みんなでつくった情報通信白書から思うこと

秋山美紀(慶應義塾大学 総合政策学部 准教授)

満開の桜をバックにケータイで写真をパチリ、それをすぐメールで送信!
そんな日常の1シーンを描いた小学1年生の女の子による水彩画が、今年の情報通信白書の表紙を飾りました。

平成21年度より情報通信白書は、情報通信をテーマにした絵やコラムを「みんなでつくる『情報通信白書』コンテスト」として公募し、選考の上で掲載するようになりました。2回目の今年は、前年以上にたくさんの力作が届き、私たち編集委員は楽しみながら選考させていただきました。

一般の部のコラムに投稿された多くは、ケータイにまつわるエピソードでした。もはや日常生活と切り離せない、まるで身体の一部のようにどこにでも連れて行く、最も身近なメディアとなったケータイ。小さくて軽いけど、会話もできるし、ネットもできるし、写真も撮れるし、音楽も聴ける・・・、多機能な頼れる存在です。このケータイによるコミュニケーションが育む、家族のきずな、友情、恋心・・・といった数々のエピソードに、思わず笑みがこぼれたり、涙ぐんだりしました。

ケータイは、良くも悪くも日本独自の発展を遂げた不思議なメディアです。最近はアメリカやヨーロッパでもiPhoneやBlackBerryなどのスマートフォンが普及し、携帯端末からインターネットにアクセスする人が増えていますが、日本は世界のどの国よりも早く、携帯電話経由のインターネットの利用が進んでいました。海外の携帯電話ではSMS(ショートメッセージ)という文字だけのやりとりは盛んでしたが、「絵文字」を多用するメールは日本独自の特徴です。

この「絵文字」というものが、音声とも文字とも違った微妙なニュアンスや「心のヒダ」に響くメッセージを伝えていることが、今回いくつかの投稿から伺えました。絵文字も平面だったものが、カラーになり、動画になり、デコレーションが凝ったメールも登場しています。 けんかした後、大切な試合の前、落ち込んだ時、嬉しい時・・・、絶妙なタイミングで携帯にメールが届き、そこにハートが鼓動している絵文字がついていたりすると、私たちはドキッとしたり、ホッと心が温まったりします。

同じ内容でも携帯メールとパソコンメールとでは、受け取った側の感じ方が違います。かつてマクルーハンが言ったとおり、「メディアはメッセージ」であり、同時に人間の五感を解きほぐす「マッサージ」だなあ・・・と、皆さんのコラムを読んで感じました。

メディアの受容は、その国の文化的背景や文脈とも大きく関連することが知られています。日本人の絵文字ケータイは、漫画やアニメといったポップカルチャーが育つ日本の土壌、必要最低限の機能を越えて「遊び」や楽しさを求める日本人の気質と関係があるように思います。
最近は日本独自に発展した技術が、世界標準から取り残されてしまう「ガラパゴス化」が、特に携帯電話の市場で懸念されています。日本が国際競争力を失わないよう、技術標準や相互運用性については日本企業にも世界をリードしてほしいと思います。同時に日本人の感性やコミュニケーションを拡張するメディアの可能性も追求し、洗練された技術を世界に発信していってほしいと思います。

さて、今年の白書の小中学生コラムのテーマは、「あったらいいな、ICTでこんな未来」でした。夢や希望あふれるユニークな作品の中で特に印象に残ったのは、群馬県の小学4年生、齋藤杏優さんのコラムです。
「人々の笑顔で地球の温暖化が止められるシステムがICT で出来たらいいと思います」という齋藤さんは、世界中の人の笑顔をエネルギーに変えていく技術ができたら、地球は「緑がたくさんあり、動物たちがのびのびとくらせる、水と緑のある、とても美しい星になる」という、希望に満ちた未来を描いてくれました。

ちょうど今年度の白書の特集テーマは、「ICTの利活用による持続的な成長の実現」。特に第2章では「グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化」に関する分析がされました。ICTを利活用してエネルギー効率を改善したり、物の生産や消費の効率化することで、二酸化炭素の排出量を大きく削減できることが試算されていますが、そのためにはICT機器自体の電力消費量を押さえるといった技術革新も求められています。グリーンICTが産業を活性化し雇用を生み出すという期待のもとで、主要国がグリーンICT政策に力を入れ始めていることも書かれています。 環境問題をはじめとする地球規模の問題を解決しながら、「持続可能な成長」をしていかなければなりません。私たちが直面している様々な課題を解決する手段として、ICTに大きな期待がかかっています。
たとえば、

