NPO法人日本ソーシャルスクール協会
●モデルの意義・目指そうとしていることや、特徴(特異性、利点)
公教育としてどの地域においても一定水準の教育を受けられる体制をつくることが重要であり、プログラミング教育においても例外ではない。
しかし、プログラミングのような専門知識を必要とする教育の場合、人材やリソースは都市部に集中しがちである。
とりわけ地方においては専門知識を持った人材の不足が顕著であり、また大学等もなく普段からICTに慣れ親しんだ学生のボランティアを集めることも容易ではない。加えてICT環境の未整備や保護者のICTに関する理解も乏しく児童がプログラミング教育に触れる機会が少ないのが現状である。このままでは人材やリソースの不足した地域では教育の格差が広がるのではという懸念が残る。
そのような状況を改善しつつ地域に横展開し持続可能な教育環境を作るためにモデル設計をした。
今回の講座を設計するにあたって下記の三点に焦点をあてた。
1,知識や経験を重視せず、地域学習に対しての貢献意識を持った人材を起用すること
2,児童が自ら考え創り出せる力を身につける事ができる学習環境と講座を設計すること
3,継続的な学習環境を担保するために児童だけでなく指導者も学びを深めるようにすること
指導者にはシニアや主婦を学習ボランティアとして起用し、正解を考える学び方ではなく何もないところから児童が自ら考え出し
作り上げていく指導法を採った。
指導者は児童が考え発見できるように補助をし、やりたいことを明確にしていくことに注力してもらった。
一方的に教える教育では専門知識や技術が必要になるが、この方法ならば知識や経験が乏しくても児童と一緒になって作り上げていく過程で指導者自身も学ぶことができ、ここでの学びを続けていくことで持続可能な学習環境をどの地域においても実践できる。
●なぜそのモデルを設計・採用するに至ったか
当協会ではこれまで児童が自ら考え創造できる力を身につけることを目的に学習指導に取り組んできた。
所属している指導者の殆どはボランティアであり、プログラミングやICTに慣れていない方も多くいる。
共通しているのは子どもの成長に貢献したいという思いである。
ビジョンを明確にすることで、ビジョンに共感する人材が集まる。
どの地域にも“地域に貢献したい”と考えている人材は多くいるが、活躍する場所がないのが現状である。
更にICT教育となると専門知識や特別な技術が必要で”私にはできない”と考えてしまう。
また、機器の操作に対する苦手意識もある。
しかし、子どもの学習に必要な指導者とは専門知識を教えられることではなく、子どもが自ら考えることを引き出す補助をする指導方法や、そのための環境である。
当協会では最低限の操作方法と機器の扱い方を指導し、実践の中で技術を向上させる講座手法をとっている。
このような経緯により、このモデルを設計し、採用した。
【柳川市】
柳川市教育委員会にはモデル校の選定を依頼した。
柳河小学校は本年度よりコミュニティスクール制度を導入する事になっており、地域と連携した学習ボランティアが行う指導体制の構築モデルと親和性が高いことからモデル校として選ばれた。
教育委員会が毎月行う定例会見で、複数のメディアへ事業説明を行った。
小学校には講座実施日、メンター研修と講座開催場所の提供、児童の募集等を依頼。
保護者等のメンター候補への事業説明会を開催。
【武雄市】
武雄市教育委員会からは毎年募集される『武雄市少年少女発明クラブ』での実証を提案された。
5月~2月にかけて20回行われる活動のうち、5回をプログラミング講座に充てた。
『武雄市少年少女発明クラブ』概要
武雄市内の小学4~6年生を対象に20名ほどを募集、専任の指導員数名が所属。
子ども達の自由で豊かな想像力・発想力を生かし、科学技術に対する興味をより深いものとするために年間を通して様々な工作をしている。全国少年少女チャレンジ創造コンテストにも出場。
事務局:武雄市役所 こども教育部生涯学習課生涯学習係
【柳川市】~柳川市立柳河小学校(会場:柳河小学校内おりあいルーム・コンピューター室)~
内容 | 日程 |
事業説明会 | 6月3日(土) |
メンター登録会 | 7月1日(土)午前と午後の2回 |
メンター講習 | 7月22日(土)・29日(土) |
プログラミング講座 | 8月5日(土)・19日(土) ・26日(土) 9月2日(土)・9日(土) |
