指定される。

 特例市では、都道府県が処理するとされている事務の特例として中核市が処理することができる事務のうち、都道府県が処理するほうが効率的な事務その他特例市において処理することが適当でない事務以外の事務、すなわち都市計画に関する事務、環境保全行政に関する事務などの全部又は一部を特例として処理することができる。

都市

 政令指定都市、中核市及び特例市以外の市をいい、中都市とは、都市のうち人口10万以上の市をいい、小都市とは、人口10万未満の市をいう。

 なお、市については、地方自治法第8条第1項で定める要件(人口5万以上を有すること等)を具えていなければならない。ただし、市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年法律第59号)第7条により、合併した団体に限り、市政施行のための要件を人口3万以上にすること等が認められている。

町村

 地方自治法第1条の3第2項で定める普通地方公共団体のうち、都道府県及び市以外のもの。町は、地方自治法第8条第2項の規定により、都道府県の条例で定める町としての要件を具えていなければならない。

特別区

 地方自治法第281条第1項の規定による、東京都の区のこと。現在、23の区が設置されている。

 特別区は、基礎的な地方公共団体として、同法第281条の2第1項で都が一体的に処理することとされている事務を除き、同法第2条第3項において市町村が処理するものとされている事務を処理する。

一部事務組合

 都道府県、市町村及び特別区が、その事務の一部を共同処理するために設ける団体のこと。

広域連合

 都道府県、市町村及び特別区が、広域にわたり処理することが適切であると認めるものに関し、広域にわたる総合的な計画を策定し、処理するために設ける団体のこと。

○決算統計基本用語

普通会計

 地方公共団体における地方公営事業会計以外の会計で、一般会計のほか、特別会計のうち地方公営事業会計に係るもの以外のものの純計額。

 個々の地方公共団体ごとに各会計の範囲が異なっているため、財政状況の統一的な掌握及び比較が困難であることから、地方財政統計上便宜的に用いられる会計区分。

地方公営事業会計

 地方公共団体の経営する公営企業、国民健康保険事業、老人保健医療事業、後期高齢者医療事業、介護保険事業、収益事業、農業共済事業、交通災害共済事業及び公立大学附属病院事業に係る会計の総称。

決算額

 特に断りのない限り、普通会計に係る地方財政の純計額。

地方財政純計額、純計決算額又は純計

 都道府県決算額と市町村決算額を単純に合計して財政規模を把握すると地方公共団体相互間の出し入れ部分について重複するため、この重複部分を控除して正味の財政規模を見出すことを純計という。

 したがって、都道府県決算額と市町村決算額の合計額は地方財政の純計額に一致しないことがある。

市町村決算額

 政令指定都市、中核市、特例市、都市、町村、特別区、一部事務組合及び広域連合における決算額の単純合計額から、一部事務組合及び広域連合とこれを組織する市区町村との間の相互重複額を控除したもの。

形式収支

 歳入決算総額から歳出決算総額を差し引いた歳入歳出差引額。

実質収支

 当該年度に属すべき収入と支出との実質的な差額をみるもので、形式収支から、翌年度に繰り越すべき継続費逓次繰越(継続費の毎年度の執行残額を継続最終年度まで逓次繰り越すこと。)、繰越明許費繰越(歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由等により年度内に支出を終わらない見込みのものを、予算の定めるところにより翌年度に繰り越すこと。)等の財源を控除した額。

 通常、「黒字団体」、「赤字団体」という場合は、実質収支の黒字、赤字により判断する。

単年度収支

 実質収支は前年度以前からの収支の累積であるので、その影響を控除した単年度の収支のこと。具体的には、当該年度における実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額。

実質単年度収支

 単年度収支から、実質的な黒字要素(財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額)を加え、赤字要素(財政調整基金の取崩し額)を差し引いた額。

○歳入

一般財源

 地方税、地方譲与税、地方特例交付金等及び地方交付税の合計額。なお、これらのほか、都道府県においては、市町村から都道府県が交付を受ける市町村たばこ税都道府県交付金、市町村においては、都道府県から市町村が交付を受ける利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金、地方消費税交付金、ゴルフ場利用税交付金、特別地方消費税交付金、自動車取得税交付金及び軽油引取税交付金(政令指定都市のみ)を加算した額をいうが、これらの交付金は、地方財政の純計額においては、都道府県と市町村との間の重複額として控除される。

一般財源等

 一般財源のほか、一般財源と同様に財源の使途が特定されず、どのような経費にも使用できる財源を合わせたもの。目的が特定されていない寄附金や売却目的が具体的事業に特定されない財産収入等のほか、臨時財政対策債等が含まれる。

