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第II章 料金届出制の手続 |
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(1) 法の趣旨
第一種電気通信事業者の料金については、認可制を廃止して原則届出制とし、事業者は料金案をその実施前に郵政大臣に届け出れば自由に料金を設定できることとする。
※ 電気通信事業法第31条第1項(2) 基本的な考え方
第一種電気通信事業者は、電気通信役務に関する料金(郵政省令で定める料金を除く。以下この条において同じ。)を定め、郵政省令で定めるところにより、その実施前に、郵政大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
利用者が自己責任により適切な料金・サービスの選択を行うことを可能とするためには、事前に料金・サービス内容を十分に認識・理解することが必要であり、事業者が事前に利用者に料金設定・改定の内容を積極的に周知することが求められる。
したがって、事業者は、料金の実施の一定期間前に料金案を営業所等に掲示するなど積極的に利用者に周知するとともに、行政において国民・利用者からの問い合わせや意見申出に適切に対応できるようにするため、同程度の情報を同時期に行政にも提供する必要があると考えられる。
具体的な事前届出期間については、十分な周知の方法として料金請求書への同封を行うことが適当であるので、それとの兼ね合いから、1ヵ月以上とすることも考えられるが、事業者によるより機動的かつ柔軟な料金設定・改定を可能とするため、現在の届出料金で実際に届出されている時期などを考慮し、1週間とすることが妥当ではないかと考えられる。
このように一定期間前に届出を求める趣旨は、行政が利用者と同時期に料金情報を入手することにより、円滑な利用者対応を可能とすることにあり、また、1週間程度であれば、事業者の機動的かつ柔軟な料金設定を妨げないものと考えられる。
なお、料金値上げのケースなど、特に利用者の十分な理解を得る必要があると考えられる場合には、事業者が個々の事案に応じて自主的に周知期間を延長することが望まれる。
※ 電気通信事業法第32条第1項
第一種電気通信事業者…は、第31条第1項の規定により届け出た料金…を、営業所その他の事業所において公衆の見やすいように掲示しておかなければならない。
届出制においては、基本的に事業者の判断・責任において料金設定・改定が行われることとなるが、利用者の適切な選択に資する情報や事後的に利用者、他事業者その他の利害関係人(以下「利用者等」という。)や行政が料金の妥当性を判断するために必要な情報が届出事項として公表されることが必要である。
具体的には、料金案(新旧対照表)、実施期日とともに、料金の設定・改定の理由、適用地域・期間(限定がある場合)が届出事項と考えられる。
なお、収支見通し、原価情報等料金の妥当性の判断の根拠となる情報についても、利用者保護や公正競争確保の観点から義務的届出事項とすることも考えられるが、これらについては、事業者に過重な負担を課すこととなったり、競争に対応した迅速な料金設定を妨げることとなるおそれもあり、また、次章で述べる意見申出制度により、事後的に料金の妥当性を示す情報の開示を求める機会もあることなどから、事前の義務的届出事項とまでする必要はないのではないかと考える。
また、意見申出制度との関連では、事業者が届出段階において、利用者等に対してできるだけ豊富な情報(収支見通し等)を開示すれば、誤解や情報不足に基づく意見申出が回避できたり、意見申出者から意見申出の趣旨・内容がより具体的になされるなど、円滑な制度の運用が図られることとなるため、届出事項に「その他参考となる事項(収支見通し等)」として任意的届出事項を加えることとする。
これにより、例えば、料金値上げのような利用者からの意見申出が予想される場合に、収支見通しを添付することで利用者の理解を得やすくするといった効果が期待できる。
ただし、任意的届出事項はあくまで事業者の自主性に委ねられるものであって、提出しない場合であっても届出の形式的要件を満たすものであり、受理されることとなる。
(届出事項案)
料金案(新旧対照表)
実施時期
料金の設定・改定の理由
適用地域、期間(限定がある場合)
その他参考となる事項があれば、その事項(収支見通し等)
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