8 災害関係経費の状況

(1) 平成16年度における災害

 平成16年度は、6月の台風第4号をはじめ、台風第6号、佐賀県における突風、7月における平成16年7月新潟・福島豪雨、平成16年7月福井豪雨、台風第10号・第11号及び関連する大雨、8月における台風第15号と前線に伴う大雨、台風第16号、9月における台風第18号、台風第21号、10月における台風第22号、台風第23号及び平成16年(2004年)新潟県中越地震、平成17年3月20日の福岡県西方沖を震源とする地震と災害が相次いだ。これら観測史上最多の10個の上陸台風及び阪神・淡路大震災以来の最大震度7を観測した地震等により、全国各地で人的被害・住家等への被害が生じた。また、林野火災による焼損面積は1,568haに達した。さらに、平成16年から平成17年にかけて降雪等による被害も発生した。災害による死者・行方不明者の数は阪神・淡路大震災が発生した平成7年以降では最多となる365名となった。平成16年度に発生した主な災害については第31表のとおりである。

 これらの災害を受け、平成16年度の国の防災関係予算は、4兆938億円(当初2兆7,320億円、補正1兆3,618億円)となっており、4年ぶりに4兆円を超える規模となった。

(2) 災害関係経費の状況[第41表第88表]

 平成16年度における災害が地方財政に与えた影響を分析するために、災害関係経費の状況をみると、次のとおりである。

 性質別歳出決算額の主な内訳をみると、投資的経費を構成する災害復旧事業費が4,938億円となっており、前年度と比べると63.0%増となっている。また、災害復旧事業費の歳出総額に占める割合も0.5%となっており、前年度と比べると0.2%ポイント上昇している。

 災害復旧事業費の推移は第92図のとおりであり、梅雨前線豪雨、台風18号等により甚大な被害が発生した平成11年度以降は4年連続で減少していたが、平成16年度は増加に転じている。

 一方、目的別歳出決算額の主な内訳をみると、民生費を構成する災害救助費が485億円となっており、前年度と比べると545.0%増と大幅な増加となっている。

 災害救助費について、都道府県と市町村の決算額を単純合計し、都道府県別の構成比をみてみると、平成16年7月新潟・福島豪雨及び平成16年(2004年)新潟県中越地震の被害を受けた新潟県が59.3%(前年度1.0%)と最も大きな割合を占め、以下、兵庫県6.9%(同6.5%)、東京都3.6%(同1.3%)、福井県3.5%(同0.1%)、大阪府2.9%(同8.9%)となっており、上位5団体で全体の76.2%を占めている。

 また、消防費については1兆8,358億円となっており、前年度と比べると0.9%増となっている。さらに、災害復旧事業費に国庫支出金の返還金を加えた災害復旧費については4,938億円となっており、前年度と比べると63.0%増となっている。

 平成16年において激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律による激甚災害適用措置があった災害による被害を受けた地域(以下「主な被災地」という。)と、それ以外の地域の都道府県と市町村の決算額を単純合計した決算額について、主な歳入及び歳出の構成比を比べると、第93図のとおりであり、歳入においては地方交付税、国庫支出金、都道府県支出金及び地方債の割合が、歳出においては公債費、普通建設事業費、災害復旧事業費及び貸付金の割合が、それぞれ主な被災地において上回っている。歳入については、特別交付税の交付、災害復旧事業費支出金の交付、災害復旧事業債の発行等によるものであり、歳出については、災害復旧事業費の増加、災害復旧事業費対象外施設の大規模な復旧関連事業等による普通建設事業費の増加、り災者に対する災害援護資金の貸付け等に係る貸付金の増加等によるものである。