総務省トップ > 若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業 > 「永続的なプログラミング教育メンター人材バンク」の設立と「ジュニア・プログラミング検定」を用いた、メンター育成及び子ども達の成長可視化プロジェクト

「永続的なプログラミング教育
メンター人材バンク」の設立と
「ジュニア・プログラミング検定」を用いた、
メンター育成及び子ども達の成長
可視化プロジェクト

株式会社チアリー(STAR Programming SCHOOL)

H28年度第2次補正予算にて実証実施

1.モデルの概要

1.1 モデルの全体概要

<まとめ表>
まとめ表

株式会社チアリー(NSGグループ)が運営する、すべての小学生・中学生のためのプログラミングスクール「STAR Programming SCHOOL(スタープログラミングスクール)」の教材・カリキュラム、教室運営ノウハウ、講師育成ノウハウ等をベースとして、滋賀県・静岡県内の小学生に対するプログラミング教育を実施した。
当社は前期から引き続き2期連続の実施である。前期では対象メンターを学生に設定し実施したが、課題として以下が挙げられた。

  • 学生メンターは活動が在学期間に限られ、長期にわたる活動が困難。
  • メンターや児童のプログラミングスキル(習熟度)が把握できる仕組みが必要。

そこで、今回は対象メンターを長期にわたる活動が期待できる地域の社会人とし、またプログラミングスキルを判定するために、第三者機関が実施するプログラミング検定を活用し、以下の2点を実証することとした。

1. メンターを永続的に育成するための仕組みづくりの有効性の実証。
2. メンター育成および子どもたちの成長の可視化の有効性の実証。

「永続的なプログラミング教育メンター人材バンク」を実現するための仕組みの考え方

永続的なプログラミング教育メンター人材バンクを実現するための仕組みの考え方

1.2 実施体制

1.2.1 体制図

体制図

1. 関東13教室、東海1教室、関西3教室にてプログラミング教室を運営し、広くプログラミング教育を普及させていくための教材・カリキュラム、講師育成ノウハウをベースとした実証事業運営母体(スタープログラミングスクール)
2. 事業終了後も当該地域において継続した活動が期待できるとともに、他地域への展開を前提とした運営主体及び協力教育機関(パートナー校を含め関東関西東海新潟に35教室を展開)
3. 株式会社チアリーの運営するパソコン教室「パソコン市民講座」のインストラクター、卒業生を含む会員サイトであるプレミア倶楽部会員、パソコン市民講座受講生(地域のシニア層・主婦層が中心)及び地域人材(教員・教育実習生・保護者含む)のうち、希望者をプログラミングメンターとして育成する「永続的なプログラミング教育人材バンク」の可能性の検証。
4. 「ジュニア・プログラミング検定」を用いたメンター育成によるメンター育成の体系化と「ジュニア・プログラミング検定」を用いた子ども達の成長の可視化とその有効性についての実証
※プログラミング教育による論理的思考力や課題解決力、創造力等の育成が主眼であり、定量的に評価することだけが目的ではなく、児童生徒の到達目標の指針や、やる気アップのためのものである。
5. 小学校の教員及び教育実習生を巻き込んだプログラミング教育実証体制

1.2.2 実証校、教育委員会、他外部団体との連携について

実証校の選定にあたり、メンター募集の観点から、一つは「パソコン市民講座のインストラクター及び受講生」中心、もう一つは地域人材(教員・教育実習生・保護者含む)中心とし、該当エリアで候補校を絞り、直接依頼を行い決定に至った。
実証に必要な学校設備の借用、実施スケジュール調整、および講座に参加する児童の募集とともに、教員、教育実習生、保護者に対してメンターの募集も学校に依頼した。

<実証校宛て提案書:抜粋>

  • 実証校宛提案書抜粋1
  • 実証校宛提案書抜粋2
  • 実証校宛提案書抜粋3
1.2.3 ジュニア・プログラミング検定(Scratch部門)とは

サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催するScratchを活用したプログラミングスキルを認定する試験。子どもたちのプログラミング教育の指標となる到達目標を定め、段階的なプログラミングスキルの習得を支援することが目的。

https://www.sikaku.gr.jp/js/ks/ 別ウィンドウで開きます

ジュニア・プログラミング検定(Scratch部門)概要1

ジュニア・プログラミング検定(Scratch部門)概要2

ジュニア・プログラミング検定(Scratch部門)概要3

1.3 実施スケジュール

実施スケジュール

2. メンターの育成

2.1 育成メンター概要

対象を「パソコン教室関係者」、「教員・教育実習生等」、「小学校児童の保護者」とした。理由は次のとおり。

  • 各地域にほぼ永続的に存在する人材のため。
  • 子どもに対する教育経験がある、または関心をもち、また小学校にてプログラミング研修・講座を実施する上で、当該時間のスケジュール調整が比較的に容易であるため。

この候補者となりうる母集団として、株式会社チアリーの運営するパソコン教室「パソコン市民講座」のインストラクター、卒業生を含む会員サイトであるプレミア倶楽部会員、パソコン市民講座受講生(地域のシニア層・主婦層が中心)及び、地域人材(教員・教育実習生・保護者含む)をメンター対象とした。

<パソコン教室関係メンター候補者別母数>

候補者 全国母数 該当エリア母数
パソコン市民講座のインストラクター 約400名 12名
パソコン市民講座受講生(地域のシニア層・主婦層が中心) 約8,200名 約400名
卒業生を含む会員サイトであるプレミア倶楽部会員 約13,000名 約700名

該当教室:パソコン市民講座「近江八幡教室」「南草津教室」「西友山科教室」「太秦教室」

2.2 メンターの募集

2.2.1 メンター募集期間

2017年5月9日(火)〜2017年5月31日(水)

2.2.2 メンター募集方法

パソコン市民講座インストラクター・受講生、プレミア倶楽部会員は、株式会社チアリー内のため、該当地域の方々に対してメンター募集要項を用いてメールあるいは口頭にてメンター募集の旨を伝達した。
教員・教育実習生・保護者に対しては、実証校との協業で募集要項を作成し書面にて募集を行った。

2.2.3 メンター募集に関する工夫
  • メンター募集にあたってはプログラミングの経験は不問とした。
  • パソコン教室のネットワークを活用し、地域での人材を広く募集した(インストラクター、受講生等)。
  • 小学校・大学との連携による保護者の募集及び教育実習生を含む大学生を募集した。

<参考>
スタープログラミングスクールの以下の採用基準に基づき、募集要項を作成した。

  • 正解を教えるのではなく子どもの考えや意志創造力を尊重し、同じ目線で共に問題解決に臨むスタンスをお持ちの方
  • 子ども達はもちろん、教員、保護者の皆様など子ども達を取り巻く方々との良好な関係を築くコミュニケーション力を持ち、総合的に子ども達の成長に向けて全力で取り組める方
  • 事業運営チームの一員として、より良い講座運営に前向きに取り組める方
2.2.4 メンター採用結果

合計:22名
静岡大学教育学部附属静岡小学校 小計:14名(保護者13名、教育実習生1名)
滋賀大学教育学部附属小学校 小計:8名(保護者3名、パソコンインストラクター3名、受講生2名)

「パソコン市民講座」関連募集要項(表面)
「パソコン市民講座」関連募集要項(表面)

「パソコン市民講座」関連募集要項(裏面)
「パソコン市民講座」関連募集要項(裏面)

「実証校」関連募集要項(表面)
「実証校」関連募集要項(表面)

「実証校」関連募集要項(裏面)
「実証校」関連募集要項(裏面)

2.3 育成研修

2.3.1 研修プログラム概要
2.3.1.1 メンター研修方法

スタープログラミングスクールの動画教材・テキスト・指導要綱をベースとし、スタープログラミングスクールの研修システムを一部提供する形でメンターを育成した。スタープログラミングスクールの教材・研修システムは動画等のオンラインでの実施が可能であり、それらを本事業用に改変、ブラッシュアップすることでオフライン研修に多大な時間とコストをかけることなく実施可能であり、他地域にも広く普遍的に提供することが可能である。
さらにサーティファイ情報処理能力認定委員会による「ジュニア・プログラミング検定 Scratch部門」を活用し、検定取得対策等メンターが資格を取得していく過程を含めたメンター育成に取り組んだ。

<会場および日程>

静岡大学教育学部附属静岡小学校

メンター研修1 2017年7月31日(月)13:00〜16:00
オンライン研修 約9時間の動画教材及び4つの確認課題
メンター研修2 2017年8月22日(火) 13:00〜16:00
メンター研修3 2017年8月28日(月) 13:00〜16:00

