府統委第26号
平成27年3月23日
総務大臣
山本 早苗 殿
統計委員会委員長
諮問第77号の答申
経済産業省特定業種石油等消費統計調査の変更について
本委員会は、諮問第77号による経済産業省特定業種石油等消費統計調査の変更について審議した結果、下記のとおり結論を得たので、答申する。
記
1 本調査計画の変更
(1)承認の適否
平成27年2月10日付け20150128統第2号により経済産業大臣から申請された「基幹統計調査の変更について(申請)」(以下「本申請」という。)について審査した結果、以下のとおり、統計法(平成19年法律第53号)第10条各号の各要件のいずれにも適合しているため、「経済産業省特定業種石油等消費統計調査」(基幹統計調査。以下「本調査」という。)の変更を承認して差し支えない。
(2)理由等
ア 報告を求めるために用いる方法の変更
本申請では、本調査の調査組織について、従前の「経済産業省−経済産業局−報告者」及び「経済産業省−報告者」から「経済産業省(資源エネルギー庁)−民間事業者−報告者」に変更する計画である。
これは、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月25日閣議決定。以下「第2(2はローマ数字)期基本計画」という。)において、エネルギーに関する統計について体系的な整備を行うことが求められていること等を踏まえ、本調査の調査実施課室を経済産業省大臣官房調査統計グループ(以下「大臣官房調査統計グループ」という。)から他のエネルギー消費に関する統計調査も実施している経済産業省資源エネルギー庁(以下「資源エネルギー庁」という。)に変更した上で、民間事業者に調査業務を委託することとしているものである。
これについては、以下のとおり、第2(2はローマ数字)期基本計画において指摘されている、1(1は丸の中に数字)エネルギーに関する統計について体系的な整備等に係る検討課題により適切な対応が可能となるものであること、2(2は丸の中に数字)民間事業者の活用に当たって、統計の品質の維持・向上等を確保するため所要の取組を行うこととしていることから、適当である。
これは、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月25日閣議決定。以下「第2(2はローマ数字)期基本計画」という。)において、エネルギーに関する統計について体系的な整備を行うことが求められていること等を踏まえ、本調査の調査実施課室を経済産業省大臣官房調査統計グループ(以下「大臣官房調査統計グループ」という。)から他のエネルギー消費に関する統計調査も実施している経済産業省資源エネルギー庁(以下「資源エネルギー庁」という。)に変更した上で、民間事業者に調査業務を委託することとしているものである。
これについては、以下のとおり、第2(2はローマ数字)期基本計画において指摘されている、1(1は丸の中に数字)エネルギーに関する統計について体系的な整備等に係る検討課題により適切な対応が可能となるものであること、2(2は丸の中に数字)民間事業者の活用に当たって、統計の品質の維持・向上等を確保するため所要の取組を行うこととしていることから、適当である。
(ア)調査組織の変更
資源エネルギー庁は、我が国全体のエネルギー需給の実態を定量的に明らかにする「総合エネルギー統計」(※1)を作成している。同統計は、エネルギー政策の立案やその効果の検証に資する重要なものであり、本調査の結果はこれを作成する上で欠くことのできない重要な基礎データとして活用されている。
今回の調査組織の変更により、資源エネルギー庁が既に所管し実施している「エネルギー消費統計調査」(一般統計調査)に加えて本調査を所管し、両調査を一元的に実施する形になることは、エネルギーを取り巻く諸情勢や統計ニーズ、エネルギー消費等の現況を踏まえた調査内容の検証等の効率的な実施につながるものであり、また、第2(2はローマ数字)期基本計画における指摘事項により適切に対応することが可能となるものであると考える。
(※1)総合エネルギー統計とは、日本に輸入又は国内で生産された石炭・石油・天然ガスなどのエネルギー源が、どのように転換され、最終的にどのような形態でどの部門や目的に消費されたかを定量的に示すものであり、エネルギー関係の各種一次統計等のエネルギー生産量、転換量、消費量等のデータを組み合わせて作成しているものである。
