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  統計委員会

府 統 委 第 60 号
平成23年5月20日


内 閣 総 理 大 臣
   菅  直 人 殿

統 計 委 員 会 委 員 長   
樋 口  美 雄


諮問第16号の答申
国民経済計算の作成基準の変更について


 本委員会は、国民経済計算の作成基準(以下「作成基準」という。)の変更について審議した結果、下記の結論を得たので答申する。



  1.  変更の適否
     国民経済計算の作成基準については、以下の理由を踏まえ、別紙(PDF:25KB) のとおりとすることが適当である。
     
  2.  理由
    (ストック統計の整備)
     内閣府は、平成17年基準改定において、有形固定資産の推計について、固定資本マトリックス、固定資本ストックマトリックスを整備し恒久棚卸法(PIM)を導入すること、また、その一環として推計される固定資本減耗について時価評価への移行を行うことについて意見を求めている。
     これについては、国際基準である93SNAにおいて勧告されている事項であり、内閣府における今回の抜本的な推計方法の見直しは、それに沿ったものであることから、作成基準に恒久棚卸法を用いることを明記することが妥当である。
     
    (自社開発ソフトウェアの資本形成への計上)
     内閣府は、平成17年基準改定において、自社開発ソフトウェアを資本形成として計上することについて意見を求めている。
     これについては、国際基準である93SNAにおいて勧告されている事項であり、内閣府における今回の見直しは、それに沿ったものであることから、作成基準に自社開発ソフトウェアを資本形成として計上することを明記することが妥当である。
     
    (育成資産の仕掛品在庫の計上)
     内閣府は、平成17年基準改定において、育成資産の仕掛品在庫の推計方法を、現行の産出額に一定の割合を乗じる手法から、実際の出荷量から過去の生産量・在庫量を逆算して推計する実現在庫法(RIM:Realized Inventory Method)に変更することについて意見を求めている。
     これについては、従前の課題が解消される適切な推計方法であり、妥当である。
     なお、実現在庫法へ変更することについては、国際基準である93SNAの考え方に整合するものであるが、93SNAには個別の推計方法についての記載がないことから、作成基準の変更は要しない。
     
    (FISIMの導入)
     内閣府は、平成17年基準改定において、間接的に計測される金融仲介サービス(FISIM)を本体系に導入し、四半期速報においても推計を行うことについて意見を求めている。
     FISIMの導入については、国際基準である93SNAにおいて勧告されている事項であり、内閣府における今回の見直しは、その後改定された08SNAをも踏まえたものであることから、作成基準に産出がFISIMを含むことを明記することが妥当である。
     
    (公的部門分類の見直し)
     内閣府は、1(1は丸囲み文字)市場性の有無、2(2は丸囲み文字)政府又は社会保障基金の所有による支配又はその他の根拠による支配という基準を適用し、平成17年基準改定において、公的部門分類を見直すことについて意見を求めている。
     これについては、国際基準である93SNAにおいて勧告されている事項であり、内閣府における今回の見直しは、その後改定された08SNAをも踏まえたものであることから、作成基準に公的部門分類に係る基準の内容を明記することが妥当である。
     
    (財政統計整備)
     内閣府は、平成17年基準改定において、一般政府部門の実物フロー取引について新たに国際通貨基金「政府財政統計マニュアル2001」に準拠した勘定表を作成し、補足的な表として公表することについて意見を求めている。
     これについては、国際比較可能性の確保・向上に資するものであり、妥当である。
     なお、当該勘定表の作成は、国際基準である93SNAに記載がなく、また、不整合も生じないことから、作成基準の変更は要しない。
     
    (経済センサス‐活動調査に関係する年次推計等の抜本的な見直し)
     内閣府は、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決定)に盛り込まれた経済センサス-活動調査に関する事項に関連して、平成24年実施予定調査に対応した年次推計の見直しを計画している。
     これについては、確報推計に同調査結果を活用しつつ必要に応じて一部生産動態統計等を用いる代替推計により補完するという内閣府より提示された推計方法を更に精緻化することで年次推計に向けた準備作業を進めることが妥当である。
     なお、当該推計方法は国際基準である93SNAの考え方に整合するものであるが、推計にいかなる統計を活用するかについては、93SNAには記載がないことから、作成基準の変更は要しない。
     
  3.  今後の課題
     内閣府は、以下に掲げる08SNAの導入等の課題への対応を進める中で、利用者の意見を踏まえ、作成基準の見直しの検討を行う必要がある。また、作成基準そのものについても、記載事項に粗密があり他に記載すべき事項があるのではないかという意見もあることから、この点に関する見直しについても検討を行う必要がある。
     
    (1)  08SNAの導入
     次々回基準改定での本格導入に向け、産業連関表とも連携を図りつつ、内閣府において、国際比較可能性や利用者の利便性に十分配慮し、優先順位を考えた計画に基づき検討を進めることが適当である。その際、次々回基準改定を待たずとも、可能なものについては前倒しして対応することが望ましい。
     
    (2)  経済センサス‐活動調査に関係する年次推計等の抜本的な見直し
     経済センサス-活動調査(平成28年実施予定)に対応した供給・使用表(SUT)の検討やコモディティ・フロー法の見直しを含む基礎統計整備を勘案した年次推計等の抜本的な見直しに関しては、引き続き内閣府において研究を進めることが適当である。


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