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  統計委員会

府統委第15号
平成25年2月15日


総務大臣
   新藤 義孝 殿

統計委員会委員長   
樋口 美雄


諮問第48号の答申
漁業センサスの変更及び漁業センサスの指定の変更(名称の変更)
について


     本委員会は、諮問第48号による漁業センサスの変更及び漁業センサスの指定の変更(名称の変更)について審議した結果、下記のとおり結論を得たので答申する。


  1. (1は、ローマ数字) 本調査計画の変更
    1 承認の適否
     総務大臣から諮問のあった平成24年11月28日付け総政企第283号の別紙に付す平成24年11月15日付け24統計第893号により申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審査した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件(基幹統計の作成目的に照らして必要かつ十分であること、統計技術的な合理的かつ妥当なものであること、他の基幹統計調査との間の重複が合理的な範囲を超えていないこと)のいずれにも適合しているため、「漁業センサス」(基幹統計調査)(以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
     ただし、以下の「2 理由等」で指摘した事項については、計画を修正する必要がある。

    2 理由等
    (1)調査票の変更
    ア 調査票の統合
     海面漁業調査の漁業経営体調査票のうち、経営主体の種別等別に作成された1(1は丸囲み数字)漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(会社用)、2(2は丸囲み数字)漁業経営体調査票3(3はローマ数字)(漁業協同組合等用)及び3(3は丸囲み数字)漁業経営体調査票4(4はローマ数字)(共同経営用)の3種類の調査票について、本申請では、「漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)」に統合し、1種類の調査票とする計画である。
     また、当該統合により新たに設ける「漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)」の表紙に、表1のとおり、報告者の種別等(会社、漁業協同組合等、共同経営)に応じた回答ページを案内する誘導文を記載する計画である。

    表1
    事項 調査票の表紙に報告者別の回答する設問の案内を記載
    変更前 会社、共同経営及び漁業協同組合等が個々に所定の調査票に記入する方式
    変更後 3種類の調査票を統合し、調査票の表紙(1ページ)でそれぞれの報告者別に記入ページを案内し、該当するページに記入する方式
    表1の調査項目イメージ
    変更理由 3調査票の統合に伴い、報告者の種別等に応じた回答ページに誘導するため。

     これらについては、従前の「会社用」、「漁業協同組合等用」及び「共同経営用」別に設けていた3種類の調査票は、主要な調査事項(漁業従事者、使用漁船、漁業種類、養殖施設の状況等6事項)が共通していたため、3調査票を統合し、共通事項を一本化し、これに伴い、統合した調査票の表紙(1ページ)において、報告者の種別等に応じた回答ページへの誘導文を表示するものである。
     これらにより、報告者の誤記入を防止した上で調査事務の簡素化が図られ、調査の効率的な実施に資するものと認められることから、適当である。

    イ OCR対応調査票の導入
     調査票については、本調査の全調査票(9票)における全ての調査事項について、OCR(光学式文字読取装置)入力が可能となるようレイアウトを変更する計画である。
     これについては、当該変更により、本調査の調査結果のデータ入力方法をパンチ入力からOCR入力に変えることが可能になり、都道府県の入力業務に係る事務負担の軽減等を図るものと認められることから、適当である。

    (2)調査事項の変更
    <海面漁業調査 漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)>
    ア 変更事項1
     過去1年間に漁業に使用した漁船に関する調査事項の選択肢について、本申請では、表2のとおり、追加する計画である。

    表2
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    過去1年間に使用した漁船 (選択肢)
    1 動力漁船
    2 船外機付漁船
    3 無動力漁船
    (選択肢)
    1 漁船非使用
    1 動力漁船
    1 船外機付漁船
    1 無動力漁船
    漁船の使用状況をより正確に把握するため。
    【同様の変更】
    ・海面漁業調査 漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)

     これについては、従前の選択肢において、未記入の場合、報告者が漁船を使用していないのか、報告者の記入漏れなのか不明であったことから、「漁船非使用」の選択肢を追加するものである。
     これにより漁船の使用状況がより正確に把握されることとなり、調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。
     ただし、調査票の冒頭に「漁船を使用していない場合は次のページへ進んでください。」との誘導文があることから、報告者が漁船を使用していない場合、選択肢の「漁船非使用」を選択せずに次ページに進んでしまうおそれがあるため、表3のとおり、「漁船非使用」の下に矢印で、漁船非使用に「○」印を付けた上で次のページに進むように注記するなどレイアウトを見直す必要があることを指摘する。

