諮問第73号の答申 :社会教育調査の変更及び社会教育調査の指定の変更について

府統委第5号
平成27年1月29日


総務大臣
山本 早苗 殿

統計委員会委員長   
にしむら きよひこ


諮問第73号の答申
社会教育調査の変更及び社会教育調査の指定の変更について

 本委員会は、諮問第73号による社会教育調査の変更及び社会教育調査の指定の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。

1(1はローマ数字) 本調査計画の変更
1 承認の適否
 総務大臣から諮問のあった平成26年10月20日付け総政企第209号の別添に付す平成26年10月1日付け26文科生第356号により申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審議した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の要件のいずれにも適合しているため、「社会教育調査」(基幹統計調査)(以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
 ただし、以下の「2 理由等」で指摘した事項については、計画を修正する必要がある。

2 理由等
(1)調査対象の範囲の変更等
ア 女性教育施設調査票
 女性教育施設調査票の調査対象となる属性的範囲に係る規定について、本申請では、表1のとおり「一般社団法人・一般財団法人(特例民法法人を含む。)」を「一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人」に変更する計画である。
 これについては、平成20 年12 月1日に公益法人関連三法(注)が施行され、新たな公益法人制度が創設されたことに伴い、民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された社団法人又は財団法人が、当該施行日から起算して5年を経過する日までの期間中に、公益社団法人若しくは公益財団法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人に移行することとなったことにより、調査対象の属性的範囲に係る規定を変更するものであり、適当である。
(注)
1(1は丸の中に数字) 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)
2(2は丸の中に数字) 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)
3(3は丸の中に数字) 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)

表1
変更案現行
3 調査対象の範囲
(2)属性的範囲
6(6は丸の中に数字) 女性教育施設調査票
 女性又は女性教育指導者のために各種の研修又は情報提供等を行い、あわせてその施設を女性の利用に供する目的で、地方公共団体、独立行政法人又は一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人が設置した社会教育施設
3 調査対象の範囲
(2)属性的範囲
6(6は丸の中に数字) 女性教育施設調査票
 女性又は女性教育指導者のために各種の研修又は情報提供等を行い、あわせてその施設を女性の利用に供する目的で、地方公共団体、独立行政法人又は一般社団法人・一般財団法人(特例民法法人を含む。)が設置した社会教育施設

イ 文化会館調査票
 文化会館調査票について、本申請では、平成24年に劇場、音楽堂等の活性化に関する法律(平成24年法律第49号)が施行されたことを踏まえ、その名称を「劇場、音楽堂等調査票」に改めるとともに、表2のとおり、調査対象の属性的範囲に係る規定中の施設の名称を変更する計画である。
 これについては、劇場、音楽堂等の活性化に関する法律の規定に沿って、調査票の名称や調査対象の属性的範囲に係る規定を変更するものであり、適当である。

表2
変更案現行
3 調査対象の範囲
(2)属性的範囲
8(8は丸の中に数字) 劇場、音楽堂等調査票
 地方公共団体、独立行政法人又は民間が設置する劇場、音楽堂等(劇場、音楽堂、文化会館、市民会館、文化センター等)で座席数300以上のホールを有するもの
3 調査対象の範囲
(2)属性的範囲
8(8は丸の中に数字) 文化会館調査票
 地方公共団体、独立行政法人又は民間が設置する文化会館(劇場、市民会館、文化センター等)で座席数300以上のホールを有するもの

(2)報告を求める事項の変更
ア 社会教育行政調査票等
(ア)教育委員会事務局の社会教育関係職員数(社会教育行政調査票)
 都道府県又は市町村教育委員会事務局の社会教育関係の職員数に係る調査事項について、本申請では、表3のとおり、
1(1は丸の中に数字) 現行では「課長」の内数として「社会教育主事」の発令者の人数のみを把握しているが、これについて「課長」の内数として「社会教育主事の資格を有する者」の人数に係る把握事項を追加し、更にその内数として社会教育主事の「発令者」の人数を把握する形に変更すること
2(2は丸の中に数字) 「その他の職員(事務職員等)」について、その内数として「社会教育主事の資格を有する職員」の人数を把握するための事項を追加すること
を計画している。
 これらについては、近年、社会教育に関する専門知識を有する社会教育主事が地方公共団体の財政上の制約から減少しつつあり、社会教育行政の専門性の確保が重要となっていることから、教育委員会事務局における社会教育主事の有資格者の実態を把握するため、追加するものである。
 これにより得られるデータは、今後の教育委員会における社会教育体制の充実を図る施策の立案に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、調査票の様式上、「課長」の区分内に、内数として社会教育主事の発令者数を把握する欄が設けられることとなる一方、別途「社会教育主事」の区分も設けられており、社会教育主事数が両方の区分で重複して報告されるおそれがあることから、それを防止するため、「社会教育主事」の区分により報告する社会教育主事数は、「課長」の内数として報告する社会教育主事数を除くことを注書きや記入の手引などで明示する必要があることを指摘する。

