はじめに

 本報告は、地方財政法第30条の2第1項の規定に基づき、内閣が、地方財政の状況を明らかにして国会に報告するものであり、昭和28年に1回目の報告を行っており、今回で60回目になる。

 平成22年度の地方財政について、歳入は、前年度比8,542億円減(0.9%減)の97兆5,115億円となった。主な増減内訳を見ると、地方交付税が1兆3,733億円増加、臨時財政対策債などの地方債が5,735億円増加する一方で、地方税が8,666億円減少、国庫支出金が2兆5,308億円減少した。

 一方、歳出は、前年度比1兆3,314億円減(1.4%減)の94兆7,750億円となった。主な増減内訳を見ると、扶助費が2兆1,510億円増加、公債費が966億円増加する一方で、人件費が4,394億円減少、普通建設事業費が1兆475億円減少、補助費等が1兆2,790億円減少した。

 また、普通会計が負担すべき借入金残高は、企業債現在高(普通会計負担分)は1兆1,797億円減少したが、地方債現在高が2兆2,936億円増加したことから、前年度比1兆1,139億円増(0.6%増)の199兆7,933億円となった。

 なお、東日本大震災関連経費は、大震災の発生が平成23年3月11日と年度末に近い時期であったことから、直後の応急対応を反映して、民生費における災害救助費が前年度と比べて245億円増加(236.4%増)したものの、他の費目には明確な変動は表れていない。東日本大震災関連経費は、復旧・復興への取組が本格化する次年度以降の決算に顕在化することになる。

 本報告は、以下の3部から構成されている。

 第1部では、平成22年度の地方財政について、その決算を中心として、決算収支、歳入、歳出等を分析するとともに、平成22年度決算に基づく健全化判断比率等及び公共施設の状況等を明らかにしている。

 第2部では、平成23年度の地方財政及び平成24年度の地方財政の動向について取りまとめている。

 第3部では、最近の地方財政をめぐる諸課題について取りまとめている。

 各項目についての計数は、表示単位未満を四捨五入したものである。したがって、その内訳は合計と一致しない場合がある。

 各項目の詳細な計数は、資料編に集録してある。なお、文章編の見出しの[ ]内には、本文に対応する資料編の表番号を記載しているので、参照されたい。

 提出された法律案、検討状況等については、特に断りがない限り、平成24年2月末の状況をもとに記述している。