    表3(統計委員会指摘事項)
      変更内容
    申請案 表3 申請案イメージ
    統計委員会修正案 表3 委員会修正イメージ


    イ 変更事項2
     過去1年間に自家漁業で行ったすべての漁業種類における販売金額に関する調査事項について、本申請では、表4のとおり、変更する計画である。

    表4
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    過去1年間に自家漁業で行ったすべての漁業種類における販売金額が最も多いもの 過去1年間に自家漁業で行ったすべての漁業種類のうち、販売金額の上位2位までのものを把握 過去1年間に自家漁業で行ったすべての漁業種類のうち、販売金額の上位1位のみを把握
    販売金額上位1位の漁業種類のみを把握すれば、漁業経営体の8割について、実質的に販売金額上位2位までの漁業種類の把握が可能であるため。
    【同様の変更】
    ・海面漁業調査 漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)

     これについては、過去5回の本調査の結果において、過去1年間に営んだ漁業種類数別の漁業経営体の割合をみると、1(1は丸囲み数字)漁業種類数が1種類とするものが5割弱、2種類とするものが約3割となっており、その合計は漁業経営体の8割弱と相当数を占めていること、2(2は丸囲み数字)漁業種類数が2種類の場合、販売金額上位1位の漁業種類のみを把握すれば販売金額2位の漁業種類は自ずと明らかになることから、販売金額上位1位の漁業種類のみの把握としても漁業経営体の8割について実質的に販売金額上位2位までの漁業種類の把握が可能であることによるものである。
     しかしながら、漁業者は、小規模な漁業経営体を中心に、1つの漁業種類を営んでいるケースよりも、複数の漁業種類を営んでいるケースが多く、これまで販売金額上位2位までの把握により明らかにされていた多様な漁業種類の組合せによる漁業生産構造の分析が困難になる等、調査結果の有用性が低下することから、引き続き、販売金額2位までの漁業種類を把握できるようにする必要があることを指摘する。

    ウ 変更事項3
     世帯が営む漁業の専業・兼業等の状況等に関する調査事項について、本申請では、表5のとおり、変更する計画である。

    表5
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    世帯が営む漁業の専業・兼業等の状況 (選択肢)
    1 漁業専業
    2 兼業 漁業が主
    3 兼業 他が主
    (選択肢)
    1 自家漁業専業
    2 兼業 自家漁業が主
    3 兼業 他が主

    営む漁業が漁業経営体自らが行った漁業(自家漁業)であり、共同経営や雇われて行った漁業は含まれないことを明確にするため。
    【同様の変更】
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)
    無動力漁船と船外機付漁船の隻数 (設問文)
    使用した漁船のうち、11月1日現在で持っている隻数を記入してください。
    借りている漁船も含めます。
    (設問文)
    漁業に使用した漁船のうち、11月1日現在で持っている隻数を記入してください。(借りている漁船は含み、貸している漁船は含みません。
    漁業に使用している漁船とは、自らが保有かつ使用しているものに限ることを明確にするため。
    【同様の変更】
    ・海面漁業調査 漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)
    過去1年間の漁獲物・収獲物の販売金額 (設問文)
    過去1年間の漁獲物・収獲物の販売金額について、当てはまる番号を一つ○で囲んでください。

    (選択肢)
    1  販売金額なし
    2  100万円未満
    3  100万〜
    4  300万〜
    5  500万〜
    6  800万〜
    7 1,000万〜
    8 1,500万〜
    9 2,000万〜
    10 5,000万〜
    11   1億〜
    12   2億〜
    13   5億〜
    14   10億円以上
    (設問文)
    過去1年間の漁獲物・収獲物の販売金額(消費税を含む)について、当てはまる番号を一つ○で囲んでください。

    (選択肢)
    1  販売金額なし
    2  100万円未満
    3  100万〜 300万円未満
    4  300万〜 500万円未満
    5  500万〜 800万円未満
    6  800万〜1,000万円未満
    7 1,000万〜1,500万円未満
    8 1,500万〜2,000万円未満
    9 2,000万〜5,000万円未満
    10 5,000万〜  1億円未満
    11   1億 〜  2億円未満
    12   2億 〜  5億円未満
    13   5億 〜  10億円未満
    14  10億円以上

