9 地方公営事業の状況

(1) 地方公営企業

ア 概況

(ア) 事業数[第115表

 平成18年度末において、地方公営企業を経営している団体数は1,870団体(企業団・一部事務組合等でのみ地方公営企業を経営している5団体及び東京都23特別区中19団体を含む。)であり、その内訳は47都道府県、15大都市、1,808市町村となっている。

 これらの団体が経営している地方公営企業の事業数は9,317事業で、前年度末と比べると62事業減少している。これを事業別にみると、第94図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)、介護サービス事業の順となっている。

(イ) 業務の状況

 地方公営企業は、住民の生活水準の向上を図るうえで大きな役割を果たしている。各事業全体の中で地方公営企業が占める割合は、第30表のとおりである。

 平成18年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

 水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力7,211万7千m3/日、導送配水管69万9,796kmを有し、年間162億51百万m3(対前年度比1.0%減)の配水を行っている。また、給水人口は1億2,436万8千人で、全国人口に対する割合は96.3%(10年前(平成8年度)は94.5%)であり、着実に上昇している。

b 工業用水道事業

 工業用水道事業においては、配水能力2,170万m3/日、導送配水管8,427kmを有し、年間47億90百万m3(対前年度比2.0%増)の配水を行っている。また、契約水量は1,754万m3/日(同0.4%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

 都市高速鉄道事業においては、車両4,472両、営業路線520kmを有している。また、年間輸送人員は28億33百万人(対前年度比1.6%増)となっている。

d バス事業

 バス事業においては、車両9,113両、営業路線1万63kmを有している。また、年間輸送人員は10億51百万人(対前年度比1.1%減)であり、近年減少が続いている。

e 病院事業

 病院事業においては、973病院、病床23万573床を有している。また、年延患者数は1億7,699万7千人(対前年度比6.1%減)であり、5年連続の減少となっている。

f 下水道事業

 下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,034万m3/日、管渠45万287kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は107億65百万m3(対前年度比1.2%増)であり、着実に増加している。

(ウ) 職員数[第116表

 平成18年度末における地方公営企業に従事する職員の数は38万1,724人で、前年度末と比べると2.7%減となっている。この職員数は、地方公共団体の全職員数の12.9%(前年度末13.2%)に相当している。

 これを事業別にみると、第95図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっており、これら4事業で職員数全体の92.4%を占めている。また、行政改革の推進による定員管理の適正化等により、有料道路事業以外の全ての事業において職員数は減少している。

(エ) 決算規模等[第117表

 決算規模は19兆3,012億円で、建設投資の減少等により前年度と比べると1兆170億円減少(5.0%減)となっており、普通会計歳出決算額の21.6%(前年度21.0%)に相当する規模となっている。

 これを事業別にみると、第96図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、宅地造成事業の順となっている。

 また、建設投資額の推移は、第97図のとおりであり、平成18年度の額は4兆4,363億円(対前年度比9.5%減)で、普通会計の普通建設事業費の31.1%に相当する規模となっている。

 これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。建設投資額が前年度より減少した主な事業は、下水道事業(対前年度比1,875億円減少、7.6%減)、宅地造成事業(同1,533億円減少、36.5%減)、水道事業(同584億円減少、5.0%減)となっている。

(オ) 全体の経営状況

 法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況をみると、第31表のとおりであり、黒字事業数は全体の86.0%、赤字事業数は14.0%で、全体としては1,933億円の黒字となっている(前年度2,767億円の黒字)。また、黒字額が減少した主な理由については、病院事業において診療報酬の改定が行われたこと及び患者数が減少したこと等によるものである。

(カ) 料金収入

 料金収入は9兆4,592億円で、前年度と比べると5,430億円減少(5.4%減)している。これを事業別にみると、第98図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっている。

(キ) 企業債の状況

 資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第99図のとおりであり、発行額は2兆8,542億円で、前年度と比べると5.3%減となっている。これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、交通事業の順となっている。

 企業債借入先別現在高の推移は、第100図のとおりであり、平成18年度末の額は59兆3,371億円で、前年度末と比べると1.4%減となっている。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合を占め、以下、公営企業金融公庫資金、市場公募資金等の順となっている。

(ク) 他会計繰入金の状況

 他会計からの繰入金は3兆4,246億円で、前年度と比べると3.1%減となっている。この内訳をみると、収益的収入として2兆934億円(収益的収入に対する割合16.6%)、資本的収入として1兆3,313億円(資本的収入に対する割合22.0%)となっている。