表3
変更案現行
社会教育関係職員数 変更案 社会教育関係職員数 現行

(イ)社会教育委員数(社会教育行政調査票)
 社会教育法(昭和24年法律第207号)に基づいて置かれた社会教育委員の委員数に係る調査事項について、本申請では、表4のとおり、関係者区分として、既存の「学校教育関係者」等4区分に加え、新たに「その他条例で定める者」を追加する計画である。
 これについては、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成25年法律第44号。平成26年4月1日施行)により、社会教育法の一部改正が行われ、これまで同法で定めていた社会教育委員の委嘱の基準が削除されるとともに、当該委嘱の基準は文部科学省令で定める基準(従前の社会教育法の規定と同様、上記の4区分のいずれかに該当する者の中から教育委員会が委嘱することとするもの)を参酌して地方公共団体の条例で定めることとされたことから、条例により上記の4区分に該当する者以外の者も社会教育委員に委嘱されることが可能となったため、区分の追加を行うものである。
 これにより得られるデータは、社会教育委員制度の整備・充実に関する今後の検討等に資するものと認められることから、当該追加は適当である。

表4
変更案現行
社会教育委員数 変更案 社会教育委員数 現行

(ウ)関係法人数(社会教育行政調査票)
 都道府県教育委員会が所管する生涯学習又は社会教育の振興を目的として設置されている実法人数に係る調査事項について、本申請では、表5のとおり、削除する計画である。
 これについては、前述ア(ア)の新たな公益法人制度の創設に伴い、
1(1は丸の中に数字) 当該制度の創設後、新設された一般社団法人及び一般財団法人に関しては、都道府県による監督が行われないこととなり、都道府県で法人数の把握が困難となったこと
2(2は丸の中に数字) 公益社団法人及び公益財団法人に関しては、これらの法人から都道府県に提出された事業報告等のデータが、国(内閣府)及び都道府県公式の総合情報サイトである「公益法人information」において整理されており、これにより、都道府県別・事業の種類別の法人数の把握が可能であること
3(3は丸の中に数字 平成20年度以降、文部科学省からこれらの関係法人に対する支援措置が講じられておらず、同省の施策への活用上、当該調査事項を削除しても特段の支障が生じないこと
から、当該削除は適当である。

表5
変更案現行
(削除) 関係法人数 現行

(エ)情報提供方法
a 選択肢の表記の変更(全調査票)
 調査対象施設等における社会教育事業の実施状況等に係る調査事項について、本申請では、一般の人々に対する情報提供方法を把握する設問の選択肢のうち「情報システムネットワーク」を「情報ネットワーク」に、また、「ポスター・パンフレット」を「機関紙(パンフレット)等」に改める計画である。
 これらについては、
1(1は丸の中に数字) 「情報システムネットワーク」に関しては、「システム」との文言により、特段の情報システムが必要なものとの誤解が生じるおそれがあること
2(2は丸の中に数字) 「ポスター・パンフレット」に関しては、本選択肢の中に機関紙が含まれることが明確ではないこと
から、報告者の誤解の防止及び報告の正確性の確保のため変更するものであり、おおむね適当である。
 ただし、「情報ネットワーク」については社会教育行政調査票では具体的な内容(ホームページ等)を知ることができる補問が設定されず分かりにくいため、また、「機関紙(パンフレット)等」については、博物館などでは、ポスターによる情報提供が伝統的な手法となっていることに鑑み、表6のとおり、前者は「情報ネットワーク(ホームページ、メールマガジン、ソーシャルメディア)」へ、後者は「機関紙、ポスター、パンフレット等」へ修正する必要があることを指摘する。

表6
統計委員会修正案変更案現行
情報提供方法 統計委員会修正案 情報提供方法 変更案 情報提供方法 現行
(注)統計委員会修正案のうち「情報ネットワーク」から「情報ネットワーク(ホームページ、メールマガジン、ソーシャルメディア)」への修正は、社会教育行政調査票のみを対象とするものである。

b 補問の選択肢の追加(公民館調査票等の8調査票(注)
 情報提供方法に関する設問のうち「情報システムネットワーク」を選択した場合の補問について、本申請では、選択肢として「ホームページ」のほか、「メールマガジン」及び「ソーシャルメディア」を追加することを計画している。
 これについては、近年の情報通信技術の進展により、社会教育施設が、ホームページのみならず、メールマガジン等を利用して情報提供を行っているケースが増えつつあるものと考えられることから、その実態を把握するため、追加するものである。
 これにより得られるデータは、社会教育施設における情報通信技術を活用した、より積極的な情報発信を促進するための施策の検討・立案に資するものと認められることから、当該追加は、おおむね適当である。
 ただし、補問において、「a ホームページ」、「b メールマガジン」及び「c ソーシャルメディア」の各選択肢につき複数回答可であることが分かりにくいことから、表7のとおり、その旨調査票に明示する必要があることを指摘する。

(注)公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、青少年教育施設調査票、女性教育施設調査票、体育施設調査票、文化会館調査票及び生涯学習センター調査票の8調査票

表7
統計委員会修正案変更案現行
補問の選択肢 統計委員会修正案 補問の選択肢 変更案 補問の選択肢 現行

c 選択肢の追加(公民館調査票、博物館調査票及び女性教育施設調査票)
 情報提供方法に関する設問の選択肢について、本申請では、「学習相談事業」を追加することとしている。
 これについては、公民館等が一般の人々から学習に関する各種相談を受ける中で、学習に関する情報提供を行うケースも多いことから、追加するものである。
 これにより得られるデータは、今後の効果的な情報提供方法の検討に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、「学習相談事業」という表記については、別途実施している特定の事業との紛れが生じるおそれがあるため、表8のとおり、「学習相談」との表記に修正する必要があることを指摘する。