・急激な少子高齢化社会を乗り越える
・地球環境を守る社会経済システムを確立する
・成熟社会(低成長で、経済におけるストック比率の高い社会)にふさわしい経済システムをつくる
・グローバルな競争激化における諸問題を解決する

これらはいずれも、私たち人間が作り出した課題であり、人間が解決していかなければなりません。その手段としてICTが大きな役割を担うであろうことが、今年の白書では示されています。どれも難しい問題ではありますが、希望を持って取り組んでいきたいものです。

「そのシステムには、みんなの笑顔がエネルギーとなり、みんなが笑顔になればなるほど、地球を大事にしようという人がふえていきます。」(齋藤杏優さん)

日本の小学生が描くこんな明るい未来を、ぜひ実現したいと思います。

略歴

秋山美紀(あきやま みき)

経歴

慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
ロンドン大学経済政治大学院(LSE)修士過程修了 (Msc. Media and Communication Policy and Regulation)。
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 博士課程修了(博士 政策・メディア)。2010年4月より現職。

主な著書

「地域医療におけるコミュニケーションと情報技術−医療現場エンパワーメントの視点から」(慶應大学出版会、2008年4月)
「地域医療を守れ」(岩波書店、2008年1月 )など。

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本当は明るい日本の情報未来

小林隆(東海大学 政治経済学部 政治学科 准教授)

平成22年版の情報通信白書は、インフラは世界でトップクラスであるが、個人や企業、行政の利用は低迷し、利活用は16位であったことを指摘した。マス・メディアもこのことを心配したようである。

けれども、私は、このことを心配していない。

電車の中の日本人を見てほしい。ケータイを顔の前にかざして、ケータイにダウンロードした音楽を聴きながら、友人とのコミュニケーションを楽しみ、誰とも知らぬ仲間とネットワークゲームでつながっている。これを情報通信の利活用が低迷している国だというのなら、それは全くおかしいことではないか。歩いていても、仕事をしていても、食事をしていても、ベッドの中にいても、日本人は情報通信から離れない。

ハワード・ラインゴールドが、日本人の生活風景を見て「スマートモブズ(Smart Mobs:情報化された群衆)」だと言ったのは10年も前の話だ※1。その後の日本人は、さらに進化している。

世界に「知られぬ」超多機能ケータイは、世界が追いつけないほどに進化した。多様性の時代に対応すれば多機能化するのは当然だ。

表紙に選ばれた小学校1年生の木村 苑香(きむら そのか)さんの描いた絵を見てほしい。小学校の1年生が、満開のきれいな桜の花に感動して、祖父母、そして友達にケータイで写真を撮って、メールを送ってあげるのだ。かわいい孫から写真付きメールを受け取ったおじいちゃん、おばあちゃんのうれしそうな顔は想像に難くない。小さな女の子の感動がみんなに伝わる。そんな風景が日本の日常なのだ。多様性に対応し、だれにでも使える日本の情報通信は、今でも、こんなに素敵なのである。

だから、少子化も高齢化も、つながることで吹き飛ばせる。子供向けの安心フォンも、高齢者向けのらくらく簡単フォンも既にある。そんな国は他にない。子供からお年寄りまで、毎日、毎日、いつでも、どこでも、だれとでも、などと言うまでもなく、日本人はみんなつながっている。そんな国は他にない。「はてな」も、「mixi」も、「ドコモ」も、世界の人は知らないけれど、日本人ならとっくにみんな使っている。何でいまさら、多様性を捨てて、世界標準に統一するのか。何でいまさら、あの、大きなパッドを抱えるのか…。

未来の子供とお年寄りは、もっと素敵なことにICTを使って見せるに違いない。

制服姿にランドセルを背負って、電車から元気よく飛び出してきた女の子が、ICカードの定期券をピッと改札のリーダーライターにかざしたら、もうすぐ帰るよとお母さんにメールが届く。今、日本では、そんなサービスが、あっちでも、こっちでも始まっている。文字を越えたコミュニケーションの始まりだ。人と人だけでなく、人とモノとのコミュニケーションが生活の一部になる。