 これを事業別にみると、下水道事業の繰入額が最も大きな割合(繰入額全体の57.3%)を占め、以下、病院事業(同20.6%)、水道事業(同7.2%)、交通事業(同5.7%)の順となっている。

(ケ) 法適用企業の経営状況[第118表

a 損益収支

 法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、当該年度の総合的な収支状況を表し、総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

 経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、過年度の職員給与費等の費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表し、経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

 総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、ここでいう経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

 法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は10兆3,819億円、総費用(経常費用+特別損失)は10兆2,425億円となっており、この結果、純損益は1,394億円の黒字となっており、総収支比率は101.4%と前年度より0.8%ポイント減少している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は10兆2,789億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は10兆1,182億円となっており、この結果、経常損益は1,607億円の黒字となっており、経常収支比率は101.6%と前年度より0.8%ポイント減少している。

 経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度から4年連続で100%を上回った。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。

b 累積欠損金

 過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は4兆8,097億円で、前年度と比べると3.1%増となっている。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、交通事業(累積欠損金合計額の47.2%)、病院事業(同39.0%)等である。

c 不良債務

 貸借対照表日現在において、流動負債の額が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は3,630億円で、前年度と比べると0.5%増となっており、平成10年度以降、年々増加傾向にある。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額全体の56.0%)、病院事業(同26.2%)、下水道事業(同8.1%)である。

d 資本収支

 建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は5兆4,906億円で、前年度と比べると3.3%減となっている。これに対する財源は、企業債等の外部資金が3兆557億円、損益勘定留保資金等の内部資金が2兆3,240億円、財源不足額は1,109億円となっている。

 資本的支出のうち建設改良費は2兆5,652億円で、前年度と比べると6.6%減となっている。建設改良費が大きい事業は、水道事業(建設改良費全体の38.9%)、下水道事業(同28.2%)、病院事業(同12.8%)である。

(コ) 法非適用企業の経営状況[第120表

 法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体96.0%、赤字事業数は4.0%を占めており、全体では540億円の黒字(前年度431億円の黒字)となっている。

(サ) 財政再建等の状況

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第49条の規定に基づく財政再建(いわゆる準用再建)については、交通事業において1事業が再建を行っていたが、平成11年度に計画どおり完了している。

 工業用水道事業においては、平成14年度から水利権の転用等を伴う未稼動資産等の整理により抜本的な経営健全化策に取り組む地方公共団体を対象として未稼動資産等整理経営健全化対策を講じており、平成18年度末現在において1団体2施設が取組を行っている。

 また、交通事業(地下鉄事業)の経営健全化措置については、計画期間開始年度末において不良債務を有し、計画期間中に不良債務の増加が見込まれる団体で、かつ、計画期間内に償却前営業収支を5%以上向上させることが確実と見込まれる団体のうち、経営健全化計画を策定する団体の中から総務大臣が指定する団体を対象として、不良債務の計画的な解消及びその発生に抑制を図ることを目的に、平成18年度末現在において4団体が取組を行っている。

 さらに、病院事業においては、平成13年度末において医業収益に対する不良債務の比率が10%以上の病院事業を経営する団体のうち、経営努力の徹底により収支の均衡を図ることが可能なものについて、平成14年度から15団体を対象に第五次病院事業経営健全化措置が実施されており、平成18年度末現在において5団体が取組を行っている。

イ 事業別状況[第115表第120表

(ア) 水道事業

a 事業数

(a) 上水道事業

 地方公共団体が経営する上水道事業で、平成18年度決算対象となるものは、1,409事業であり、このうち、末端給水事業は1,330事業(うち建設中1事業)、用水供給事業は79事業(同12事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、大都市営が15事業、市営が692事業、町村営が570事業、企業団営等が49事業であり、用水供給事業は、府県営が23事業、大都市営が1事業、企業団営等が55事業となっている。

(b) 簡易水道事業

 地方公共団体が経営する簡易水道事業で、平成18年度決算対象となるものは、891事業(うち法適用24事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が573事業で全体の64.3%を占め、以下、市営が309事業、一部事務組合営等が4事業、大都市営が4事業、県営が1事業となっている。

b 経営規模

 水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、平成18年度末で1億24百万人(上水道事業1億20百万人、簡易水道事業5百万人)であり、前年度と比べると微増となっている。また、平成18年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は191億42百万m3(前年度192億57百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は320l(同323l)となっている。

c 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 上水道事業及び法適用の簡易水道事業の総収益は3兆1,754億円、総費用は2兆9,330億円となっており、この結果、純損益は2,424億円の黒字(前年度2,369億円の黒字)、総収支比率は108.3%となっている。また、経常収益は3兆1,591億円、経常費用は2兆9,162億円となっており、この結果、経常損益は2,429億円の黒字、経常収支比率は108.3%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第33表のとおりである。