このような中で、資源エネルギー庁は、第(2はローマ数字)期基本計画において、「エネルギーに関する統計について体系的な整備を行い、基幹統計の範囲について検討を行う」ことが指摘され、平成29年度末までに結論を得ることを求められている。今回の調査組織の変更により、資源エネルギー庁が既に所管し実施している「エネルギー消費統計調査」(一般統計調査)に加えて本調査を所管し、両調査を一元的に実施する形になることは、エネルギーを取り巻く諸情勢や統計ニーズ、エネルギー消費等の現況を踏まえた調査内容の検証等の効率的な実施につながるものであり、また、第2(2はローマ数字)期基本計画における指摘事項により適切に対応することが可能となるものであると考える。
(イ)民間事業者の活用
資源エネルギー庁は、委託する民間事業者における調査業務の質の維持・確保を図るため、正確で理解しやすい業務・審査マニュアル等を作成し提供することや、民間事業者からの相談に対しきめ細かく対応することなど、調査業務全体が適切かつ円滑に行われるよう十分な支援を行うこととしている。また、当分の間は、大臣官房調査統計グループと密に連絡・連携を行うなど、万全な体制の下で民間事業者を支援していくこととしている。
このような中で、第2(2はローマ数字)期基本計画において民間事業者の活用の際に留意する必要があるとされている点については、表のとおり対応することとしており、統計の品質の維持・向上等を確保するための所要の取組が行われるものと考える。
このような中で、第2(2はローマ数字)期基本計画において民間事業者の活用の際に留意する必要があるとされている点については、表のとおり対応することとしており、統計の品質の維持・向上等を確保するための所要の取組が行われるものと考える。
留意点 | 左記留意点への対応状況 |
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1(1は丸の中に数字)統計の品質の維持・向上 | 結果精度に影響を与える集計については、毎月公表前に審査会を開催し、慎重に調査結果を分析・検討する。具体的には、集計結果について、対前月比など過去のトレンドに照らして合理的な値となっているか、集計事項間に相関関係がみられるものについては、妥当な関係を保っているかなどを確認する。 |
2(2は丸の中に数字)報告者の秘密保護 | 調査票情報の適正な管理の観点から、業務委託に係る仕様書に、情報セキュリティ上安全に隔離された作業場所の確保、コンピュータウィルス対策等コンピュータ端末に係るセキュリティ対策の徹底等の情報保護環境整備について明記するとともに、委託者に対し情報セキュリティ規程の速やかな作成・提出を求める。また、調査業務に携わる全ての者に対する守秘義務の周知徹底を図る取組を求める。 |
3(3は丸の中に数字)信頼性の確保 | 資源エネルギー庁長官名による調査依頼文の発出や調査票、記入要領、送信・返信用封筒等への調査実施官署名の記載、経済産業省のホームページ等を通じて、引き続き国が実施する統計調査であることについて十分な周知を行う。 |
4(4は丸の中に数字)民間事業者の履行能力の確保 | 業務委託に係る仕様書に、セキュリティ対策上求める事項、個々の月例業務の具体的処理事項、処理手順、処理上の注意点など業務上必要な観点を漏れなく明記した上で、入札を総合評価落札方式とすることにより、応札した民間事業者の業務遂行能力を十分評定し、選定する形とする。 |
なお、調査業務の民間事業者への委託を着実に実施するため、調査票の配布時期や調査票回収から公表までに要する日数(約45日)等の調査実施に係る全体スケジュールについては、今回は変更しないものの、月次調査における即時性の重要性に鑑み、資源エネルギー庁は、民間事業者を活用した場合での本調査の実査ノウハウが蓄積された際には、改善できる点がないか検討していくこととしている。
(参考)申請負担軽減対策(平成9年2月10日閣議決定)において、原則として、全ての指定統計(現在の基幹統計)の第1報の公表を可能な限り早期化し、遅くとも月次調査は60日以内に公表することとされている。
イ 調査対象の範囲の変更
(ア)変更事項1
本申請では、調査票第7号(鉄鋼)の調査対象の範囲について、これまで、調査計画の記載上は「鉄鋼」を生産品目とする全ての事業所が調査対象の範囲とされていたが、調査の実態に合わせて、図1のとおり、各種生産品目を生産する事業所に変更する計画である。
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(注)「生産品目」別に定める「調査の範囲」に属する事業所が調査対象の範囲
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これは、経済産業省は、昭和56年の調査開始当初から、本調査の調査対象をエネルギー多消費型となる工業品を生産する事業所としていたが、調査計画に記載された調査対象の範囲がそれよりも広く設定されていたことから、今回、より正確な記述に改めるものである。