表8
統計委員会修正案変更案現行
学習相談事業 統計委員会修正案 学習相談事業 変更案 学習相談事業 現行

(オ)指導者研修(社会教育行政調査票及び生涯学習センター調査票)
 社会教育の指導者を対象として実施した研修の実施件数及び参加者数に係る調査事項について、現行では「行政職員対象(社会教育主事等)」、「施設職員対象(公民館主事等)」及び「有志指導者対象(民間団体等の指導者)」の区分ごとに当該実施件数等を把握しているが、本申請では、これらの3区分を削除する計画である。
 これについては、上記研修は、3区分の職員等を対象に一括した形で実施され、当該区分ごとの正確な実施件数等の報告を受けることが困難な場合があるため、当該削除を行うこととしているものである。
 しかしながら、
1(1は丸の中に数字) 上記研修のうち、「行政職員対象(社会教育主事等)」及び「施設職員対象(公民館主事等)」は公務員を対象としている一方、「有志指導者対象(民間団体等の指導者)」は民間人を対象としており、両者は研修の性格が異なるものであること
2(2は丸の中に数字) 行政職員や施設職員を対象とした研修は、社会教育法に基づくものであり、その実施状況は行政が実施する社会教育活動の質の確保に関わる重要なデータであること
から、表9のとおり、3区分を削除せず、引き続き3区分別に実施件数等を把握する必要があることを指摘する。

表9
統計委員会修正案変更案現行
学習相談事業 統計委員会修正案 学習相談事業 変更案 学習相談事業 現行

イ 公民館調査票等
(ア)指定管理の相手先(公民館調査票等の8調査票(注)
 公立の施設であって、地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づき管理者が指定(以下「指定管理」という。)されている場合の当該管理者(以下「指定管理者」という。)の法人種別に係る調査事項について、本申請では、その選択肢のうち現行の「地方公共団体を指定」を削除する一方、「地縁による団体(自治会、町内会等)を指定」を追加する計画である。
 このうち、「地縁による団体(自治会、町内会等)を指定」の追加については、前回の平成23年度調査(以下「前回調査」という。)において「その他を指定」との選択肢を選択した報告者の一部を対象として、文部科学省が指定管理者の法人種別の内訳を調査した結果、地縁による団体の出現率が高かったことによるものであり、これにより得られるデータは、指定管理の相手先の実態のより詳細な把握に資するものと認められることから、当該追加は適当である。
 一方、「地方公共団体を指定」の削除については、過去3回の本調査(平成17年、20年及び23年に実施。以下同じ。)の結果において時系列に大きな変化がみられず、一定の傾向が把握されたことから削除することとしているものだが、その結果、地方公共団体が指定されているケースが「その他を指定」に含まれた場合、「その他を指定」の中から「地縁による団体を指定」が特出しされたこととあいまって、これまでの調査結果との時系列比較が難しくなるため、表10のとおり、削除せず、引き続き当該選択肢による把握を行う必要があることを指摘する。

(注)公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、青少年教育施設調査票、女性教育施設調査票、体育施設調査票、文化会館調査票及び生涯学習センター調査票の8調査票

表10
統計委員会修正案変更案現行
指定管理の相手先 統計委員会修正案 指定管理の相手先 変更案 指定管理の相手先 現行

(イ)職員数(公民館調査票)
 公民館の職員数に係る調査事項について、本申請では、「館長又は分館長」、「公民館主事」及び「その他の職員」の3区分別の職員数の合計欄を設けた上で、その内数として「社会教育主事有資格者数」を把握する区分を追加する計画である。
 これについては、前述ア(ア)のとおり、社会教育行政の専門性の確保が重要となっていることから、公民館における社会教育主事の有資格者の実態を把握するため、追加するものである。
 これにより得られるデータは、今後の公民館の職員体制の充実を図る施策の立案に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、「うち社会教育主事有資格者数」との区分の表記については、表11のとおり、社会教育行政調査票における同種の区分の表記と合わせ、「うち社会教育主事の資格を有する者」とする必要があることを指摘する。

表11
統計委員会修正案変更案現行
公民館の職員数 統計委員会修正案 公民館の職員数 変更案 公民館の職員数 現行

(ウ)職員に対する研修の実施の有無(公民館調査票、図書館調査票及び博物館調査票)
 職員に対する研修の実施に係る調査事項について、本申請では、研修の実施(派遣)先に関する選択肢として「民間」を追加する計画である。
 これについては、平成22年の国立教育政策研究所の調査結果を踏まえると、前回調査において、上記選択肢のうち「その他」が選択されたケースの中には、民間が主催する研修に派遣される例が多いと考えられることから、追加するものである。
 これにより得られる研修先のより詳細なデータは、適正な研修の実施に関する今後の指導・助言等に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、上記調査結果によれば、「民間」の中には社会教育の関係団体も多く含まれていることから、表12のとおり、追加する選択肢の表記を「民間(企業等)」に修正するとともに、更に新たな選択肢として「社会教育に関係する団体」を設ける必要があることを指摘する。