 累積欠損金は1,274億円で、前年度と比べると2.7%増となっている。また、不良債務は17億円で、前年度と比べると13.1%増となっている。

(ii) 資本収支

 資本的支出は、第101図のとおりであり、平成18年度の額は1兆8,413億円で、前年度と比べると3.4%減となっている。これに対する財源は、外部資金が7,432億円、内部資金が1兆925億円で、財源不足額は56億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は9,988億円で、前年度と比べると5.1%減、企業債償還金は7,500億円で、前年度と比べると2.7%減となっている。

(iii) 給水原価と料金

 有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は175.73円で、前年度と比べると0.2%減となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が68.03円、職員給与費が29.64円、受水費が30.48円、その他の経費が47.59円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価は173.37円であり、供給単価が給水原価を2.36円下回る状態となっている。

 また、平成18年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は90事業(前年度119事業)で、営業中の事業の6.3%となっている。

(b) 法非適用企業

 法非適用の簡易水道事業の実質収支をみると、黒字事業が849事業で89億円の黒字、赤字事業が16事業で9億円の赤字となっており、差引80億円の黒字となっている。

(イ) 工業用水道事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する工業用水道事業で、平成18年度決算対象となるものは、151事業(うち建設中4事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が41事業、大都市営が7事業、市営が80事業、町村営が15事業、企業団営が8事業となっている。

 施設数は268施設、給水先事業所数は6,160箇所、年間総配水量は47億90百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの)の平均は60.4%(前年度59.2%)となっている。

b 経営状況

(a) 損益収支

 工業用水道事業の総収益は1,572億円、総費用は1,750億円となっており、この結果、純損益は178億円の赤字(前年度239億円の黒字)、総収支比率は89.8%となっている。また、経常収益は1,563億円、経常費用は1,378億円となっており、この結果、経常損益は185億円の黒字、経常収支比率は113.4%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第34表のとおりである。

 累積欠損金は569億円で、前年度と比べると162.6%増となっている。

(b) 資本収支

 資本的支出は1,725億円で、前年度と比べると3.0%減となっている。これに対する財源は、外部資金が881億円、内部資金が841億円で、財源不足額は3億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は429億円で、前年度と比べると13.7%減、企業債償還金は713億円で、前年度と比べると2.1%減となっている。

(c) 給水原価と供給単価

 有収水量1m3当たりの給水原価は29.56円(資本費15.63円、職員給与費4.18円、その他の経費9.75円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は29.56円となっている。

 これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(13.94円)が給水原価(11.93円)を2.01円上回るのに対して、補助事業では供給単価(33.67円)が給水原価(34.20円)を0.53円下回っている。

(ウ) 交通事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する交通事業で、平成18年度決算対象となるものは、106事業(うち未開業1事業)である。これを事業別にみると、バスが39事業、都市高速鉄道が10事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が50事業となっている。

 これらによる年間輸送人員は39億7,901万人、1日平均1,090万人(対前年度比0.8%増)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが288万人(同1.0%減)、都市高速鉄道が776万人(同1.6%増)、路面電車が15万人(同同数)、その他が11万人(同同数)となっている。

 公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を輸送人員からみると、第102図のとおりであり、バスについては23.4%、都市高速鉄道については13.1%となっている。

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用の交通事業の総収益は8,187億円、総費用は8,136億円となっており、この結果、純損益は51億円の黒字、総収支比率は100.6%となっている。また、経常収益は7,962億円、経常費用は8,064億円となっており、この結果、経常損益は102億円の赤字、経常収支比率は98.7%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第35表のとおりである。

 累積欠損金は2兆2,699億円で、前年度と比べると0.3%減となっている。一方、不良債務は2,033億円で、前年度と比べると6.9%減となっている。

 これを事業別にみると、バス事業においては、経常損益は3億円の黒字となっている。また、累積欠損金は1,828億円で、前年度と比べると8.2%減となっており、不良債務は758億円で、前年度と比べると16.1%減となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第36表のとおりである。

 都市高速鉄道事業においては、経常損益は77億円の赤字となっている。また、累積欠損金は2兆358億円で、前年度と比べると0.4%増となっており、不良債務は925億円で、前年度と比べると1.6%減となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第37表のとおりである。

