諮問第58号の答申 :公的統計の整備に関する基本的な計画の変更について

府統委第9号
平成26年1月31日


総務大臣
新藤 義孝  殿

統計委員会委員長   
樋口  美雄


諮問第58号の答申
公的統計の整備に関する基本的な計画の変更について


 本委員会は、諮問第58号による公的統計の整備に関する基本的な計画の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので答申する。



1 変更の適否
 諮問第58号による公的統計の整備に関する基本的な計画の変更については、下記「2 修正等が必要と考える箇所及び理由」で指摘した事項を修正等した上で、別添(PDF形式:397KB)PDFのとおりとすることが適当である。

2 修正等が必要と考える箇所及び理由
(1)第1−3「経済・社会の環境変化への的確な対応」
 経済・社会の環境への的確な対応については、「経済財政運営と改革の基本方針」(平成25年6月14日閣議決定。以下「骨太方針」という。)における実効性あるPDCAの実行に必要な統計整備を進めるため、「さらに、骨太方針における実効性あるPDCAの実行に資するため、既存統計の利活用を含め統計の作成及び提供を一層推進する。」を追加すべきである。(指摘箇所については別紙1(PDF形式:277KB)PDF参照。以下(8)まで同様)
 また、国民経済計算を始めとする各種統計において、平成26年4月以降の消費税率の引上げ等に適切に対応する必要があることから、「消費税率の引上げを始めとする経済環境の変化に適切に対応する。」を追加すべきである。

(2) 第2−1「(1) 国民経済計算の整備」
 国民経済計算の整備については、経済環境の変化への適切な対応を促すため、本文に「消費税率の引上げを始めとする経済環境の変化に適切に対応していくことに加え」を追加すべきである。
 また、ファイナンシャル・リースに関する基礎統計の整備については、我が国における93SNAへの対応時からの検討課題であり、内閣府が主体的に取り組むべき事項であることから、別表を「基礎統計についての有用性、必要性を整理した上で、基礎統計の整備状況を踏まえた推計手法を検討する。」に修正すべきである。
 さらに、国民経済計算及び産業連関表と一次統計との連携強化については、重要性や実現可能性等を踏まえ、優先順位を付けながら効果的かつ効率的に実施するため、別表の「協議、情報共有をする場を設け」の後に「優先順位・時間軸を念頭に」を追加すべきである。

(3) 第2−1「(2) 経済構造統計を軸とした産業関連統計の体系的整備」
 経済構造統計の整備は、第2(2はローマ数字)期基本計画においても経済統計における重要事項であり、その意義や目的をより明確にするため、本文に「従前、我が国の経済活動に関する統計調査は、産業分野ごとにそれぞれ異なる年次及び周期で実施されているだけでなく、近年比重を増しているサービス業が十分に整備されていなかったことにより、既存の大規模統計調査の結果を統合しても、同一時点における産業構造を包括的に捉えることができない状況であった。このような状況の中で創設された」を追加すべきである。
 また、平成28年経済センサス‐活動調査の円滑な実施に当たっては、調査期日の設定が重要であるため、本文に「報告者及び地方公共団体の負担や結果利用等に留意しつつ調査条件が良い時期に調査するなど」を追加すべきである。

(4) 第2−2「(1) 環境に関する統計の整備」
 エネルギーの取扱いに関する環境関連統計については、個別課題への対応に当たって、関係府省が連携して実施することによって整合性が確保されるものであることから、本文を「環境分野分析用産業連関表の整備を促進するために、総合エネルギー統計、産業連関表などの概念及び数値の整合的な分析が可能となるよう、加工統計間で連携を図る。」に修正した上で、当該別表を削除し、環境分野分析用産業連関表に関する検討について、別表に「関係府省の協力を得ながら」を追加すべきである。