【武雄市】~武雄市発明クラブ(会場:武雄市中央公民館)~
内容 | 日程 |
メンター講習 | 7月29日(土)・8月5日(土) |
プログラミング講座 | 9月23日(土)・10月7日(土)・21日(土) 11月11日(土)・25日(土) |
●メンターの属性と理由
主婦(保護者)・シニア・会社員・自営業・大学生・高校生
プログラミング経験を重視せず、地域貢献の意識があり、教育への関心が高い方を募集した結果、上記の属性となった
●育成人数
柳川市 15名
武雄市 10名
【柳川市】
柳河小学校にて6月に事業説明会を行い、メンター募集を呼びかけ、7月に登録会も実施した。
「説明会のお知らせ」は柳河小学校区内の全家庭に配布
【武雄市】
武雄市が毎月発行している「広報武雄7月号」にて募集
●実施形態
講義形式とグループでのワークショップを併用
●研修にかけた時間
1講座90分の2講座
●習熟具合をはかる仕組み・工夫
テーマに沿ったスクラッチを使ったプログラミングの作成(グループワーク)
ラズベリーパイの接続方法とスクラッチの基本操作を伝える。
拘束時間を考慮し90分×2回の育成研修で、メンターの役割を児童の考える力を引き出すこととし、実際の講座の短縮したものを行った。
1回目、人の考えとプログラミングの違いを理解してもらうため、アンプラグドでプログラミングを体験してもらい、使用教材のラズベリーパイの接続・使用方法、スクラッチの基本操作を習得。講座終了後メンターで講座のテーマを決め、講座への自主的な取り組みを促した。
2回目、前回の復習をした後、グループごとにスクラッチを使いテーマに沿った制作を行う。自ら制作することでプログラミングへの理解やつまずきを体験してもらう。
自宅でも学習できるよう、ラズベリーパイの扱い方、スクラッチの基本操作の動画を準備。講座終了後プロジェクトシートを使い講座の全体構成をメンター同士で話し合い、決めてもらった。
《使用教材》 ラズベリーパイ・テキスト・プロジェクトシート・児童への対話例・用語集
接続方法のプリント・スクラッチブロックのプリント
児童の作品のテーマをメンターに考えてもらい、そのテーマに沿った作品制作(アニメーションやゲームなど)を行う。
モニター以外の機器(ラズベリーパイ・キーボード・マウス・HDMIケーブル・電源用マイクロB)は貸し出し、自宅でもスクラッチを用いた作品作りを進められるようにした。
ゴールの設定はなく、「出来た」、「終わった」という児童には担当メンターが課題を出し、ステップアップするよう促す。
児童自らが考え、学び、創り出す事を重要課題とし、「正解」や「教え」がなくとも子どもの自由な発想力さえあればいい、プログラミング教育を目指した。
《使用教材》 ラズベリーパイ・スクラッチ・接続方法のプリント・スクラッチブロックのプリント・発表用シート
【柳川市】
会場:柳河小学校内・コンピューター室
3年生~6年生までを対象に、プリントを配布し募集を呼びかけた。
3年生・・・5名、4年生・・・2名、5年生・・・2名、6年生・・・5名、計14名の応募があり、全員参加となった。
日時 | 内容・ねらい | メンター数 |
8月 5日(土) 10時~12時 | 機器の取扱、プログラミングの考え方、テーマ発表 | 12 |
8月19日(土) 10時~12時 | 作品制作(テーマに沿った作品内容を考えよう) | 6 |
8月26日(土) 10時~12時 | 作品制作(上手くいかない所を伝えて考えよう) | 8 |
9月 2日(土) 10時~12時 | 作品制作(発表に向けてステップアップしよう) | 7 |
9月 9日(土) 10時~12時 | 作品仕上げ、発表 | 7 |
【武雄市】
会場:武雄市中央公民館
武雄市少年少女発明クラブの参加児童23名にプログラミング講座のみ希望の1名(3年生)を加えた計24名
3年生・・・1名、4年生・・・10名、5年生・・・6名、6年生・・・7名
日時 | 内容・ねらい | メンター数 |
9月23日(土) 9時~12時 | 機器の取扱、プログラミングの考え方、テーマ発表 | 9 |
10月 7日(土) 9時~12時 | 作品制作(テーマに沿った作品内容を考えよう) | 8 |
10月21日(土) 9時~12時 | 作品制作(上手くいかない所を伝えて考えよう) | 9 |
11月11日(土) 9時~12時 | 作品制作(発表に向けてステップアップしよう) | 7 |
