諮問第66号の答申 :学校基本調査の変更及び学校基本調査の指定の変更について

府統委第63号
平成26年7月14日


総務大臣
新藤 義孝  殿

統計委員会委員長   
にしむら きよひこ


諮問第66号の答申
学校基本調査の変更及び学校基本調査の指定の変更について


 本委員会は、諮問第66号による学校基本調査の変更及び学校基本調査の指定の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。



1(1はローマ数字) 本調査計画の変更
1 承認の適否
 総務大臣から諮問のあった平成26年5月12日付け総政企第85号の別添に付す平成26年4月21日付け26文科生第89号により申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審議した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の要件のいずれにも適合しているため、学校基本調査(基幹統計調査)(以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
 ただし、以下の「2 理由等」で指摘した事項については、計画を修正する必要がある。

2 理由等
(1)調査対象の範囲の変更
 本調査の調査対象として、本申請では、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(平成18年法律第77号)の改正法(以下「認定こども園法一部改正法」という。)に基づき、平成27年4月の創設が見込まれている就学前教育と保育を制度的に一体として提供する新たな幼保連携型認定こども園(以下「新幼保こども園」という。)を追加する計画である。
 これについては、新幼保こども園が、教育基本法(平成18年法律第120号)第6条第1項に規定する「法律の定める学校」の一つに位置付けられるため、調査対象に追加しようとするものであり、学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにするという本調査の目的にかなうものであることから、適当である。

(2)調査票「学校調査票(幼保連携型認定こども園)」の新設
 新幼保こども園については、他の学校種と同様、学校教育行政に係る基本的事項の把握が必要であることから、新たな調査票として「学校調査票(幼保連携型認定こども園)」(以下「こども園票」という。)を新設することとしている。こども園票では、調査事項として、
1(1は丸の中に数字)「3 設置者別」
2(2は丸の中に数字)「4 本園分園別」
3(3は丸の中に数字)「5 認可定員」
4(4は丸の中に数字)「6 利用定員」
5(5は丸の中に数字)「7 教員数」
6(6は丸の中に数字)「8 職員数(本務者のみ)」
7(7は丸の中に数字)「9 「7」の本務者のうち休職等教員数(再掲)」
8(8は丸の中に数字)「10 「7」及び「8」の本務者のうち産休代替等教職員数(再掲)」
9(9は丸の中に数字)「11 学級別年齢別在園者数(1号認定及び2号認定)」
10(10は丸の中に数字)「12 年齢別在園者数(3号認定)」
11(11は丸の中に数字)「13 修了者数」
の11事項を設定することとしている。
 このうち、1(1は丸の中に数字)、2(2は丸の中に数字)、9(9は丸の中に数字)及び10(10は丸の中に数字)の事項については、学校教育を提供する基本的な事項等として、当該施設の設置者の種別、本園・分園の別、教育又は保育の対象なる園児数を把握するために設けるものであり、これらにより得られるデータは、新幼保こども園に関する設置主体等別の各種分析や新幼保こども園における就学前教育及び保育サービスの提供状況の実態把握等の上で有用なものと認められることから、当該調査事項の設定は適当である。
 一方、残りの事項に関する審議結果は、以下のとおりである。

ア 「5 認可定員」及び「6 利用定員」
 こども園票の調査事項の一つとして、本申請では、表1及び表2のとおり、新幼保こど も園の認可定員及び利用定員に関する調査事項を設ける計画である。
表1
申請案
5 認可定員