滋賀大学教育学部附属小学校

メンター研修1 2017年7月15日(土)13:00〜16:00
オンライン研修 約9時間の動画教材及び4つの確認課題
メンター研修2 2017年8月2日(水) 13:00〜16:00
メンター研修3 2017年8月18日(金) 13:00〜16:00 

<研修内容>

日程 時間 形態 概要 内容
1 3時間 offline オリエンテーション ・プログラミング教育の意義とその効果について
・本事業の目的とプログラミング検定について
Scratchの基本操作
(子ども達対応指導含む)
・Scratchとは?
・Scratchのアカウント取得
・Scratchで実現できることを知ろう
・Scratchの様々な機能についてマスターしよう
在宅 3時間 online 講座内容研修1
(スキルの修得)
・動画教材※を用いたScratchの基本理解
Lesson.02/03 課題A実施・提出
Lesson.05     課題B実施・提出
在宅 3時間 online 講座内容研修2
(スキルの修得)
・動画教材※を用いたScratchの基本理解
Lesson.08   課題C実施・提出
在宅 3時間 online 講座内容研修3
(スキルの修得)
・動画教材※を用いたScratchの応用理解
Lesson.11/12  最終課題D実施・提出
2 3時間 offline 講座内容研修4 ・Scratchプログラミングフォローアップ講習
・プログラミング検定対策
・プログラミング検定Entry受験
・プログラミング講座の役割分担
・質疑応答
3 3時間 offline キックオフ ・本事業の詳細及び最終キックオフ
講座内容実習1
(子ども達対応指導含む)
・プログラミング講座6回分の指導要綱の読み合わせ
講座内容実習2
(子ども達対応指導含む)
・ジュニア・プログラミング検定の受験及び試験監督実習

※講座内容研修のうち、動画教材は、STAR Programming SCHOOL Scratchコース スタンダードで受講生が視聴している映像全18回のうち、6回分を使用した。

2.3.1.2 永続的なメンター育成のために必要な3要素
  • 永続的にプログラミング教育メンターを育成する上で、ビジュアルプログラミングの基本に加え、下記の3要素を重要視し、必要な教材の準備を進めた。

プログラミング教育メンターの永続的な育成に必要な3つの要素

2.3.1.3 メンター研修に関する工夫
  • 実際にスタープログラミングスクールにて受講生に提供している動画教材や、新規に制作した追加資料を編集の上データ共有し、メンターはそれらを閲覧しプログラミングすることによって基礎知識を得た。
  • 実際のオフラインでの研修はインプットを経ている前提で、いかに子ども達を良くファシリテートするかに焦点を絞る反転型の研修を実現した。
  • その他必要に応じて研修資料・動画及び講座受講生への補足資料等を配布した。
  • メンターをチーム制として情報の共有やノウハウの共有を図った。
  • メンターのスケジュール調整や課題の集約、欠席時の対応等は専用のメールアカウントを作成し行った。
2.3.1.4 他地域にも再現可能なノウハウ
  • パソコン教室関係者を対象としたメンターの募集
  • 教員・教育実習生・保護者・大学関係者を対象としたメンターの募集
  • 映像教材及び確認課題を活用したオンラインでのメンターのプログラミング講習
  • チーム制でのメンター体制の構築
  • ジュニア・プログラミング検定を用いたメンター育成システム
2.3.2 研修教材

<動画教材:一部抜粋>

  • 動画教材(一部抜粋)1
  • 動画教材(一部抜粋)2

<確認課題:一部抜粋>

  • 確認課題(一部抜粋)1
  • 確認課題(一部抜粋)2

<メンター研修資料:一部抜粋>

  • メンター研修資料(一部抜粋)1
  • メンター研修資料(一部抜粋)2
  • メンター研修資料(一部抜粋)3
  • メンター研修資料(一部抜粋)4

<講座別学習指導要綱:一部抜粋>
講座別学習指導要綱(一部抜粋)

<メンター研修 スクーリングの様子>

  • メンター研修 スクーリングの様子1
  • メンター研修 スクーリングの様子2
  • メンター研修 スクーリングの様子3
  • メンター研修 スクーリングの様子4
  • メンター研修 スクーリングの様子5
2.3.3 ジュニア・プログラミング検定 受験結果
全体 静岡 滋賀
受験者人数 19名 11名 8名
平均得点率 78.8% 75.8% 83.0%
合格の目安となる60%以上の得点者 16名 10名 6名
合格レベル人数比率 84.2% 90.9% 75.0%

ジュニア・プログラミング検定 得点別の人数分布(メンター)

2.3.4 プログラミング講座でのメンターの役割分担
  • メンターの役割分担として、「MC」と「グループメンター」を設定しそれぞれ以下の役割とした。
MC 講座の進行。各回で1名を配置。
グループメンター 児童のプログラミングや設計図制作などのサポート。児童のグループ(5〜7名)に対し、2〜3名を配置。
  • メンターの分担は、メンター同士の話し合いで決定した。メンターのプログラミングスキルがグループごとに概ね均等になるように配慮した。
  • 合格レベルの60%の正答率に満たないメンターについても、「プログラミングスキル」以外の部分(子ども達の進捗の確認、設計書の確認、モチベーションアップなど)で十分に活躍できる場があることを確認した。

3. 実証講座の実施

3.1 講座の概要

3.1.1 児童の募集概要
3.1.1.1 児童生徒の募集期間

2017年5月〜2017年6月

3.1.1.2 児童の対象学年、および募集
  • プログラミング講座実施各校にて、児童生徒の募集を行い、抽選により決定した。
  • 対象学年は小4~6年とした。
  • 学年の選定は実証校に委ねた。理由は、各小学校の機器備品を活用することを前提とした教育課程外での実施であり、各小学校にて対応可能な児童はそれぞれの事情によって異なるため。
3.1.1.3 児童生徒募集に関する工夫
  • 前提として小学校の担当教員にポジティブに捉えていただくことが必要なため、事前に本プロジェクトの意義や子ども達への教育的な効果について対面での説明を充分に行った。
  • プログラミング学習が初めての子ども達も対応可能なカリキュラムとした。
  • 上記を母集団としつつも各校内にて希望者を募っていただき、幅広い児童生徒を受講生の対象とした。
3.1.2 対象児童人数、実習の環境
対象児童人数 児童人数 6年生 5年生 4年生
静岡大学教育学部附属静岡小学校 47名 10名 14名 23名
滋賀大学教育学部附属小学校 30名 17名 13名 0名
合   計 77名 27名 27名 23名
  • それぞれ児童を学年が混在する6グループに振り分けた。グループの振り分けは学年・クラス・性別ができるだけ均等となるように実証校に依頼した。
  • グループへのメンターの割り振りは特に意図的には行っていない。ただしメンターが参加児童の保護者の場合は、同じグループにならないように配慮した。
  • 静岡では4年生が全体の約半数を占めるのに対して、滋賀では4年生は0名という構成である。
実習の環境 パソコン 実習室・ネットワーク環境
静岡大学教育学部附属静岡小学校 タブレットパソコン(マウスなし) 理科室・WiFi
滋賀大学教育学部附属小学校 デスクトップパソコン パソコン実習室・有線LAN
  • 両実証校ともに、電源を切るとパソコンの環境が初期化されるシステムが導入されている。
3.1.3 児童の学習期間

静岡大学教育学部附属静岡小学校:2017年9月19日(火)〜2017年9月29日(金)

講座回数 講座日時
第1回 2017年9月19日(火)14:30〜16:30
第2回 2017年9月20日(水)14:30〜16:30
第3回 2017年9月21日(木)14:30〜16:30
第4回 2017年9月22日(金)14:30〜16:30
第5回 2017年9月28日(木)13:00〜15:00
第6回 2017年9月29日(金)14:30〜16:30

滋賀大学教育学部附属小学校:2017年8月23日(水)〜2017年9月30日(土)

講座回数 講座日時
第1回・第2回 2017年8月23日(水)10:30〜12:30  13:30〜15:30
第3回・第4回 2017年8月25日(金)10:30〜12:30  13:30〜15:30
第5回 2017年9月16日(土)13:30〜15:30
第6回 2017年9月30日(土)13:30〜15:30
3.1.4 児童の学習内容