    販売金額をより正確に把握するため。
    【同様の変更】
    ・海面漁業調査 漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)
    ・流通加工調査 冷凍・冷蔵、水産加工場調査票
     なお、設問文に販売金額に消費税を含む旨を明示し、また、販売金額の範囲は異なるが同様の範囲に係る表示方法を行っている調査票は、以下のとおり。
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)

     これらについては、当該調査事項に関し、報告者からの問い合わせや誤記入が多かったことから、用語の定義及び選択肢中の金額の範囲の明確化を行うものである。
     これらにより、報告者の誤記入の防止が図られ、当該調査事項に係る調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    エ 変更事項4
     個人経営体の世帯員(漁業従事者)に関する調査事項について、本申請では、表6のとおり、変更する計画である。

    表6
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    満15歳以上の世帯員のうち、過去1年間に漁業を行った人 名前等を記入 経営主(本人)との続き柄やABC等の記号でもかまいません。 経営主との続柄番号を記入
    ※続柄番号は以下のとおり。
    01:経営主
    02:経営主の配偶者
    03:子(満15歳以上)
    04:子の配偶者
    05:経営主の父母
    06:経営主の配偶者の父母
    07:兄弟姉妹
    08:祖父母
    09:孫(満15歳以上)
    10:孫の配偶者
    11:その他(上記以外)
    世帯員について、経営主との続き柄を把握することにより、その関係をより正確に把握するため。
    【同様の変更】
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)

     これについては、個人経営体の世帯員(漁業従事者)の区分について、従前のABC等の記号では経営主との関係が十分に確認できなかったことから、経営主との関係を示す続柄番号を記入する方式に変更するものである。これにより世帯員と経営主との関係の明確化が図られ、当該調査事項に係る調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    <海面漁業調査 漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)>
    オ 変更事項5
     直接行った漁業の従事者のうち海上作業者の従事者数に関する調査事項について、本申請では、表7のとおり、変更する計画である。

    表7
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    直接行った漁業の従事者のうち、海上作業者の従事者数について (調査項目の表示)
    「うち、新規就業者」
    (調査項目の表示)
    「うち、過去1年以内に漁業を始めた人(新規就業者
    新規就業者の定義を明確にするため。

     これについては、新規就業者の定義に関し、報告者からの問い合わせや誤記入が多かったことから、当該定義の明確化を行うものである。
     これにより、報告者の誤記入の防止が図られ、当該調査事項に係る調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。
     ただし、当該調査事項の見出し中の「直接行った漁業の従事者」については、どのような者を示すのか不明確であることから、表8のとおり、見出しは「漁業の従事者」と簡素化した上で、漁業経営体が自ら行った漁業の従事者を指すことを明確にするための注釈を付す必要があることを指摘する。

    表8(統計委員会指摘事項)
      変更内容
    申請案 1(1はローマ数字) 直接行った漁業の従事者
     1 海上作業の従事者数
    統計委員会修正案 1(1はローマ数字) 漁業の従事者
     1 海上作業の従事者数
    漁業協同組合の方は、直接、漁協の漁業に従事した人を、共同経営の方は、共同経営の漁業に従事した人について記入してください。(注釈追加)

    <海面漁業調査 漁業管理組織調査票>
    カ 変更事項6
     「管理組織に参加している経営体数」及び「管理を行っている漁業種類別の経営体数」の回答方式について、本申請では、表9のとおり、変更する計画である。

    表9
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    「管理組織に参加している経営体数」及び「管理を行っている漁業種類別の経営体数」
    実数値を記入
    (選択肢を選択)
    1  10経営体未満
    2  10〜 19経営体
    3  20〜 29経営体
    4  30〜 49経営体
    5  50〜 99経営体
    6 100〜199経営体
    7 200〜299経営体
    8 300経営体以上
    結果表の規模別の集計区分にあわせたものであり、過去の管理組織に参加している漁業経営体数の規模別割合の構成比に大きな変動がないため。