表2
申請案
6 利用定員

 これらのうち、認可定員については、都道府県知事など新幼保こども園の設置認可権者による認可上、受入れ可能な園児数の上限を把握するため、また、利用定員については、新幼保こども園の所在市町村が、当該こども園に対し財政支援措置として施設型給付費を支給するに当たり、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に基づき子どもの区分(年齢及び保育の必要性の有無により1号認定から3号認定までの3区分)ごとに定める定員(支給対象園児数)を把握するために設けるものである。
 これらにより得られるデータは、就学前教育及び保育サービスの需給関係を分析するに当たり、新幼保こども園が、認可基準等を踏まえ供給可能なサービス量として利用されるものであることから、当該調査事項の設定はおおむね適当である。
 ただし、認可定員については、新幼保こども園全体の定員とされているが、子どもの区分別の園児数により必要な教員数等も異なってくることから、就学前教育及び保育サービスの需給関係のより適切な分析を行うため、表3のとおり、利用定員と同様、子どもの区分別の把握が可能となるよう修正する必要があることを指摘する。

表3
申請案(再掲)統計委員会修正案
5 認可定員 5 認可定員(区分別の把握)

イ 「7 教員数」
 こども園票の調査事項の一つとして、本申請では、表4のとおり、新幼保こども園の職種別教員数に関する調査事項を設ける計画である。
表4
申請案
7 教員数
 これについては、他の学校種に係る学校調査票と同様、学校教育を提供する施設に係る基本的事項として、認定こども園法一部改正法により新幼保こども園の必置職員とされている職種等の区分別に教員数を把握するために設けるものである。
 これにより得られるデータは、新幼保こども園における人的体制の実態把握・分析の上で有用なものと認められることから、当該調査事項の設定はおおむね適当である。
 ただし、保育士については、本調査事項の調査対象とされておらず、次の調査事項である「8 職員数」において常勤者のみが調査対象とされている。しかし、新幼保こども園による保育の提供に当たっては、近年の保育ニーズの増加に対応するため、短時間勤務の非常勤保育士を雇用するケースが多いものと考えられるため、表5のとおり、保育士を本調査事項の調査対象教員の一つに位置付け、かつ非常勤保育士の把握が可能となるよう職種区分を修正する必要があることを指摘する。
表5
申請案(再掲)
7 教員数
統計委員会修正案
7 教員・保育職員数

ウ 「8 職員数」
 こども園票の調査事項の一つとして、本申請では、表6のとおり、新幼保こども園の職種別職員数に関する調査事項を設ける計画である。
表6
申請案
8 職員数(本務者のみ)
 これについては、他の学校種に係る学校調査票と同様、学校教育を提供する施設に係る基本的事項として、認定こども園法一部改正法により新幼保こども園に置くことができることとされている職種等の区分別に職員数を把握するために設けるものである。
 これにより得られるデータは、新幼保こども園における人的体制の実態把握・分析の上で有用なものと認められることから、当該調査事項の設定はおおむね適当である。
 ただし、保育士については、前述イのとおり、「7 教員数」において調査対象教員の一つに位置付けることとし、表7のとおり、本調査事項の調査対象職員から削除する必要があることを指摘する。
 また、本調査事項の調査対象職員については、常勤職員(本務者)のみとされているが、人材確保上の事情や業務の性質上の理由から、非常勤職員を雇用して対応するケースが多いものと考えられるため、できるだけ早期に、非常勤職員を把握する必要がある(後述3−(1)参照)。
表7
申請案統計委員会修正案
8 職員数(表頭の保育士に赤い枠線) 8 職員数(保育士の欄を削除)
保育士は
「7 教育・保育職員数」
(4ページ表5参照)にて
把握

エ 「9 休職等教員数」及び「10 産休代替等教職員数」
 こども園票の調査事項の一つとして、本申請では、表8及び表9のとおり、新幼保こども園の休職等職員数及び産休代替等教職員数に関する調査事項を設ける計画である。
表8
申請案
9 「7」の本務者のうち休暇等教員数(再掲)

表9
申請案
10 「7」及び「8」の本務者のうち産休代替等休暇等教職員数(再掲)
 これらについては、疾病等により休職している教員や産休者の代替教職員を調査し、新幼保こども園における人的資源をより正確に把握するために設けるものである。
 これらにより得られるデータは、新幼保こども園における人的体制の実態把握・分析の上で有用なものと認められることから、当該調査事項の設定はおおむね適当である。
 ただし、「休職等職員数」については、近年の少子高齢化等の進展を踏まえ、できるだけ早期に、休職等理由区分に関し独立した区分としての「結核」の削除や「介護休暇」の追加等の見直しを行うとともに、休職等教員数を男女別に把握する必要がある(後述3−(2)参照)。