(ii) 資本収支

 法適用の交通事業の資本的支出は5,664億円(うち都市高速鉄道事業5,175億円、バス事業434億円)で、前年度と比べると9.5%減となっている。これに対する財源は、外部資金が3,846億円、内部資金が1,319億円で、財源不足額は500億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は2,298億円(うち都市高速鉄道事業2,042億円、バス事業226億円)で、前年度と比べると11.0%減、企業債償還金は3,005億円(うち都市高速鉄道事業2,807億円、バス事業173億円)で、前年度と比べると3.1%減となっている。

(b) 法非適用企業

 交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の42事業で、実質収支をみると、黒字事業が31事業で1億円の黒字、赤字事業は11事業で10億円の赤字となっている。

(エ) 電気事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する電気事業で、平成18年度決算対象となるものは、102事業であり、法適用企業が31事業、法非適用企業が71事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が31事業、大都市営が10事業、市営が33事業、町村営が15事業、一部事務組合等営が13事業となっている。施設数は441施設で、最大出力の合計は353万4千kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は130億23百万kWh、年間売電電力量は107億65百万kWhとなっている。

 上記のうち稼働中の水力発電施設は294施設、ごみ発電施設は90施設、スーパーごみ発電施設は4施設、ごみ固形燃料発電施設2施設、風力発電施設36施設であり、自家消費部分を含む最大出力の合計は水力発電施設で253万kW、ごみ発電施設で73万kW、スーパーごみ発電施設で99千kW、ごみ固形燃料発電施設で19千kW、風力発電施設で68千kW、年間発電電力量は、水力発電施設で90億38百万kWh、ごみ発電施設で33億7百万kWh、スーパーごみ発電施設で4億71百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で1億5百万kWh、風力発電施設で1億3百万kWh、年間売電電力量は、水力発電施設で89億49百万kWh、ごみ発電施設で13億6百万kWh、スーパーごみ発電施設で3億43百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で66百万kWh、風力発電施設で1億1百万kWhとなっている。

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用の電気事業の総収益は863億円、総費用は758億円となっており、この結果、純損益は106億円の黒字、総収支比率は113.9%となっている。また、経常収益は844億円、経常費用は748億円となっており、この結果、経常損益は96億円の黒字、経常収支比率は112.8%となっている。また、累積欠損金は16億円となっており、不良債務を有する事業はない。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第38表のとおりである。

(ii) 資本収支

 資本的支出は399億円で、前年度と比べると14.2%減となっている。これに対する財源は、外部資金が130億円、内部資金が269億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は132億円で前年度に比べると1.5%減、企業債償還金は143億円で、前年度と比べると1.8%減となっている。

(b) 法非適用企業

 電気事業における法非適用企業は、ごみ発電事業、スーパーごみ発電事業、風力発電事業、水力発電事業及びごみ固形燃料発電事業の71事業で、実質収支をみると71事業すべてにおいて黒字となっており、黒字額は16億円となっている。

(オ) ガス事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営するガス事業で、平成18年度決算対象となるものは、35事業である。これを経営主体別にみると、大都市営が1事業、市営が25事業、町村営が8事業、企業団営が1事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は98万戸(前年度102万戸)で、供給区域内戸数に対する普及率は73.2%となっている。また、販売量は349億28百万MJで、前年度と比べると4.6%増となっている。

 ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、事業数で16.0%、供給戸数で3.5%、販売量で2.5%となっている。なお、民間大手4社を除いた割合では、供給戸数で12.2%、販売量で10.5%となっている。

b 経営状況

(a) 損益収支

 ガス事業の総収益は936億円、総費用は949億円となっており、この結果、純損益は13億円の赤字、総収支比率は98.6%となっている。また、経常収益は933億円、経常費用は931億円となっており、この結果、経常損益は1億円の黒字、経常収支比率は100.2%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第39表のとおりである。

 累積欠損金は424億円で、前年度と比べると9.0%増となっており、不良債務を有する事業はない。

(b) 資本収支

 資本的支出は300億円で、前年度と比べると4.1%増となっている。これに対する財源は、外部資金が82億円、内部資金が219億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は143億円で、前年度と比べると3.4%減、企業債償還金は129億円で、前年度と比べると4.2%増となっている。

