8 平成22年度決算に基づく健全化判断比率等の状況

 「地方公共団体財政健全化法」による、平成22年度決算に基づく健全化判断比率等の状況は以下のとおりである。

 健全化判断比率及び資金不足比率において、早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上であった場合には、これらの健全化判断比率を公表した年度の末日までに、財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない。

 「地方公共団体財政健全化法」等の概要については、附属資料を参照のこと。

(1)実質赤字比率

 平成22年度決算に基づく実質赤字比率の状況は、第96図のとおりである。

 実質赤字額がある(実質赤字比率が0%超である)団体数を団体種類別にみると、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区5団体、町村3団体であり、合計8団体となっている。

 このうち実質赤字比率が早期健全化基準以上である団体はなかった。

(2)連結実質赤字比率

 平成22年度決算に基づく連結実質赤字比率の状況は、第97図のとおりである。

 連結実質赤字額がある(連結実質赤字比率が0%超である)団体数を団体種類別にみると、都道府県は該当団体がなく、政令指定都市2団体、市区9団体、町村6団体であり、合計17団体となっている。

 このうち連結実質赤字比率が早期健全化基準以上である団体はなかった。

(3)実質公債費比率

ア 早期健全化基準・財政再生基準以上である団体数

 平成22年度決算に基づく実質公債費比率の状況は、第98図のとおりである。

 実質公債費比率が早期健全化基準以上である団体数は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区1団体、町村3団体の合計4団体となっている。そのうち財政再生基準以上である団体数は市区1団体となっている。

イ 実質公債費比率の段階別分布状況

 実質公債費比率の段階別分布状況は、第99図のとおりである。

 実質公債費比率が地方債許可制移行基準(18%)以上である団体数は、都道府県6団体(構成比12.8%)、政令指定都市2団体(同10.5%)、市区78団体(同9.9%)、町村89団体(同9.5%)の合計175団体(同9.8%)となっている。

 このうち実質公債費比率が早期健全化基準(25%)以上であり財政再生基準(35%)未満である団体数は、都道府県、政令指定都市及び市区は該当団体がなく、町村3団体(同0.3%)であり、財政再生基準(再掲35%)以上である団体数は、市区1団体(同0.1%)となっている。

ウ 団体種類別実質公債費比率の状況

 団体種類別の実質公債費比率の状況は、第39表のとおりであり、実質公債費比率の平均が最も高いのは、都道府県13.5%であり、以下、政令指定都市12.8%、町村12.7%、市区9.5%の順となっている。

(4)将来負担比率

ア 早期健全化基準以上である団体数

 平成22年度決算に基づく将来負担比率の状況は、第100図のとおりである。

 将来負担比率が早期健全化基準以上である団体数は、都道府県、政令指定都市及び町村は該当団体がなく、市区2団体となっている。

イ 将来負担比率の段階別分布状況

 将来負担比率の段階別分布状況は、第101図のとおりである。

 将来負担比率の段階別分布状況では、都道府県においては200%以上300%未満の区分、政令指定都市においては100%以上200%未満の区分、市区及び町村においては100%未満の区分における団体数が最も多くなっている。

ウ 団体種類別将来負担比率の状況

 団体種類別の将来負担比率の状況は、第40表のとおりであり、将来負担比率の平均は、都道府県220.8%、政令指定都市176.1%、市区57.1%、町村50.6%となっている。

エ 団体種類別将来負担額等の状況

 団体種類別の将来負担額等の規模は、第102図のとおりである。

 一般会計等に係る地方債の現在高や債務負担行為に基づく支出予定額等を合計した将来負担額から基金等の充当可能財源等を控除した実質的な将来負担額(将来負担比率の分子となる額)の団体種類別合計額は、都道府県51兆1,299億円、政令指定都市8兆9,816億円、市区10兆511億円、町村1兆6,646億円となっている。

 また、団体区分別の項目別将来負担額等の状況は第41表のとおりであり、都道府県は一般会計等に係る地方債現在高が90兆4,804億円と最も多く、退職手当負担見込額14兆2,084億円、公営企業債等繰入見込額3兆4,620億円の順になっており、政令指定都市は一般会計等に係る地方債現在高が19兆3,026億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額5兆1,980億円、退職手当負担見込額1兆7,082億円の順になっており、市区も一般会計等に係る地方債現在高が31兆5,768億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額13兆2,775億円、退職手当負担見込額6兆1,684億円の順になっており、町村も一般会計等に係る地方債現在高が6兆1,559億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額2兆6,951億円、退職手当負担見込額1兆1,178億円の順になっている。