オ 「13 修了者数」
 こども園票の調査事項の一つとして、本申請では、表10のとおり、新幼保こども園の修了者数に関する調査事項を設ける計画である。
表10
申請案
13 修了者数(平成27年3月修了者)
 これについては、新幼保こども園を修了した園児数を把握するために設けるものであり、これにより得られるデータは、新幼保こども園における就学前教育サービスの提供状況の実態を把握する上で有用なものと認められることから、おおむね適当である。
 ただし、平成27年3月修了者については、新幼保こども園の前身の施設においての修了者となり、前身の施設が幼稚園であった場合にのみ、その修了者が対象となるが、新幼保こども園の前身施設が必ずしも幼稚園とは限らず、報告者の混乱を招くおそれがある。このため、平成27年度の本調査において、新幼保こども園の前身の施設が幼稚園である 場合の平成27年3月修了者については、別途、本調査の「学校調査票(幼稚園)」で把握することとし、本調査事項については、該当者に関する記載(平成27年3月修了者)を削除した上で平成28年度の本調査から使用することとするよう変更する必要があることを指摘する。

(3) 調査事項の主な変更
ア 学校施設調査票(高等学校等)
 調査対象学校施設の学校種別等に係る調査事項について、本申請では、表11のとおり「5 学校種別」の選択肢に「8 幼保連携型認定こども園」を追加し、また、表12のとおり「7 私立幼稚園の設置者種別」の調査事項名を「7 私立の幼稚園又は幼保連携型認定こども園の設置者別」に変更するとともに、選択肢に「2 社会福祉法人立」を追加する計画である。
表11
現行変更案
5 学校種別 5 学校種別(8 幼保連携型認定こども園が追加)

表12
現行変更案
7 私立幼稚園の設置者別 7 私立の幼稚園又は幼保連携型認定こども園の設置者別(2 社会福祉法人立を追加)
 これらについては、新幼保こども園について、他の学校種と同様、学校教育を提供する施設に係る基本的事項として施設の概要を把握するため、「学校施設調査票(高等学校等)」の調査対象とすることとし、それに伴いフェース事項の変更を行うものである。
 これらにより得られるデータは、新幼保こども園の施設の実態把握や当該施設についての幼稚園や保育所のものとの比較分析に有用なものと認められることから、当該変更は適当である。

イ 学校調査票(大学)学部学生内訳票
 大学学部等への入学者数に係る調査事項について、本申請では表13及び表14のとおり「高等学校卒業年度別入学者数」等を削除し、これに代わり「年齢別入学者数」を追加するとともに、表15のとおり、「5 学科別学生数」欄に「入学志願者数」を追加する計画である。
表13
現行
9 入学状況
変更案
(削除)

