ピックアップ!ふるさと納税

北海道 東川町 大雪山の恵みの水を、未来の子どもたちにも。

大雪山旭岳から湧き出る源水の写真<大雪山旭岳(だいせつざんあさひだけ)から湧き出る源水>

北海道のほぼ中央、旭川の中心部から13kmの場所にある東川町(ひがしかわちょう)は、大雪山国立公園のふもとに広がるまちです。大雪山連峰の最高峰・旭岳(あさひだけ)に降った雪や雨が長い年月をかけ大地にしみこんだ地下水を全戸で使用しており、道内で唯一、上水道のないまちとして知られています。
豊かな水と肥沃な大地を活かした農業、また家具づくりを中心とした木工業が盛んで、最近は観光業にも力を注いでいます。恵まれた自然環境と旭川空港に近い利便性の高さ、そして「写真の町」を掲げての写真にまつわるイベントの開催で観光客を集めています。

【町長からのメッセージ】

写真文化首都「写真の町」東川町からこんにちは。町を応援してくれる住民(特別町民)と一緒にまちづくりをしようと考えていましたが、なかなかアィデアがなく腐心していた時に「ふるさと納税」制度が発足しました。この制度を活用して応援してくれる皆さんと共に「夢」を実現しようと、「ひがしかわ株主」制度がスタートしました。「一人の力」は小さくても「共同の力」は大きいものがあります。「夢」を一緒に実現してみませんか。

ふるさと納税の状況

東川町ではふるさと納税の導入にあたり、寄附者の皆さんに、まちを育てていく楽しみや、まちが成長する喜びを共に感じていだけるような仕組みを作ろうと熟慮を重ねました。そして発足したのが、寄附者の方々を株主とする「ひがしかわ株主制度」です。ふるさと納税を通してまちづくりに参加してもらうことで東川町の生活やまちの魅力を高め、それにより、寄附者の方が東川町を身近に感じたり、植樹などのイベントでまちを訪問する機会を作るなど、ふるさと納税をされる方の思いに応えたい、というのが趣旨です。寄附者は、東川町が提案する4つのプロジェクトの事業の中から、応援したい事業を自由に選ぶことができます。

ふるさと納税の寄附金額と株主総数
年度 金額 株主総数
平成20年 11,651,000円 415人
平成21年 10,994,000円 688人
平成22年 7,222,000円 919人
平成23年 12,275,000円 1,344人
平成24年 16,067,000円 1,650人
平成25年 25,564,000円 2,614人
平成26年 21,285,000円 3,410人

東川町のふるさと納税の取組について説明をいただきました。

まず、まちに来てもらう。
交流人口を増やす取組で寄附者数も増加。

東川町に寄附をして株主になると「ひがしかわ株主証」が発行され、町外に住む人は「東川町特別町民」に認定されます。この株主証を提示すれば、町内の一部宿泊施設が町民価格で利用できるほか、町内のケビン(コテージ)に半額で宿泊することができ、町指定の施設「ふるさと交流センター」では6泊まで無料宿泊が可能です。
「できるだけ多くの寄附者に、東川町に実際に来ていただきたい」という考えから始まった株主優待制度です。
こうした取組のほかに、全国の高校の写真部員が東川町に宿泊して熱戦を繰り広げる写真甲子園といったイベント、さらにはトライアスロンの開催地として旅人を迎え入れるなど、まちをあげて交流人口を増やす努力を続けています。この努力と町民の皆さんのおもてなしの心が「東川町のファン」を増やし、それがふるさと納税をされる方、とりわけ継続的な寄附者の増加につながっています。

    • ふるさと納税をされたすべての方に発行される株主証のカード。
    • 町外に住む寄附者に発行される特別町民認定書。町内の工房で手作りされた木のフレームに入って届きます。
  • 町の中心部にある「ふるさと交流センター」。
    室内の木製家具は町内で作られたものです。

上水道のないまちを守りつづけるために。
「水と環境を守る森づくり事業」

水道をひねれば、長い年月をかけて大雪山でろ過されたおいしい水がいつでも飲める。先人たちの手で守られてきたこの自然の恵みを未来の子どもたちにも伝えようと、東川町が取り組んでいるのがecoプロジェクトとして行っている「水と環境を守る森づくり事業」です。この事業では、ふるさと納税をされた方に参加を呼びかけ、水と森づくりの大切さを共に学ぶ「植樹体験」を毎秋開催しています。荒れていた土地を「株主の森」として確保し、そこで植樹を行っており、植樹用の苗木の購入にふるさと納税が充てられています。
「植樹体験」では、まず森づくりの重要性について役場職員が説明を行い、その後バスでまちを見学します。
そして植樹体験の後は、東川町の特産物を使った町民の皆さん手作りの料理が振る舞われます。内容の濃い人気イベントのため、毎年参加応募はすぐに定員に達します。