表12
統計委員会修正案変更案現行
職員に対する研修の実施の有無 統計委員会修正案 職員に対する研修の実施の有無 変更案 職員に対する研修の実施の有無 現行

(エ)施設・設備の有無(公民館調査票及び生涯学習センター調査票)
 調査対象施設が有している施設・設備に係る調査事項について、本申請では、表13のとおり、「調理室」の有無に係る選択肢を追加する計画である。
 これについては、平成23年の東日本大震災の発生を契機に、公民館等の避難所としての機能が再認識され、こうした災害時に必要な施設として「調理室」が想定されることから、その保有状況を把握するために追加するものである。
 これにより得られるデータは、今後の地方公共団体における地域防災計画の策定や、防災拠点体制の構築の検討等に資するものと認められることから、当該追加は適当である。

表13
変更案現行
施設・設備の有無 変更案 施設・設備の有無 現行

(オ)公民館運営審議会等の構成(公民館調査票)
 社会教育法に基づいて置かれた公民館運営審議会の委員数に係る調査事項について、本申請では、表14のとおり、関係者区分として、既存の「学校教育関係者」等4区分に加え、新たに「その他条例で定める者」を追加する計画である。
 これについては、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号。平成24年4月1日施行)により、社会教育法の一部改正が行われ、これまで同法で定めていた公民館運営審議会の委員の委嘱の基準が削除されるとともに、当該委嘱の基準は文部科学省令で定める基準(従前の社会教育法の規定と同様、上記の4区分のいずれかに該当する者の中から教育委員会が委嘱することとするもの)を参酌して市町村の条例で定めることとされたことから、条例により上記の4区分に該当する者以外の者も公民館運営審議会委員に委嘱されることが可能となったため、区分の追加を行うものである。
 これにより得られるデータは、公民館運営審議会委員制度の整備・充実に関する今後の検討等に資するものと認められることから、当該追加は適当である。

表14
変更案現行
公民館運営審議会棟の構成 変更案 公民館運営審議会棟の構成 現行

(カ)ボランティアに対する研修の有無(公民館調査票等の8調査票(注)
 調査対象施設に登録しているボランティアに対する研修の実施状況に係る調査事項について、本申請では、「実施回数」を把握する項目を削除する計画である。
 これについては、過去2回の本調査(平成20年及び23年に実施)の結果において、時系列に大きな変化がみられず、一定の傾向が把握されたことから、削除することとしているものである。
 しかしながら、ボランティアに対する研修の「実施回数」は、社会教育施設の利用状況等を示す有用なデータであり、また、公的な社会教育施設によるボランティアに対する研修の実績は、国際的にみても貴重なデータであることから、表15のとおり、削除せず、引き続き把握する必要があることを指摘する。

(注)公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、青少年教育施設調査票、女性教育施設調査票、体育施設調査票、文化会館調査票及び生涯学習センター調査票の8調査票

表15
統計委員会修正案変更案現行
ボランティアに対する研修の有無 統計委員会修正案 ボランティアに対する研修の有無 変更案 ボランティアに対する研修の有無 現行

(キ)託児サービスを実施した諸集会(公民館調査票及び女性教育施設調査票)
 諸集会(注1及び注2)における一時的な託児サービスの実施状況に係る調査事項について、現行では託児サービスを実施した諸集会の件数を把握しているが、本申請では、これを託児サービスを実施した諸集会の有無のみを把握するよう改める計画である。
 これについては、過去3回の本調査の結果において、時系列に大きな変化がみられず、一定の傾向が把握されたことから、削除することとしているものである。
 しかしながら、託児サービスを実施した諸集会の件数は、女性の積極的な社会進出や社会活動を支援する面から有用なデータであることから、表16のとおり、削除せず、引き続き把握する必要があることを指摘する。

(注1)公民館調査票において、「諸集会」とは、「講演会・講習会・実習会」、「体育事業」、「文化事業」及び「家庭教育に関するもの」を合わせたものである。
(注2)女性教育施設調査票において、「諸集会」とは、「講演会・講習会・実習会等」、「展示会」及び「体育・レクリエーション行事」を合わせたものである。

表16
統計委員会修正案変更案現行
託児サービスを実施した諸集会数 統計委員会修正案 託児サービスを実施した諸集会の有無 変更案 託児サービスを実施した諸集会数 現行

(ク)運営状況に関する評価の実施状況(公民館調査票等の8調査票(注)
 本申請では、調査対象施設における運営状況に関する自己評価及び外部評価の実施の有無並びにこれらの評価の結果の公表の有無に係る調査事項を、表17のとおり、新設する計画である。
 これについては、
1(1は丸の中に数字) 公民館、図書館及び博物館の3施設は、近年、社会教育法等関係法令により、運営状況の評価及びそれに関する情報の積極的な提供に努めることとされたこと
2(2は丸の中に数字) 上記3施設以外の社会教育施設等も、事業内容に関する対外的な説明を求める社会情勢が強まっていることを踏まえ、自主的な運営状況の評価等の実施状況を把握する必要があること
から、新設するものである。
 これにより得られるデータは、公民館等の運営能力の向上のより一層の推進に資するものと認められることから、当該新設は適当である。

(注)公民館調査票、図書館調査票、博物館調査票、青少年教育施設調査票、女性教育施設調査票、体育施設調査票、文化会館調査票及び生涯学習センター調査票の8調査票

表17
変更案現行
運営状況に関する評価の実施状況 変更案 (新設)