地方消費税、地方消費税清算金

 平成9年4月に導入された道府県税であり、その賦課徴収は、当分の間、国が消費税と併せて行い、各都道府県に払い込むこととされている。また、各都道府県は、国から払い込まれた額を消費に相当する額に応じて、相互間で清算することとされている。

 特に断りのない限り、都道府県間における清算を行った後の額を地方消費税として歳入に計上し、地方消費税清算金は歳入・歳出いずれにも計上していない。

地方譲与税

 国税として徴収し、そのまま地方公共団体に対して譲与する税。地方公共団体の財源とされているものについて、課税の便宜その他の事情から、徴収事務を国が代行している。

 現在、地方道路税の収入額の全額を都道府県及び市町村に対して譲与する地方道路譲与税、石油ガス税の収入額の2分の1の額を都道府県及び政令指定都市に対して譲与する石油ガス譲与税、特別とん税の収入額の全額を開港所在市町村に対して譲与する特別とん譲与税、自動車重量税の収入額の3分の1の額を市町村に対して譲与する自動車重量譲与税、航空機燃料税の収入額の13分の2の額を空港関係市町村及び空港関係都道府県に対して譲与する航空機燃料譲与税がある。なお、平成21年度に地方法人特別税の収入額の全額を都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税が創設された。

地方特例交付金等

 平成18年度及び平成19年度における児童手当の制度拡充に伴う地方負担の増加に対応するための児童手当特例交付金及び減税補てん特例交付金の廃止に伴う経過措置(平成19年度から平成21年度)として設けられた特別交付金から構成される国から地方公共団体への交付金。

 なお、平成20年度においては、住宅ローン減税に伴い、地方公共団体に生じる個人住民税の減収額を補てんするための減収補てん特例交付金及び道路特定財源の暫定税率の失効期間中(平成20年4月分)における地方公共団体の減収を全額補てんする地方税等減収補てん臨時交付金が設けられている。

地方交付税

 地方公共団体の自主性を損なわずに、地方財源の均衡化を図り、かつ地方行政の計画的な運営を保障するために、国税のうち、所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額を、国が地方公共団体に対して交付する税。

 地方交付税には、普通交付税と災害等特別の事情に応じて交付する特別交付税がある。普通交付税は、基準財政需要額が基準財政収入額を超える地方公共団体に対して、その差額(財源不足額)を基本として交付される。

国庫支出金

 国と地方公共団体の経費負担区分に基づき、国が地方公共団体に対して支出する負担金、委託費、特定の施策の奨励又は財政援助のための補助金等。

都道府県支出金

 都道府県の市町村に対する支出金。都道府県が自らの施策として単独で市町村に交付する支出金と、都道府県が国庫支出金を経費の全部又は一部として市町村に交付する支出金(間接補助金)とがある。

財源対策債

 昭和51年度以降、地方財源不足額を補てんするために発行された建設地方債。

減収補てん債

 地方税の収入額が標準税収入額を下回る場合、その減収を補うために発行される地方債。地方財政法(昭和23年法律第109号)第5条に規定する建設地方債として発行されるものと、建設地方債を発行してもなお適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足を生ずると認められる場合に、地方財政法第5条の特例として発行される特例分がある。

臨時財政対策債

 地方一般財源の不足に対処するため、投資的経費以外の経費にも充てられる地方財政法第5条の特例として発行される地方債。

 平成13〜15年度、平成16〜18年度及び平成19〜21年度の間、通常収支の財源不足額のうち、財源対策債等を除いた額を国と地方で折半し、国負担分は一般会計から交付税特別会計への繰入による加算(臨時財政対策加算)、地方負担分は臨時財政対策債により補てんすることとされている。

退職手当債

 団塊の世代の大量定年退職等に伴う退職手当の大幅な増加に対処しつつ、今後の総人件費削減を進めるため、定年退職者等の退職手当の財源に充てるために発行される地方債。

○歳出

目的別歳出

 行政目的に着目した歳出の分類。

 地方公共団体の経費は、その行政目的によって、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、公債費等に大別することができる。

性質別歳出

 経費の経済的性質に着目した歳出の分類であり、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。

一般歳出

 国の一般歳出に準ずるものであり、歳出から、公債費、公営企業への繰出のうち公債費財源繰出、積立金、貸付金、前年度繰上充用金、税還付金を除いた額。

義務的経費

 地方公共団体の歳出のうち、任意に削減できない極めて硬直性が強い経費。職員の給与等の人件費、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっている。

投資的経費

 道路、橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備等に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費から構成されている。