11月25日(土) 9時~12時 | 作品仕上げ、発表 | 7 |
(※掲載日不明、画像割愛)
【柳川市教育委員会より講評】
この度、プログラミング教育実証事業を実施させて頂き講評を申し上げます。
結論から申し上げますと、非常に有意義であったと考えております。
まず、子ども達の立場から申し上げますと自分で考え問題を解決しようとすることやあきらめない思いなどを醸成するという点で非常に有効であったと思います。また、子ども達が興味を持ち取組む姿、そしてメキメキと向上していく能力を見ることができた点で、教育委員会としてもとても参考となる事業でありました。
また、学校側から申し上げますと、NPO法人日本ソーシャルスクール協会の皆様のご指導は言うまでもないことですが、それと、学校と保護者また地域の方々との連携が今回の実証事業成功の要因のひとつとなっていたことが挙げられると思っております。柳川市においては、本年度コミュニティスクール事業を試行しており、学校と地域の連携という点では目を見張るものがあったと感じております。このことは、子ども達の学力向上のみならず、教職員の働き方改革など教育委員会が抱える諸問題にも参考となるものだったと考えます。
今後、このプログラミング教育が必修化され本格導入されるにあたり他校の道標となるのは間違いないと思われます。結びに、本市においてプログラミング実証事業を実施させて頂きお礼を申し上げ、講評とさせていただきます。
【柳川市立柳河小学校 校長先生】(アンケートより抜粋)
児童の集中力、持続力には目を見張るものがありました。今回はプログラミングに興味・関心が高い生徒が集まっていたためか、技能・技術面での習得が早く、驚きました。一人一人が自分のテーマを明確にする事で、自身の表現への意欲を持続させ、作品作りに取り組んでいける事が分かりました。友達の作品を見て、その良さに気付き、更に挑戦していきたいと語っている児童が多かったです。
【武雄市こども教育部生涯学習課・発明クラブ担当者の講評】
今回のプログラミング学習会は武雄市中央公民館講座として、“武雄市少年少女発明クラブ”のクラブ員(小学4~6年生)を対象に、武雄市少年少女発明クラブの指導員をはじめ公募で参加いただいたメンターの方々に指導いただきました。
武雄市では2014年度からプログラミング学習を開催しておりますので、子ども達やメンターの方々もある程度事業の概要イメージは出来ていたものと思われます。
開催しての気付きといたしましては、子どもの学びとしてのプログラミング学習はプログラミング言語やアルゴリズムの習得以前に個人のアイデアやその発想に至るプロセスを大事に指導していかなければなりませんので、指導員にはプログラミングそのものに関する知識よりも指導方法を学ぶ研修の場が必要であると思いました。
こういったプログラミング教育は今後、小学校でも必修化の方向性が文科省より示されておりますので、学校現場の先生の負担軽減のためにも市内にボランティアのメンターを育成する取り組みも、いわゆる「学習ボランティア」の一端を担っていただく上で必要な取り組みであると認識しております。
発明クラブといたしましては指導員にプログラミングを専門とされる方がいらっしゃいますので、来年度は『PEPPER』を使ったプログラミング指導を検討しています。
今後はプログラミング学習は武雄市内に限らず全国的なものになると思われますが、ぜひ今回の取組みが今後の子どもの学びに繋がりますように祈念いたしております。
Q あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまでに体験したことがありますか。
希望者を募ったため、経験者が多かった。
Q 「プログラミング講座」は楽しかったですか。
講座の時間は短く、1日目だけなので、子ども達がどの部分が講座か理解できているかどうかは不確か。
個々で制作する時間がほとんどなので、楽しく集中できていた。
Q 「プログラミング」の講座で利用した教材は簡単でしたか。
スクラッチ経験者もいたが、テーマのみで全て自分で考えるという点では難しいと感じる子どもがいた。
Q講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。
教える事よりも、実際に手を動かす事を重視したため、画面上での結果がすぐに確認でき、理解につながったと考えられる。