Scratchによるプログラミングはあくまでも「手段」として、子ども達がプログラミングを実施していくことで、以下の5つの資質・能力を身につけることをビジョンとすることをメンターと共有した。
1創造力・イノベーション
プログラミングを通して、自身の考えたこと、新しいモノを自由に形にすることを体験する。そこには正解はなく、自身の発想や想いを形にし、発信することを学ぶ。
2論理的思考力
課題制作の過程において、順次処理・条件分岐・繰り返し等のプログラミングの基本を体験し、論理的に思考する大事さについて学ぶ。
3問題解決力
自由な作品を開発し、上記の学びの中で多くのトライ&エラーを繰り返す中で、自身で課題を設定する、どこに問題がある、どうすれば解決できるか考えることで問題解決力を育む。
4自己肯定感
自身の好きなもの、好きなことを伸ばすプログラミング教育を提供する。すべての子ども達の意見や作品は満点であり、子ども達の自信及び自己肯定感を育む。
5プレゼンテーション能力
自身で開発したプロジェクトをプレゼンテーションする場を設けることで、発信力・プレゼンテーション能力を養う。

<講座内容>
講座で習得したビジュアルプログラミング(Scratch)を用いてオリジナル作品(物語)を制作し、最終日に発表会を実施する。
また、「ジュニア・プログラミング検定 Entry級」の受験を行う。これは、プログラミング教育は子ども達に前述の5つの資質・能力を身につけさせる手段であるとしても、講座で習得したScratchによるプログラミングスキル評価の必要性、および目標設定・モチベーションアップの手立てが必要と考えたからである。

<カリキュラム>

日程 時間 形態 概要 内容
第1回 2時間 スクーリング オリエンテーション
Scratchの紹介
・プログラミングについて/本事業概要説明
・Scratchってなに?
第2回 2時間 スクーリング Scratchの基礎1 ・Scratchの基礎を学ぶ1
第3回 2時間 スクーリング Scratchの基礎2 ・Scratchの基礎を学ぶ2
・オリジナル作品開発
第4回 2時間 スクーリング Scratchの基礎3 ・Scratchの基礎を学ぶ3
・企画書・設計書作成:オリジナル作品開発
第5回 2時間 スクーリング Scratchの応用 検定試験練習 ・オリジナル作品制作・完成
・ジュニア・プログラミング検定サンプル試験
第6回 2時間 スクーリング 検定試験 オリジナル作品発表 ・ジュニア・プログラミング検定受験
・オリジナル作品発表
3.1.5 児童への講座に関する工夫
  • プログラミング学習が初めての子ども達も対応可能なカリキュラム、配布プリントを開発した。
  • アイディアをプログラミングで実現するために企画書(設計書)の作成を行った。ただし企画書はあくまでもアイディアを具現化するためのものとし、あえて記入の自由度を高めるフォームとした。
  • グループ同士のコミュニケーションを円滑にするために、児童の「自己紹介カード」を作成、掲示した。
  • 毎回の講座を担当するメンターを固定とすることで児童との長期的な関係構築を可能な体制とした。
  • 児童の目標設定・モチベーションアップを目的に「ジュニア・プログラミング検定」の受験を行った。
3.1.6 児童配布教材(一部抜粋)
  • 児童配布教材(一部抜粋)1
  • 児童配布教材(一部抜粋)2
  • 児童配布教材(一部抜粋)3
  • 児童配布教材(一部抜粋)4

3.2 実施の様子

3.2.1 講座の様子

静岡大学教育学部附属静岡小学校

1全体説明

  • 附属静岡小学校での講座の様子1全体説明

2課題制作

  • 附属静岡小学校での講座の様子2課題制作1
  • 附属静岡小学校での講座の様子2課題制作2

3オリジナル作品 企画書制作

  • 附属静岡小学校での講座の様子3オリジナル作品企画書制作1
  • 附属静岡小学校での講座の様子3オリジナル作品企画書制作2

4オリジナル作品制作

  • 附属静岡小学校での講座の様子4オリジナル作品制作1
  • 附属静岡小学校での講座の様子4オリジナル作品制作2

5オリジナル作品発表(グループ内)

  • 附属静岡小学校での講座の様子5オリジナル作品発表(グループ内)1
  • 附属静岡小学校での講座の様子5オリジナル作品発表(グループ内)2

6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)

  • 附属静岡小学校での講座の様子6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)1
  • 附属静岡小学校での講座の様子6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)2

滋賀大学教育学部附属小学校

1全体説明

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子1全体説明

2課題制作

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子2課題制作1
  • 滋賀大附属小学校での講座の様子2課題制作2

3オリジナル作品 企画書制作

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子3オリジナル作品企画書制作1
  • 滋賀大附属小学校での講座の様子3オリジナル作品企画書制作2

4オリジナル作品制作

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子4オリジナル作品制作1
  • 滋賀大附属小学校での講座の様子4オリジナル作品制作2

5オリジナル作品発表(グループ内)

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子5オリジナル作品発表(グループ内)1
  • 滋賀大附属小学校での講座の様子5オリジナル作品発表(グループ内)2

6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)

  • 滋賀大附属小学校での講座の様子6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)1
  • 滋賀大附属小学校での講座の様子6オリジナル作品発表(全体:グループ代表)2

自己紹介カード

  • 自己紹介カード1
  • 自己紹介カード2
  • 自己紹介カード3
  • 自己紹介カード4
3.2.2 児童のオリジナル作品例(上段:設計書、下段:Scratchスクリプト抜粋)

1 タイトル「パソコンゲーム」
児童のオリジナル作品例1「パソコンゲーム」1

児童のオリジナル作品例1「パソコンゲーム」2

2タイトル「ねことピコのあそび」
児童のオリジナル作品例2「ねことピコのあそび」1

児童のオリジナル作品例2「ねことピコのあそび」2

3タイトル「Teraの出現」
児童のオリジナル作品例3「Teraの出現」1

児童のオリジナル作品例3「Teraの出現」2

3.3 メディア掲載

なし

3.4 参加者の声

3.4.1 児童の声
  • 前は、ゲームは誰かが簡単に作っていると思っていたけど、自分でやってみるととても苦労していることがわかった。
  • 組み立ては、一つ一つゆっくりやったほうがいいことがわかった。
  • プログラミングをもっと身近に感じるようになった。
  • 自分のオリジナル作品を作るのにどうしたらいいかとかを考えることができて、それを実際にやれて楽しかった。他の人の作品も見てみたい。
  • どのようなスクリプトとプログラミングで作られているのか研究したくなった。
  • プログラムをどうしたら実現できるのか、上手に動いてくれるのか、考えるのが楽しくなった。
  • アプリ内の構成について考えるようになった。
  • 自分の思ったように作るのがすごく難しかったけど、思ったように作れた時の達成感がすごくて、その達成感を忘れずに作っていきたい。
  • 何かを説明する時に使用したい。(耳の聞こえない人など)
  • プログラミングを自由研究で使ってみたい。
  • 自分が思ったように動かすのは難しかったけれど、思ったように動いた時はうれしかった!!また家でもやりたい。
  • プログラムは機械が作っていると思っていたので、こんなにプログラムを考えて組み立てているのがすごいと思うようになった。
3.4.2 メンターの声
  • 自分の考えたものを早く形にしたい、というようなことを言っていたのが印象的だった。
  • 隣同士で訊ねたり、見せ合ったりする姿が見られた。
  • 一生懸命話をきく姿や、どんどんいろいろなことに挑戦していく姿が印象的だった。家でもどん欲にやり続けていた。
  • 話を聞けるようになった。静かにするように声かけする子も出てきて、そうした成長も嬉しい。
  • 自分が今やろうとしていることが、時間内で達成できるかどうか、自身の実力と照らし合わせて判断している子も多少みられるようになった。
  • 当初は、プリントや講師の話を無視しがちで自由気ままに行き当たりばったりで作品を作成していた子が、最後の授業の頃には、プリントを読み、講師の話を聞くようになっていた。
  • 当初はおっかなびっくりで操作していた子が、次第にどんどんチャレンジしていく姿が見られた。わかってうまくいったときの笑顔が見られ、楽しくやっていたと思う。
  • スクラッチの操作は知っているが、企画で手が止まる子や操作初心者だが面白い作品を作った子がいたりするなど、当初の予想をくつがえされて感心した。
  • 手の動きが遅かった子も、最後は頑張ってチャレンジしていた。リーダーの子が最初に比べて最後はよく動いていた。
  • 設計書を書くのが楽しそうだった。できたときに、嬉しそうに話しかけてくれた姿が印象的だった。
3.4.3 実証校校長先生の声
  • 講座への申込みの段階でかなり関心が高い子どもたちであったが、実際に講座を通してさらに関心が高まったと思われる。
  • 1回2時間の講座であったが、子どもたちにとってはあっという間の時間だったようだ。
  • 今回行ったような、放課後の時間を活用して希望者を集めて行うことはとてもよいと思った。また、メンターを保護者中心として行ったことで、学校としての負担がとても少なく済んだ。このような中で、参加した子どもたちはとても楽しめていた。
  • 常に「プログラミング」の活動に対して、意欲的にかつ真剣に取り組む姿が見られた。
  • 「プログラミング教育」の目的は、「プログラム」をつくることではなく、それを通して論理的な思考を養っていくことだと考える。コンピュータを使ってのプログラミングとともに、教科の学習において、常に論理的な思考の経験やその大切さを意識して、学習活動を展開していくことが重要だと思う。
  • 子どもたちが、意欲的に、かつ目標をもって取り組む手立てとなった。

4. アンケート結果

4.1 児童・生徒

Q1-8 あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまで「プログラミング」を体験したことがありますか?