(ケ)耐震診断の実施状況(公民館調査票)
 本申請では、公民館における耐震診断の実施状況及び地方公共団体による避難所としての指定の有無に係る調査事項を、表18のとおり、新設する計画である。
 これについては、平成23年の東日本大震災の発生を契機に、公民館の避難所としての機能が再認識されてきている一方、公民館の中には、昭和56年の耐震基準の改正前に建築され、必ずしも十分な耐震性を有していないものも相当数あるものと考えられることから、公民館の耐震性等の実態を把握するため、新設するものである。
 これにより得られるデータは、今後の公民館の耐震性の向上のための支援策の検討に資するものと認められることから、当該新設は適当である。

表18
変更案現行
耐震診断の実施状況 変更案 (新設)

ウ 図書館調査票
○ 資料の状況
 調査対象施設の資料の状況に係る調査事項について、本申請では、表19のとおり、以下の変更を行う計画である。
1(1は丸の中に数字) 「図書の日本10進分類等別冊数」の把握方法について、図書の総冊数に占める当該冊数の構成比の把握から、当該冊数の把握に改める。
2(2は丸の中に数字) 「録音図書等の保有数」の区分に「大活字本(冊)」を、また、「利用可能な電子書籍の冊数(冊)」を把握するための項目を追加する。
 このうち、1(1は丸の中に数字)については、報告者から、図書の総冊数に占める日本10進分類等別冊数の構成比よりも、当該冊数を記入する方が、報告が容易であるとの意見が寄せられていることを踏まえたものであり、報告者負担の軽減が図られるものであることから、当該変更は適当である。
 また、2(2は丸の中に数字)の「録音図書等の保有数」の区分への「大活字本(冊)」の追加については、近年、図書館における障害者等へのきめ細かなサービスへのニーズが高まってきていることによるものであり、これにより得られるデータは、障害者等が図書にアクセスできる環境整備に関する今後の検討に資するものと認められることから、当該追加は適当である。
 一方、2(2は丸の中に数字)の「利用可能な電子書籍の冊数(冊)」を把握するための項目の追加については、近年の情報通信技術の進展により、電子書籍の出版が増え、その貸出等に取り組む図書館も増加してきていることによるものであり、これにより得られるデータは、図書館における電子書籍の整備への支援方策に関する今後の検討に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、近年、電子書籍と同様、商用データベース(注)についても取り扱う図書館が増加してきていることから、その種類数についても調査項目として追加する必要があることを指摘する。

(注)商用データベースとは、新聞記事データベース、官報データベースなど、利用者が必要な情報を検索・入手するために、オンライン及び電子媒体で有料配布されるデータベースである。

表19
統計委員会修正案変更案現行
資料の状況 統計委員会修正案 資料の状況 変更案 資料の状況 現行

エ 青少年教育施設調査票
○ 施設の種別
 調査対象施設の種別に係る調査事項について、本申請では、現行の選択肢のうち「少年自然の家」、「青年の家(宿泊型)」及び「青年の家(非宿泊型)」の3類型に区別しているものについて、「青少年の家(宿泊型)」及び「青少年の家(非宿泊型)」の2類型に整理・統合する計画である。
 これについては、平成18年の独立行政法人国立青少年教育振興機構の発足により、従前の「少年自然の家」が「青少年自然の家」に、「青年の家」が「青少年交流の家」に組織再編されたことに伴い、選択肢の整理・統合を行うものである。
 しかしながら、地方公共団体が設置する青少年教育施設においては、いまだ「少年」を対象にした施設が数多く存在しており、また、これまでの調査結果との時系列比較を確保するため、表20のとおり、当面の間、当該整理・統合を行わず、現行の選択肢により引き続き把握する必要があることを指摘する。

表20
統計委員会修正案変更案現行
施設の種類 統計委員会修正案 施設の種類 変更案 施設の種類 現行

オ 体育施設調査票
○ 民間体育施設に係る調査項目の削減
 民間が設置した体育施設(以下「民間体育施設」という。)に係る調査事項について、本申請では、1(1は丸の中に数字)「受動喫煙防止のための対策の方法」、2(2は丸の中に数字)「コンピュータの導入状況」、3(3は丸の中に数字)「ボランティア登録数」、4(4は丸の中に数字)「ボランティアに対する研修の有無」、5(5は丸の中に数字)「ボランティア活動の種類」、6(6は丸の中に数字)「共催相手」及び7(7は丸の中に数字)「情報提供方法」を削減する計画である。
 これについては、過去の本調査の結果において一定の傾向が把握されたことから削除することとしているものであり、報告者負担の軽減も図られることから、適当である。

カ 文化会館調査票
○ 職員数
 劇場、音楽堂等の職員に係る調査事項について、本申請では、表21のとおり、「その他の職員」の内数として「技術職員」を把握する区分を追加する計画である。
 これについては、平成24年に劇場、音楽堂等の活性化に関する法律が施行され、同法により、劇場、音楽堂等においては技術職員を養成・確保することとされたことを踏まえ、追加するものである。
 これにより得られるデータは、劇場等における技術職員の養成・確保への支援方策に関する今後の検討に資するものと認められることから、当該追加はおおむね適当である。
 ただし、仮に指導系職員が、技術職員と同様の技術・資質を有していた場合、いずれの区分に計上すべきかについて紛れが生じるおそれがあることから、こうした場合の計上方法を注書きや記入の手引などで明示する必要があることを指摘する。