 平成22年度決算に基づく健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数の状況は、第42表のとおりである。団体種類別の合計(純計)は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区2団体、町村3団体の合計5団体となっており、前年度(都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区3団体、町村11団体の合計14団体。平成21年度末までに財政健全化計画又は財政再生計画を策定済み。)に比べて9団体(市区で1団体、町村で8団体)減少している。新たに早期健全化基準以上となった団体はなく、財政健全化計画に基づいて、厳しい歳出削減により捻出した財源で繰上償還を行うなどの取組を行った結果、平成22年度決算で早期健全化基準未満となった9団体のうち、実質赤字額が生じている団体及び引き続き健全化に取り組むこととした団体を除き、7団体が「地方公共団体財政健全化法」に基づき財政健全化計画の完了報告を行った。

(5)資金不足比率

ア 資金不足額がある公営企業会計数

 平成22年度決算に基づく資金不足比率の状況を団体種類別にみたものが第103図である。

 資金不足額がある(資金不足比率が0%超である)公営企業会計数をみると、都道府県2会計、政令指定都市8会計、市区75会計、町村25会計、一部事務組合等9会計であり、合計119会計となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は、都道府県は該当がなく、政令指定都市4会計(資金不足額がある会計数の50.0%)、市区の21会計(同28.0%)、町村7会計(同28.0%)、一部事務組合等6会計(同66.7%)であり、合計38会計(同31.9%)となっている。

 平成22年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数の状況は、第43表のとおりである。経営健全化基準以上となった会計の合計は38会計であり、前年度(都道府県は該当がなく、政令指定都市4会計、市区25会計、町村14会計、一部事務組合6会計の合計49会計)より11会計(市区で4会計、町村で7会計)減少している。その内訳は、平成22年度決算で新たに経営健全化基準以上となった会計が2会計あり、平成22年度決算で経営健全化基準未満となった会計が10会計、平成22年度末までに会計を廃止したため、平成22年度決算に基づく資金不足比率の算定を行わなかった会計が2会計、平成21年度末をもって事業を休止しており、事業の規模が零であるため資金不足比率が算定不能となった会計が1会計ある。

 また、資金不足比率の状況を事業別にみたものが第104図である。

 資金不足額がある公営企業会計数をみると、病院事業が57会計と最も多く、以下、交通事業(18会計)、観光施設事業(14会計)、宅地造成事業(13会計)、市場事業(5会計)の順となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は、観光施設事業9会計(資金不足額のある会計数の64.3%)、病院事業9会計(同15.8%)が最も多く、以下、交通事業7会計(同38.9%)、宅地造成事業4会計(同30.8%)、市場事業3会計(同60.0%)の順となっている。

 なお、平成21年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった49会計のうち、「地方公共団体財政健全化法」により経営健全化計画を策定することとされている会計については、そのすべてについて、平成22年度末までに経営健全化計画が策定済み(49会計のうち経営健全化計画策定必要なしのものが2会計、平成21年度決算において経営健全化基準未満となったが、平成22年度決算で再び経営健全化基準以上となる見込みであったことから、完了報告を行わず、経営健全化計画継続中のものが1会計、計48会計が経営健全化計画を策定済み)であり、経営健全化計画に基づいて、収益の増加や経費の節減などの取組を行った結果、このうち10会計が「地方公共団体財政健全化法」に基づき経営健全化計画の完了報告を行った。

イ 公営企業会計の資金不足額

 公営企業会計の資金不足額の状況を団体種類別にみたものが第105図であり、都道府県37億円、政令指定都市440億円、市区398億円、町村26億円、一部事務組合等112億円であり、合計1,014億円となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、都道府県は該当する会計がなく、政令指定都市401億円(資金不足額がある会計の91.2%)、市区228億円(同57.2%)、町村19億円(同71.0%)、一部事務組合等107億円(同95.1%)で、合計754億円(同74.4%)となっている。

 また、資金不足額の状況を事業別にみたものが第106図であり、交通事業が394億円と最も多く、以下、病院事業(285億円)、宅地造成事業(118億円)、市場事業(108億円)の順となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、交通事業が361億円(資金不足額がある会計の91.7%)と最も多く、以下、病院事業110億円(同38.5%)、市場事業108億円(同99.9%)、宅地造成事業70億円(同59.1%)の順となっている。