児童・生徒向けアンケート(Q1-8)あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまで「プログラミング」を体験したことがありますか?最も近いものをひとつ選んでください。全体、「プログラミング」を経験したことがあった、27.9%、「プログラミング」を経験したことはないが、意味は知っていた、26.2%、「プログラミング」という言葉を聞いたことはあるが、中身まではよく知らなかった、36.1%、「プログラミング」という言葉を聞いたことがなかった、9.8%、静岡、「プログラミング」を経験したことがあった、32.4%、「プログラミング」を経験したことはないが、意味は知っていた、21.6%、「プログラミング」という言葉を聞いたことはあるが、中身まではよく知らなかった、37.8%、「プログラミング」という言葉を聞いたことがなかった、8.1%、滋賀、「プログラミング」を経験したことがあった、20.8%、「プログラミング」を経験したことはないが、意味は知っていた、33.3%、「プログラミング」という言葉を聞いたことはあるが、中身まではよく知らなかった、33.3%、「プログラミング」という言葉を聞いたことがなかった、12.5%。

  • プログラミングの経験者は全体の3割程度。(Scratchの経験者はそれぞれ4〜5名程度存在した。)

Q2-1  「プログラミング講座」は楽しかったですか。最も近いものをひとつ選んでください。

児童・生徒向けアンケート(Q2-1)「プログラミング講座」は楽しかったですか。最も近いものをひとつ選んでください。全体、プログラミングすることも、講座も楽しかった、86.9%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったが、講座は楽しかった、6.6%、プログラミングすることは楽しかったが、講座はあまり楽しくなかった、3.3%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったし、講座もあまり楽しくなかった、3.3%、静岡、プログラミングすることも、講座も楽しかった、86.5%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったが、講座は楽しかった、10.8%、プログラミングすることは楽しかったが、講座はあまり楽しくなかった、2.7%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったし、講座もあまり楽しくなかった、0.0%、滋賀、プログラミングすることも、講座も楽しかった、87.5%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったが、講座は楽しかった、0.0%、プログラミングすることは楽しかったが、講座はあまり楽しくなかった、4.2%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったし、講座もあまり楽しくなかった、8.3%。

  • およそ87%が楽しかったという一方、楽しくなかったという児童も少数おり、その理由は不明。

Q2-4 「プログラミング」の講座で利用した教材は簡単でしたか。最も近いものをひとつ教えてください。

児童・生徒向けアンケート(Q2-4)「プログラミング」の講座で利用した教材は簡単でしたか。最も近いものをひとつ教えてください。全体、簡単すぎた、3.3%、簡単だった、4.9%、ちょうどよかった、31.1%、少し難しかった、47.5%、とても難しかった、13.1%、静岡、簡単すぎた、2.7%、簡単だった、0.0%、ちょうどよかった、40.5%、少し難しかった、54.1%、とても難しかった、2.7%、滋賀、簡単すぎた、4.2%、簡単だった、12.5%、ちょうどよかった、16.7%、少し難しかった、37.5%、とても難しかった、29.2%。

  • 「少し難しかった」が全体の47.5%。滋賀の方が「難しかった」と回答した児童が多かった。

Q3-1 講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。あてはまるものをそれぞれひとつ選んでください。
1 プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった"

児童・生徒向けアンケート講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。あてはまるものをそれぞれひとつ選んでください。(Q3-1@)プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった、全体、よくできた、40.0%、だいたいできた、51.7%、どちらともいえない、1.7%、あまりできなかった、5.0%、ほとんどできなかった、1.7%、静岡、よくできた、42.9%、だいたいできた、48.6%、どちらともいえない、8.6%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、37.5%、だいたいできた、45.8%、どちらともいえない、12.5%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、4.2%。

  • 90%以上が概ね理解できている。プログラミング講座の1日目の成果であると考える。

2自分なりのアイディアを取入れたり、工夫したりするようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1A)自分なりのアイディアを取入れたり、工夫したりするようになった、全体、よくできた、40.7%、だいたいできた、47.5%、どちらともいえない、10.2%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、1.7%、静岡、よくできた、42.9%、だいたいできた、48.6%、どちらともいえない、8.6%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、37.5%、だいたいできた、45.8%、どちらともいえない、12.5%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、4.2%。

  • 97%以上が概ねできている。プログラミングの前に「設計書」を書かせた効果と考える。

3自分なりの作品を作ることができるようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1B)自分なりの作品を作ることができるようになった、全体、よくできた、56.7%、だいたいできた、26.7%、どちらともいえない、10.0%、あまりできなかった、3.3%、ほとんどできなかった、3.3%、静岡、よくできた、55.6%、だいたいできた、27.8%、どちらともいえない、11.1%、あまりできなかった、2.8%、ほとんどできなかった、2.8%、滋賀、よくできた、58.3%、だいたいできた、25.0%、どちらともいえない、8.3%、あまりできなかった、4.2%、ほとんどできなかった、4.2%。

  • 83%以上が概ねできている。プログラミングの前に「設計書」を書かせた効果と考える。

4うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1C)うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった、全体、よくできた、28.3%、だいたいできた、55.0%、どちらともいえない、6.7%、あまりできなかった、6.7%、ほとんどできなかった、3.3%、静岡、よくできた、33.3%、だいたいできた、47.2%、どちらともいえない、11.1%、あまりできなかった、8.3%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、20.8%、だいたいできた、66.7%、どちらともいえない、0.0%、あまりできなかった、4.2%、ほとんどできなかった、8.3%。

  • 83%以上が概ねできている。実行結果がリアルタイムで確認できるビジュアルプログラミングの導入成果と考える。

5自分から積極的に取り組むようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1D)自分から積極的に取り組むようになった、全体、よくできた、46.7%、だいたいできた、45.0%、どちらともいえない、5.0%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、3.3%、静岡、よくできた、52.8%、だいたいできた、47.2%、どちらともいえない、0.0%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、37.5%、だいたいできた、41.7%、どちらともいえない、12.5%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、8.3%。

  • 91%以上が概ねできている。グループ同士で自分の作品を見せあうことが刺激になったと考えられる。

6友だちと協力して作業を進められるようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1E)友達と協力して作業を進められるようになった、全体、よくできた、40.0%、だいたいできた、25.0%、どちらともいえない、21.7%、あまりできなかった、8.3%、ほとんどできなかった、5.0%、静岡、よくできた、38.9%、だいたいできた、25.0%、どちらともいえない、19.4%、あまりできなかった、8.3%、ほとんどできなかった、8.3%、滋賀、よくできた、41.7%、だいたいできた、25.0%、どちらともいえない、25.0%、あまりできなかった、8.3%、ほとんどできなかった、0.0%。

  • 概ねできたは65%に留まった。個人作業がメインであったためと考えられる。

7人前で作品や意見を発表できるようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1F)人前で作品や意見を発表できるようになった、全体、よくできた、38.3%、だいたいできた、26.7%、どちらともいえない、16.7%、あまりできなかった、13.3%、ほとんどできなかった、5.0%、静岡、よくできた、36.1%、だいたいできた、36.1%、どちらともいえない、13.9%、あまりできなかった、11.1%、ほとんどできなかった、2.8%、滋賀、よくできた、41.7%、だいたいできた、12.5%、どちらともいえない、20.8%、あまりできなかった、16.7%、ほとんどできなかった、8.3%。