補助事業

 地方公共団体が国から負担金又は補助金を受けて実施する事業。

単独事業

 地方公共団体が国からの補助等を受けずに、独自の経費で任意に実施する事業。

国直轄事業

 国が、道路、河川、砂防、港湾等の建設事業及びこれらの施設の災害復旧事業を自ら行う事業。事業の範囲は、それぞれの法律で規定されている。国直轄事業負担金は、法令の規定により、地方公共団体が国直轄事業の経費の一部を負担するもの。

物件費

 性質別歳出の一分類で、人件費、維持補修費、扶助費、補助費等以外の地方公共団体が支出する消費的性質の経費の総称。

 具体的には、職員旅費や備品購入費、委託料等が含まれる。

扶助費

 性質別歳出の一分類で、社会保障制度の一環として地方公共団体が各種法令に基づいて実施する給付や、地方公共団体が単独で行っている各種扶助に係る経費。

 なお、扶助費には、現金のみならず、物品の提供に要する経費も含まれる。

補助費等

 性質別歳出の一分類で、他の地方公共団体や国、法人等に対する支出のほか、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第17条の2の規定に基づく繰出金も含まれる。

繰出金

 性質別歳出の一分類で、普通会計と公営事業会計との間又は特別会計相互間において支出される経費。また、基金に対する支出のうち、定額の資金を運用するためのものも繰出金に含まれる。

 なお、法非適用の公営企業に対する繰出も含まれる。

公債費

 地方公共団体が発行した地方債の元利償還等に要する経費。

 なお、性質別歳出における公債費が地方債の元利償還金及び一時借入金利子に限定されるのに対し、目的別歳出における公債費については、元利償還等に要する経費のほか、地方債の発行手数料や割引料等の事務経費も含まれる。

民生費

 目的別歳出の一分類。地方公共団体は、社会福祉の充実を図るため、児童、高齢者、心身障害者等のための福祉施設の整備、運営、生活保護の実施等の施策を行っており、これらの諸施策の推進に要する経費。

衛生費

 目的別歳出の一分類。地方公共団体は、住民の健康を保持増進し、生活環境の改善を図るため、医療、公衆衛生、精神衛生等に係る対策を推進するとともに、し尿・ごみなど一般廃棄物の収集・処理等、住民の日常生活に密着した諸施策を行っており、これらの諸施策の推進に要する経費。

○財政分析指標

経常収支比率

 地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減収補てん債特例分及び臨時財政対策債の合計額に占める割合。

 この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。

実質公債費比率

 地方公共団体における公債費及び公債費に準じるものによる財政負担の度合いを判断する指標として、起債に協議を要する団体と許可を要する団体の判定に用いられる過去3年間の平均値(地方財政法第5条の4第1項第2号)。

 実質公債費比率が18%以上となる地方公共団体については、地方債協議制度移行後においても、起債に当たり許可が必要となる。

 また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)において、健全化判断比率の一つとして位置付けられており、早期健全化基準は25%、財政再生基準は35%とされている。

起債制限比率

 地方公共団体における公債費による財政負担の度合いを判断する指標の一つで、地方債元利償還金及び公債費に準じる債務負担行為に係る支出の合計額(地方交付税が措置されるものを除く。)に充当された一般財源の標準財政規模(普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費を除く。)に対する割合で過去3年間の平均値。

公債費負担比率

 地方公共団体における公債費による財政負担の度合いを判断する指標の一つで、公債費に充当された一般財源の一般財源総額に対する割合。

 公債費負担比率が高いほど、一般財源に占める公債費の比率が高く、財政構造の硬直化が進んでいることを表す。

実質収支比率

 実質収支の標準財政規模に対する割合。実質収支比率が正数の場合は実質収支の黒字、負数の場合は赤字を示す。

財政力指数

 地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。

 財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。

標準財政規模

 地方公共団体の標準的な状態で通常収入されるであろう経常的一般財源の規模を示すもので、標準税収入額等に普通交付税を加算した額。

標準税収入額

 地方税法(昭和25年法律第226号)に定める法定普通税を、標準税率をもって、地方交付税法(昭和25年法律第211号)で定める方法により算定した収入見込額。具体的には、法定普通税の基準税額の合計をいう。

○地方財政計画等

地方財政計画

 内閣が作成する、翌年度の地方公共団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類のこと。

 地方財政計画には、(1)地方交付税制度とのかかわりにおいての地方財源の保障を行う、(2)地方財政と国家財政・国民経済等との調整を行う、(3)個々の地方公共団体の行財政運営の指針となる、という役割がある。

一般行政経費

 地方財政計画上の経費の一区分。教育文化施策、社会福祉施策、国土及び環境保全施策等の諸施策の推進に要する経費をはじめ、地方公共団体の設置する各種公用・公共用施設の管理運営に要する経費等、地方公共団体が地域社会の振興を図るとともに、その秩序を維持し、住民の安全・健康、福祉の維持向上を図るために行う一切の行政事務に要する経費から、給与関係経費、公債費、維持補修費、投資的経費及び公営企業繰出金として別途計上している経費を除いたものであり、広範な内容にわたっている。