人とモノとのコミュニケーションも始まったけれど、自然と人とのコミュニケーションだって始まっている。衛星写真を解析して、植物の状態に気づきを与えてくれるシステムがある。それを知ったNPOやボランティアの人々が山の植生を整えてくれる。水の状態を知らせて、汚れや危険から人々を守ってくれるシステムがある。汚れがあるなら、心ある人々が川や海の美しさを取り戻す活動を始め、危険があるなら、住民のケータイにメッセージが届く。

日本人は自然の中で暮らしてきた。豊かな自然の中で、自然を征服しようと考える国々とは異なり、日本人は感性を鍛えて自然との調和を図ってきた。調和は、未来社会のキーワードになる。相手のことを思いやる心、相手の立場を考えるゆとり、そうした気持ちを持つ人々が情報通信の受信者になれたら、環境問題を吹き飛ばすことができるだろう。映画「アバター」の宇宙人ナヴィの社会みたいに、植物も、動物も、人間も、みんなで繋がって世界を守る。きっと、日本人なら、そのやり方を世界に示すことができるだろう。

私たちの情報通信は、まぎれもなく世界一である。私たちの暮らしを、もう一度、情報通信白書を片手に眺めなおしてみる。すると、少子化、高齢化、環境問題など、世界にはない情報通信政策の視点が、日本で芽生え始めていることに気づく。

少子化、高齢化は、今は日本が抱える深刻な問題だけれど、その克服に日本は真正面から取り組んでいる。そして、これらの問題は、いずれ世界の問題になる。環境問題は、新興国や途上国には、まだまだ取り組めない問題だけれど、日本人には自然と調和する心がある。自然に貢献するノウハウを情報化して世界に拡散させようではないか。

ちょっと先に行き過ぎているかもしれないけれど、いつでも先行く者は、そんな気分でちょっとはつらいものだ。けれども、その道を切り拓くことこそが、先進国、日本の役割であるし、世界の人々を幸せに導くことになる。

私たちは、物的な豊かさを手にしている。自然の豊かさも手にしている。情報通信も既にみんなのものである。そんな国に暗い未来などあるはずがない。本当は明るい日本の情報未来、安心して前に進もう。

【注】
※1 ハワード・ラインゴールド(2003)「スマートモブズ −“群がる”モバイル族の挑戦」NTT出版
※2 ジェームス・キャメロン監督(2009)「映画:アバター」20世紀フォックス

略歴

小林隆(こばやし たかし)

経歴

東海大学政治経済学部政治学科准教授
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。
博士(政策・メディア)。
神奈川県大和市職員として市民参加の情報まちづくりを実践し、2004年より現職。

主な著書

『インターネットで自治体改革 −市民にやさしい情報政策』(イマジン出版)、『ITがつくる全員参加社会』(共著、NTT出版)、『コラム:デジタルでアナログな共同体』(日経PC Online)など。

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「Gov2.0」が指し示す今後のICT政策の可能性

佐々木俊尚(フリージャーナリスト)

Web2.0という言葉を2006年ごろに流行させたアメリカの出版社「オライリーメディア」CEOのティム・オライリー氏が最近、Gov2.0という理念を提唱している。これはさまざまな社会基盤に関して政府が持っているデータベースを、API(外部のアプリケーションが利用するためのインタフェイス)も含めて公開し、そしてその上でさまざまな企業に生活に有用なアプリケーションを開発してもらおうというものだ。

この具体例として、たとえばサンフランシスコでは、市役所がバスや列車の運行情報のデータを公開している。そしてこれを使っていまバスがどこにいるのかを確認することができる使いやすいアプリが、すでに民間企業によって開発されている。路上のパーキングメーターの公共データを使って、空いてる場所を地図上で検索し、さらに自分の駐車利用がいつ時間切れになるのかをメールで連絡してくれるようなサービスもある。

道路に穴が空いているのを見つけたり、ゴミが不法投棄されているのに気づいたら、iPhoneのようなスマートフォンでその箇所の写真を撮影し、ジオタグをつけて送信すれば自動的に市役所の担当部署に連絡できるようなサービスまである。いずれもプラットフォームは役所が提供し、そのプラットフォームを外部のウェブベンチャー企業がAPI経由で利用して独自のアプリを開発しているのである。