  • 概ねできたは65%に留まった。個人発表はグループ内で行い、大勢の前で発表をする機会がなかったためと考えられる。

8難しいところであきらめずに取り組めるようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1G)難しいところであきらめずに取り組めるようになった、全体、よくできた、45.0%、だいたいできた、43.3%、どちらともいえない、5.0%、あまりできなかった、5.0%、ほとんどできなかった、1.7%、静岡、よくできた、47.2%、だいたいできた、44.4%、どちらともいえない、8.3%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、41.7%、だいたいできた、41.7%、どちらともいえない、0.0%、あまりできなかった、12.5%、ほとんどできなかった、4.2%。

  • 88%以上が概ねできたと回答。「設計書」を書かせることで目標が明確になったためと考えられる。

9自分でもの(ゲーム等のプログラムを含む)を作りたいと思うようになった

児童・生徒向けアンケート(Q3-1H)自分でもの(ゲーム等のプログラムを含む)を作りたいと思うようになった、全体、よくできた、71.7%、だいたいできた、21.7%、どちらともいえない、5.0%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、1.7%、静岡、よくできた、72.2%、だいたいできた、25.0%、どちらともいえない、2.8%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、0.0%、滋賀、よくできた、70.8%、だいたいできた、16.7%、どちらともいえない、8.3%、あまりできなかった、0.0%、ほとんどできなかった、4.2%。

  • 93%概ねができたと回答。一つの作品を完成させた達成感を味わえたことが要因と考えられる。

Q3-2 プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。最も近いものをひとつ選んでください。

児童・生徒向けアンケート(Q3-2)プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。最も近いものをひとつ選んでください。全体、自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした、41.1%、すべてのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした、7.1%、少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした、30.4%、メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった、14.3%、進んでいる友達に教えてもらった、3.6%、どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした、0.0%、その他、3.6%、静岡、自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした、48.6%、すべてのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした、5.7%、少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした、31.4%、メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった、8.6%、進んでいる友達に教えてもらった、2.9%、どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした、0.0%、その他、2.9%滋賀、自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした、28.6%、すべてのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした、9.5%、少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした、28.6%、メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった、23.8%、進んでいる友達に教えてもらった、4.8%、どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした、0.0%、その他、4.8%。

  • 「1」と「3」が合わせて70%以上であった。自分でトライアンドエラーを繰り返しながらプログラミングできている。

Q3-4 あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。あてはまるものをひとつ選んでください。

児童・生徒向けアンケート(Q3-4)あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。あてはまるものをひとつ選んでください。全体、続けたい、85.7%、わからない、12.5%、続けたくない、1.8%、静岡、続けたい、94.3%、わからない、5.7%、続けたくない、0.0%、滋賀、続けたい、71.4%、わからない、23.8%、続けたくない、4.8%。

  • 85%以上が続けたいと回答。作品を完成させ発表する機会をもてたことで達成感や自己肯定感を感じたと考える。

Q5.1 ジュニア・プログラミング検定を受験したことによるご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。

児童・生徒向けアンケート(事業者独自設問 Q5-1)ジュニア・プログラミング検定を受験したことによるご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。全体、とても自信になった、30.2%、やや自信になった、47.2%、どちらともいえない、17.0%、あまり自信にならなかった、5.7%、ほとんど自信にならなかった、0.0%、静岡、とても自信になった、31.0%、やや自信になった、44.8%、どちらともいえない、17.2%、あまり自信にならなかった、6.9%、ほとんど自信にならなかった、0.0%、滋賀、とても自信になった、29.2%、やや自信になった、50.0%、どちらともいえない、16.7%、あまり自信にならなかった、4.2%、ほとんど自信にならなかった、0.0%。

  • 77%が概ね自信になったと回答。学びのモチベーションや達成感の一助になったと考えられる。

Q5.2 今後ジュニア・プログラミング検定の上位級に挑戦してみたいですか?あてはまるものをひとつ選んでください。

児童・生徒向けアンケート(事業者独自設問 Q5-2)今後ジュニア・プログラミング検定の上位級に挑戦してみたいですか?あてはまるものをひとつ選んでください。全体、とてもそう思う、26.9%、ややそう思う、38.5%、どちらともいえない、13.5%、あまりそう思わない、15.4%、全くそう思わない、5.8%、静岡、とてもそう思う、27.6%、ややそう思う、41.4%、どちらともいえない、6.9%、あまりそう思わない、17.2%、全くそう思わない、6.9%、滋賀、とてもそう思う、26.1%、ややそう思う、34.8%、どちらともいえない、21.7%、あまりそう思わない、13.0%、全くそう思わない、4.3%。

  • 65%が概ねそう思うと回答。上位級の説明をしていないが、先のビジョンをみせることでモチベーションの一助になると考える。

4.2 メンター

Q3-3 メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。あてはまるものをひとつ選んでください。

育成メンター向けアンケート(Q3-3)メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。あてはまるものをひとつ選んでください。全体、よく理解できた、30.0%、だいたい理解できた、65.0%、どちらともいえない、5.0%、あまり理解できなかった、0.0%、ほとんど理解できなかった、0.0%、静岡、よく理解できた、38.5%、だいたい理解できた、53.8%、どちらともいえない、7.7%、あまり理解できなかった、0.0%、ほとんど理解できなかった、0.0%、滋賀、よく理解できた、14.3%、だいたい理解できた、85.7%、どちらともいえない、0.0%、あまり理解できなかった、0.0%、ほとんど理解できなかった、0.0%。

  • 95%が概ね理解できたと回答。特に滋賀の理解度は100%であった。

Q3-6 実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。あてはまるものをひとつ選んでください。

育成メンター向けアンケート(Q3-6)実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。あてはまるものをひとつ選んでください。全体、まったく不安はない、0.0%、あまり不安はない、35.0%、わからない、5.0%、やや不安がある、55.0%、非常に不安がある、5.0%、静岡、まったく不安はない、0.0%、あまり不安はない、46.2%、わからない、7.7%、やや不安がある、38.5%、非常に不安がある、7.7%、滋賀、まったく不安はない、14.0%、あまり不安はない、0.0%、わからない、0.0%、やや不安がある、86.0%、非常に不安がある、0.0%。

  • 55%が不安があると回答。特に滋賀の割合が高い。「理解度」と「不安の解消」が同一でないことが分かった。

Q3-7 (3-6で4または5と答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。あてはまるものを全て教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q3-7)(3.5で1または2と答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。あてはまるものを全て教えてください。(複数回答)、児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートできるか、50.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言ができるか、75.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導ができるか、75.0%、児童・生徒が自分の指導や助言を聞き入れ、従ってくれるか、0.0%、時間内に予定のプログラムを終了できるか、33.0%、用意された教材を効果的に使用して指導できるか、25.0%、その他、0.0%。

  • 「2、3」が最も多かった。児童一人ひとりの能力に合わせた指導・助言に不安をもつことが分かった。

Q5-1 講座は当初予定していた通りに実施できましたか。最も近いものをひとつ教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q5-1)講座は当初予定していた通りに実施できましたか。最も近いものをひとつ教えてください。全体、実施できた、10.0%、だいたい実施できた、45.0%、どちらともいえない、30.0%、あまり実施できなかった 、15.0%、まったく実施できなかった、0.0%、静岡、実施できた、15.4%、だいたい実施できた、53.8%、どちらともいえない、23.1%、あまり実施できなかった 、7.7%、まったく実施できなかった、0.0%、滋賀、実施できた、0.0%、だいたい実施できた、28.6%、どちらともいえない、42.9%、あまり実施できなかった 、28.6%、まったく実施できなかった、0.0%。

  • 55%が概ね実施できたと回答。滋賀と静岡で傾向が分かれた。

Q5-2 実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。最も近いものをひとつ教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q5-2)実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。最も近いものをひとつ教えてください。全体、非常に難しかった、10.0%、やや難しかった、55.0%、どちらともいえない、15.0%、比較的容易だった、15.0%、非常に容易だった、5.0%、静岡、非常に難しかった、7.7%、やや難しかった、53.8%、どちらともいえない、15.4%、比較的容易だった、23.1%、非常に容易だった、0.0%、滋賀、非常に難しかった、14.3%、やや難しかった、57.1%、どちらともいえない、14.3%、比較的容易だった、14.3%、非常に容易だった、0.0%。

  • 65%が難しかったと回答。プログラミング初心者が多い中で想定できる回答である。

Q5-3 実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q5-3)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること、40.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと、30.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと、35.0%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと、35.0%、時間内に予定の講座内容を終了させること、10.0%、用意された教材を効果的に使用すること、10.0%、その他、10.0%。

