昭和62年版 通信白書

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2 充実する郵便サービス

(1)郵便ネットワークの充実・強化

 ア 輸送ネットワークの強化
 郵便物の送達速度を向上させ,効率的な輸送を図るため,61年10月,鉄道郵便車による輸送を全廃し,自動車,航空機等による輸送へ全面的に切り替えた。これにより,全種別の郵便物について翌日配達地域が拡大されたほか,翌日配達が困難な場合でも,一部離島を除き,全国的に翌々日配達が可能となった。今後は,この輸送ネットワークを基本として,さらに翌日配達地域の拡大を検討している。
 また,郵便物の破損防止や効率的輸送のためのパレット等の輸送容器の導入等も推進している。

 イ 超特急郵便サービスの取扱地域の拡大・充実
 東京23区内及び大阪市でスタートした超特急郵便サービスについては,利用者の強いニーズにこたえ,61年11月からは大阪市に隣接する11市に取扱地域を拡大した。
 さらに,62年10月から名古屋市でもサービスを開始した。

 ウ 窓ロサービス機関の拡大
 地域におけるコミュニティの拠点でもある郵政窓口機関については,61年度には無集配特定局88局,簡易郵便局50局が新たに設置された。
 また,61年3月から,駅,百貨店,スーパーマーケット等郵便需要の高い場所に郵便切手・はがき発売機の設置が進められており,その設置箇所は,62年9月末現在37か所である。

 (2)ニーズにこたえる小包郵便サービス

 ア ふるさと小包の増大
 ふるさと小包は,全国各地の名産品・特産品を郵便局が地元団体,農協,漁協,生業者等とタイアップして,全国の利用者へ届けることにより,地域の産業振興に寄与するとともに,小包郵便の需要拡大を図るものである。
 このシステムは,全国の郵便局の窓口に全国各地の特産品,名産品等を紹介したカタログを配備し,利用者は,郵便振替で希望商品を申し込むと,小包郵便で届けられるものである。
 58年5月に取扱いを始めて以来順調な伸びを続け,61年度は421万個となった(第1-2-9図参照)。

 イ 小包郵便物の料金減額率の改善
 61年10月から,多数の小包郵便物を差し出す場合,差出人が,その送達について後回し処理を承諾したときは,従来の料金減額率にさらに5%を加算した率により減額できることとされた。

 ウ 小包郵便物の集荷サービスの充実・強化
 60年11月から全国的に実施されている小包郵便物の集荷サービスについては,62年10月には,全集配普通局において,集荷便を地域の実状に応じて,午前1便,午後2便程度設定するなどその強化,充実が行われている。

 エ 小包郵便物の取次ぎ箇所の拡大
 59年7月から郵便切手類販売所においても小包郵便物の取次ぎが行われるようになったが,さらに,61年6月から,郵便切手類販売所以外でも利用上便利であって,新規需要開拓上効果的な場所で取次ぎが行われている。
 62年9月末現在,郵便切手類販売所のほか,スーパーマーケット,旅館,ガソリンスタンド,プロパンガス販売店等全国約7万か所において取次ぎサービスが実施されている。
 なお,61年7月から,郵便切手類販売所において,郵便小包用包装用品(ゆうパック)の販売も開始された。

 オ 取扱注意小包
 61年10月から,生鮮魚介類等のなまもの小包について,特に迅速な処理を行うとともに,局内保管用として集配普通局全局及び一部の集配特定局に冷蔵庫が配備された。

(3)多様化する郵便サービス

 ア 春のおよろこび郵便葉書(さくらめーる)の発行
 お年玉付郵便葉書,くじ付暑中見舞い葉書(かもめーる)に続いて,62年2月,「さくらめーる」が5,000万枚発行された。
 「さくらめーる」は,入学,就職,進学等の慶事の便りとして,また,ダイレクトメール用として好評を博したので,4,000万枚の追加発行が行われた。

 イ 配達地域指定郵便の実施
 あて名の記載を省略した郵便物を一定地域内の全世帯等にくまなく配達してほしいというニーズにこたえるため,62年5月,郵トピア構想モデル都市の配達事務を受け持つ郵便局において,一定の条件を満たす郵便物について配達地域指定郵便サービスが開始された。