つまりは政府や自治体が巨大なプラットフォームとして運用され、そのプラットフォーム上で、小規模なベンチャー企業がさまざまな使いやすいサービスやツール、アプリケーションなどを開発していくという構造だ。これはICTの生活分野への応用としては、非常に魅力的と言わざるを得ない。日本の場合、政府・自治体の各部署が独自にそれぞれ無関係の電子政府サービスを次々と立ち上げた結果、それらの間に連携がないまま林立してしまっているが、こうした状況を打破していくためにもGov2.0という考え方は大きなヒントとなる。

かねてから指摘され続けていることだが、日本は光ファイバーをはじめとするブロードバンドのインフラは世界最高水準に達するほどに整備されている。平成22年版情報通信白書によれば、ブロードバンド利用率は2009年末で6歳以上人口全体の49.3%。自宅のパソコンを使ってネットを利用する人の85.8%にまでなっている。

しかしこのように普及したネットのインフラが何に使われているのかといえば、もちろんツイッターやSNSなどのソーシャルメディアは非常な勢いで普及し、人々の絆の再生に役立っている部分はある。しかしたとえば地方の高齢者などにはそういう文化は比較的伝わりにくい。本来そうした層に送り込むべきインターネットのサービスは、たとえば健康管理やセキュリティといった、もっと生活に密着したサービスだ。そしてこうした国民の生活場面でのICTの利用は残念ながら、あまり高いとは言えない。

平成22年版情報通信白書でも、以下のように記述されている。

「国民目線に立ってICTを活用した『医療・健康』『教育・就労』『生活・暮らし』の3分野における各サービスは、国民の利用意向が極めて高いことが明らかになった。しかし、このようなICTサービスが提供されていないことにより、国民の利用のインセンティブがなく、『国民が享受すべき利益が失われていると考えられる」

その一例として、白書では、病院での診察の待ち時間や引っ越しの手続の煩雑さなどが、結果として国民の可処分時間を奪ってしまっていて、他の余暇や労働などに充てる時間を減らしてしまっていることを挙げている。

もし医療・健康分野だけでもICTサービスがきちんと提供されれば、そこで生まれてくる国民の便益の経済的価値は、トータルで1兆4900億円にも上るのだという。

これは言ってみれば、世界に冠たる立派な高速道路はできあがっているが、クルマを持っている人は案外少なくて、さらにクルマを持っている人の中でもきちんと使いこなして楽しんでいる人はもの凄く少ない、というようなイメージである。だから重要なのは、「なぜクルマを使いこなせないのか」ということをきちんと検証して解決していくことにほかならない。国民のインターネット利用があまり進んでいないのは、そういうニーズが発生していないからではなく、そういうニーズに応えられるような生活支援サービスが生まれてきていないからだ、ということを平成22年版情報通信白書は突きつけている。

「国民の生活を豊かに」というのは政府の第一目標のひとつであり、こうした生活分野でのICTを活用したサービスの推進をきちんと作り上げていくグランドデザインを考えていかなければならない。そしてさらには、そこで政府と民間がどういう関係性を持てるのか、Gov2.0のようにプラットフォームモデルを持ち込むのか、といった議論を今こそ始めるべきだと私は考えている。

略歴

佐々木俊尚(ささき としなお)

経歴

1961年生まれ。
早稲田大学政経学部中退。
毎日新聞記者、月刊アスキー編集部を経てフリージャーナリスト。
総務省「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」委員。

主な著書

主な著書に「電子書籍の衝撃」(ディスカヴァー21)
「2011年新聞・テレビ消滅」(文春新書)などがある。

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デンマークが推進する「すべての市民のためのICT」

砂田薫(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM) 主任研究員/准教授)

情報通信白書は、日本の情報通信を学ぶための入門書であり、産業や政策を分析するための基礎データの宝庫でもある。

1973年の創刊から37年にわたって、日本政府は情報通信白書を通じて、日本の情報通信に関する基礎データを毎年調査して公表し続けてきた。情報通信産業や情報通信政策について知りたいと思うとき、多くの人がまず手にとるのが同白書ではないだろうか。白書で基礎的な知識を得たうえで、さらにそれぞれの関心にしたがって他の文献やヒアリング調査にあたる、というように。

