画像:住民参画システム利用の手引き 〜地域SNS、公的認証対応アンケートシステム〜
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目次
座長あいさつ
総論
導入検討編
実践編 地域SNS

実践編 電子アンケートシステム
資料編


 わが国は戦後の復興期において、臨海工業地帯の開発に資源を集中し、GDPの回復を達成しました。その後、大阪万博開催などの高度成長期を経て、オイルショック、公害、資源の問題などによる曲がり角に差し掛かりましたが、これをハイテクによりクリアしました。幸いにも曲がり角のところで核となる人材を育成していたことが後に大きく影響します。核となる人材が成長し、メカトロニクスと言われる分野を確立すると、日本は製造業で初めて世界のトップに立ちます。今でこそわが国の自動車産業は世界トップクラスですが、1970年当時はGMと日本企業の格差はまだまだ大きかったのです。しかし技術的な面では、世界の最先端の自動車産業を射程距離に捉えた時期でもありました。
 1970年というと、まだ半導体などの情報分野の革命は起こっていません。1970年代前半で本格的に技術開発が進み、後半にはICを応用した様々な製品を生み出すことで、日本は先進国入りを果たしました。1970年代はこのような形で日本の将来の道筋が見えた時期でした。

 1980年代になると、ハイテク企業の分散立地を進めました。テクノポリスを始め、地方自治体がハイテク産業の誘致、育成に意欲を燃やしました。日本の製造業が世界のトップに立ったのは、優秀な中小企業が支えたからです。それが地方に分散することで国土問題が解決していきました。地方同士が競争してレベルアップしていく成長モデルは、当時のジャパンモデルとして、現在、周辺諸国で活用されています。
 1990年代以降になると、蓄積された富の次の成長期待分野への投入が模索されましたが、ICT(情報通信技術)の活用において、産業面はともかく、地域や国土という点では、まだ将来像がうまく描けていませんでした。ICTも既に日本のリーディング産業分野のひとつになりつつありますが、これを国土全般、地域にどう展開していくのか、その基本的戦略が今まではよく見えませんでしたが、今回の研究会や実証実験を通して、それがやっと見えてました。大変心強いことです。おそらくアジアや世界でもこのようなことを本格的にできる国は多くはないと思います。

 実証実験の持つ一つの意味は、人々に見せるということです。実証されている地域の迫力を見せていくことが重要です。シリコンバレーが世界に示した地域の成功モデルは衝撃的でした。日本では、かつて重厚長大からの次の時代への転換に技術的に遅れをとっていた九州が、航空路で半導体を運ぶなど、従来にはなかったタイプの産業構造(臨空工業地帯)を生み出し、シリコンアイランドとして復活するとともに、新しい国土の姿を示しました。
 ICTについても、同じように国土や地域の姿が切り替わることを実証できれば、地域間での活発な競争や創意工夫が生まれ、新たな国土像、地域像が描かれていくことでしょう。今回の研究会や実証実験の成果は、その点で大きなインパクトになると思います。

ICTを活用した地域社会への住民参画研究会
座長  石井 威望


総務省 | 財団法人地方自治情報センター