     これについては、1(1は丸囲み数字)これまで漁業経営体数の実数値は集計時において今回変更しようとしている階層区分別に集計し、結果を公表していること、2(2は丸囲み数字)過去3回の本調査の結果において、管理組織に参加している漁業経営体数の規模別の構成比をみると時系列的に大きな変化がないことから、漁業管理組織に参加している漁業経営体数を把握する方法について、従来の実数値を記入する方式から、規模別の階層区分の選択肢から該当するものを選択する方式に変更するものである。
     しかしながら、規模別の階層区分による把握に変更した場合、これまで実数値による把握であったことから可能であった漁業経営体の漁業管理組織への参加率の算出ができなくなる等、調査結果の有用性が低下することから、漁業管理組織に参加している漁業経営体数を把握する方法については、従前どおり、実数値を記入する方式とする必要があることを指摘する。

    <内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票1(1はローマ数字)(個人経営体用)>
    キ 変更事項7
     調査票の表紙に、表10のとおり、すべての報告者が記入するページ、湖沼で漁業を行った者が記入するページ及び湖沼等で養殖業を行った者が記入するページを案内する誘導文を記載する計画である。

    表10
    調査内容 調査票の表紙に報告者が該当する設問の案内を記載
    変更前 調査票中に案内文を表示
    (調査票4ページ冒頭)
    湖沼で漁業(採捕又は養殖業)を行った場合は、このページから記入してください。行っていない場合は、6ページへ進んでください。2 湖沼漁業
    (調査票6ページ冒頭)
    湖沼及びその他の内水面において、養殖業を行った場合は、6〜7ページを記入してください。行っていない場合は、ここで終わりです。
    変更後 調査票の表紙(1ページ)に報告者が該当する記入ページの案内を表示
    漁業協同組合の方は、直接、漁協の漁業に従事した人を、共同経営の方は、共同経営の漁業に従事した人について記入してください。(注釈追加)
    変更理由
     報告者に対し、営んでいる漁業活動に応じて記入するページを明確に誘導するため。
    備考
    上記と同様に、調査票の表紙(1ページ)で、それぞれの報告者別(報告者が「湖沼で漁業(採捕及び養殖業)を行った場合」、「湖沼及びその他の内水面において、養殖業を行った場合」)の記入ページを案内し、該当するページに記入する方式を採っているものは以下のとおり。
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)

     これについては、報告者の誤記入が防止されることになり、調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。
     ただし、調査票中の誘導文については、調査票4ページの湖沼漁業に係る設問の冒頭に「湖沼で漁業(採捕及び養殖業)を行った場合は、このページから記入してください。行っていない場合は、6ページへ進んでください。」とあり、養殖業を行っていない場合は6ページに進むよう誘導されているように読めるにもかかわらず、指定された6ページ以降では、内水面養殖業に係る設問を設けており、報告者に誤解を与えるような表現となっているため、表11のとおり、報告者が適切な調査事項に記入できるよう誘導文を修正する必要があることを指摘する。

    表11(統計委員会指摘事項)
      変更内容
    申請案
    (調査票4頁)
    申請案 調査票4頁
    (調査票6頁)
    申請案 調査票6頁。
    統計委員会修正案
    (調査票4頁)
    申請案 調査票4頁
    (調査票6頁)
    申請案 調査票6頁
    備考
    【同様の指摘】
    ・内水面漁業調査 内水面漁業経営体調査票2(2はローマ数字)(団体経営体用)

    <流通加工調査 冷凍・冷蔵、水産加工場調査票>
    ク 変更事項8
     水産加工品の生産量を把握する調査事項について、本申請では、表12のとおり、変更する計画である。

    表12
    調査内容 水産加工場における過去1年間で生産した水産加工品の生産量
    変更前
    変更前の水産加工場における過去1年間で生産した水産加工品の生産量
    変更後

    変更前の水産加工場における過去1年間で生産した水産加工品の生産量1
    変更前の水産加工場における過去1年間で生産した水産加工品の生産量2
    変更理由
    本調査において、水産加工品の生産量をより詳細に把握することにより、本調査の実施年度に実施していた水産物流通調査(一般統計調査)を休止することが可能となること。