地方債計画

 地方財政法第5条の3第6項に規定する同意等を行なう地方債の予定額の総額等を示した年度計画。

債務負担行為

 数年度にわたる建設工事、土地の購入等翌年度以降の経費支出や、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときの支出を予定するなどの、将来の財政支出を約束する行為。

 地方自治法第214条及び第215条で予算の一部を構成することと規定されている。

財政調整基金

 地方公共団体における年度間の財源の不均衡を調整するための基金。

減債基金

 地方債の償還を計画的に行うための資金を積み立てる目的で設けられる基金。

その他特定目的基金

 財政調整基金、減債基金の目的以外の特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立てるために設置される基金。具体的には、庁舎等の建設のための基金、社会福祉の充実のための基金、災害対策基金等がある。

基準財政需要額

 普通交付税の算定基礎となるもので、各地方公共団体が、合理的かつ妥当な水準における行政を行い、又は施設を維持するための財政需要を算定するものであり、各行政項目ごとに、次の算式により算出される。

単位費用
(測定単位1当たり費用)
× 測定単位
(人口・面積等)
× 補正係数
(寒冷補正等)

単位費用

 標準的団体(人口、面積、行政規模が道府県や市町村の中で平均的で、積雪地帯や離島等、自然的条件や地理的条件等が特異でない団体)が合理的、かつ妥当な水準において地方行政を行う場合等の一般財源所要額を、測定単位1単位当たりで示したもの。

測定単位

 道府県や市町村の行政項目(河川費や農業行政費等)ごとにその量を測定する単位。例えば、河川費においては河川の延長が用いられる。

補正係数

 すべての道府県や市町村に費目ごとに同一の単位費用が用いられるが、実際には自然的・地理的・社会的条件の違いによって大きな差があるので、これらの行政経費の差を反映させるため、その差の生ずる理由ごとに測定単位の数値を割り増し又は割り落とししている。これが測定単位の数値の補正であり、補正に用いる乗率を補正係数という。

基準財政収入額

 普通交付税の算定に用いるもので、各地方公共団体の財政力を合理的に測定するために、標準的な状態において徴収が見込まれる税収入を一定の方法によって算定するものであり、次の算式により算出される。

 標準的な地方税収入×75/100+地方道路譲与税等

留保財源

 基準財政収入額の算定においては、法定普通税等の税収見込額の全額を算入対象とせず、基準税率を乗じてその一部を算入しているが、この基準財政収入額に算入されなかった税収入は、地方交付税の算定上捕捉されず、各地方公共団体に留保されることから、留保財源と呼ばれている。なお、留保財源率は都道府県、市町村とも税収見込額の25%とされている。

ラスパイレス指数

 加重指数の一種で、重要度を基準時点(又は場)に求めるラスパイレス式計算方法による指数。ここでは、地方公務員の給与水準を表すものとして、一般に用いられている国家公務員行政職(一)職員の俸給を基準とする地方公務員一般行政職職員の給与の水準を指す。

○公営企業

法適用企業・法非適用企業

 地方公営企業のうち、地方公営企業法の全部又は一部を適用している事業が法適用企業であり、それ以外の事業が法非適用企業である。

 法適用企業には、地方公営企業法の全部を適用することが法律で定められている上水道、工業用水道、軌道、鉄道、自動車運送、電気(水力発電等)、ガスの7事業と、法律により財務規定等を適用するように定められている病院事業(以上、当然適用事業)、また、条例で全部又は一部を任意で適用する事業で、簡易水道、下水道等(以上、任意適用事業)がある。法非適用事業は、任意適用事業のうち、法律を適用していない事業である。

損益収支

 地方公営企業の経営活動に伴い、当該年度内に発生した収益とそれに対応する費用の状況。

資本収支

 地方公営企業の設置目的である住民へのサービス等の提供を維持するため及び将来の利用増等に対処して経営規模の拡大を図るために要する諸施設の整備、拡充等の建設改良費、これら建設改良に要する資金としての企業債収入、企業債の元金償還等に関する収入及び支出の状況。

収益的収入

 地方公営企業の経営活動に伴い発生する料金を主体とした収益。

資本的収入

 建設投資などの財源となる企業債、他会計繰入金、国庫(県)補助金などの収入。


 各項目についての計数は、表示単位未満を四捨五入したものである。したがって、その内訳は合計と一致しない場合がある。

 各項目の詳細な計数は、資料編に集録してある。なお、文章編の見出しの〔 〕内には、本文に対応する資料編の表番号を記載しているので、参照されたい。