表21
変更案現行
職員数 変更案 職員数 現行

(3)東日本大震災の影響に伴う調査計画の変更に係る規定の削除
 本申請では、調査計画のうち「13 その他(東日本大震災に伴う計画の一部変更)」の項目を削除する計画である。
 本項目は、前回調査の実施時に、平成23年の東日本大震災の被害が甚大であった岩手県、宮城県及び福島県(以下「東北3県」という。)について、調査票の回収や審査・確認業務等を行う東北3県の教育委員会の負担軽減を図るために設けられたものであり、具体的には以下の措置を採るものであった。
1(1は丸の中に数字) 調査対象の属性的範囲について、東北3県においては民間体育施設を調査対象から除外する(注)。これに伴い、民間体育施設について、報告を求める者の数を523施設削減する。
2(2は丸の中に数字) 報告を求める事項について、東北3県においては、施設職員数、施設の設置者、施設・設備に関する事項など、把握が容易であり、特段、過去の資料を調べなくても回答可能な事項に限定する。
 しかしながら、現在は、東北3県においても他の都道府県と同様の調査事項により、かつ、民間体育施設も調査対象に含めて本調査を実施することが可能となったため、本件変更により本項目を削除するものである。
 これについては、東日本大震災の影響が本調査の実施に当たっては解消されたことによる変更であることから、適当である。

(注)民間体育施設については、市町村教育委員会が当該施設の存在について現地確認を行った上で調査を行うこととなっており、他の施設の調査に比べ業務負担が大きいことから、東北3県においては、調査対象から除外された。

(4)集計事項の変更等
 今回、文部科学省は、運営状況に関する評価の実施状況や耐震診断の実施状況の追加、情報ネットワークによる情報提供方法の把握の詳細化等の調査事項の変更に伴い、関連する集計事項を変更する計画である。
 これらについては、社会教育施設における運営評価の実態、施設の耐震性、情報提供における情報通信技術のより詳細な活用状況の把握等が新たに可能となり、施設の運営能力や耐震性の向上、情報提供における情報通信技術の活用の拡大など、今後の社会教育に係る施策の検討・推進に資するものと認められることから、適当である。

(5)統計委員会答申における「今後の課題」及び「公的統計の整備に関する基本的な計画」における指摘への対応状況
 本調査については、前回調査に係る本委員会の答申(諮問第6号の答申「平成20年に実施される社会教育調査の計画について」(平成20年4月14日付け府統委第55号。以下「前回答申」という。))における「今後の課題」及び「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月25日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、以下の3事項に関する所要の改正等の必要性が指摘されている。
ア 社会教育分野における関係主体ごとの収入・費用構造の把握
イ 社会教育施設の利用者側の状況の把握
ウ 学習内容の分類に関する概念の明確化、重複の整理、簡素化等
 これらの指摘事項についての文部科学省の対応状況の概要は、別添のとおりである。

 別添の文部科学省の対応状況についての本委員会の評価は、以下のとおりである。
ア 関係主体ごとの収入・費用構造の把握
 平成21年以降、外部有識者で構成する「新しい時代に対応した統計調査の推進に関する検討会」及び「生涯学習に関するデータの集積の在り方に関する部会」(以下「データ集積部会」という。)を設置し、本指摘事項への対応策について検討を行い、その結果に基づき、平成24年2月に実施予定の経済センサス試験調査への経理項目の追加の可能性を探るため、当該調査の実施者である総務省(統計局)に対し、公の社会教育施設に関する調査事項として経費項目の追加を要請する等の措置を実施したことは、前回答申等の指摘への対応として一定程度評価できる。
 また、社会教育施設ごとの収入・費用構造の把握に関し、上記試験調査において実施せず、平成27年度の本調査(以下「平成27年度調査」という。)においても実施しないことについては、現時点では、多くの地方公共団体において本格的な複式簿記が導入されていないため、施設単位での収入・費用構造の分析が困難であることを踏まえると、やむを得ない。
 しかしながら、社会教育施設ごとの収入・費用構造は、社会教育施設の運営状況の評価等の観点から極めて重要なデータであり、また、現在、総務省(地方財政制度を所管する自治財政局)は、全ての地方公共団体に対して、固定資産台帳の整備と本格的な複式簿記の導入を前提とした統一的な基準による財務書類等を作成するよう要請しているところであり、将来、施設単位での収入・費用構造の把握・分析が可能なデータが整備される見込みである。
 したがって、文部科学省は、こうした地方公会計の整備状況に応じ、社会教育施設別の収入・費用構造を把握することを検討する必要がある(後述3‐(1)参照)。

イ 社会教育施設の利用者側の状況の把握
 平成21年以降、データ集積部会において、本指摘事項への対応策について検討を行い、その結果に基づき、本調査とは別に、新たに施設利用者を含む一般国民を対象とした「国民の学びに関する意識調査」の実施計画案を試作し、当該意識調査の中で施設利用者の属性等を把握することを計画したこと等は、前回答申等の指摘への対応として一定程度評価できる。
 しかしながら、今後の方針については、次の2点の理由から、必ずしも十分なものとはなっていない。
1(1は丸の中に数字) 社会教育施設の利用者側の状況把握に当たり、上記意識調査を実施するのではなく、内閣府が実施している「生涯学習に関する世論調査」を活用することとし、次回の世論調査の実施に際して、社会教育施設の利用者に係る調査事項(利用状況の詳細等)の追加を要望することについては、当該世論調査は不定期の実施であり、かつ調査項目の十分な追加が可能か否かが明らかではないこと。
2(2は丸の中に数字) 今後、本調査について、社会教育施設等に対するアンケート調査により、新たに社会教育施設の利用者側の状況として把握することを検討する調査事項は、学級・講座の受講者の年齢のみであること。
 また、社会教育施設の利用者の状況を把握・分析することは、利用者ニーズに応じた社会教育サービス等の向上につながるものである。
 したがって、文部科学省は、今後、社会教育施設の利用者側の状況に関するより多くの情報を把握する方法を検討する必要がある(後述3‐(2)参照)。