今回の変更により調査計画の記載上、明示的に調査対象外となる事業所の生産品目は「めっき鋼材のうち線類」や「鋳鉄管」等他の鉄鋼製品に比べ、生産設備が小規模でエネルギーを多消費するものでもないなど、本調査の目的に照らして支障がないことが確認された。したがって、今回の記載の変更は適当である。
今回の変更により調査計画の記載上、明示的に調査対象外となる事業所の生産品目は「めっき鋼材のうち線類」や「鋳鉄管」等他の鉄鋼製品に比べ、生産設備が小規模でエネルギーを多消費するものでもないなど、本調査の目的に照らして支障がないことが確認された。したがって、今回の記載の変更は適当である。
(イ)変更事項2
本申請では、図2のとおり、調査票第9号(機械器具)の生産品目の「電子計算機及び関連装置並びに電子応用装置」の記載を「電子計算機及び情報端末並びに電子応用装置」に変更する。また、調査票第1号(パルプ・紙・板紙)、同第3号(化学繊維)、同第5号(窯業・土石製品)、同第6号(ガラス製品)、同第8号(非鉄金属地金)及び同第9号(機械器具)の調査の範囲の「従業者」の記載を「従事者」に変更する計画である。
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これは、経済産業省生産動態統計調査(経済産業省が所管する基幹統計調査。以下「生動調査」という。)の調査計画における表現振りに合わせるために、変更するものである。
これについては、以下のとおり、定義の変更を伴わない表記の修正であり、また、調査結果の断層も生じないものと考えられることから、適当である。
これについては、以下のとおり、定義の変更を伴わない表記の修正であり、また、調査結果の断層も生じないものと考えられることから、適当である。
1(1は丸の中に数字) 「関連装置」の記載を「情報端末」に変更
生動調査の「機械器具月報(その37)」に係る調査票について、平成26年調査の改正において、周辺装置や端末装置等の関連装置の品目の統合等を行い、実態に即した品目のカテゴリ名称に変更する見直しを行ったことに伴い、調査票や生産品目の名称中の「関連装置」の記載を「情報端末」に変更したものであり、品目の定義を変更するものではない。
本調査は、このことを受けて、同様の変更を行うものであり、また、品目の定義を変更するものではないことから、調査結果の断層も生じないものと考えられる。
本調査は、このことを受けて、同様の変更を行うものであり、また、品目の定義を変更するものではないことから、調査結果の断層も生じないものと考えられる。
2(2は丸の中に数字) 「従業者」の記載を「従事者」に変更
本調査は、生動調査の対象名簿を基に調査対象事業所の整備を行っている一方、生動調査では、平成23年調査の改正以降「従事者」として調査を実施していることから、表記を変更するものであり、本調査における調査項目としての定義を変更しないことから、調査結果の断層も生じないものと考えられる。
2 統計審議会諮問第285号の答申(平成14年8月9日付け統審議第8号)における「今後の課題」への対応状況
本調査については、統計審議会諮問第285号の答申時において、以下の指摘がされている。
1(1は丸の中に数字) 地域別等の結果の公表
構造統計調査の中止により提供されなくなる地域別等の結果については、その推計方法、推計の基礎となるデータの所在等の情報を提供するなど利用者の利便を図るほか、補完的な資料として、動態統計調査の1年分のデータを活用することにより都道府県別、経済産業局別の集計結果を「石油等消費動態統計年報」で公表する必要があること。
(注)本調査は、平成14年まで、年次調査である石油等消費構造統計調査と月次調査である石油等消費動態統計調査から成る調査であった。
2(2は丸の中に数字) 定期報告を活用した統計の作成
平成14年5月に改正された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(昭和54年6月法律第49号。以下「省エネ法」という。)においては、製造業等のほかオフィスビル、大型小売店舗等の民生業務部門についても、エネルギー消費の多い工場又は事業場に対し、年1回のエネルギー消費に関する定期報告を義務付けており、この定期報告によりエネルギー消費に関する業種横断的なデータが得られることから、当該定期報告を活用した統計の作成を検討する必要があること。