     これについては、これまで本調査の実施年度においては、11月に本調査において全ての水産加工事業者(約1万事業所)に対し水産加工品21品目の生産量を、また、その翌年1月に水産物流通調査(一般統計調査:標本調査(注))において大手の水産加工事業者(約3千5百事業所)に対し水産加工品68品目の生産量を調査してきたところであり、調査対象の水産加工品の品目区分の詳細度は異なるものの、大手の水産加工業者にとっては同一年度に同種の調査を2回受ける状況となっていたため、本調査の実施年度には水産物流通調査を休止し、この代わりに本調査の水産加工品の品目を21品目から68品目に細分化するものである。
     この変更により、以下の点が実現することから、適当である。
    1(1は丸囲み数字) 大手の水産加工事業者にとっては、同一年度に同種の調査に2回対応する必要がなくなり、報告者負担が軽減されること。
    2(2は丸囲み数字) 報告者にとっては、水産加工品の品目が細分化されることにより、該当する品目が判別しやすくなり、より正確な回答が可能となること。
    3(3は丸囲み数字) 従来に比べ、水産加工品の生産量について、地域別、従業者規模別、販売金額規模別のより詳細なデータが得られることとなり、調査結果の有用性が高まること。

    (注)水産物流通調査は、毎年、本調査で把握した母集団となる水産加工事業所(約1万事業所)のうち、加工種類別生産量の上位85%を占める事業所(約3千5百事業所)に報告を求めている。このため、本調査の実施年度においては、この約3千5百事業所は本調査と水産物流通調査の両方に回答することとなっていた。

    ケ 変更事項9
     水産加工場の過去1年間の事業所における原材料の仕入れ状況のうち、原材料に占める国産品の割合に関する調査事項の選択肢について、本申請では、表13のとおり、変更する計画である。

    表13
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    水産加工場の過去1年間の事業所における原材料の仕入れ状況のうち、原材料に占める国産品の割合 (選択肢)
    1 すべて輸入品
    2 30%未満
    3 30%〜
    4 50%〜
    5 70%以上
    6 すべて国産品
    (選択肢)
    1 すべて国産
    2 70%以上
    3 50〜70%未満
    4 30〜50%未満
    5 30%未満
    6 すべて輸入
    報告者の誤解を防止し、水産加工品の原材料に占める割合をより正確に把握するため。

     これについては、当該調査事項の目的は、水産加工品の原材料に占める「国産品」の割合を把握することであるが、選択肢の配列及び内容が原材料に占める「輸入品」の割合と誤解されるものとなっていたため、選択肢の配列及び内容を調査目的に合わせて変更するものである。これにより、報告者の誤解を防止し、より正確な記入が図られることになり、調査精度の向上に資するものと認められることから、適当である。

    コ 変更事項10
     水産加工品の製品製造の工程管理におけるHACCP(注)手法の導入状況に関する調査事項について、本申請では、表14のとおり、変更する計画である。

    表14
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    水産加工場の製品製造の工程管理におけるHACCP手法の導入状況 (選択肢)
    1 採用している
    2 採用していない
    (選択肢)
    1 導入している
    2 導入していない
    3 導入していないが、導入を決定している
     HACCP手法の導入に関する実態をより詳細に把握するため。

     これについては、水産基本計画(平成24年3月23日閣議決定)において、主要な施策の一つとして、「HACCP等の衛生管理の徹底による安全な水産物の提供」が掲げられたことから、水産加工場におけるHACCP手法のより一層の導入推進を図るため、HACCP手法を導入していない水産加工場について導入決定の有無を把握するための選択肢を追加するものである。これにより得られる導入決定状況に関するデータは、より効率的なHACCP導入推進施策の検討に資するものと認められることから、適当である。

    (注) HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析・重要管理点)とは、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因を分析し、それを最も効率よく管理できる部分を連続的に管理して安全を確保する管理手法である。
     従来の最終製品の検査や抜き取りチェックといった衛生管理とは異なり、食品の製造において原材料から最終製品に至る一連の工程が管理対象になり、どこの工程でどのような危害が発生するかをあらかじめチェックし、それを防止するための監視、管理基準を定め、すぐに確認できる方法で測定・記録し、得られた結果について即刻対処できるように手順を定めるもので、衛生的で安全な食品を製造し、消費されるための衛生管理システムである。

     ただし、本事項については、以下のとおり指摘する。
    1(1は丸囲み数字) HACCP手法を導入しているケースについては、厚生労働省や地方公共団体等から認証を受けている形態の他に、取引先による二者間認証など様々な形態があることを踏まえ、表15のとおり、報告者がそのことを正しく理解できるよう説明文を付す必要がある。
    2(2は丸囲み数字) HACCP手法を導入していないが、導入を決定している場合に選択肢を回答する方法について、選択肢の「2」及び「3」の両方に印をつけるのか、「3」のみに印をつけるのか、必ずしも明確でないことから、表15のとおり、報告者が回答に当たり紛れが生じないよう説明文を付す必要がある。