(カ) 病院事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する病院事業(地方公営企業法を適用する病院事業数)で、平成18年度決算対象となるものは、669事業であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は973病院である。これを経営主体別にみると、都道府県立が209病院(46都道府県)、大都市立が38病院(15大都市)、市立が419病院(335市)、町村立が201病院(190町村)及び一部事務組合等立が106病院(83組合)となっている。

 自治体病院のうち一般病院について病床数300床以上の大規模病院が占める割合を経営主体別にみると、都道府県立が49.1%、大都市立が67.6%、市立が37.3%とそれぞれ大きな割合を占めている。これら大規模病院は、地域における基幹病院、中核病院として高度の医療設備を備え、医療水準の向上等に重要な役割を果たしている。

 平成18年度末における病床数は23万1千床で、前年度と比べると2.0%減となり、入院、外来延患者数は1億8千万人で、6.1%減となっている。

 また、病床利用率は77.5%(前年度80.3%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は172.1%(前年度173.8%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第103図のとおりである。

b 経営状況

(a) 損益収支

 病院事業の総収益は4兆90億円で、前年度と比べると3.5%減、総費用は4兆2,075億円で、前年度と比べると2.2%減となっている。この結果、純損益は1,985億円の赤字、総収支比率は95.3%となっている。また、経常収益は3兆9,791億円で、前年度と比べると3.8%減、経常費用は4兆1,788億円で前年度と比べると2.4%減となっている。この結果、経常損益では1,997億円の赤字、経常収支比率は95.2%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第40表のとおりである。

 累積欠損金は1兆8,736億円で、前年度と比べると5.1%増、不良債務は953億円で、前年度と比べると14.2%増となっている。

 特に不良債務については、過去5年間で最も低水準であった平成15年度の742億円と比べ約200億円増加し、さらに、経営形態の見直し等に伴う債務処理額等を除くと、実質的には400億円以上の増加となるなど、急激に増加している。

 このような厳しい状況の中、「公立病院改革プラン」に基づき経営の健全化を図るにあたり、平成15年度以降の医師不足の深刻化等により新に発生した不良債務を長期債務に振替え、その計画的な解消を図ることができるよう、平成20年度に限り、「公立病院特例債」の発行を認めることとしている。

 なお、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は88.8%(前年度90.3%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が89.4%(同91.0%)、結核病院が47.1%(同41.5%)、精神科病院が66.9%(同65.9%)となっている。

(b) 資本収支

 資本的支出は6,465億円で、前年度と比べると4.5%減となっている。これに対する財源は、外部資金が4,358億円、内部資金が1,869億円で、財源不足額は238億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,284億円で、前年度と比べると10.9%減、企業債償還金は2,532億円で、前年度と比べると2.6%増となっている。

(キ) 下水道事業

a 事業数及び経営規模

 地方公共団体が経営する下水道事業で、平成18年度決算対象となるものは、3,709事業(うち建設中151事業)であり、法適用企業が232事業、法非適用企業が3,477事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が82事業、大都市営が33事業、市営が1,871事業、町村営が1,690事業、一部事務組合等営が33事業となっている。

 下水道事業の平成18年度末における現在処理区域内人口は9,498万人、現在処理区域面積は386万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は145億51百万m3で、前年度と比べると4.5%増となっている。

b 経営状況

(a) 法適用企業

(i) 損益収支

 法適用企業の下水道事業の総収益は1兆4,437億円、総費用は1兆4,049億円となっており、この結果、純損益は387億円の黒字、総収支比率は102.8%となっている。また、経常収益は、前年度と比べると3.0%増の1兆4,409億円、経常費用は、3.4%増の1兆4,028億円となっている。この結果、経常損益は381億円の黒字、経常収支比率は102.7%となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第41表のとおりである。

 累積欠損金は2,038億円で、前年度と比べると1.2%減となり、また、不良債務は295億円で、15.5%増となっている。

(ii) 資本収支

 法適用企業の下水道事業の資本的支出は1兆6,238億円で、前年度と比べると3.0%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆264億円、内部資金が5,773億円で、財源不足額は201億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は7,233億円で、前年度と比べると2.2%増、企業債償還金は8,722億円で、前年度と比べると2.3%増となっている。

(b) 法非適用企業

 法非適用企業の下水道事業の総収益は1兆5,129億円で、前年度と比べると1.9%増となっている。その内訳をみると、料金収入が6,705億円(総収益に占める割合44.3%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が6,208億円(同41.0%)等となっている。一方、総費用は1兆2,636億円で、前年度と比べると3.7%減となっており、うち地方債利息が5,822億円(総費用に占める割合46.1%)となっている。