  • 「1」が40%と最も多かった。児童の様子をよくみてうまくファシリテートできていた。

Q5-5実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q5-5)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること、15.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと、25.0%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと、50.0%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと、35.0%、時間内に予定の講座内容を終了させること、30.0%、用意された教材を効果的に使用すること、25.0%、その他、5.0%。

  • 「3」が56%で最も多かった。児童の能力に合わせた指導・助言が難しいことが分かった。

Q8-3 今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について、最も近いものをひとつ教えてください。

育成メンター向けアンケート(Q8-3)今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について、最も近いものをひとつ教えてください。全体、メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒にプログラミング教育の指導ができると思う、25.0%、メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う(ひとりで指導するのは不安だ)、10.0%、サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい、50.0%、メンター業務を今後もやるには不安が大きい、5.0%、今後はメンターをやりたくない、0.0%、わからない(考えがまとまっていない)、5.0%、その他、5.0%、静岡、メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒にプログラミング教育の指導ができると思う、30.3%、メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う(ひとりで指導するのは不安だ)、15.4%、サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい、38.5%、メンター業務を今後もやるには不安が大きい、7.7%、今後はメンターをやりたくない、0.0%、わからない(考えがまとまっていない)、7.7%、その他、0.0%、滋賀、メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒にプログラミング教育の指導ができると思う、14.3%、メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う(ひとりで指導するのは不安だ)、0.0%、サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい、71.4%、メンター業務を今後もやるには不安が大きい、0.0%、今後はメンターをやりたくない、0.0%、わからない(考えがまとまっていない)、0.0%、その他、14.3%。

  • 85%が今後もメインまたはサブメンターとしてプログラミング教育に関わりたいと回答。

Q追10.1 ジュニア・プログラミング検定を受験しメンターを担当したご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。

育成メンター向けアンケート(事業者独自設問 Q10-1)ジュニア・プログラミング検定を受験しメンターを担当したご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。全体、とても役立った、75.0%、やや役立った、15.0%、どちらともいえない、10.0%、あまり役に立たなかった、0.0%、ほとんど役に立たなかった、0.0%、静岡、とても役立った、61.5%、やや役立った、23.1%、どちらともいえない、15.4%、あまり役に立たなかった、0.0%、ほとんど役に立たなかった、0.0%、滋賀、とても役立った、100.0%、やや役立った、0.0%、どちらともいえない、0.0%、あまり役に立たなかった、0.0%、ほとんど役に立たなかった、0.0%。

  • 75%が概ね役に立ったと回答。メンター育成に対しても検定の活用に一定の成果が得られたと考える。

Q追後4-1ジュニア・プログラミング検定を受験したことによるご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。

育成メンター向けアンケート(事業者独自設問 Q追後4-1)Q追後4-1ジュニア・プログラミング検定を受験したことによるご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。全体、とても自信になった、35.3%、やや自信になった、17.6%、どちらともいえない、17.6%、あまり自信にならなかった、23.5%、ほとんど自信にならなかった、5.9%、静岡、とても自信になった、30.0%、やや自信になった、20.0%、どちらともいえない、30.0%、あまり自信にならなかった、20.0%、ほとんど自信にならなかった、0.0%、滋賀、とても自信になった、42.9%、やや自信になった、14.3%、どちらともいえない、0.0%、あまり自信にならなかった、28.6%、ほとんど自信にならなかった、14.3%。

  • 概ね役に立ったは53%に留まった。自身のプログラミングスキルが「自信」に直結しないことがわかった。

Q追後5-1 動画教材を用いたオンライン研修についてのご感想としてあてはまるものをひとつ選んでください。

育成メンター向けアンケート(事業者独自設問 Q追後5-1)、全体、とても良かった、40.0%、やや良かった、25.0%、どちらともいえない、35.0%、あまり良くなかった、0.0%、全く良くなかった、0.0%、静岡、とても良かった、30.8%、やや良かった、23.1%、どちらともいえない、46.2%、あまり良くなかった、0.0%、全く良くなかった0.0%、滋賀、とても良かった、57.1%、やや良かった、28.6%、どちらともいえない、14.3%、あまり良くなかった、0.0%、全く良くなかった、0.0%。

  • 概ねよかったは65%に留まった。ネガティブな意見はなかったがこの数値は今後上げていきたい。

5. 発見・成果と課題・改善

5.1 発見・成果

5.1.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築
  • パソコン教室関係者、地元・附属大学、保護者等をネットワーク化することで、継続的にプログラミング講座を実施するためのメンターの体制構築が可能である知見を得ることができた。
  • 保護者の方々へのメンター募集は、全児童の家庭に募集要項を配布したところ、16名のメンターの応募が得られた。小学校児童生徒の保護者において、児童生徒へのプログラミング学習への興味関心の高いメンター候補が複数存在していることが明らかとなった。
5.1.2 メンター育成
5.1.2.1 メンター募集に関する有効性
  • 実運用を見据え、少人数のメンターによる効果的なプログラミング講座の運営手法等を実証するために、対象エリアを限定し、当該エリアの対象者に対して募集要項を配布したところ、5名のメンターの応募が得られた。パソコン教室関係者において、児童生徒へのプログラミング学習への興味関心の高いメンター候補が複数存在していることが明らかとなった。
5.1.2.2 メンターの様子
  • メンターは、ほぼ全員がプログラミング未経験者である。
  • 正解を教えるというスタンスではなく、子ども達の創造力を引き出す学びであることへの理解が得られた。
  • 担当制とすることで、子ども達と接することによる責任感や粘り強いファシリテーションの姿勢が見られた。
  • 能動的なプロジェクトへの参画や自主的なフォローなどの前向きな姿勢が見られた。
  • Scratchの操作自体も大半が初めてであったが、本事業において実施した研修によって基本的なスキルを得ることができた。
  • 児童生徒への対応等のヒューマンスキルの取得に関しては、より充分な研修及びOJT等実践を積むことが必要である。
5.1.2.3 学校教育・メンター育成における評価指標の有効性(ジュニア・プログラミング検定)
  • ジュニア・プログラミング検定の受験による定量的なスキルの評価が、メンターの自信および課題の抽出につながった。
  • 明確な目標設定により、メンターの学習意欲の上昇が見られた。
5.1.2.4 クラウド及び動画教材を用いたメンター育成の妥当性
  • 時間的、距離的な制約から、オンラインでの研修は非常に大きな成果を挙げることができた。
5.1.3 講座内容
5.1.3.1 児童の様子
  • 全体の72.9%がプログラミング初学者であるが、93.5%がプログラミングを学ぶことが楽しいと感じ、創造することに前向きに取り組んでいた。
  • 正解のない学びの中で、困難にぶつかってもそれを乗り越えようとする粘り強さを垣間見ることができた。
  • 自分のアイディアを企画書の中で表現し、完成させることができた。
  • 自身の意見、他者の意見を共有して、協同的な活動ができるようになった。
  • 発表の場面において、自信を持って発表することができた。
5.1.3.2 小学生のプログラミング初学者に対する基礎的な教材・カリキュラムの妥当性
  • 講座で利用した教材は、「少し難しかった」「とても難しかった」が全体の66.7%であり、今後の参考としたい。
  • 全6回の短期講座の中で、Scratchのオリジナル作品開発とジュニア・プログラミング検定の受験の両方を同時進行で行ったことにより、「時間が足りなかった」「もう少しゆっくり教える教材・カリキュラムが必要」等の意見が挙がった。
5.1.3.3 小学生のプログラミング初学者の学習により得られる効果
  • ITやプログラミングを体験することによる、創造的な考え方、改善への挑戦意欲、論理的な思考力の向上が見られた。
  • 協同的な態度、プレゼンテーションに対する自信、定量的な評価による満足度の向上が見られた。
5.1.3.4 プログラミング学習のメンターの能力的な伸びとプログラミング学習に関する興味関心の変化
  • 受験をしたメンター19名のうち16名が、ジュニア・プログラミング検定の目標得点率を上回ることができた。
  • 定量的な指標によるスキルアップの実感から、メンターとしての意欲にポジティブな変化が見られた。
  • より応用的な学びの提供、より上位の検定への挑戦など、実際に児童生徒と触れ合うことでプログラミング教育の意義を体感的に掴み、興味関心が大きく高まった旨のアンケート結果を得ることができた。
5.1.3.5 プログラミング講座実証校のプログラミング学習の満足度及び継続的な実施の希望及び要望
  • プログラミング講座の満足度は非常に高く、「継続的に実施していきたい」という意見を得ることができた。
  • 一方で算数や理科などの教科・科目内での実施に向けては、教材・カリキュラム開発及び教員研修等の課題点が複数挙げられた。
5.1.3.6 継続学習に関する受講生、メンター、小学校、保護者の希望・要望及び実態
  • 全体の85.7%が、「継続的に学びたい」といった意志のアンケート結果を得ることができた。
  • 一方で、「専門家によるサポートが必要」「学習時間の確保が困難」など解決すべき課題も複数挙げられた。
5.1.4 ジュニア・プログラミング検定 結果分析(協力:サーティファイ情報処理能力認定委員会)