国際大学GLOCOMは2009年11月、デンマークの行政・教育・医療の情報化についてヒアリング調査に出かけた。そのきっかけとなったのは、2009年版白書の調査データにあった。デンマークは、世界経済フォーラムのICT競争力ランキングで2007年から3年連続1位(2010年は3位)を獲得するなど、ICT利用先進国であることは知られていた。白書にはさらに独自のネット調査によって「医療・福祉」「教育・人材」「雇用・労務」「行政サービス」の4分野で年代別の利用度を調べたデータが掲載されていた。それによれば、デンマークはどの年齢層でもICTの利用度が日本と比べて格段に高いという。米国や日本ほどICT産業が発展しているようには見えないデンマークで、なぜこれほどICT利用が進んでいるのか。とても不思議だった。

調査の結果、最も印象に残ったのは、すべての市民のために重要かつ戦略的なツールとしてICTを活用するという明確な国の方針があり、さらにそれを実行に移すために制度や慣習面での障壁を躊躇せずに取り除いてきたということだった。財政の健全化、高齢化対策、教育費や医療費の確保、雇用対策、環境問題など、国が抱える課題はデンマークも日本とそれほど大きく異なるわけではない。しかし、これらの経済的・社会的な問題に対して、デンマークは人口550万人の小国であるがゆえに、日本よりもはるかに強い危機感を抱いている。政府は、グローバル化時代に小国が存在感を示して生き残っていくためには、ICTの活用によって諸課題を解決すると同時にあらゆる分野でイノベーションを促進させなければならないと考え、デジタル化推進の意義について社会的合意を形成してきたのである。そのため、2010年版白書に紹介されているが、デンマークでは初等教育から積極的に授業や保護者とのコミュニケーションにICTを利用し、子供たちだけでなく教員や保護者の情報リテラシーの向上に力を注いでいる。

公的サービスにおけるICT活用は、統一番号制度と電子署名という情報基盤によって支えられている。デンマークに居住するすべての市民は、国籍がデンマークであるかどうかにかかわらず、CPR(Central Persons Registrations)と呼ばれるID番号を取得し、ワンストップの行政サービスを受けることができる。電子政府のポータルはとても使いやすく設計されている。誰でも簡単に操作できるようにするため、すでに多くの市民が利用している民間のネットバンキングのユーザーインタフェースを参考にして情報システムを開発したという。利用者は電子署名の操作を行っているという意識すら持たずに、民間サイトでのパスワード入力と同様の簡単な操作で手続きを済ませることができる。「すべての市民のためのICT」という理念は、このような使いやすいシステムの設計だけでなく、弱者への配慮にも表れている。たとえば、病院ではデンマーク語を話せない外国人患者のためにテレビ会議による通訳サービスが提供されている。

使いやすさの追求は、利便性の向上だけでなく、財政の健全化の観点からも重視されている。操作性が悪く利用者が増えなければ、結局はICT投資が無駄になり、行政の効率化も進まないと考えられているためである。納税者は政府に対してICTによる徹底した効率化を要求するので、新しい情報システムの導入は公務員の削減とセットで実行する場合が多い。とくに国税庁は大規模な人員削減を実施してきた。もっとも、デンマークは「フレクシキュリティ(フレキシビリティ+セキュリティ)」という言葉で特徴づけられているように、日本と比較にならないほど労働者の流動性も安全性も高い点には注意を払っておく必要がある。解雇が比較的簡単に行われる反面で、教育も医療も無料で、失業者には3年以上にわたる失業保険と手厚い再教育プログラムが提供されている。

デジタル化を推進するために、政府は規制の撤廃などの制度改革を進めるだけでなく、利用者に対しても強制力を発揮する。まずは企業、そして大学院生といったICTリテラシーの高い利用者から期限をもうけて伝統的なアナログサービスを打ち切るといった思い切った対策を始めている。むろん、デジタルとアナログの二重のコスト負担を避けるためである。その代わり、デジタルデバイドの解消に予算を振り向けるという発想だ。

さらに近年は、ICTと既存分野の融合によるイノベーションが重視されている。伝統的農業分野では、ICTをプロセスイノベーションに活用して、食肉加工業を中心に国際競争力を大きく向上させた。また近年では、エネルギー分野でも自給率を高めて、グリーンICTによる環境先進国として知られるようになっている。

日本とデンマークは、国の規模も社会制度も大きな違いがある。しかし、すべての市民のために、諸問題の解決とイノベーションを目的に、ICTを活用しようとする方針と実行力には学ぶところが大きいだろう。