    表15(統計委員会指摘事項)
      変更内容
    申請案
    申請案
    統計委員会修正案
    統計委員会修正案

    (3)調査時期の変更
     流通加工調査(魚市場調査票及び冷凍・冷蔵、水産加工場調査票)の調査時期について、本申請では、表16のとおり、変更する計画である。

    表16
    調査内容 調査事項等 変更理由
    変更前 変更後
    流通加工調査(魚市場調査票及び冷凍・冷蔵、水産加工場調査票)の調査時期 調査実施年11月1日現在 調査実施年翌年の1月1日現在 より最新のデータを把握するため。

     これについては、冷凍・冷蔵、水産加工場調査票の報告者である魚市場及び冷凍・冷蔵、水産加工場は、暦年で業務や生産量等を把握・管理しているところが多くみられるが、従前は調査基準日が調査実施年の11月1日であったことから、調査対象期間が調査実施年の前年11月1日から実施年10月末日と2年にまたがるものとなっており、報告者は生産量等の報告に当たり、調査対象期間に合わせた換算が必要になっていた。このため、調査対象期間を暦年(調査実施年の1月1日から12月末日)とするため、調査実施時期を調査実施年翌年の1月1日に変更するものである。
     これによって、冷凍・冷蔵、水産加工場調査票の報告者は報告に当たり換算が不要となった上、調査結果もより最新の実態を反映したものとなり、報告者負担の軽減や調査結果の有用性の向上に資するものと認められることから、適当である。

    (4)調査方法の変更
    ア 漁業経営体に対する調査における調査対象名簿の作成方法等
    (ア)漁船登録データの活用
     今回、農林水産省は、海面及び内水面の漁業経営体に対する調査において、調査対象名簿の作成に際して、表17のとおり、原則として、農林水産省が送付する前回の本調査の調査対象名簿に、都道府県が保有する漁船登録データに基づき、新規に登録があった漁船等のデータを付加する作業を行えるようにすることを計画している。

    表17
    事項 漁業経営体に対する調査における調査対象名簿の作成方法の変更
    変更前
    変更前の漁業経営体に対する客体名簿の作成方法
    変更後
    変更後の漁業経営体に対する客体名簿の作成方法
    変更理由
    都道府県において漁船登録データを活用して調査対象名簿の補正を行うことにより、現地の統計調査員の名簿更新のための聞き取り作業を効率化するため。

     これについては、以下の理由から適当である。
    1(1は丸囲み数字) 都道府県による上記作業が追加されることにより、新規経営体の把握精度が向上し、また、現地における統計調査員の名簿更新のための聞き取り作業の効率化に資するものと認められること
    2(2は丸囲み数字) この変更は、平成20年に実施された前回の本調査に係る本委員会の答申(諮問第2号答申「平成20年に実施される漁業センサスの計画について」(平成20年1月21日 府統委第33号)及び「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決定)において、今後の課題として指摘された漁船登録データの活用方策に係るものであり、十分な検証・検討を重ねた上で提示されたものであること(後述3参照)。

    (イ)東日本大震災の被災地域における対応
     今回、農林水産省は、一昨年の東日本大震災で被災した岩手県、宮城県及び福島県の3県における対応として、次のことを行うこととしている。
    1(1は丸囲み数字) 通常の調査対象名簿の作成作業に先立ち、全国漁業協同組合連合会や現地の漁業協同組合等の協力を得て、あらかじめ調査対象候補者のデータを作成すること。
    2(2は丸囲み数字) 被災した3県及びその県内の市町村に対し、作成した調査対象候補者のデータを提供すること。
     このことについては、特例的ではあるが、3県の被災状況に鑑み、調査対象名簿の整備等調査関係事務の負担軽減を図るものであり、調査の円滑な実施に資するものと認められることから、適当である。
     なお、被災した3県においては、復興に向けた施策により、個人経営体と共同経営体との相違が判然としない等のケースがみられることから、調査の実施に際し、そのようなケースに係る経営体を本調査においてどのように取り扱うかについて、調査の手引き等の中で明確に示す必要があることを指摘する。

