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第I章 電気通信料金制度改正の概要 |
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本年5月8日、電気通信料金制度について、従来の原則認可制から、原則届出制へ変更するとともに、競争が必ずしも十分でない地域通信市場における電話サービス等の基本的な役務については、上限価格方式により規制することを主な内容とする電気通信事業法改正法(「電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律」)が公布された。
この制度改正の趣旨は、次のとおりである。
電気通信市場においては、新規参入が着実に進むとともに、そのシェアも増大するなど競争が進展しつつあり、このような市場の変化に対応して、料金制度についてもより市場の実態、競争状況に適合させる必要がある。 特に、長距離・国際通信市場やインターネット接続サービス等データ通信分野においては、競争的な市場となってきており、事業者の積極的な経営展開の促進、利用者ニーズの多様化への対応やマルチメディア化の推進等の観点から、市場メカニズムを活用し、事業者のより迅速かつ機動的な料金設定を可能とする必要がある。 一方、地域通信市場においては、部分的な新規参入はあるものの、実質的にNTTによる独占的な役務提供が行われており、料金も横ばい又は値上げされているものもある。このような競争が不十分な分野においては、市場メカニズムを補完するため行政による一定の規制が必要であるが、その場合にも、事業者に経営効率化を進める誘因を賦与することにより料金低廉化を促していく必要がある。 料金を、公正かつ合理的で、利用者の利益に適合するものとするためには、明確なルールに基づき透明性の高い手続により料金設定が行われることが必要であり、料金準則の明確化や料金等についての利用者、競争事業者の苦情・意見が料金設定に十分反映され得る手続の整備が必要である。 |
(1) |
原則届出制への移行(改正電気通信事業法(以下「法」とする。)第31条第1項) 第一種電気通信事業者は、電気通信役務に関する料金を定め又は変更する場合には、その実施前に届け出るものとする。 料金の届出制の下では、電気通信事業者は、自己の経営戦略、競争戦略に基づき料金を設定することとなり、競争がより一層進展するので、市場メカニズムを通じた料金の低廉化、サービスの向上が期待できる。 |
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(2) |
料金変更命令の発動要件の明確化(法第31条第2項) 料金の適正性を確保するため、料金変更命令の発動要件を明確化する。具体的には、次の3項目を規定している。
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(3) |
意見申出制度の導入(法第96条の2) 電気通信分野においては、競争が進展し、サービスの高度化・多様化が進んだことによって、電気通信事業者の役務に関する料金その他の提供条件や業務の方法に関するトラブルが多発しつつあり、利用者利益の保護及び公共の利益の確保を図る観点から、利用者等からの苦情その他の意見を幅広く受け付けて、行政に反映させる仕組みを設ける必要性が高まっている。今回、料金が原則届出制に移行することもあり、変更命令等の行政措置を的確に行使していくことが電気通信役務の適正化のためますます重要となってくるが、こうした措置を実効性のあるものとするため、利用者や競争事業者からの苦情その他の意見の申出を受け付ける制度を設けることとする。 意見申出を受けた郵政大臣は、これを誠実に処理した上、その結果を申出者に通知するものとする。 |
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(4) |
上限価格方式の導入(法第31条第3項〜第7項、第31条の2) 競争が不十分な分野である地域通信市場においては、指定電気通信設備(※)を設置する第一種電気通信事業者が当該設備を用いて提供する役務のうち利用者の利益に及ぼす影響が著しく大きいものに関する料金について、行政が適正な原価や物価その他の経済事情を考慮して、通常実現可能と認められる水準の料金を基準料金指数(料金の水準を表す数値)として定めるものとする。 当該事業者は、基準料金指数以下の料金であれば、その実施前に届け出ることにより料金設定を可能とする。 また、基準料金指数を超える料金についても、基準料金指数以下により難い特別の事情がある場合は、郵政大臣の認可を受けて設定できることとする。
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(参考)第一種電気通信事業に係る料金制度(法改正の概要)
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(第一種電気通信事業者の料金)
9・10 (略) (通信量等の記録)
(意見の申出)
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