ところで、2010年版の情報通信白書には、デンマークの取り組みとも共通する注目すべき点が三つある。

一つは、「ICTの利活用による持続的な成長の実現〜コミュニケーションの権利を保障する『国民本位』のICT利活用社会の構築〜」をテーマとする特集に、ICTをすべての市民のために、地域・環境・経済の問題解決のツールとして積極的に活用していこうという強いメッセージが込められていることだ。

二つ目は、使いやすく便利な情報通信白書のウェブサイトを構築したことだ。1973年から2010年までの白書の内容を、発行年別はもとより、キーワード別で串刺し検索もできるようにした。たとえば、「デンマーク」というキーワードを入力すれば、37年分の白書の中からデンマーク関連記事を検索して一覧表示してくれる。データベースとしての利便性が大きく向上した。

そして三つ目は、従来のウェブ版と紙版に加えて、電子書籍版の提供も開始するなど、率先してデジタル化を推進していることだ。

情報通信白書が今後も、わかりやすい入門書として、また基礎情報や統計データのデータベースとして充実していくことを願っている。

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略歴

砂田薫(すなだ かおる)

経歴

国際大学GLOCOM主任研究員・准教授。中央大学理工学部(情報通信産業論)、国士舘大学政経学部(国際情報論・情報政策論)の非常勤講師を兼務。
1979年、千葉大学理学部物理学科卒業。
1997年、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了(社会学修士)。
2002年、同博士課程満期退学。ビジネス系IT雑誌の編集・執筆活動を経て、2003年に国際大学GLOCOMに入所。
2005年から現職。

研究分野

グローバル化時代の情報産業政策、情報通信産業論、ICT分野におけるイノベーションの歴史分析、情報システムの社会的側面。

書籍・論文等

「ICTとグルーバル化経済社会」、浦田秀次郎・財務省財務総合政策研究所編『グローバル化と日本経済』第9章、勁草書房、2009年。
「イノベーションを促進させるプラットフォーム戦略」国際大学GLOCOM『智場』113号、2009年。
「実態調査に見るITエンジニアの“現実”と”仕事観“」『月刊コンピューターワールド』2009年1月号、IDGジャパン。
「コンピュータ」、樺山紘一編集・著『歴史学事典 第15巻「コミュニケーション」』弘文堂(分担執筆)、2008年
「情報政策史の時代区分に関する提案―経済産業省と情報産業を中心に」『日本社会情報学会学会誌 第19巻-1号』日本社会情報学会(JASI)、2007年
「日本のIT・ソフトウェア産業の歴史と今後の課題―コモディティ化とオープン化の進展」『多摩美術大学研究紀要 第19号』107-117頁、多摩美術大学、2005年
エリ・ノーム/ローレンス・レッシグ/トーマス・W・ヘイズレット/リチャード・A・エプスタイン著『テレコム・メルトダウン アメリカの情報通信政策は失敗だったのか』(共訳)、NTT出版、2005年
『起業家ビル・トッテン――ITビジネス奮闘記』コンピュータ・エージ社、2003年

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イノベーション環境向上のために、他省庁とも積極的に連携を

野原佐和子(株式会社イプシ・マーケティング研究所 代表取締役社長、日本電気株式会社 取締役、慶應義塾大学院政策・メディア研究科 特別研究教授 )

「情報通信の現況」が白書の最重要コンテンツ

「情報通信白書」は平成22年度版で38回目と聞いた。

私が初めて情報通信白書を利用したのは二十数年前。シンクタンクで情報化の現状を把握するための基礎資料としてデータを引用した。そして、15年程前からはICT関連領域を専門とするようになり、情報通信白書は毎年押さえるべき基本資料の一つとなった。

特に、平成22年版で言えば第4章にあたる「情報通信の現況」については、基本的な動向把握データとして欠かすことのできない重要な資料である。

白書としては、情報通信の現況について定点観測的な基本的動向把握データをブレることなく着実にしかも変化を的確に読み解けるように記述することが、最も重要な役割である。その意味で、今回の白書における第4章はもっと充実させたほうがよかったのかもしれない。ともかく、これからもしっかりと実態を把握し続けて欲しい。

ICTが支えるイノベーション

一方で、本白書は、毎年トピックスを設定し、その時々の切り口でICT関連業界の状況やICT普及による人々の生活の変化を描き出している。ICT業界は変化が激しいので、トピックスとしてその時々の特徴にフォーカスする第一部特集の役割も大きい。

今回は、特集「ICTの利活用による持続的な成長の実現」と題し、「第1章 ICTによる地域の活性化と絆の再生」 「第2章 グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化」 「第3章 ICTによる経済成長と競争力の強化」の3つの章で構成されている。

