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教育者向け情報

授業実践パッケージ(小学校)

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[小学校5年・社会] 授業名:「コマーシャルのみひつ」を考えよう

5年「社会/くらしを支える情報」で行われた授業を紹介します。

概要

  • 実施校:相模原市立東林小学校 5年
  • 実践者:木村徳泰 教諭
  • 監修:中橋 雄 武蔵大学社会学部准教授
  • 単元:くらしを支える情報
  • 授業時間数:45分
  • 学習の概要:2つCMを視聴して、それぞれの印象や違いについて話し合うとともに、「映像不思議シミュレーター(カメラの不思議、音楽の不思議、編集の不思議)」を学習することで、CMの工夫について考える。
  • 本時の目標:
    • 効果的に情報を伝えるために、コマーシャルは、メディアごとに映像、音声、キャッチコピーなどを駆使して作られていることを調べることができる。

*23年度以降:情報のなかに生きる

ダウンロード
  • 指導案・参考資料 PDF
  • ワークシート PDFWORD
  • 教材「映像不思議シミュレーター」(視聴いただけません。)
  • この授業を実践する先生へ(監修: 中橋 雄) PDF

「先生の一言 〜授業を終えて〜」はこちら

[小学校5年・社会] くらしを支える情報 授業レポート

1. CMの印象・違いを考えよう (6分)

  • ― 「CM A」、「CM B」のシートを黒板に貼る。
  • 二つのCMを2回見るので、感じたことや、みつけたことなどを聞かせて下さい。
  • ― 「CM A(公共広告)」、 「CM B(商業広告)」を視聴。
  • CMの感想を聞かせて下さい。
  • 「 Aは言葉が多い、Bは音楽が中心」「Aは公共的で、Bは商業的」
2. カメラアングルについて考えよう (15分)



  • ― ワークシートを配付。
  • CMに、俳優やメッセージが映っていたのを覚えていますか。それらはカメラで撮っています。
  • ― 「カメラ1」「アップショット」、「ウエストショット」、「フルショット」のシートを黒板に貼りながら、言葉を解説。
  • みんなで、よんでみよう。
  • 「アップショット」「ウエストショット」「フルショット」とクラスで声に出してよむ
  • ― 「映像不思議シミュレーター」の「カメラの不思議(1)」を、教師が操作しながら児童に見せ、アップショットとフルショットの違いを説明。
  • 学習カードに感じたことを記入して、発表して下さい。
  • 「アップは表情がわかりやすい」(多くの児童が賛同)
    「フルショットは全体がよくわかる」(多くの児童が賛同)
  • ― アップショット等に関する児童の感想を板書。
  • ― 「カメラ2」のシートを黒板に貼った後、教師がカメラを使い、アングルについて実演。
  • ― 「ハイアングル」「アイアングル」「ローアングル」のシートを貼りながら、言葉を説明。
  • ― 「映像不思議シミュレーター」の「カメラの不思議(2)」を児童に2回見せ、感じたことを学習カードに記述させる。
  • 感想を発表して下さい。
  • 「ハイアングルは表情がわかりにくい」「アイアングルは、(同じ目線だから)気持ちが伝わりやすい」「ローアングルは顔が見えにくい」
  • ― アングルに関する児童の感想を板書。
  • みんなが「次のテストをがんばる」というCMを作る監督だったら、どのアングルを使いますか。「ハイアングル」の人手をあげて..。
  • 「ローアングル」に多くの児童が手をあげる
3. 音楽効果について考えよう (8分)


  • ― 「音楽」のシートを黒板に貼った後、「映像不思議シミュレーター」の「音楽の不思議(音楽なし)」を見る。
  • 映像に映っている女の子は何を考えていますか。
  • 「わからない」
  • ― 「音楽A」を視聴させ、感じたことをワークシートに書かせる。
  • 女の子は何を考えていますか。
  • ― 「音楽B」、 「音楽C」も、 「音楽A」 と同様の活動を実施。
  • Aについて「仲のよい友達に悪いことが起きた」「居残り勉強をしなければ」・・と次々発表。Bについても「うれしい」「幸せ」「もうすぐ卒業」等発表。Cについては「不安な感じ」「落ち込んでいる」等発表
  • A、B、Cの音楽を再度聞き、みんなが作っているCMには、どの音楽がいいですか。
  • 多くの児童がBに手をあげるが、Cにあげる児童もいる
  • 人によって感じ方が違うね。
4. 編集(構成)について考えよう (5分)
  • ― 「映像不思議シミュレーター」の「編集の不思議(9シーン)」を視聴。
  • 二人の女の子のやりとりをよく聞いて下さい。
  • ― 「編集の不思議(5シーン)」、「編集の不思議(6シーン)」を視聴(2回見る)。
  • 編集で順番が変わってしまうと、何が起きるのか学習カードに書いて発表して下さい。
  • 「内容が変わってしまう」
  • 編集をする人たちは、気をつけないと意味が変わってしまうことを覚えておくように。
5. CMの工夫を、もう一度考えよう (6分)
  • ― 授業の最初に視聴した2つのCMを再度視聴。
  • カメラや音楽、編集を勉強した後で、感じたことありますか。
  • 「CM Bはフルショットを使っていた。アップショットもあった」「CM Aは落ち着いた感じだった」
  • みんなは、情報産業について勉強していますが、情報を「伝える人」と「伝わる人」はどんなことに心がける必要があると思いますか。 「伝える人」はCMを作る人、君たちは 「伝わる人」です。学習カードに書いて下さい。
6. 音楽効果について考えよう (8分)