    イ コールセンターの設置
     今回、農林水産省は、民間事業者に委託してコールセンターを設置する計画である。
     これについては、調査票の統合や調査事項の一部変更により、報告者等から地方公共団体(都道府県及び市区町村)への照会が増加することが予想されることから、調査全般にかかる報告者等からの照会を一元的に対応するため設置するものであり、これにより、報告者からの照会への効率的な対応や地方公共団体の照会対応業務の負担軽減が図られ、調査の円滑な実施に資するものと認められることから、適当である。
     ただし、本調査におけるコールセンターの設置・運営は、今回初めて実施されるものであり、また、本調査の調査事項等は専門性が高いものであることから、他の統計調査(農林業センサス)におけるコールセンターの運用結果等を踏まえ、調査対象者からの照会に対し、的確な対応が可能なマニュアルやFAQs(Frequently Asked Questions:よくある質問と答え)の作成を行う必要があることを指摘する。

    (5)集計事項の変更
     今回、農林水産省は、漁業経営体調査票における個人経営体の世帯員(漁業従事者)の経営主との続柄の明確化、冷凍・冷蔵、水産加工場調査票における水産加工場の水産加工品の生産品目の細分化、HACCP手法の導入状況の把握の詳細化等の調査事項の変更に伴い、関連する集計事項を変更する計画である。
     これにより、個人経営体に係る世代構成(一世代構成、二世代構成等)別の生産・就業構造の状況、水産加工品のより詳細な生産状況、HACCP手法の導入決定状況等が新たに把握できることになり、今後の漁業に係る施策の検討に資するものと認められることから、適当である。
     ただし、個人経営体の世帯員(漁業従事者)の経営主との続柄の明確化に伴う集計事項の変更においては、集計事項から漏れている続柄(兄弟姉妹、孫等)が見受けられることから、これらの続柄も活用した集計区分を設定するといった工夫が必要であることを指摘する。

    3 諮問第2号答申「平成20年に実施される漁業センサスの計画について」(平成20年1月21日 府統委第33号)及び公的統計の整備に関する基本計画における指摘への対応について

     本調査については、平成20年に実施された前回の本委員会の答申(諮問第2号答申「平成20年に実施される漁業センサスの計画について」(平成20年1月21日 府統委第33号、以下「前回答申」という。)において、行政記録情報の活用の観点から、今後の課題として、漁船登録データの活用方策についての検証・検討が指摘されている。また、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決定、以下「基本計画」という。)においても同様の指摘がなされている。
     この指摘事項に関する農林水産省の検証・検討結果は、表18のとおりである。

    表18
    指摘事項 指摘事項に関する農林水産省の検証・検討結果
    【前回答申】
    ○ 漁船登録データの活用方策について
     漁業経営体調査票等で把握する漁船の仕様等については、漁業センサスの調査体制の変化に対応して把握内容を縮減してきたが、これについては、調査の簡素化・効率化を図る観点から、やむを得ないことと考える。しかしながら、漁船法(昭和25 年法律第178 号)第10 条第2 項に基づき都道府県が保有している漁船登録データには、漁業種類又は用途、推進機関の種類及び馬力数、進水年月日等の情報が含まれている。このことから、漁船登録データを活用することにより、報告者の負担を増やすことなく、有用な情報を得ることが可能であると考える。したがって、今後、漁業センサスで活用可能な漁船登録データを精査し、その活用方策について引き続き検討する必要がある。

    【基本計画】
    (具体的な措置、方策等)
     漁業センサスへの漁船登録データの活用(略)など、統計委員会の答申において検討することとされた統計調査については、答申に基づき行政記録情報等の積極的な活用を検討する。
    (実施時期)
     次回調査の企画時期までに検討し、結論を得る。
    【対応状況】
     漁船登録データの活用方策についての検討・検証については、調査票へのプレプリントのためのデータとして活用することの可能性を検証するため、一部の市町の協力を得て、2008 年漁業センサスで使用した調査客体名簿と漁船登録データとの突合作業等を行ったところであり、その結果は以下のとおり。

    ● 2008 年漁業センサスにおいて、漁船登録データの提供に協力が得られた1市において漁船に関する項目のプレプリントを実施(岡山県備前市)
    ● 平成23 年度に、漁船登録データの提供に協力を得られた6市町(3県)において突合作業の検証を実施
    (石川県七尾市及び志賀町、島根県松江市及び浜田市、熊本県天草市及び上天草市)
    ● 新たに漁船登録を行った漁業者の把握を2013 年漁業センサス試行調査において検証。
    (兵庫県明石市、熊本県上天草市)