スクラッチ経験者もいたが、テーマのみで全て自分で考えるという点では難しいと感じる子どもがいた。
講座の中で、子ども達の考えを引き出す事を重視したため、個性を生かした作品制作に取り組めた。
メンターからの指示はテーマのみだったので、個性が光る作品制作が出来ていた。
テーマ以外は自由な作品制作なので、自分の思う通りに動かないという点で意欲的に取り組んでいた。
グループワークではなく個人作業なので、1人1人が積極的に取り組めた。
講座はグループワークではなく、個人作業だったが、自主的に他の子の作品を参考に、工夫する姿が見られた。
発表に関しては、積極的な指導はしていないが、自分の作品への自信がそのまま発表へとつながっていた。
メンターが子ども達の考えを引き出す役割を果たし、一方的に与えられるのではなく自分で発見する楽しさが「あきらめない」という点につながった。
自分の考えを形にする楽しさを感じてくれた子どもが多かった。
Q プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。
メンターには“教える”事をせず、“児童自らが考える”事を重視するよう指導していたため、このような結果になったのではないか。“うまくいくまで繰り返しやり直す”というプログラミング教育では重要な事を答えた児童が一番多く、一定の成果が見られた。
Q あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。
自宅学習を併用したため、自宅で十分に取り組めた子とそうでない子で答えが分かれた。
Q メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。
メンター研修では「教えずに導き出す」ことをテーマにした講座だったので、納得して理解してもらえた。
Q 実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。
専門的な部分に不安なメンターが多く、自主的な勉強をお願いしたが、時間が取れないメンターが多かった。
Q(不安があると答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。
やはり専門的な知識不足が不安要素となっている。
Q 講座は当初予定していた通りに実施できましたか。
難しく考え過ぎていたり、教え過ぎていたり、講座中に我々実証事業者から助言を受け、指導方法を改善していくメンターが多かった。
Q 実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。
子ども達へ教えるという体験のないメンターも多く、試行錯誤の連続だったようだ。
Q 実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。
不安に思っていた事が実際に子ども達と一緒になって考えていくと問題なく指導していく事ができるとの気付きがあった。
Q 実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。
児童の人数に対してメンター数が不足した講座もあったため、全員に指導が行き届かない回もあった。
Q 今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について教えて下さい。
専門的知識がないメンターが多いので、どうしてもサブメンター希望が多くなった。
コミュニティスクール制度を導入し、地域との連携を図る上で今回の取り組みは学習ボランティアの増員へと繋がった。
コミュニティスクール制度や地域ボランティアを活用すれば、学校単体でも継続して取り組めるものである。
これまでは子ども達に対しての教育というと正解が明確になっているものの解き方を一方的に教えるということばかりをされてきた中で、今回の取り組みは、この時代、子ども達にとって最も身につけて欲しい点は何かに注目した。
子ども達はあらゆる可能性や能力、個性を皆持っている。それを横並びで同じ事をさせるのではなく、個々の考え方、発想を豊かに子どもの持つ能力を引き出し、導き、失敗を経験し、出来なかった事に気付き、発見させ、出来る様にしていく。出来上がったものを受け取るだけの受け身の姿勢ではなく、自らの可能性を実現していく事を感じ、気付く事が子ども達のやる気を引き出し、生き生きと目の前の事に取り組んでいくために必要な事だとメンター自身に気付いてもらう事を目標においていた。