  • ふるさと納税をされた方限定のイベント「植樹体験」が行われる「株主の森」。毎年1,500本ほどの苗木が植えられています。
  • 町内には町役場が管理する「大雪旭岳源水公園(だいせつあさひだけげんすいこうえん)」があり、おいしい水を自由に飲むことができます。

大雪山国立公園を守り、新しい産業を育てる。
「自然散策路整備事業」「ひがしかわワイン事業」

大雪山国立公園は、約23万haの広さを誇る日本最大の山岳公園です。東川町はその入口にあたり、旭岳や天人峡(てんにんきょう)など、人気の観光スポットが町域にあります。そこで観光客や登山客に安全に正しく自然と触れ合ってもらい、この手つかずの自然を次世代へと引き継いでいくためにイイコトプロジェクトとして「自然散策路整備事業」を設けています。気象条件が厳しいために自然散策路の木道などが劣化しやすいことから、ウッドチップの敷設と木製の橋の修繕にふるさと納税が充てられています。今後は、利用マナーの理解促進や自然保護活動にもふるさと納税を充てる予定です。
イイコトプロジェクトにはもう1つ「ひがしかわワイン事業」があります。東川町では、新たな産業の育成とまちの新しい魅力づくりを目指し、東川産のぶどうを熟成させ、東川町の自然酵母を使った「ひがしかわワイン」を造り始めました。この事業を推進するため、ぶどうの苗木購入やぶどう畑の整備にふるさと納税が充てられています。平成25年12月には、少量ながらワインが完成。新しい事業が育っている手応えとその喜びを寄附者の皆さんと共有しようと、いち早く寄附者にワインの完成をお知らせしました。

ウッドチップを敷設した大雪山国立公園の自然散策路。

醸造家の指導を受け、本格的に取組を始めたワイン用ぶどうの栽培。その畑が広がります。

写真によるまちづくりと写真文化への貢献を目指す。
「写真の町整備事業」

“写真映りのよい“まちの創造を目指して、東川町は昭和60年に「写真の町」宣言をしました。以来、町役場に「写真の町課」を設置し、写真を展示する東川町文化ギャラリーを設けるなど体制を整備。写真によるまちづくりと写真文化への貢献活動を続け、そこにふるさと納税が充てられています。
例えば、平成6年から20年続く写真甲子園も写真文化への貢献活動のひとつです。地区予選を勝ち抜いた全国の高校の写真部などが3人1チームとなって東川町の選手村に滞在。地元サポーターとの交流を重ねる中で、まちや人物の写真を撮って、その作品を競います。また、新人写真家の登竜門であり町民対象の写真教室も開かれる「東川町国際写真フェスティバル」は夏の恒例イベントです。こうして写真の町30周年、写真甲子園20周年を迎えた今、記念事業や大量の写真画像を保存・活用する写真アーカイブスの整備事業を検討しており、写真の町としてのさらなる活性化を目標としています。

  • 写真をはじめ多様な芸術作品が展示され、町民の創作発表の場にもなっている東川町文化ギャラリー。写真甲子園の本選出場校の作品も展示されます。
  • 「私も写真甲子園のOG。大阪の高校から出場し、東川町が第二のふるさとになりました」同ギャラリーの学芸員 𠮷里 (よしざと)さん
水田と森が広がる東川町。写真を撮りたくなるようなまちです。

取材を振り返って

大雪旭岳源水公園で、大雪山の伏流水を飲んでみました。手のひらですくうと初夏でもひんやりと冷たく、口に含んだ途端ぐんぐん体に染みこんでいくようなおいしさでした。大地のミネラルを含んだ地下水を飲み、その水で料理をする、という東川町の暮らしの豊かさは格別です。「何もないまちですよ」と町民の方はおっしゃいますが、きれいな水と旭岳の雄姿、おもてなしの心にあふれた町民の皆さん笑顔は十分に魅力的です。東川町を訪れた町外の人がすぐにまちのファンになり、ふるさと納税をされ、そして寄附のリピーターになる理由がよくわかりました。寄附者の皆さんにとって、東川町は心のふるさとになっているのではないでしょうか。まちを応援するうちに、そのまちが心のふるさとへと育っていく。ふるさと納税にはそんな楽しみがあることを教えてもらいました。

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