私は、特に第3章第2節の「ICTが支えるイノベーションとグローバル展開による競争力強化」が興味深いと考えている。

なかでも、「(2)我が国のイノベーション環境の検証」に書かれた論点は、本格的な少子高齢化社会に向かう成熟社会の我が国において、今後の経済成長を考える上で極めて重要なテーマで、多くの示唆に富んでいる。

私自身が共感し、極めて重要だと感じた点をご紹介したい。

まず、「イノベーションとは経済効果をもたらす革新を指す」という考え方である。

新しい発見や技術革新はイノベーションの重要な源泉だが、それだけでは経済効果をもたらすとは限らない。革新的なアイデアをもとに技術開発を行い、それを使って市場の需要に応える価値ある商品・サービスを構築し、社会へと普及浸透させ、経済効果をもたらして初めてイノベーションと言えるというのである。

私はICT関連業界で事業戦略について調査やコンサルテーションを行っており、ICT業界の様々な立場の人と意見交換をする機会が多い。大手のICT関連企業でこのような考え方について議論すると、多くの場合、新規の技術開発のための体制作りや資源投入が必要なことは当然理解しているが、その技術を価値ある商品・サービスとして提供し収益ある事業にするために、人材・ノウハウ・体制作りが必要だという認識が低い。さらに、技術開発の段階と事業化の段階、そして経済効果をもたらす段階に時間的ズレが起こることも多々あり、その場合には技術開発段階から経済効果段階までをプロデュース、あるいはマネジメントする必要があるという認識は低い。イノベーションを技術革新としてのみ捉え、技術革新が成功要因の中核だと考えている側面がある。

そのような業界の現状を踏まえると、前述のようなイノベーションの定義で、我が国のイノベーション環境を各国と比較評価し、個々のイノベーション環境因子と我が国の経済効果との関係を整理することによって、取り組むべき課題を明確にした今回の白書の意義は大きい。

「(2)我が国のイノベーション環境の検証」によれば、評価の結果として明確化された我が国の特徴は、以下のとおりである。

「製品・サービスの洗練度」(29か国中第2位)は突出しているが、「持続的変化対応力」(29か国中第8位)、「ビジネス基盤整備志向」(29か国中第7位)については上位国に一歩譲り、「市場開放志向」(29か国中第28位)、「科学技術のビジネス化対応力」(29か国中第27位)については多くの国と比べて見劣りしている状況がある。

見劣りする「科学技術のビジネス化対応力」を改善するためには「経営大学院の質」向上が重要であり、イノベーションの達成への影響が強い「持続的変化対応力」や「ビジネス基盤成熟志向」の改善には「先進技術製品の政府調達」「ベンチャーキャピタルの有効性」「実力主義による上級管理職の採用度」「企業の研修教育」「企業における優秀な人材の獲得度」や「電子政府成熟度」「インターネット利用率」の向上に取り組む必要があることがわかる。

白書本文では、イノベーション環境の向上に有益なICTの役割にフォーカスして強化すべき点をコメントしているが、イノベーション環境整備にはICT関連施策だけでなく、上述のあらゆる強化すべき施策を実施しないと十分な効果が発揮されない。

この結果を総務省だけでなく他省庁とも積極的に共有・連携し、イノベーション環境の向上策を実施して欲しい。

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略歴

野原佐和子(のはら さわこ)

経歴

三重県生まれ。
1980年、名古屋大学理学部を卒業し、三菱油化(現 三菱化学)に入社。その後、お茶の水女子大学大学院修士課程を経て、生活科学研究所に入社し、生活者の視点でマーケティング、ライフスタイル等を研究。

1995年、NTTグループのシンクタンク(株)情報通信総合研究所に移り、ECビジネス開発室長として、ECビジネスのマーケティング戦略とインターネット・マーケティングを専門に調査及びコンサルティングを多数実施。

2000年、株式会社イプシ・マーケティング研究所を設立。代表取締役社長。
ICTビジネスに関する調査及び戦略コンサルティング事業を展開している。
2006年、日本電気株式会社 社外取締役就任。
2009年、慶應義塾大学院政策・メディア研究科特別研究教授に就任。