<採点基準に基づく、項目別正答状況一覧> ※ 試験問題は非公開
ジュニア・プログラミング検定の項目別正答状況一覧

5.1.4.1 対象者

静岡大学教育学部附属静岡小学校:45名
滋賀大学教育学部附属小学校:29名

5.1.4.2 事前学習内容

学習時間:10時間
学習内容:メンターによる指導(Scratch概要、基礎学習、応用学習(作品制作)、模擬試験)
※メンターは21時間の学習講座(Scratch概要、動画での基礎学習(課題提出あり)、応用学習、検定対策、児童指導方法、試験監督方法)を受講済。

5.1.4.3 合格率

静岡大学教育学部付属小学校と滋賀大学教育学部付属小学校を合わせた全受験者74名のうち、合格者は33名(合格率44.6%)という結果であった。静岡と滋賀で平均得点率に差が出ているが、静岡は約半数が4年生であり、単純な2校の比較は適切ではないと考える。

項目 全体 静岡 滋賀
受験者人数 74名
小6:26名
小5:27名
小4:21名
45名
小6:10名
小5:14名
小4:21名
29名
小6:16名
小5:13名
小4:0名
平均得点率 57.8% 54.2% 63.4%
合格の目安となる60%以上の得点者 33名 18名 15名
合格レベル人数比率 44.6% 40.0% 51.7%
5.1.4.4 得点別の人数分布

下のグラフは、10点ごとに区分けした得点別人数分布である。90点以上100点以下は13名(全受験者の17.5%)であった。高得点者が13名もいたことは大変好ましいことであり、メンターの指導が効果を発揮したものと考える。また、50点以上59点未満の層は12名(全受験者の16.0%)であった。これは合格基準に相当する得点率60%にあと一歩届かなかった層と言えるが、どこを頑張れば得点を伸ばすことができたかは、「4.子どもたちが得点できなかった設問」以降で分析を行った。
なお、高得点を得た子どもたちが、当受託事業とは別に、日常的にプログラミング学習にどのくらい関わっているのか、検定対策のためにかけた学習時間はどの程度か検証すべきであった。

講座受講児童のジュニア・プログラミング検定の得点別人数分布

5.1.4.5 子どもたちがよくできていた設問

Entry級の設問は、1「ブロックの名称と機能」2「アルゴリズム作成問題(ブロックの組み合わせ)」3「自由作成(自由問題)」の三部で構成されている。
上記記載の「採点基準に基づく、項目別正答状況一覧」を参照すると、1「ブロックの名称と機能」に該当する設問の正答率が、78%〜95%と非常によくできていることがわかる。「ブロックの名称と機能」は、受験者が設問の指示にしたがってブロックを配置していく、またそれぞれのブロックに設定値を入力する、という基本的な作業が中心の設問である。子どもたちが当事業における学習で、たくさんScratchに触れる機会を持ち、さまざまなブロックを繰り返し使っていたことで、体験的にブロック単体の動きや機能を習得できたと考えられる。

5.1.4.6 子どもたちが得点できなかった設問

その1 自由問題

自由問題は、前半の問題1で設問の指示にしたがって作成したプログラムに、自ら自由にアレンジを加える「問題2 自由作成問題」と、問題2で加えたアレンジの内容を、絵や文章で説明することを求める「問題3 自由作成記述問題」の2種がある。
全問を通してもっとも正答率が低かった設問が「問題3 自由作成記述問題」である。全受験者74名のうち得点を得ることができた子どもは16名(21.6%)にとどまった。
問題3は最終問題であることから、前半の問題1に多分の時間を割いたことで、最終設問を解答するための時間が不足したことが最大の要因と考えられる。
また、問題2についても、全受験者74名のうち21名(28.4%)しか解答することができていなかったのは、問題3と同様に時間不足が否めなかったと考えられる。
一方、時間不足以外の原因として、「1どのようなアレンジをすればよいか、具体的な内容を自ら考えられなかった。」「2問題の指示通り制作してきた作品に対し、どの程度のアレンジを加えればいいのか判断できなかった」の2つが考えられる。
なお、問題2にてアレンジをしたにも関わらず、問題3でアレンジした内容を適切に説明できていない子どもたちが3名、白紙の子どもたちが2名いた。できなかった子どもは少数ではあるものの、表現力・プレゼンテーション力の習得度合いを把握するための指標として有効な問題であると考える。

全体 静岡 滋賀
自由作成問題ができた子どもの数(問題2) 21/74名
28.4%
11/45人
24.4%
10/29人
34.5%
自由作成記述問題ができた子どもの数(問題3) 16/74人
21.6%
6/45人
13.3%
10/29人
34.5%

その2 “メッセージ”ブロック

Scratch機能の“メッセージ”ブロックに関する正答率が、一部30〜50%と低かった。“メッセージ”ブロックの採点項目は「1-1-5」「1−1-6」「1−1−7」「1−2−4」「1−2−5」「2-1-6」「2-1-7」「2-2-5」「2-2-6」の9箇所である。このうち“メッセージ”ブロックの配置に関わる「2-1-6」「2-1-7」「2-2-5」「2-2-6」の4箇所は、正答率が82%〜88%と高かった。これは、“メッセージ”ブロックの使用を認識しているかを判断する採点項目のため、“メッセージ”ブロックを使用しなければならないことは理解できていると考えられる。
一方、「1−1−7」「1−2−4」「1−2−5」は正答率が30%〜40%、「1-1-5」、「1−1-6」は、正答率が40%〜50%にとどまった。これらの設問の正答率が総じて低くなっているのは、メッセージ、繰り返し、動作の停止の3つのブロックの理解度が複合的に絡んでいることが要因と考えられる。
「1−1−7」、「1-1-5」、「1−1-6」の主な誤答は以下の3点である。
1“「食べられた」を送る”ブロックが正しい位置に連結されていない。(“もし「○○」なら”などの制御ブロック内に配置されている。)
2“「食べられた」を受け取ったとき”ブロックの下に指定のブロックが連結されていない。(“「食べられた」を送る”ブロックの下や別のブロックの下に配置されている。)
3“「食べられた」を送る”ブロックは正しく配置されているが、“「食べられた」を受け取ったとき”ブロックの下に“「すべて」を止める”ブロックが配置されている。(正しくは、“「スプライトの他のスクリプト」を止める”ブロックが配置される。)
※「1−2−4」「1−2−5」も同じ傾向
すなわち、“メッセージ”ブロックを使わなければならないことは理解しているが、スクリプトのどこに配置すればよいのか分からない。そして、“メッセージ”ブロックに連結した動作停止ブロックの停止範囲がどこまで及ぶのかがわからない、ということが言える。
メッセージ機能は、単体としての機能だけでなく、条件分岐や繰り返し、動作停止などと組み合わせて使う力が必要となる。そのため、ブロックの組み合わせにバリエーションをつけて指導することが、動作イメージに対応するスクリプトを作る力を習得することにつながると考える。

その3 条件分岐

プログラミングにおいて重要な概念となる条件分岐の正答率が低かった。採点項目「2−1−5」は、繰り返し+条件分岐「もし○○ならばA でなければB」の繰り返しと条件分岐が含まれる複合的な設問である。これについては正答率が42%にとどまった。主な誤答は次の2つである。
1本来、“もし「○○」なら、でなければ”ブロックを使用するところ、“もし「○○」なら”ブロックや“「○○」まで繰り返す”ブロックが使用されている。
2“もし「○○」なら、でなければ”ブロックが、繰り返しブロックの外側に配置されている。

プログラミング検定の誤答例1

中には正しく解答できている子どももいたが、誤答のうち、37%は条件分岐ができていない、37%は条件分岐と繰り返しブロックとの組み合わせができていない状況であった。
条件分岐や繰り返しの指導では、条件分岐の動作を具体的に見せることと、組み合わせたときの動きのみならず、うまく組み合わせられなかったときの動作の違いも併せて説明することで、子ども達の理解につながると考えられる。