 ウ 即日配達郵便の実施
 郵便物を差し出した当日中に配達してほしいというスピード志向のニーズにこたえるため,62年11月,東京都区内,大阪市内及び名古屋市内の相互間並びに博多局及び札幌中央局から東京都区内あての郵便物を差出当日に配達する即日配達郵便サービスが開始された。

 エ 区分配達サービスの実施
 毎日の受取郵便物が多い事業所等において,郵便物を各セクションごとに細区分のうえ配達してほしいというニーズにこたえるため,62年7月,郵トピア構想モデル都市の配達事務を受け持つ郵便局において区分配達サービスが開始された。

 オ 巡回郵便サービスの実施
 事業所等の本社・本局と支社・支局間を定期的に巡回しながら書類等を引き受け,配達するサービスを実施してほしいというニーズにこたえるため,62年4月,全国の配達事務を受け持つ郵便局において巡回郵便サービスが開始された。

 カ コンピュータ郵便サービスの改善
 60年6月,東京の日本橋郵便局及び大阪中央郵便局で開始されたコンピュータ郵便サービスについては,61年7月には,郵便物のあて先等のデータを記録する入力媒体として,磁気テープのほかにフレキシブルディスクも利用できることとされた。また,62年4月からは,通信文用紙について,A4判のほかに,A3判,B4判等も利用できることとなっ
た。
 コンピュータ郵便の利用は,60年度が41万通,61年度が265万通であった。

 キ 不在留置郵便物の交付方法の改善
 61年10月から,受取人が不在のため配達できなかった郵便物について,配達局の配達受持区域内に所在する郵便局の中で,受取人の指定する最寄りの郵便局の窓口でも交付できることとなった。

 ク 官製絵入葉書の発行
 官製絵入葉書は,各地の代表的な風景等を官製葉書の裏面にあしらったもので,地域の観光振興にも寄与しているものである。61年度は,338種類約2,800万枚が発行された。

(4)充実する外国郵便サービス
 国際化の進展に伴う競争の激化,利用者のニーズの多様化等に対応するため,以下のような外国郵便サービスの拡充が図られた。

 ア 海外ふるさと小包の充実
 ふるさと小包の海外版である「海外ふるさと小包」が,61年10月から,46品目について,25か国を対象に開始された。62年4月には,取扱品目が100品目に増えるとともに,取扱対象国も34か国に拡大された。

 イ 国際ビジネス郵便の改善
 国際ビジネス郵便については,従来,取扱品目に制約があったが,62年4月から,この制約を撤廃するとともに,大きさ及び重量制限の緩和,大口利用者に対する割引等の改善が行われた。

 ウ 国際電子郵便の拡大
 61年10月から国際電子郵便の取扱郵便局が普通局及び集配特定局全局に拡大された。また,62年4月から,あて名記載部分と通信文記載部分とを一枚に統合した専用の用紙を使用する料金が割安の「ミニインテル」の取扱いも開始された。

 エ 航空通常郵便物の料金値下げ
 外国郵便料金は,56年以降据え置かれてきたが,円高の影響により,外国発のものに比べて割高感が生じるようになったため,62年4月から,航空通常郵便物について平均10%の料金値下げが行われた。

(5)積極的な営業活動の展開
 (営業活動の推進)
 郵便の需要拡大を図るためには,利用者ニーズにあった商品開発,サービス改善とともに,積極的な営業活動の展開が必要である。営業基盤の整備を図るため,62年9月末現在全国主要局55局に郵便営業企画課又は郵便営業センターが設置されている。
 また,利用者のニーズ,要望を聴くため,「ポスタルフォーラム(郵便利用者の意見を聴く会)」が各地で開催されている。
 郵便の宣伝活動については,テレビ,ラジオ,CATV,新聞,ポスター,パンフレット等による宣伝のほか,あらゆる機会をとらえての「一声運動」やパブリシティ活動等効果的な活動が行われている。
 (手紙文化普及の推進)
 郵政省の文化的貢献の施策として,毎月23日を「ふみの日」と定め,手紙を書くことの価値を見直す運動が全国的に展開されているが,郵便友の会の育成強化,各地での手紙作文教室,郵便,切手教室の開催等,手紙文化普及に関する取組も行われている。

第1-2-9図 ふるさと小包取扱数の推移

 

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