  • ― 調理実習で作った料理について、感じたことを児童に尋ねる。
  • 「おいしかった」「家のご飯よりおいしかった」
  • ― 児童が調理実習時に食事をしている写真(ハイアングル、アップショット、ローアングル)をディスプレイに映して見せる。
  • どのショットで撮っているか、児童に質問する。
  • 児童は写真を見ながら「ハイアングル、アップショット、ローアングル」と回答
  • おいしかった時の気持ちが一番伝わる写真を選ぶとしたら、どれを選びますか。
  • 「最初の写真(ハイアングル)」と写真に写っている児童が回答
  • では、今日は終わりです。次回は、CMづくりを進めます。

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[小学校5年・社会] くらしを支える情報 先生の一言 〜授業を終えて〜

木村徳泰 教諭(相模原市立東林小学校)

図 この授業をやってよかったと思ったか
(授業終了後に児童に実施したアンケート)




  • Q.今日の授業の子どもたちの様子はどうでしたか。
      • 少し緊張していたようですが、活動に興味を持っていたと思います。
  • Q.授業で工夫されたことは何ですか。
    • ◆授業に集中させるため、教師が「映像不思議シミュレーター」を操作して説明
      • 「映像不思議シミュレーター」は、児童が自分で操作して学習できる教材ですが、各自で操作させると、授業に集中しなくなるので、教師が操作して「カメラの不思議」、「編集の不思議」、「音の不思議」と、一つずつ説明しました。
        また、カメラのアングルについて説明するときは、カメラを使って、実際に子どもたちの前で、やってみせるようにしました。
    • ◆CMの特色を考えるために、「メッセージ性のあるCM」と「商業的なCM」を比較する
      • 子どもたちは、前の授業で、「メッセージ性があるCM」について学習しました。そこで、CMが工夫している点を考えるために、普段子どもたちが見ている「商業的なCM」と、「メッセージ性のあるCM」を比較しました。「メッセージ性のあるCM」については、「知らない俳優」が出ていたり、「聞いたことがない音楽」が使われていたりするものを探しました。「商業的なCM」については、「売ることを強調していること」や、「アップテンポの音楽が使われていること」、「旬なタレントが使われていること」を条件として探しました。
    • ◆難しい用語は、子どもたちに声に出して読ませ、その反応により、どこまで説明するか考える
      • 今日の授業では、 「アップショット」、「ウエストショット」、「フルショット」など専門用語がたくさん出てきましたので、子どもたちに声を出して読ませてみました。その反応をみて、詳しい説明は省略することにしました。
    • ◆子どもたちが身近に感じられる素材で、映像と言語の関係を学ぶ
      • メディアリテラシーの学習では、映像から言語をひき出せ、言語から映像を描くこともできるといった「映像と言語の関係」を学ぶことも必要だと思います。それを、子どもたちが自分のことに置き換えながら考えられるようにするには、子どもが身近に感じられる素材を使うことが重要だと思います。そこで、調理実習の時にハイアングルやローアングルで撮影した子どもたちの写真を使い、その時の子どもたちの気持ちを尋ね、その気持ちはどの写真が一番よく表しているかを考える活動を取り入れました。写真は、給食を食べているときや、外で遊んでいるときに撮影したものでもよいでしょう。
  • Q.この授業を実施してよかったですか。 よかった点について教えて下さい。
    • ◆送り手の立場に子どもたちがたてるようになった
      • よかったと思います。これまで子どもたちは、CMを受け身で見ていただけですが、アンケートに「作っている人は工夫している」ということを書いている子どももいて、今日の授業で、子どもたちは送り手の立場でCMを見ることができるようになったと思います。
  • Q.時間がもっとあるときに実施したほうがよいことはありますか。
    • ◆学習した知識を、子どもたちが生かせる機会を作ることが重要
      • カメラや、音楽、編集に関する知識を子どもたちが習得するためには、実際にCMをつくるなど、子どもたちが知識を生かせる機会を作ることが重要です。そうでないと、わかったつもりで終わってしまいます。CMを作らせる方法としては、たとえば、赤いリンゴを見せて、「君たちはこのリンゴの宣伝部長だから、CMを作ってごらん」と子どもたちにテーマを与え、CMを作った後に、発表をさせ、同じテーマで作っても、作り手によってできた結果が違うことを話し合わせるとよいでしょう。

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