ウ 学習内容の分類に関する概念の明確化、重複の整理、簡素化等
 平成21年以降、データ集積部会において、本指摘事項への対応策について検討を行い、その結果に基づき、現行分類を組替え集計することにより国際比較が可能となる分類案を作成したことは、前回答申等の指摘への対応として一定程度評価できる。
 また、平成27年度調査では、東日本大震災の前後の状況の比較の観点から、現行の分類を使用することとされており、本調査のユーザーの利便性の確保の観点からやむを得ないものと判断される。
 しかしながら、社会教育施設が実施する学級・講座における学習内容は利用者ニーズに応じて変化していくものであり、また、過去の調査結果において小分類別件数をみると、「その他」に該当するものが多い等の状況となっているため、文部科学省は、社会教育施設等に対するアンケート調査などにより、新たな学習内容の分類の統廃合や細分化などの見直しを検討する必要がある(後述3‐(3)参照)。

3 今後の課題
(1)関係主体ごとの収入・費用構造の把握について
 地方公共団体の財政が厳しさを増すとともに、社会教育施設の運営の改善やそれに関する国民への説明責任を適切に果たす重要性が高まってきており、これを踏まえ、近年、社会教育法等の改正により、公民館等について、運営状況の評価やそれに関する情報の積極的な提供に関する努力義務規定の新設も行われている。こうした中で、社会教育施設ごとの収入・費用構造の把握・分析は、効率性の観点から施設運営の状況を評価し、その改善を図る上で極めて重要である。
 しかしながら、本調査においては、社会教育施設ごとの収入・費用構造の把握が行われていない。これは、現時点では、多くの地方公共団体において本格的な複式簿記が導入されていないため、施設単位での収入・費用構造の分析が困難であることを踏まえると、やむを得ないものである。ただし、総務省は、財務書類等の比較可能性の確保等の観点から、平成26年4月に固定資産台帳の整備と本格的な複式簿記の導入を前提とした地方公共団体における財務書類等の作成に係る統一的な基準を公表し、さらに、27年1月に全ての地方公共団体に対して、原則として平成27年度から29年度までの3年間で当該基準による財務書類等を作成するよう要請しており、この取組が進展すれば、社会教育施設単位での収入・費用構造の把握・分析が可能なデータが整備される見込みである。
 このため、文部科学省は、平成33年度の本調査において、社会教育施設ごとの収入・費用構造を把握することを目指す必要がある。

(2)社会教育施設の利用者側の状況の把握について
 社会教育施設が提供する社会教育サービスを真に国民のニーズに沿った十分なものとするためには、施設の利用者について、その属性(性別、年齢、職業等)や利用状況の詳細(利用目的、利用頻度、利用時間等)を把握・分析することが有用である。また、こうした把握・分析の結果は、社会教育法等により公民館等が実施に努めることとされている運営状況の評価にも活用できる可能性がある。
 しかしながら、本調査により把握している利用者の状況に関する情報は、学級・講座の男女別・対象別(青少年、成人等)の受講者数や諸集会の参加者数程度であり、十分なものとなっていない。
 このため、文部科学省は、次回の平成30年度の本調査(以下「平成30年度調査」という。)に向けて、平成27年度に、本調査における学級・講座の受講者の年齢の把握可能性を検討するために実施を予定している社会教育施設を対象とするアンケート調査の中で、当該施設における施設利用者に関する情報の保有状況を把握し、その結果を踏まえて、本調査において施設利用者に関する情報をより詳細に把握することを検討する必要がある。

(3)学習内容の分類(小分類)の統廃合及び細分化について
 社会教育施設が実施する学級・講座における学習内容は、利用者ニーズの多様性から広範多岐にわたり、かつ利用者ニーズに応じて変化していくものであるため、それをできる限り多くのニーズに応じたものとするためには、学級・講座の実施件数を適切な区分により分類し、その結果を分析することが必要である。
 しかしながら、平成27年度調査では、東日本大震災の前後の状況の比較の観点から、現行の分類を使用することとされている。また、平成20年度及び23年度の本調査の結果において小分類別件数をみると、出現頻度が極めて少ないものや類似の分類が認められる一方、「その他」に分類されるものが全体の1割となっており、小分類に係る区分の統廃合や細分化を行う必要があると考えられる。
 このため、文部科学省は、平成30年度調査から新たな分類を使用することとし、それに先立ち、現行の分類における小分類について、更なる統廃合や細分化を検討する必要がある。

2(2はローマ数字) 社会教育調査(基幹統計)の指定の変更(名称の変更)
1 承認の適否
 総務大臣から諮問された社会教育調査の指定の変更(名称の変更)について審査した結果、以下の理由から、指定を変更して差し支えない。