このうち、1(1は丸の中に数字)については、経済産業省は、平成15年度以降、「石油等消費動態統計年報」(答申直後の平成14年に係る年報は平成15年7月に公表)において、地域別統計として都道府県別エネルギー消費量の集計結果を公表していることから、本検討課題への対応としては、適当である。
なお、経済産業局別エネルギー消費量は、昭和56年から継続して公表されているところである。
また、2(2は丸の中に数字)については、経済産業省は、平成23年度以降(※2)、資源エネルギー庁が委託事業により毎年度実施している「エネルギー使用合理化促進基盤整備事業」(以下「基盤整備事業」という。)の報告書の中に、省エネ法に基づく定期報告の結果を活用した集計表を作成し掲載していることから、本検討課題への対応としては、適当である。
また、2(2は丸の中に数字)については、経済産業省は、平成23年度以降(※2)、資源エネルギー庁が委託事業により毎年度実施している「エネルギー使用合理化促進基盤整備事業」(以下「基盤整備事業」という。)の報告書の中に、省エネ法に基づく定期報告の結果を活用した集計表を作成し掲載していることから、本検討課題への対応としては、適当である。
(※2)省エネ法に基づく定期報告の結果を活用した集計表は、平成14年度から作成していたものの、基盤整備事業の契約形態の変更や、対外的に公表するに当たっての整理を検討する段階で調整等に時間を要したため、公表は平成23年度からになったものである。
なお、基盤整備事業とは、省エネ法の規制の対象となる事業者から年1回提出される定期報告書等の内容を集計・評価・分析した結果を取りまとめるなど、省エネルギー推進のための環境整備を図る事業である。
なお、基盤整備事業とは、省エネ法の規制の対象となる事業者から年1回提出される定期報告書等の内容を集計・評価・分析した結果を取りまとめるなど、省エネルギー推進のための環境整備を図る事業である。
3 オンライン調査の推進
オンライン調査については、報告者負担の軽減や利便性の向上、正確な統計作成など多くのメリットがあることや、第2(2はローマ数字)期基本計画において、統計調査の実施計画を企画する際、オンライン調査を導入している調査はオンラインによる回収率の向上方策について事前に検討することが指摘されていることを踏まえ、オンライン調査の推進にこれまで以上に取り組むことが求められているものと考える。
本調査は、郵送調査及びオンライン調査によって実施されており、オンライン調査については利用率が70%前後と比較的高い状況にある。しかしながら、調査業種ごとのオンライン調査の利用率をみると、40%前後と他の業種と比較して相対的に低いものがみられる。
本調査は、調査対象業種によって全ての事業所又は従事者の一定規模以上の全ての事業所を対象として実施されており、また、月次調査であり、報告者に対し反復継続的に実施されていることを考慮すれば、オンライン利用率の向上を図る余地はあるものと認められる。
このようなことを踏まえ、資源エネルギー庁は、オンライン調査の周知やオンラインによる報告の働きかけ等、従前から実施している取組に加え、新たにオンライン利用率が他の業種に比べ相対的に低いところを中心に重点的に働きかける取組を行うこととしている。
これらの取組は、本調査のオンライン利用率の更なる向上に資するものと考えられることから、適当である。
本調査は、郵送調査及びオンライン調査によって実施されており、オンライン調査については利用率が70%前後と比較的高い状況にある。しかしながら、調査業種ごとのオンライン調査の利用率をみると、40%前後と他の業種と比較して相対的に低いものがみられる。
本調査は、調査対象業種によって全ての事業所又は従事者の一定規模以上の全ての事業所を対象として実施されており、また、月次調査であり、報告者に対し反復継続的に実施されていることを考慮すれば、オンライン利用率の向上を図る余地はあるものと認められる。
このようなことを踏まえ、資源エネルギー庁は、オンライン調査の周知やオンラインによる報告の働きかけ等、従前から実施している取組に加え、新たにオンライン利用率が他の業種に比べ相対的に低いところを中心に重点的に働きかける取組を行うこととしている。
これらの取組は、本調査のオンライン利用率の更なる向上に資するものと考えられることから、適当である。
4 今後の課題
第2(2はローマ数字)期基本計画において、経済産業省は、エネルギーに関する統計について体系的な整備を行い、基幹統計の範囲について検討し、平成29年度末までに結論を得ることが求められている。同省は、有識者等から構成された検討会等において所要の検討を行っているところであり、引き続き十分な検討を行った上で、必要に応じて本調査の調査計画の見直しを行うこと。