 資本的支出は2兆5,108億円で、前年度と比べると7.6%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は1兆5,551億円で、前年度と比べると11.6%減、地方債償還金は9,427億円で、前年度と比べると0.1%増となっている。

 実質収支をみると、黒字事業が3,247事業で884億円の黒字、赤字事業が86事業で377億円の赤字となり、差引506億円の黒字となっている。

(c) 全体の経営状況

 法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の総収益は、前年度と比べると710億円、2.5%増の2兆9,565億円、総費用は、前年度と比べると57億円、0.2%減の2兆6,685億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は893億円の黒字となっている。これは、有収水量の増加等により料金収入が増加しているほか、他会計からの繰入れが行われていることによる。

 汚水処理費を年間有収水量で除して算出した汚水処理原価(特定公共下水道及び流域下水道を除く。)についてみると、法適用企業が141.55円/m3(維持管理費57.28円/m3、資本費84.27円/m3)、法非適用企業が221.45円/m3(維持管理費86.38円/m3、資本費135.07円/m3)、全体としては179.88円/m3(維持管理費71.24円/m3、資本費108.64円/m3)となっている。

 汚水処理原価と使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除して算出したもの、特定公共下水道及び流域下水道を除く。)の関係をみると、法適用企業の使用料単価は136.01円/m3で、汚水処理原価の96.1%、法非適用企業の使用料単価は131.25円/m3で、汚水処理原価の59.3%、全体の使用料単価は133.73円/m3で、汚水処理原価の74.3%と低い水準となっている。このため、下水道事業の財政健全化のためにも今後使用料水準の適正化を図っていく必要がある。

(ク) その他の地方公営企業

a 事業数

 地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、平成18年度決算対象となるものは、港湾整備事業が105事業、市場事業が179事業、と畜場事業が78事業、観光施設事業が425事業、宅地造成事業が521事業、有料道路事業が4事業、駐車場整備事業が237事業、介護サービス事業が681事業及びその他事業が35事業(診療所、廃棄物等処理施設、自動車学校等)となっている。

b 経営状況

 その他の地方公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第42表のとおりである。

(2) 国民健康保険事業

 平成18年度末の国民健康保険事業の保険者は、1,827団体(15大都市、37中核市、39特例市、690都市、1,020町村、3一部事務組合等、23特別区)で、総保険者数は前年度末と比べると17団体減少している。また、直営診療所を設置している団体は391団体(1大都市、9中核市、9特例市、163都市、208町村、1一部事務組合等)で、前年度末と比べると15団体減少している。

 被保険者数は4,740万人であり、加入世帯数は2,552万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は44万人減、加入世帯数は12万世帯増となっている。

 なお、退職者医療制度の被保険者数及び被扶養者数は864万人で、前年度末と比べると63万人増加(7.9%増)している。

ア 事業勘定[第121表

(ア) 歳入

 保険税(料)を主な歳入としている事業勘定の歳入決算額は12兆1,254億円で、前年度と比べると6.4%増(前年度4.9%増)となっている。

 歳入の内訳をみると、第104図のとおりであり、国民健康保険税(料)及び国庫支出金の両者で歳入総額の57.7%を占め、前年度(62.3%)と比べると4.6%ポイント低下となっている。

 それぞれの決算額をみると、国民健康保険税(料)は3兆7,155億円で、前年度と比べると2.8%増(前年度2.7%増)、国庫支出金は3兆2,817億円で、5.9%減(同6.5%減)となっている。国庫支出金の主な内訳としては、療養給付費等負担金が2兆4,949億円、財政調整交付金等が7,869億円で、それぞれ前年度と比べると6.6%減(同8.1%減)、3.7%減(同1.0%減)となっている。

 また、都道府県支出金は前年度と比べると30.1%増(前年度546.7%増)の5,533億円となっている。

 さらに、他会計繰入金は1兆1,768億円で、前年度と比べると0.0%増(前年度1.6%増)となっている。この内訳をみると、財源補てん的な繰入金が3,477億円(対前年度比1.0%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が4,574億円(同3.1%増)、高医療費基準超過額に係る繰入金が16億円(同7.9%増)等となっている。

(イ) 歳出

 歳出決算額は11兆9,852億円で、前年度と比べると6.4%増(前年度5.1%増)となっている。

 歳出の内訳をみると、第105図のとおりであり、保険給付費は7兆7,765億円で、前年度と比べると4.4%増(前年度9.1%増)となっている。

 主な内訳をみると、療養諸費等が7兆5,932億円で、前年度と比べると4.4%増(前年度9.5%増)、その他の給付費が1,578億円で、4.3%増(同4.4%減)となっている。

