総務省 東北総合通信局
Tohoku Bureau of Telecommunications 【地域情報化】
“e”からはじまる未来の東北
第2編 総務省の情報通信施策
第1章 地域関連施策
第2節 地域における情報通信メディア


4 行政通信ネットワーク

−地方行政の新時代を拓く、柔軟性と安全性を兼ね備えた情報伝達システムです−

 地震、台風、津波等の自然災害が多発する我が国においては、災害発生時の正確かつ迅速な情報の収集、伝達等、情報通信の果たす役割は極めて重要です。
 現在、電波を利用した「防災行政無線」は、耐災害性に優れていることから、防災用通信網の中核となっており、緊急災害時の情報収集や指揮・支援、あるいは救援活動等に活用されるとともに、日常は行政広報活動に利用されています。

地域衛星通信ネットワークの現状
 総務省は、平成3年3月に防災行政用無線局の免許方針を改正し、防災行政無線網に衛星系の導入及びシステムの有効活用の拡大等を認めることとしました。
 これを受けて、「財団法人自治体衛星通信機構」によって管理・運営される「地域衛星通信ネットワーク」が設立されました。

【ネットワークの目的】
(1) 防災行政無線機能の拡充・強化
(2) 行政情報の伝達
(3) 地域からの情報発進

 衛星通信を利用した防災行政無線ネットワークは、全国一律市内電話程度の安価な料金であることや、メンテナンスが容易なこと、また、コンピュータネットワークとの親和性がよいことを背景に各県の防災行政無線を皮切りに普及しはじめ、全国の地方公共団体等で防災情報をはじめ行政情報、情報発信等に利用されています。
 全国では、平成4年1月に、東京都、富山県及び兵庫県が一部運用を開始して以来、多くの県で計画・整備が進められており、東北管内でも平成4年に岩手県及び青森県、平成8年に福島県、平成11年に宮城県が導入し、平成12年に秋田県が導入しております。将来は、全国で数千局がネットワークに加入すると予測されており、全国の自治体から熱い注目を浴びています。

衛星通信は

(1) 広域性 :日本全域がエリアなので全国各地と生きた情報交換ができます。
(2) 同報性 :全国ネットで一斉に伝送できるので地域による格差がありません。
(3) 耐災害性:静止軌道上にある衛星を中継するので地上災害に左右されません。
(4) 広帯域性:伝送容量が大きいので画像伝送やテレビ会議にも対応できます。

 という特徴を有することから、各自治体内の自営の地上系防災行政無線網と有機的に組み合わせることにより、広域的な情報収集と密度の濃い防災活動を行うことができます。
 また、テレビ会議、研修会の開催や地域特有の情報(各地のイベント、特産品の紹介など)を全国に伝える情報発信基地になり得ることから多角的な利用が可能となり、地域の活性化及び地域産業・経済の発展に寄与するものと大きな期待が寄せられています。

東北管内における地域衛星通信ネットワークの導入状況
(1) 青森県: 平成4年5月から、県庁統制局、6合同庁舎における地球局及び車載地球局により一部運用開始し、引き続き市町村等にVSAT地球局の 整備を図り、平成5年3月に全面運用しています。
(2) 岩手県: 平成4年2月に県庁統制局、車載地球局を導入し、一部運用を開始しています。4年度以降、市町村等にVSAT地球局及び映像受信専用設備の整備を図り、6年4月から全面運用しています。
(3) 宮城県: 平成4年3月「地域通信ネットワーク整備基本構想」をとりまとめ、平成8年度に基本設計を策定し、平成9年度に実施設計、平成11年4月から全面運用開始しています。
(4) 秋田県: 平成12年4月から、県庁統制局、車載地球局及び各市町村等にVSAT地球局を整備し、運用開始しています。を進めています。
(5) 山形県: 平成14年度の運用開始に向け準備を進めています。
(6) 福島県: 平成4年3月「衛星通信ネットワーク整備基本構想」をとりまとめ、平成8年12月に県庁統制局及び県内全市町村にVSAT地球局を導入し、運用を開始しています。

防災行政用無線の現状
−安全と安心を約束するシステムが新たに展開しはじめています−

 防災行政用無線局(同報無線)は、役場に設置した無線局から、連絡情報や緊急情報を電波で送信し各集落に建てられたトランペットスピーカや家庭内の受信機で受信する情報伝達システムです。このシステムは、不特定多数の人に同一の情報を同時に送るには、最適のシステムといえ、近年の技術革新や規制緩和の恩恵を受けて、より便利になっています。
(1) システムの高度化
 現在の同報無線はアナログ方式ですが、総務省では平成13年度中にもデジタル方式の制度化を予定しており、音声だけでなく画像やデータによる災害情報の収集や、避難場所と役場との情報交換が電話のように双方向で行うことができます。
(2) システムのコミュニティ運用
 総務省は、平成3年3月に防災行政用無線局の利用範囲を拡大するため免許方針を改正し、「地域共同広報用無線局」と共用することができるようにしました。
これによって

(1) 地域の非営利で公共的な団体(PTA、老人会、婦人会等)が、
(2) 団体の構成員の活動のための広報に利用する場合に、
(3) 市町村長が防災行政用無線局と共用することを認めて、
(4) 「○○市町村同報無線利用者協議会」を設立し、
(5) 総務省から免許を受ければ・・・
→地域コミュニティに使えるようになりました。

 そのほか、「地方行政用無線局」「上下水道事業用無線局」との共用もできるようになり、従来から共用ができていた農協、漁協、森林組合の通信事項も拡大され、まちの広報メディアとしてのシステムの利活用が拡がりつつあり、地域共同広報用無線局は東北管内では宮城県亘理町を始め数局運用を開始し、地域情報の伝達に大いに役立っております。


[目次] [前の項] [次の項] [地域情報化目次] [トップページ]

Copyright