諮問第59号の答申 :造船造機統計調査の変更について

府統委第174号
平成25年12月13日


総務大臣
新藤 義孝  殿

統計委員会委員長   
樋口  美雄


諮問第59号の答申
造船造機統計調査の変更について


 本委員会は、諮問第59号による造船造機統計調査の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。



1 本調査計画の変更
(1)承認の適否
 平成25年10月9日付け国総情政第115号により国土交通大臣から申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」について審査した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件のいずれにも適合しているため、「造船造機統計調査」(基幹統計調査)(以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。

(2)理由等
ア 報告を求める事項の変更
(ア)変更事項1(調査項目の追加)
 本調査の報告を求める事項について、国土交通省の申請では、造船業の受注力強化を図る施策を展開するに当たり、その施策の評価指標として活用するため、造船調査票の区分欄の選択肢に「受注」を追加するとともに、「契約年月日」を追加し、船舶の受注状況(隻数、トン数等)を把握する計画である。
 これについては、我が国造船業が熾烈な国際競争を勝ち抜くため、国土交通省が実施する施策に資するものであること、利用者にとっても有用なものであること、把握は可能であり、記入に伴う報告者負担も大きくないものと認められることから、適当である。

(イ)変更事項2(調査項目の削除)
 本調査の報告を求める事項について、国土交通省の申請では、報告者負担の軽減を図るため、現在、調査票の内容審査の際に、船舶の特定のために活用している造船調査票の調査項目である「主機関」について、既存の他の調査項目(「建造許可番号」等)でも把握可能として削除する計画である。
 これについては、報告者負担の軽減が図られるものであり、適当である。

イ 集計事項の変更
(ア)変更事項1(集計事項の追加)
 本調査の集計事項について、国土交通省の申請では、上記(2)ア(ア)の調査項目の追加に伴い、「用途別・トン数階級別受注鋼船隻数及びトン数」に係る集計表を追加するとともに、鋼船建造実績に係る集計表に「受注隻数」及び「受注トン数」を追加する計画である。
 これについては、調査事項の追加に伴う変更であり、施策への活用のために必要な変更と認められることから、適当である。

(イ)変更事項2(集計事項の詳細化)
 本調査の集計事項について、国土交通省の申請では、造船業の受注力強化の施策の中で今後注力すべき船種を分析する必要があり、また、本調査の他の集計表において既に詳細な用途別区分(船種)で表章を行っていることに合わせて、利用者の利便性向上を図る観点から、鋼船実績に係る集計表の船舶の用途別区分を詳細化する計画である。
 これについては、集計区分によって報告数が僅少となり、公表時に報告者が特定されやすくなるおそれがあるものの、当該懸念については、1(1は丸の中に数字)調査実施者において、公表を行うことについて従来から報告者の理解を得ていることに加え、今回業界団体からも公表を行うことについて問題ない旨改めて確認されたこと、2(2は丸の中に数字)報告者負担が増加するものではないこと、3(3は丸の中に数字)利用者にとっても有用性が認められることから、適当である。

2 諮問第10号の答申「造船造機統計調査及び鉄道車両等生産動態統計調査の改正について」(平成20年12月22日付け府統委第140号)における今後の課題等への対応について
(1)本調査のうち造機調査における調査対象の把握方法の妥当性
 前回答申において、本調査のうち造機調査について、「現行の調査対象の把握で十全であるか明確ではないところがあり、調査対象名簿を工業統計調査及び事業所・企業統計調査等の名簿と照合し、本調査の対象とすべき事業所が網羅的に把握されているかを検証し、現行の把握方法の妥当性について検討する必要がある。」との指摘がされている。
 この指摘事項について、国土交通省では、次の理由から造機調査の調査対象の把握方法は妥当であると判断している。
1(1は丸の中に数字) 今回、改めて確認したところ、造機調査の調査対象の把握には、造船法第6条第1項第3号及び第4号の規定に基づく届出(船舶用推進機関及びボイラーの製造事業等の開始届)に加え、造船法施行規則第5条の規定に基づく報告(船舶用機関等施設状況報告書)も活用しており、当該報告で造機調査の調査対象の把握は可能であること。
2(2は丸の中に数字) 経済センサス−活動調査との照合でも、調査対象の漏れは確認できなかったこと。

 これについては、調査対象の把握漏れがないことが確認されたことから、適当である。


(2)本調査のうち造機調査における調査対象の基準の妥当性
 前回答申において、造機調査について、「調査対象を『常時10人以上の従業員を使用する事業所』としていることの妥当性について、統計需要及び報告者負担の両面から検討する必要がある。」との指摘がされている。
 この指摘事項について、国土交通省では、次の理由から、現行のとおり、調査対象を『常時10人以上の従業員を使用する事業所』とすることが妥当であると判断している。
1(1は丸の中に数字) 現行の調査対象について、製造高及び修繕高ともに9割以上を捕捉しているため、調査対象を拡大する必要性に乏しいこと。
2(2は丸の中に数字) 調査対象を現行よりも狭めた場合(例「常時20人以上の従業員を使用する事業所」に変更)、製造高の捕捉率の減少幅は小さいが、修繕高の捕捉率は大きく減少してしまうこと。

 これについては、統計需要及び報告者負担の観点から、現行の調査対象範囲が必要十分であるとする国土交通省の説明には一定の合理性があることから、適当である。

3 公的統計の整備に関する基本的な計画における指摘事項への対応状況
 本調査は、公的統計の整備に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)の別紙において、厚生労働省の「薬事工業生産動態統計調査」、農林水産省の「牛乳乳製品統計」及び「木材統計」、経済産業省の「経済産業省生産動態統計」、国土交通省の「鉄道車両等生産動態統計調査」とともに、「府省横断的な生産動態に関する(生産動態統計(仮称))を一つの基幹統計とし、その下で、それぞれ独自の調査項目、用語等の統一を図った上で、各省それぞれが所管する生産動態統計調査を実施する体系への再編を検討する。」とされている。
 当該指摘を踏まえ、関係府省で検討を行った結果、「生産動態統計の一元化に向けた取組について(平成24年4月27日生産動態統計の整備に関する検討会議了解)」(以下「検討会議了解」という。)において、次のとおり実施することとしている。

1(1は丸の中に数字)「生産」、「出荷」及び「在庫」について、各調査共通の集計事項とし、「生産動態統計」との名称で、各調査の集計結果とは別に「政府統計の総合窓口(e-stat)」に公表する。
 ただし、調査事項に該当するものがない又は記入者負担の軽減のために調査していない場合は、その旨の注意書きを記載する。
2(2は丸の中に数字) 「生産」、「出荷」、「在庫」等について、用語及び定義の統一化を図る。
 用語及び定義について異なるものを使用する場合は、その旨を各調査の用語解説等の中で補足説明を行う。

 上記の検討会議了解を受け、国土交通省では、本調査においては、次のとおり対応することとしている。
i  造船調査では、「しゅん工」を「生産」として表章する。
ii 造機調査では、「製造高」を「生産」、「在庫高」を「在庫」として表章する。
iii 調査事項に該当するものがない点(造船調査における「出荷」及び「在庫」、造機調査における「出荷」)、用語及び定義が異なる点については、注釈で説明する。

 これについては、基本計画及びその指摘を踏まえた検討会議了解に沿った対応であることから、適当である。