    【検証・検討結果】
    1(1は丸囲み数字) 氏名及び住所の突き合わせが表記の違いから機械的に困難であるため、人手による目視確認やデータの補正作業等に時間と労力が必要となり、地方公共団体の事務負担が大幅に増加する一方、調査客体名簿と漁船登録データの突合ができたものは4割程度である。
    2(2は丸囲み数字) 漁船登録データには、主に遊漁船業に使用されている船や海上作業日数30日未満の漁業者の船なども登録されており、調査対象の確実な把握が困難である。
    3(3は丸囲み数字) 漁船登録は各都道府県が自治事務として行っていることから、独自で開発した漁船登録システムを使用しているところもあり、各都道府県の登録データのフォーマットが様々である等の実態が判明した。

     このようなことから、漁船登録データを調査票へのプレプリントのためのデータとして活用することは困難と考えられるが、調査客体名簿と漁船登録データの突合ができたものも一定程度認められたこと等から2013年漁業センサスにおいては、漁船登録データを新規調査対象を把握するに当たっての補完情報として活用することが可能と判断される。

     以上の農林水産省の検証・検討結果については、次の点が認められることから、前回答申及び基本計画の指摘への対応として評価する。
    1(1は丸囲み数字) 漁船登録データの活用方策について、調査票へのプレプリントのためのデータとして活用することの可能性を検証するため、実際に、一部の市町において、漁船登録データと2008年の本調査で使用した調査対象名簿との突合作業を行い、漁船登録データの整理状況、登録の範囲、フォーマット等の制約から、当該活用が困難であることを明らかにしたこと。
    2(2は丸囲み数字) 漁船登録データを調査票へのプレプリントのためのデータとして活用することは困難であるものの、上記突合作業の結果を精査した結果、漁船登録データを新規調査対象を把握するに当たっての補完情報として活用することは可能との結論を得て、今回の本調査において、調査対象名簿の作成に際して、農林水産省が送付する前回の本調査の調査対象名簿に、都道府県が保有する漁船登録データに基づき、新規に登録があった漁船等のデータを付加する作業を追加することを計画していること(前述2-(4)参照)。

    4 今後の課題
     今後の課題については、以下のとおりである。
    (1)OCR対応調査票の導入に伴う公表早期化の検討
     今回のOCR対応調査票の導入により、調査票のデータは、従前の各都道府県におけるパンチ入力後に農林水産省に報告する方法から、農林水産省においてデータをOCRにより一括入力し、新たに入力データを都道府県にフィードバックし確認してもらう方法に変更される。
     これに伴う公表の早期化に関し、今回の本調査の集計業務等を行う中で、調査票の回収後のデータ入力から公表に至るまでの期間が従前と比べ短縮可能かどうかについて検証し、その結果を踏まえ、次回の本調査(2018年調査)の企画までに、公表の早期化を検討する必要がある。

    (2)インターネットを用いた回答方式の利用向上に向けた対応策の検討
     インターネットを用いた回答方式(以下「オンライン調査」という。)については、前回(2008年)の本調査の際、事業所を対象とした流通加工調査(魚市場調査票及び冷凍・冷蔵、水産加工場調査票)において導入されたところであるが、その利用率は1%未満という極めて低い結果となっている。
     このため、今回の本調査でオンライン調査を実施する際に、利用促進が図られていない原因の把握を行い、次回の本調査(2018年調査)の企画までに利用向上に向けた対応策を検討する必要がある。

  2. (2は、ローマ数字) 漁業センサスの指定の変更(名称の変更)
    1 承認の適否
     基幹統計の名称を「漁業センサス」から「漁業構造統計」へ変更して差し支えない。

    2 理由等
     「漁業センサス」は、現在、基幹統計調査の名称であると同時に、基幹統計の名称でもあるが、新統計法では、統計とそれを作成する手段である統計調査とを概念上区分しており、基幹統計の名称を基幹統計調査の名称と同一にしておくことは適当でない。
     新たな基幹統計の名称については、「統計」と「調査」を区分する考え方を徹底する観点から、「調査」を意味する「センサス」という用語を含めることは適当でないことを勘案し、また、統計法の考え方に基づき基幹統計の名称を変更した過去の例も踏まえ、「漁業構造統計」とすることが適当である。

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