(ウ) 収支

 実質収支は1,348億円の黒字(前年度1,325億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字基調が続いている。しかし、実質収支から財源補てん的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、3,034億円の赤字(同3,267億円の赤字)となっており、13年連続して赤字となっている。

 再差引収支を団体規模別にみると、大都市が1,755億円の赤字(前年度1,888億円の赤字)、中核市が518億円の赤字(同541億円の赤字)、特例市が351億円の赤字(同384億円の赤字)、都市が738億円の赤字(同787億円の赤字)となる一方、町村が162億円の黒字(同155億円の黒字)、一部事務組合等が2億円の黒字(同3億円の黒字)、特別区が163億円の黒字(同175億円の黒字)となっており、大都市、中核市、特例市及び都市において赤字額が減少している。

 再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると18団体減少の1,067団体で、その黒字額は60億円増加の1,330億円となっている。

 一方、赤字の団体数は1団体増加の760団体で、全団体に占める割合は41.6%となっており、その赤字額は、前年度と比べると172億円減少の4,364億円となっている。

 赤字の団体が占める割合を団体規模別にみると、大都市が100.0%、中核市が75.7%、特例市が79.5%、都市が47.2%、町村が34.9%、一部事務組合等が33.3%、特別区が13.0%となっており、特に大都市、中核市及び特例市においては、厳しい財政運営が続いている。

イ 直診勘定[第121表

 診療所等を設置し診療収入を主な歳入としている直診勘定の歳入決算額は721億円で、前年度と比べると5.0%減(前年度7.1%減)となっている。

 このうち、診療収入は496億円で、前年度と比べると6.4%減(前年度0.6%減)となっており、歳入総額に占める割合についても前年度と比べて1.0%ポイント低下の68.9%となっている。一方、他会計繰入金は115億円で、前年度と比べると2.3%減(同13.2%減)となったが、歳入総額に占める割合については0.4%ポイント上昇の16.0%となっている。

 歳出決算額は707億円で、前年度と比べると4.4%減(前年度7.3%減)となっている。

 このうち、総務費は361億円(歳出総額に占める割合51.0%)で、前年度と比べると5.0%減(前年度3.4%減)となっている。また、医業費は249億円(歳出総額に占める割合35.2%)で、前年度と比べると4.0%減(前年度1.7%減)となっている。なお、医業費の診療収入に対する割合は前年度と比べて1.2%ポイント上昇の50.1%となっている。

 実質収支は9億円の黒字(前年度14億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、104億円の赤字(同102億円の赤字)となっている。

(3) 介護保険事業

 平成12年4月から、介護が必要となる状態になっても能力に応じて自立した日常生活ができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づく介護保険制度が実施されている。

 介護保険制度を実施する保険者である市町村等が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65才以上の者)からの保険料や、第2号被保険者(40才以上65才未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る支払基金からの交付金である支払基金交付金等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる在宅サービス及び施設サービスを実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

 なお、市町村等が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者が管理するものは除く。)は介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

 平成18年度末の介護保険事業の保険者は、1,671団体(15大都市、37中核市、39特例市、635都市、880町村、42一部事務組合等、23特別区)となっている。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は744団体(7大都市、12中核市、21特例市、309都市、372町村、7一部事務組合等、16特別区)となっている。

ア 保険事業勘定[第123表

(ア) 歳入

 保険事業勘定の歳入決算額は6兆5,936億円となっている。

 歳入の内訳をみると、第106図のとおりである。それぞれの決算額をみると、第1号被保険者が支払う保険料が1兆2,620億円、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあたっては100分の15)に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が1兆4,571億円、支払基金交付金(第2号被保険者の介護給付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)が1兆8,128億円、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあたっては100分の17.5)に相当する額)を含む都道府県支出金が9,111億円、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が9,966億円、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が145億円等となっている。

(イ) 歳出

 歳出決算額は6兆3,635億円となっている。

 歳出の内訳をみると、第107図のとおりであり、保険給付費は5兆8,784億円で、歳出総額の92.4%を占めている。

 その他については、総務費が2,248億円、基金積立金559億円、介護保険財政の安定化を図るため都道府県が設置する基金へ保険者が毎年度拠出する財政安定化基金拠出金43億円等となっている。

(ウ) 収支

 実質収支は2,247億円の黒字となっており、実質収支から財源補てん的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、2,188億円の黒字となっている。