表14
現行
(新規)
変更案
9 年齢別入学者数(8の再掲)(注)5月1日現在の年齢とする

表15
現行
9 入学状況
変更案
5 学科別学生数

 これらのうち、「高等学校卒業年度別入学者数」等の削除及び「年齢別入学者数」の追加については、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、人材力の強化方策として「社会人の学び直しの推進」が重要課題の一つとして位置付けられたことから、社会人学生の実態を把握するため、大学学部等への入学者数の把握に当たり、高等学校卒業年度別から年齢別に変更するものである。
 これにより得られるデータは、今後の社会人の学び直しの推進方策に関する検討に資するものと認められることから、当該削除等はおおむね適当である。
 ただし、「年齢別入学者数」の年齢階級区分のうち「55歳〜60歳」及び「61歳以上」については、近年の急速な高齢化の進行や生涯学習の推進等の点を踏まえ、できるだけ早期に、「55歳〜59歳」、「60歳〜64歳」及び「65歳以上」との形で、当該区分の修正及び上限の引上げを行う必要がある(後述3−(3)参照)。
 また、「5 学科別学生数」欄への「入学志願者数」の追加については、現在、経済協力開発機構(以下「OECD」という。)では、加盟各国が経済発展に効果的な高等教育の提供方策を検討するに当たり参考となる指標の開発を検討しており、平成27年後半に、当該開発に必要な加盟各国における高等教育の需給バランス(入学志願者数と入学定員との関係)に関する調査を行う予定であることから、当該調査への対応等のため追加するものである。
 これについては、高等教育の提供方策に関する国際比較に寄与するものと認められること等から、当該追加は適当である。

ウ 卒業後の状況調査票(高等学校 全日制・定時制)等
 中等教育学校及び高等学校の卒業者の就職状況に係る調査事項について、本申請では、表16のとおり、「状況別卒業者数」の「就職者」を「正規の職員・従業員、自営業主等」と「正規の職員等でない者」に分割する計画である。
表16
現行
9 状況別就業者数
変更案
9 状況別就業者数
 これについては、近年の非正規雇用者の増加を踏まえ、若年雇用者の就業形態を正規・ 非正規別に把握するために変更するものである。
 これにより得られるデータは、今後の若年者雇用対策の検討に資するものと認められる ことから、当該変更は適当である(後述(6)参照)。

(4)調査方法の変更
 調査計画における「13 その他(東日本大震災に伴う計画の一部変更)」中の「報告を求める期間」の変更」に関する規定について、本申請では、削除する計画である。
 当該規定は、岩手県、宮城県及び福島県(以下「東北3県」という。)について、平成23年の東日本大震災の被害が甚大であったことに鑑み、平成23年の本調査の実施時に、東北3県における初等中等教育機関(小学校等)の長を報告者とする調査票(「学校調査票(小学校)」等)の提出期日を、「8月1日以降から10月31日までの間で県知事又は市町村長が定める期日」と、他の都道府県の場合(調査期日以降から6月25日までの間で都道府県知事又は市町村長が定める期日)より遅い時期に変更するため設けたものである。
 しかしながら、現在は、東北3県においても他の都道府県と同様の日程で本調査を実施することが可能となったため当該規定を削除するものであり、東日本大震災の影響が学校基本調査の実施に当たっては、解消されたことによる変更であることから、適当である。

(5)集計事項の変更
ア こども園票の新設等に伴う変更
 今回、文部科学省は、こども園票の新設及び既存調査票の調査事項の変更に伴い、関連する集計事項の追加・変更を行う計画である。
 これについては、新たに創設される新幼保こども園の人的体制や教育等サービスの実施状況等の実態が把握され、幼稚園など他の学校種との比較分析を行うこと等により、学校教育行政等に資するものと認められることから適当である。

イ 地方公共団体の行政ニーズに対応した集計表の作成に伴う変更
 今回、文部科学省は、現在、「学校調査票(小学校)」及び「同(中学校)」による調査 結果に基づき、全国及び都道府県別表章による作成している1(1は丸の中に数字)教務主任等の人数、2(2は丸の中に数字)産休代替教員数等、3(3は丸の中に数字)単式学級児童数、4(4は丸の中に数字)複式学級児童数、5(5は丸の中に数字)特別支援学級児童数に係る集計票について、新たに市町村別表章によるものを作成することを計画している。
 これについては、1(1は丸の中に数字)地方公共団体において、教員体制の充実や学級編成の見直し等のため、上記事項の市町村別表章による集計表に対する行政ニーズが非常に強く、その作成・提供は地方公共団体における学校行政に寄与するものと認められること、2(2は丸の中に数字)市町村別表章による集計表を作成した際、報告者(学校)が所在する市町村の人口規模が小さなこと等から報告者(学校)が特定され、当該学校の在学者等に不利益がある場合には、必要な秘匿措置を講じることとしていることから、適当である。