(5) 第2−3「(2) 人口減少社会に対応した統計の整備」
 本項目は、第1(1はローマ数字)期基本計画における「少子高齢化等の進展やワークライフバランス等に対応した統計の整備」と「暮らし方の変化に対応した統計の整備」が統合されたものであるが、ワーク・ライフ・バランスの現状を的確に捉えることは引き続き重要であることから、項目名及び本文にワーク・ライフ・バランスを追加すべきである。
 また、国勢調査については、骨太方針におけるオンライン調査の徹底への対応とともに、調査票の記入が困難な報告者等にも配慮する必要があることから、別表を「国勢調査について、ICTや高齢化の進展等を踏まえ、オンライン調査の対象を全国に拡大するとともに、報告者の特性にも配慮した記入支援を行うなど、調査方法等の見直しを進める。また、調査結果について、一層の公表時期の早期化に努める。」に修正すべきである。
 さらに、現在推計人口の基幹統計化については、地方公共団体における推計との関係の整理が新たな推計方法に関する地方公共団体への周知であること等を踏まえ、別表から当該地方公共団体における推計との関係の整理に係る箇所を削除し、「集計の充実に向けて都道府県間移動等に係る外国人人口に関する新たな推計方法の検討を推進し、結論を得る。」と修正した上で、本文を「調査方法の見直し、公表時期の早期化及び地方公共団体への推計方法の周知等に努めるとともに」に修正すべきである。あわせて、別表の実施時期については、データ収集、推計方法の比較検証等に要する期間を考慮しても、平成28年度前半までに結論を得ることが可能と考えられることから、「平成28年度前半までに結論を得る。」に修正すべきである。

 (6) 第2−3「(4) 企業活動の変化や働き方の多様化等に対応した労働統計の整備」
 国際労働機関(ILO)における就業・失業等に関する国際基準の見直しを踏まえた対応については、今後、ILOにおいて定義変更に伴う実務マニュアルを作成する予定であること、また、失業率の算出方法の変更は社会的にも影響が大きいものであり、時系列比較の観点からも慎重な検討が必要であること、さらに、取組の明確化を図る観点から、別表を「ILOにおける就業・失業等に関する国際基準の見直しや今後の実務マニュアルの検討状況を踏まえ、失業者等の定義の変更や失業率を補う新たな指標の作成及び提供について、既存の研究結果や試験調査の実施等を含めた検討を行った上で、時系列比較の観点にも留意しつつ、国際基準に可能な限り対応した統計の作成及び提供に努める。」に修正すべきである。

(7) 第3−2「(1) 統計リソースの確保のための取組」
 統計リソースの確保のための取組については、各府省に共通する取組を一元的、効率的に推進するための方策として、独立行政法人統計センターの機能を活用することも視野に入れて、別表に「また、各府省を支援する観点から、調査票情報等の提供及び活用、政府統計共同利用システムを通じた情報提供機能の強化等に係る各府省に共通する取組(一般用ミクロデータ(仮称)の作成、オンサイト利用等による調査票情報の利用、API機能の提供のためのデータ登録等)のうち、専門的な技術や知見を要し、一元的な検討・実施が効果的かつ効率的な事項については、独立行政法人統計センターの機能を最大限活用できるよう措置する。」を追加すべきである。

(8) 第3−4「(1) 調査票情報等の提供及び活用」
 調査票情報等の提供及び活用については、諸外国におけるリモートアクセスの導入状況等も踏まえた上で、新たな利用方法への移行に向けて政府一体となった取組を行う必要があることから、本文を「調査票情報等の提供及び活用については、セキュリティレベルや調査票情報等の匿名性の程度に応じた利用形態ごとの特性、諸外国における取組状況等を総合的に勘案した上、法制度上の整理を含め、以下の取組を行う。その際、効率性及び利便性の観点から、政府一体として一元的な取組を推進する。」と修正した上で、以下の取組として、「1(1は丸の中に数字)オーダーメード集計における利用条件の緩和に向けた検討、2(2は丸の中に数字)調査票情報の提供におけるリモートアクセスを含むオンサイト利用やプログラム送付型集計・分析の実現に向けた整理・検討、3(3は丸の中に数字)匿名データの作成及び提供における提供対象統計調査の種類や年次の追加等によるサービスの充実」とするとともに、別表を「調査票情報の提供については、セキュリティ確保に万全を期す観点から、リモートアクセスを含むオンサイト利用やプログラム送付型集計・分析といった新たな利用方法の実現を目指し、役割分担の整理を含め、実用化に向けた検討を行う。」に修正すべきである。

(9) その他
 上記(1)〜(8)のほか、記載内容の明確化や表現の適正化等を図るため、別紙2(PDF形式:231KB)PDFのとおり修正する必要がある。