 再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は1,625団体で、全団体に占める割合は97.2%となっており、その黒字額は2,223億円となっている。

 一方、赤字の団体数は46団体で、全団体に占める割合は2.8%となっており、その赤字額は35億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定[第123表

 介護サービス事業勘定の歳入決算額は267億円となっている。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は88億円で、歳入総額に占める割合は33.1%となっている。

 普通会計等からの繰入金は166億円で、歳入総額に占める割合は62.2%となっており、このうち、普通会計からのものが160億円となっている。

 歳出決算額は261億円となっている。このうち、公債費の元利償還金が104億円で、歳出総額に占める割合は39.9%となっている。

 また、サービス事業費は、88億円で、歳出総額に占める割合は33.7%となっている。

 なお、実質収支は5億円の黒字となっている。

(4) その他の事業

ア 収益事業[第124表

 収益事業を実施した地方公共団体の数は延べ315団体で、前年度と比べると33団体減少している。これは、市町村合併の進展に伴い、収益事業を実施する一部事務組合等の構成団体数が減少したこと等によるものである。

 これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が113団体と最も多く、以下、自転車競走事業76団体、競馬事業56団体、小型自動車競走事業8団体の順となっている。

 また、宝くじは、47都道府県及び15大都市の62団体で発行されている。

 これらを団体種類別にみると、都道府県においては延べ70団体、市町村においては延べ245団体が収益事業を実施している。

(ア) 経営状況

 収益事業の決算額は、歳入3兆3,855億円、歳出3兆4,041億円となっている。これを前年度と比べると歳入は0.9%増、歳出は1.1%増となっている。

 実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は4,311億円の黒字(前年度4,372億円の黒字)となっている。

 普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、自転車競走事業が52億円(前年度45億円)、小型自動車競走事業が3億円(同2億円)、モーターボート競走事業が96億円(同77億円)、宝くじ事業が4,632億円(同4,558億円)となっている。

(イ) 収益金の使途状況

 収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は4,784億円で、前年度と比べると2.2%増(前年度0.7%増)となっている。

 収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、土木費が1,783億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合の37.3%)を占め、次いで、教育費の741億円(同15.5%)となっており、この両者で繰入総額の52.8%を占めている。

 このほか、民生費が479億円(収益金繰入額に占める割合の10.0%)、衛生費が206億円(同4.3%)、商工費が142億円(同3.0%)等となっている。

イ 共済事業

(ア) 農業共済事業[第126表

 農業共済事業を実施した市町村の数は77団体で、前年度と比べると1団体減少している。

 農業共済事業会計の決算額は歳入205億円、歳出193億円で、前年度と比べると歳入4.2%減(前年度11.8%減)、歳出2.8%減(同11.9%減)となっている。

 なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、44億円の赤字(前年度3億円の赤字)となっている。

(イ) 交通災害共済事業[第127表

 直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は140団体(2県、93市町村、45一部事務組合等)で、前年度と比べると18団体減少している。

 また、加入者は平成18年度末で1,423万人(前年度末1,730万人)となっている。

 交通災害共済事業会計の決算額は歳入105億円、歳出85億円で、前年度と比べると歳入18.1%減(前年度10.7%減)、歳出21.1%減(同10.7%減)となっている。

 なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は16億円の黒字(前年度11億円の黒字)となっている。

ウ その他

(ア) 老人保健医療事業[第122表

 老人保健医療事業会計の決算額は、歳入10兆4,728億円、歳出10兆4,560億円であり、歳入においては、支払基金交付金等が、歳出においては、医療給付費等がそれぞれ減少したことから、前年度と比べると歳入3.5%減(前年度0.9%増)、歳出3.6%減(同1.0%増)となっている。

 医療給付費等は10兆599億円で、歳出総額の96.2%を占めている。

 実質収支は147億円の黒字(前年度54億円の黒字)となっている。

(イ) 公立大学附属病院事業[第125表

 公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体は4団体で、地方独立行政法人化に伴い減少している。

 その結果、公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益649億円、総費用638億円となり、前年度と比べると総収益56.8%減(前年度18.0%減)、総費用56.2%減(同19.4%減)となっている。

 また、資本的収支では資本的収入86億円、資本的支出108億円で、前年度と比べると、資本的収入36.0%減(前年度45.8%減)、資本的支出39.8%減(同34.8%減)となっている。

 実質収支は2億円の黒字(前年度14億円の黒字)となっている。