総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 統計委員会 > 諮問・答申 > 諮問第14号の答申

  統計委員会

府 統 委 第 36 号
平成21年5月11日


総 務 大 臣
   鳩 山  邦 夫 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
竹 内  啓


諮問第15号の答申
特定サービス産業実態調査の改正について


 本委員会は、経済産業省が実施を予定している特定サービス産業実態調査の計画について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  承認の適否とその理由等
    (1)  適否
     計画を承認して差し支えない。
     ただし、以下の「(2) 理由等」で指摘した事項については、計画を修正することが必要である。
     
    (2)  理由等
     調査対象業種
     調査対象業種については、既存の21業種に加え、「冠婚葬祭業」、「映画館」等の対個人サービス業に係る7業種を新たに追加する計画である。
     これについては、経済成長戦略大綱(平成18年7月6日財政・経済一体改革会議決定)の指摘等を踏まえた措置であり、サービス業統計の整備にも資するものであることから、適当である。
     
     調査票及び調査事項
    (ア)  追加業種の調査票及び調査事項
     追加する7業種の調査事項については、業種ごとに異なる7種類の調査票により、業種の特性に応じた調査事項を設定する計画である。これについては、本調査の目的である業種の特性を明らかにするものとなっているため、おおむね適当である。
     しかし、統計法(平成19年法律第53号)第10条第1号(本統計の作成目的に照らした必要性・十分性)の観点から、1.学習塾については、今後インターネットを活用した指導方式の伸展が想定されることから、その有無を、また、2.フランチャイズの形態を採る事業所とそうでない事業所とでは、売上高、営業費用等が異なるため、当該形態の事業所が含まれる業種(10業種)について、その加盟の有無を、調査事項として追加することにより、業種特性の適切な把握を行うことが必要である。
    (イ)  事業所規模に応じた調査事項の精粗の設定
     母集団規模が小さい7業種を除く21業種について、従業者4人以下の小規模事業所については、調査事項の簡素化を図る計画である。これは、前回調査に係る統計委員会の答申(「諮問第7号の答申 特定サービス産業実態調査の改正について」(平成20年5月12日付け府統委第66号)。以下「前回答申」という。)における指摘を踏まえ、事業所規模により事業活動に差異があることを考慮するとともに調査客体の負担軽減を図る観点から、措置するものであり、適当である。
     しかし、計画では、調査対象が調査実施時点で従業者数を記入し、5人以上であればすべての調査事項に回答し、4人以下であれば簡易な調査事項のみに回答することとしており、この方式ではいわゆる「簡易回答の選好」が発生する恐れが大きく、適正な調査結果を得られないことが想定される。このため、統計法第10条第2号(統計技術的な合理性・妥当性)の観点から、この「簡易回答の選好」を防止するため、調査に当たって、調査実施者が調査対象名簿を基に、調査票を配布する時点で規模を下回る調査対象について、回答しなくてもよい事項をプレプリントにより明示する方式に変更することが必要である。
     なお、調査実施時点において調査対象の規模に変動があった場合には、事後に適切な方法で処理することが適当である。
     
     調査方法
    (ア)  標本調査方式の導入
     本調査については、これまで全数調査で実施して来たが、今回から、母集団規模が小さい7業種を除く21業種について、標本調査方式を導入する計画である。
     これについては、前回答申における指摘を踏まえ、結果精度を確保するとともに、地方公共団体等の実査対応能力を勘案した結果であり、適当である。
    (イ)  調査員調査と郵送調査の併用等
     事業所を対象とする22業種については、地方公共団体を経由する調査員調査方式で実施し、企業を対象とする6業種については、民間事業者を活用した郵送調査方式で実施する計画である。
     これについては、地方公共団体及び統計調査員の事務負担や調査結果の都道府県表章の有無を考慮したものであり、適当である。
     また、調査対象や統計調査員からの問い合わせに適切に対応するため、民 間事業者を活用し、コールセンターを設置する計画である。
     これについては、地方公共団体等の業務量の軽減や、調査の円滑な実施に資するものであるため、適当である。
     
     集計事項
    (ア)  集計事項の見直し
     7業種の追加に伴い、調査事項に対応して集計する計画であるが、これについては、統計需要に対応したものとなっており、おおむね適当である。
     しかし、上記「イ−(ア)」において指摘した調査事項の追加に伴い、それに即した集計事項を追加することが必要である。
     また、標本調査方式の導入に伴い、事業従事者規模別(事業所単位)又は常用雇用者規模別(企業単位)を表側に持つ集計表を追加する計画であるが、これについては、層化基準に基づく集計を行うものであり、適当である。
     他方、全国表及び都道府県表における資本金規模別集計や都道府県表における政令指定都市別集計など、精度が著しく低下することが想定される集計については、基幹統計としての結果表章を行わない計画である。
     これについては、基幹統計の重要性を勘案し、正確性の確保に配慮した措置であり、やむを得ないと考える。
    (イ)  欠測値の補正
     本調査はこれまで回収結果を単純に集計する方法を採ってきたが、標本調査方式の導入に伴う母集団推計に合わせて、しっ皆層の無回答についても欠測値として補正することを計画している。
     これについては、前回答申を踏まえた措置であり、集計結果の精度の向上が期待できることから、適当である。
     ただし、補正の手法については、今後、データの蓄積等を踏まえ、更に適切なものとなるよう検討を行うことを期待する。
     
     その他
     本調査と直接的に重複する他の基幹統計調査は認められず、他の基幹統計調査との間の重複は、合理的と認められる範囲を超えていないものと認められる。
     なお、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決 定)において、本調査についての直接的な指摘は認められない。
     
     
  2.  今後の課題
     前回答申において指摘された、各業種における特許権や意匠権等の産業財産権の取得件数、「デザイン業」や「機械設計業」等における外注業務の内容等、「映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業」における年間売上高の契約先産業別割合の産業区分の内訳の追加など、各業種の特性に対応した調査事項の設定については、調査実施者において、まだ十分な検討が行われていないが、その重要性にかんがみ、引き続き、その把握可能性を含め、検討を進める必要がある。


  ページの先頭へ  



<< 統計委員会トップページへ戻る