(6)平成24年度調査の実施に係る調査計画の変更(軽微変更)時の「今後の課題」への対応状況について
 本調査については、平成24年度調査の実施に係る調査計画の変更(軽微変更)に係る総務省の承認時(平成23年7月11日承認)において、近年の企業間競争の激化や就労意識の多様化等に伴い非正規雇用者が増加していることを踏まえ、若年者雇用対策の検討に資するデータを得る必要性が高いと判断されたことから、中学校、中等教育学校及び高等学校の卒業者の就業形態を正規・非正規別に把握することが「今後の課題」として指摘されている。
 これを踏まえ、文部科学省は、当該課題への対応を検討した結果、中等教育学校及び高等学校の卒業者については、今回、前述(3)−ウのとおり、「卒業後の状況調査票(高等学校 全日制・定時制)」等の中の「就職者」を「正規の職員・従業員、自営業主等」と「正規の職員等でない者」に分割し、その就業形態を正規・非正規別に把握することとしており、総務省の承認時の指摘への対応として一定程度評価できる。
 一方、中学校の卒業者については、このうち就職した者が極めて少ないこと等から、本調査において、就職者の正規・非正規別の把握は行わないこととしており、必ずしも十分な対応となっていない。
 これについては、若年者雇用対策が重要な課題になっていること等を踏まえると、学校卒業後の就業形態のより詳細な把握は、卒業した学校種や該当者数の多寡にかかわらず非常に重要であると考えられるため、できるだけ早期に、本調査において、中学校卒業者の就業形態の正規・非正規別の把握を行う必要がある(後述3−(4)関連)。

3 今後の課題
(1)こども園票の「職員数」における非常勤職員の把握について
 こども園票の「職員数」において調査対象とする職員(事務職員、養護職員、警備員等)については、常勤職員(本務者)のみとされている。
 しかしながら、新幼保こども園においては、人材確保上の事情から非常勤で雇用される事務職員や、業務の性格上、必要な時期・時間が限定されているため非常勤で雇用される看護士などの非常勤職員が多く雇用され、こうした非常勤職員は新幼保こども園の運営に大きな 役割を果たすものと考えられる。
 このため、文部科学省は、新幼保こども園全体の人的リソースの的確な把握の観点から、他の学校種の調査票における関連調査事項との整合性等も勘案しつつ、遅くとも平成30年度の本調査(以下「平成30年度調査」という。)を目途として、非常勤職員を把握する必要がある。

(2)「休職等教員数」における休職等理由区分等の見直しについて
 こども園票において把握する「休職等教員数」については、休職等理由区分が「職務上の負傷疾病」、「結核」、「その他」及び「育児休業」となっており、また把握単位も男女を合計した人数とされている。
 しかしながら、休職等理由区分については、独立した区分となっている「結核」の場合、近年、教員の罹患者が毎年数人程度と極めて少ない一方、高齢化の進行とともに増加していると考えられる「介護休業」は、独立した区分が設けられていない。また、ワーク・ライフ・バランスの政策的・社会的重要性を踏まえると、休職等教員数の男女別人数は基本的かつ重要な情報であると考えられる。
 このため、文部科学省は、少子高齢化等の進展への対応の観点から、他の学校種の調査票における関連調査事項との整合性等も勘案しつつ、遅くとも平成30年度調査を目途として、休職等理由区分について、独立した区分の「結核」を削除することや「介護休業」を追加することなど当該区分の見直しを行うとともに、休職等教員数を男女別に把握する必要がある。