その4 条件のある繰り返し

「1-1-3」「1-1-4」「2−2−4」は、「○○に触れた」や「○○まで繰り返す」、「〇回繰り返す」が含まれる複合的な設問である。これらの設問の正答率は42%〜49%にとどまった。「○○に触れた」ブロックは、比較的正解していたが、”○○まで繰り返す”ブロックや“「150」回繰り返す”ブロックの使い方がうまくできていない方が多くいた。主な誤答は次の3点であった。
1本来、“「150」回繰り返す”ブロックを使用するところ、ブロックが何も使用されていない。もしくは“ずっと”ブロックを使用している。
2“「150」回繰り返す”ブロックの動作の後の動きを設定できない。
3”○○まで繰り返す”ブロックの中に”ずっと”ブロックが指定されている。

プログラミング検定の誤答例2

“「○○」回繰り返す”や”○○まで繰り返す”のような条件のある繰り返しの際に、どのような組み合わせをすればよいのかを迷っていることが伺える。通常の授業や市販テキストでは“ずっと”ブロックの中にスクリプトを作っていくものが多いため、おそらくは、他の繰り返しブロックやブロックの組み方に慣れていないことが原因の一つであると考えられる。

5.1.4.7 まとめ

指導上ではブロックの使い方をリファレンスのような文字による説明だけにとどまることなく、子どもたちが頭でイメージすることができるよう、複数の使用例を見せていくことが重要と考える。プログラミング学習において、繰り返しや条件分岐の習得は必須である。どの場合にどの繰り返しのブロックを使うのか、条件分岐の際にどのブロックをどう組み合わせるのか、学習初期の段階から基礎固めをしていく必要があると考える。

また、ブロック単体の動きの場合、ブロックで指示したことが実際のスプライトでどう動くのかをイメージしやすいが、複数組み合わせることにより、どのような動きが起きるのかをイメージすることは難易度が上がる。そのため、異なるブロックや組み合わせであっても、同じ動きをするバリエーションを子ども達が考え、それを出し合うことで、組み合わせや条件分岐のブロックの組み合わせと、実際のスプライトの動きをイメージとして連動させることができるようになると感じた。

5.2 課題・改善

5.2.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築
  • 小学校の教育課程外において一定数の講座時間を確保する点。
  • 複数回の講座を実施するにあたってのメンターのスケジュール調整。
  • 同一カリキュラムで全員が進行する際に、欠席した児童・メンターへのフォロー。
5.2.2 メンター育成
  • 本実証事業においてはスケジュールや既存業務の関係から、小学校教員のメンター登用は叶わなかった。多忙な業務の中で、小学校教員がプログラミング教育を実施できる教材・体制作りが必要である。
5.2.3 講座内容
5.2.3.1  実施にあたって直面した困難
  • 実証校によってパソコン教室の環境が異なるため、それぞれに合わせた運用のカスタマイズが必要となった。
静岡大学教育学部附属静岡小学校 滋賀大学教育学部附属小学校
使用教室 理科室
・パソコンが持ち運べるため、グループ分けのレイアウトの自由度は高い。
・児童グループの机の間隔が狭く、この間をメンターが移動するのは困難であった。
パソコン実習室 ※
・パソコンの配置が固定されているため、グループ分けのレイアウトに制限がある。
・メンターが移動するためのスペースは十分にあった。
パソコン Windowsタブレットパソコン(マウスなし)
・画面サイズは10インチ程度
・充電駆動のため充電不十分なものもあった。
Windowsデスクトップパソコン
通信ネットワーク 無線LAN
・通信が安定せず、第2回講座よりオフラインエディタの運用に切り替えた。
有線LAN
データの保存 原則、固有の機器への保存は不可。
電源切り時に自動消去される。
原則、固有の機器への保存は不可。
電源切り時に自動消去される。
その他設備 プロジェクターの明るさは十分であった。 プロジェクターのルーメン値が低く、遮光カーテンにより暗室にしないと視認性がかなり悪い。
この状態で、児童に配布プリントの閲覧や記入は困難であった。

※機器入れ替え期間につき隣接の中学校での実施となった。

5.2.3.2 実施を通して把握した反省点
  • メンターに対して、プログラミングスキル研修に加え、子ども達への対応方法等についての研修もより多くが必要である。
  • メンターが継続的にメンター活動を続けていくための仕組み作りの重要性。
  • メンターへの報酬の支払いは必要最低限でも可であることが望ましい。

6.実証モデルの普及に向けて

6.1 モデルの横展開の可能性

<現状の課題認識>
【課題1】 プログラミング教育環境の地域・経済格差
【課題2】 プログラミング教育メンターの不足、教育の質の確保及び平準化
【課題3】 プログラミング学習における定量的評価や目標設定・動機づけの必要性(受講生・メンター共に)
当社は、「継続的なメンターの募集及び育成」、「動画教材を用いた継続的でより深い学びの実現」、「低価格で質の高い教育の多拠点展開に向けたシステムの構築」、「学校・行政・地場企業と連携したプログラミング教育環境の実現」を目指して本事業に取り組んでおり、今後、地域のプログラミング教育推進コーディネーターとして以下の役割が担えると考える。

<目的>
未来を担う子ども達に必要な学びである、“プログラミング”を普遍化するべく、クラウドや地域人材を活用した、効果的・効率的なプログラミング学習の実施モデルについて実証を行うことが目的である。
特に、プログラミング学習のメンターは、現状において十分満足な人数及び質が確保できていない。またプログラミング学習は定量的な評価や目標設定、動機づけが難しい領域である。
特に教育課程外において、地域における永続的なプログラミング教育メンター人材バンクの発足とジュニア・プログラミング検定を用いた子ども達の成長の可視化、及びメンターの成長指標の確立を目指しており、これは他地域についても展開することは可能である。

<学校のICT環境に対する課題と提言>
プログラミング教育に限定していえば、学校のICT環境により、何をするか(何ができるか)は制限される。ただし一方では、プログラミング教育は「この環境でないと実現できない」という制限はない。
各自治体・学校単位で、まずは現状のICT環境の中でどんなプログラミング教育を実現するかを検討するべきであると考える。Scratchに代表される「ビジュアルプログラミング言語」の導入ハードルは比較的低く、当社からの様々な環境に応じた教育プログラムの提供は可能である。

6.1.1 メンター育成

<メンターに必要な資質>
小学生に対するプログラミング教育においては、まず第一に、プログラミングの専門性よりも、子どもに対するホスピタリティマインドを求めるべきと考える。

<本年度のゴール>
1プログラミング講座のメンターの募集、及び育成(導入段階)の内容・方法のトライアル及びブラッシュアップ
2ジュニア・プログラミング検定を用いたメンター育成講座の体系化とメンターの対応力・自信アップ
3当該地域における継続的なメンター募集・輩出の仕組みの構築

<中長期目標>
1滋賀県・静岡県内におけるプログラミング学習メンターの継続的な募集・育成体制の構築
2本事業に類似した内容及び体制でのメンター募集・育成システムのブラッシュアップ、及び拡大展開
3いつでもどこでも誰でもプログラミングを指導することができる環境、及びプラットフォームの構築

6.1.2 講座の構成、教材

<本年度のゴール>
1プログラミング初学者の小学生、及び小学校にその楽しさや意義を体験的に伝達すること
2小学校におけるプログラミング学習による、初学者のプログラミング学習講座のコンテンツの深化
3ジュニア・プログラミング検定を用いたプログラミング学習の定量的な評価指標の確立、及びモチベーションアップ・動機づけ

<中長期目標>
1滋賀県・静岡県内におけるプログラミング学習講座の継続的な実施体制の構築
2より発展的で応用的な学びの場としての民間スクールの拡大展開
3いつでもどこでも誰でもプログラミングを学べる環境及びプラットフォームの構築

事業者が考える今後のプログラミング教育推進体制

6.2 普及のための活動

  • プログラミング教育の普遍化を目指し、スクール事業をスタートしている。今回の本事業にて得られた教材・カリキュラム、メンター育成方法等をベースに、当該地域での学びの深化、他地域への展開、その他企業・行政・学校等との連携によるプログラミング教育の普及推進を進める予定である。
  • 「スタープログラミングスクール」も地方都市を含み全国展開を進めている。大型ショッピングセンター内での開校や、NSGグループ内企業等との連携により、さらにプログラミング教育を普及させる取り組みを行っていく予定である。直営教室を2018年4月に23教室に拡大し、教材・カリキュラム及びメンター育成ノウハウをベースにパートナー校を30校以上に拡大していくなかで本事業により得られた実績やノウハウをベースとして拡大展開のスピードを高めていく予定である。

以上

7.参考添付資料

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