2 理由等
 「社会教育調査」は、現在、基幹統計調査の名称であると同時に、基幹統計の名称でもあるが、統計法では統計とそれを作成する手段である統計調査とを概念上区分しており、基幹統計の名称を基幹統計調査の名称と同一にしておくことは適当でない。
 新たな基幹統計の名称については、「統計」と「統計調査」を区分する考え方を徹底する観点から、「調査」という用語を含めることは適当でないことを勘案し、また、法の考え方に基づき基幹統計の名称を変更した過去の例も踏まえ、「社会教育統計」とすることが適当である。

【別添】
表 前回答申等の指摘事項に関する文部科学省の対応状況
前回答申等の指摘事項指摘事項についての文部科学省の対応状況の概要
1(1は丸の中に数字) 社会教育分野における関係主体ごとの収入・費用構造の把握
2(2は丸の中に数字) 社会教育施設の利用者側の状況の把握

[前回答申の「今後の課題」]
 生涯学習という広い視座の中で、社会教育に関する統計の整備のために、社会教育の分野における関係主体ごとの収入・費用構造や、施設の利用者側の状況を把握することも必要であることから、生涯学習を支援する社会教育に関する統計調査の在り方を見直し、関連する統計調査間での役割分担も整理した上で、本調査についても所要の改善を行う必要がある。

[基本計画の指摘事項]
 社会教育調査について、教育委員会制度等の在り方に関する中央教育審議会の審議結果等を踏まえつつ、施設の利活用・運営状況など新たな調査内容を含めた統計の整備を検討する。
1(1は丸の中に数字) 平成21年2月にデータ集積部会を設置し、本指摘事項への対応策について検討を行った結果、「平成24年2月に実施予定の経済センサス試験調査への経理項目の追加の可能性を探ること」とされたことから、当該調査の実施者である総務省に対し、公の社会教育施設に関する調査事項として経費項目を追加することを要請した。
 しかし、総務省において上記要請への対応を検討した結果、多くの地方公共団体において本格的な複式簿記が導入されていないため、施設単位での収入・費用構造の分析が困難であることを踏まえると、経済センサスでの把握は困難との回答であった。
 このため、データ集積部会において、改めて、本調査における社会教育施設ごとの経費項目の把握の可能性を検討したものの、上記の総務省の回答のとおり、当該施設における経理関係書類の作成状況を勘案すると、当該把握は困難との結論に至った。

2(2は丸の中に数字) データ集積部会において、前述の1(1は丸の中に数字)と同様、本指摘事項への対応策の検討を行った結果、本調査の中で、社会教育施設の利用者に関し、その属性(性別、年齢、職業等)等を調査することは、近年の個人情報保護意識の高まりや施設の事務負担等を勘案すると困難と考えられたため、本調査とは別に、新たに施設利用者を含む一般国民を対象とした「国民の学びに関する意識調査」の実施計画案を試作し、当該意識調査の中で施設利用者の属性等を把握することを計画した。
 しかし、その後、データ集積部会での検討を進めた結果、内閣府が生涯学習に関する国民の意識を把握することを目的として、不定期に実施している「生涯学習に関する世論調査」(調査対象者は全国の20歳以上の者の3,000人又は5,000人。直近の調査は平成24年に実施)においては、社会教育施設の利用の有無や利用者の属性を調査していることから、当該世論調査との重複を考慮し、上記意識調査を実施するのではなく、当該世論調査により施設の利用者側の状況を把握していくこととすることが適当との結論に至った。このため、今後、内閣府に対し、次回の世論調査の実施に際して、社会教育施設の利用者に係る調査事項(利用状況の詳細等)の追加を要望する方針である。
 また、本調査についても、現在、社会教育施設で実施されている学級・講座の内容と受講者の年齢の関係を把握・分析する必要性があると認識していることから、本調査における当該受講者の年齢の把握可能性を検討するため、平成27年度に当該施設へのアンケート調査を実施する予定である。

3(3は丸の中に数字) 学習内容の分類に関する概念の明確化、重複の整理、簡素化等

[前回答申の「今後の課題」]
 学習内容の分類に当たっては、国際比較の可能性も視野に入れて、概念の明確化、重複の整理、簡素化等を行い、より標準的で記入しやすい分類となるよう、次回以降の調査において、今回の調査結果等も踏まえた所要の改正を行う必要がある。
3(3は丸の中に数字) データ集積部会において、前述の1(1は丸の中に数字)と同様、本指摘事項への対応策の検討を行い、その結果に基づき、現行の8つの大分類について、「人文系」、「社会系」、「自然系」等の学習内容を基礎とし、かつ、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)における国際標準教育分類(ISCED)に準拠して作成された統計との比較可能性も確保された10の大分類とする分類案を作成した。
 しかし、当該分類案を平成27年度調査から使用することとした場合、現行の分類は、平成20年の本調査から用いられているもので、これまで平成20年及び23年の2回の本調査でしか使用されていないことから、データの経年変化を追うことが難しくなり、また、当該分類案について、ユーザーの利便性の向上の観点から更に精査する余地があるものと考えられるため、平成27年度調査では現行の分類を使用することとしている。
 なお、新たな分類案については、ユーザーの利便性の向上の観点から、前述2(2は丸の中に数字)の社会教育施設に対するアンケート調査を通じて、当該分類案に関する意見も把握し、更なる改善を検討する予定である。