(3)「年齢別入学者数」の年齢階級区分の細分化等について
 今回、社会人学生の実態把握を目的として、学校調査票学部学生内訳票等に追加される「年齢別入学者数」における年齢階級区分については、55歳以上の場合、「55歳〜60歳」及び「61歳以上」とされている。
 しかしながら、年齢階級区分については、各種統計上、5歳階級でくくるのが一般的であるが、本調査の場合「55歳〜60歳」のみが6歳階級でくくられている。また、近年、高齢化が急速に進行していることや政策的に生涯学習が推進されていることから、高齢の社会人学生が増加しつつあり、その傾向は今後、ますます強まるものと考えられる。
 このため、文部科学省は、他統計との比較の確保や高齢化の進行等への対応の観点から、遅くとも平成29年度調査を目途として、「55歳〜60歳」を、「55〜59歳」と5歳階級へ変更するとともに、「61歳以上」を「60〜64歳」及び「65歳以上」へと上限の引上げを行う必要がある。

(4)中学校卒業生の就職者の正規・非正規別の把握について
 本調査においては、労働市場に労働者を供給する中学校以上の各学校種のうち、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校については、平成24年度調査から卒業者の就業形態に関する正規・非正規別の把握が行われており、さらに、今回の変更により、中等教育学校及び高等学校についても、平成27年度調査から当該把握が行われることとされている一方、中学校については、卒業者のうち就職した者が極めて少ないこと等から、当該把握が行われることとされていない。
 しかしながら、1(1は丸の中に数字)近年、特に若年層において労働者に占める非正規労働者の比率が大きく上昇しており、学卒者が初職で正規労働者として円滑に就職できるよう支援することが重要な課題となっていること、2(2は丸の中に数字)低学歴者ほど正規労働者に就職できる比率が低く当該支援の必要性が高いこと等を踏まえると、学校卒業後の就業形態が正規職員か非正規職員かといった実態は、卒業した学校種や該当者数の多寡にかかわらず重要な情報であると考えられる。
 このため、文部科学省は、若年者雇用対策の検討に必要なデータの把握の観点から、遅くとも平成29年度調査を目途として、中学校卒業者の就業形態の正規・非正規別の把握を行う必要がある。

(5)新幼保こども園を対象とする他の統計調査との関係について
 新幼保こども園は、教育と保育を制度的に一体として提供する施設であることから、関係法令上、学校であると同時に児童福祉施設の性格も有しているため、平成27年度以降、本調査の他に、厚生労働省が毎年実施している社会福祉施設等調査(一般統計調査)においても調査対象となる予定である。
 両調査については、調査目的や調査期日(本調査は5月1日現在、社会福祉施設等調査は10月1日現在)が異なるものの、調査事項は、本調査では新幼保こども園全体に関する事項である一方、社会福祉施設等調査では保育関連部分に関する事項となっていることから、両調査に関連する調査事項の役割分担の明確化等の調整措置を通じて、調査実施の効率化及び報告者負担の軽減を図る余地があるものと考えられる。
 しかしながら、両調査における調査事項については、教育及び保育行政上の当面の施策(待機児童解消のための保育士の確保等)の推進及び制度改正前後の実態把握を含む調査結果の時系列データが必要であること等から、直ちに当該調整措置が講じられないことはやむを得ない。
 このため、文部科学省は、厚生労働省と連携しつつ、調査実施の効率化及び報告者負担の軽減の観点から、両調査の時系列データが一定程度蓄積される平成32年度調査を目途として、当該調整措置を実施する必要がある。


2(2はローマ数字) 学校基本調査(基幹統計)の指定の変更(名称の変更)
1 承認の適否
 総務大臣から諮問された学校基本調査の指定の変更(名称の変更)について審査した結果、以下の理由から、指定を変更して差し支えない。

2 理由等
 「学校基本調査」は、現在、基幹統計調査の名称であると同時に、基幹統計の名称でもあるが、統計法では統計とそれを作成する手段である統計調査とを概念上区分しており、基幹統計の名称を基幹統計調査の名称と同一にしておくことは適当でない。
 新たな基幹統計の名称については、「統計」と「統計調査」を区分する考え方を徹底する観点から、「調査」という用語を含めることは適当でないことを勘案し、また、法の考え方に基づき基幹統計の名称を変更した過去の例も踏まえ、「学校基本統計」とすることが適当である。