この気付きにより、平均的な優秀さを求められてきた大人や若者にも変化が感じられた。
プログラミングに正解や終わりがない事への理解と、メンターのスキルアップのために、実際の講座の中で、担当した児童の作品に対して課題を与え、発表前に改善案を出させた。
実証校については見学も含めて教職員の参加が少なかった。
特にメンター育成での教職員の出席がなく、今後の学校教育での指導に不安が残る。
プログラミングに関する必要性を再認識してもらい、メンター育成の様子や講座の内容を理解し、教職員自らも進んで自ら学ぶ必要がある。教育委員会や学校長より教職員の積極的な参加を指示してもらいたい。
メンターの時間的な負担を軽減するために育成講習の時間を少なくしてきたが、短時間の講座で教えられることは限られるので、ラズベリーパイの操作方法やスクラッチの基本的な扱い方などは動画教材として提供した。しかし、あまり活用されず、アンケートでは「育成講習で教えて欲しい」との意見も出ていた。“教えてもらう”のではなく“自ら考え学ぶ”事の大切さが今回の育成講習では伝わっていなかった。メンターがどこまで理解しているかをチェックする仕組みが必要だと感じた。
また、趣旨を理解せず自身の経験から“教えて”しまう行為や子供が考えているときにあれこれ口をはさむ行為、
一人の子供に集中してしまうなど、育成講習で禁止した行為を講座で行っているメンターが多かったのが残念だった。
教材は細かく多方面から理解できるようにと渡していたものの、その重要性に気付かずに子どもと接し、戸惑いが見られた。その都度メンターの声かけの仕方を実践の中で訂正したり、具体的な方法を伝えたりと導いていった。
意欲的なメンターは講座を重ねるごとに趣旨を理解し、子どもが“考える”ことを引き出すことができるようになり、成長が見られた。
ただ、教えられる教育を長年受けてきて、自身の変化を好まないメンターにはこの趣旨は全く理解されていないようだった。メンターにも適正があるので採用基準を設けたほうが良いと感じた。
募集の方法にもよるが、プログラミングや講座そのものに興味を持てない児童もいる。
時に反抗的な態度も見られたが、その時にどの様に対応するかはプログラミングとは別の指導が必要になる。
ボランティアであるため、指導に遠慮や戸惑いを感じることもあるので、児童、メンター共にそれらの内容を盛り込む様改善していきたい。
今回の講座ではメンターにテーマを決めてもらい自由に制作するという形を取ったが、教育課程に沿ったテーマで制作し、発表し合う事により、単元の理解を深めるという形で教育現場で利用できる事を意識している。
専門的な知識を重視せず、教育に関心の高い地域ボランティアを中心に、“教える”のではなく“子ども達の創造性を引き出す”事の大切さを身につけてもらう。メンター自身が自ら考え学ぶため、機材を貸し出し、動画教材などを使い、自己学習を行うことで専門的な知識を身につけていく。
専門的な知識を必要としないので、大学やIT企業のない地方でも地域ボランティアへの声かけ次第で実施可能と考える。
安価なラズベリーパイの使用、機材の貸し出しによる自宅学習によるメンターの負担軽減など教育現場で問題となっている点をクリアしているため、どのような地域でも実施可能。
しかし、ラズベリーパイを使わなくても、スクラッチを利用できる環境があれば、この講座は可能である。ツールはそれほど重要ではない。大切なのは児童に目的を持たせ、主体的に取り組める環境を作ることであると考える。
このモデルは横展開が可能なことを前提に設計している。
地域(学校区)ごとに地域への貢献意識を持った学習ボランティアを募集し、一定の知識を有した指導者を各地域で育成するために独自の認定制度(検定)の創設を準備している。同時にフォローアップ体制を創り教材の提供や相談にも応じていく。
また、教員への指導も重要になるため教員向けのカリキュラムを組み、育成した地域の学習ボランティアとの連携体制を構築する予定である。
今後、地域のプログラミング教育推進コーディネーターとして、(特に地方の)教育委員会、学校からの要望があれば、地元の貢献意識の高い方々向けにメンター研修を行い、プログラミング講座の実施まで行う事が可能である。