その他

総務省「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」
総務省「情報通信審議会情報通信技術分科会産学官連携強化委員会」
総務省総合通信基盤局「競争評価アドバイザリーボード」
総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」
IT戦略本部「情報セキュリティ政策会議」
内閣府「官民競争入札等監理委員会」
経済産業省「産業構造審議会総会」
経済産業省「産業構造審議会情報経済分科会」
経済産業省「産業構造審議会情報経済分科会情報セキュリティ基本問題委員会」
文化庁「文化審議会著作権分科会」
NHK「放送技術審議会」等、多数の審議会・委員会委員を歴任。

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予測とビジョンの先に

森俊介(東京理科大学 理工学部 経営工学科 教授)

白書というと、どうしても事実と数字を淡々と述べた「無味乾燥な」報告書というイメージがつきまとう。もちろん、白書は事実報告が目的なのだから、そのような印象も仕方のないことではある。けれども、今回の情報通信白書には、それら事実の向こう側にあるダイナミックな社会変化のメッセージが透けて見え、技術進歩の物語性が伝わってくるように感じられる。

例えば、第1章「ICTによる地域の活性化と絆の再生」。ICTの利活用の動向の記述にとどまらず、「絆」というおよそ情報技術と対極にありそうな言葉が前面に現れ、地域が今ある課題にどう対応しようとしているかの試みが示される。これらの行く末はまだ見えないところはあるにせよ、地域コミュニケーション手段として根付き始めたと期待させてくれる。20年後の「高齢者」にとって、ICTは、自動車と同じく若い頃からなじんだ機器であろうから、今の試みは将来当たり前の環境となろう。

第2章「グリーンICTによる環境負荷軽減と地域活性化」は、これまで語られることは多くとも、データも限られる上に技術の変化があまりにも急激なため、実は世界的にも意外なほど正面からの議論が少ないテーマである。実際、電気系の学会でさえも通信系と環境・エネルギー系は完全に異分野であり、これまで両者が同時に語られる機会はとても少なかった。第3章「ICTによる経済成長と競争力の強化」も同様、これまでの経済分析の枠組みを超える活動の事例と海外への展開の可能性が示されている。これらのチャレンジングなテーマには、今後へ向けての様々な論点が含まれている。

では今後、ICTはどのような社会を築くのだろうか。ICTは技術の進歩が早く、指標化も難しい。そのため「定常状態」を前提にする統計解析とその延長で将来の予測をするような受け身の方法には期待できず、むしろ将来のビジョンをしっかりと持ち、それに向けた行動を探る方法が重要である。この議論は白書の先に譲るとして、一つのエピソードを紹介したい。

1901年1月2日から3日の報知新聞に「二十世紀の豫言」という記事が掲載された。古い記事であるが、幸い、「This is 読売」誌1998年1月号に全文と復刻版が収められている。この23項目の預言は、例えば鉄道について「冬期室内を暖むるのみならず暑中には之に冷気を催すの装置あるべく而して速力は通常一分時に二哩(マイル)急行ならば一時間百五十哩以上を進行し東京神戸間は二時間半を要し・・」(1901年当時の所要時間は約17時間。丹那トンネルは未開通)に見られるよう驚くほど的確である。21世紀初頭にもいくどか紹介されたので記憶されている方も多いと思う。

この23項目中ICTに関するものが6項目ある。ここでフィラデルフィア万博に電話が展示されたのが1876年、マルコーニの無線電信会社設立は1900年、日露戦争が1904年、第一次世界大戦は1914年であることを思い出そう。

・無線電信及電話:マルコニー(原文ママ)氏発明の無線電信は一層進歩して只だに電信のみならず無線電話は世界諸国に連絡して東京に在るものが倫敦紐育(ロンドン・ニューヨーク)にある友人と自由に対話することを得べし

・遠距離の写真:数十年の後欧洲の天に戦雲暗澹たることあらん時東京の新聞記者は編輯局にゐながら電気力によりて其状況を早取写真となすことを得べく而して其写真は天然色を現象すべし

・人聲十里に達す:伝聲器の改良ありて十里の遠きを隔てたる男女互に嫋々たる情話をなすことを得べし

・写真電話:電話口には対話者の肖像現出するの装置あるべし

・買物便法:写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し且つ売買の契約を整へ其品物は地中鉄管の装置によりて瞬時に落手することを得ん

・人と獣との会話自在:獣語の研究進歩して小学校に獣語科あり人と犬猫猿とは自由に対話することを得るに至り従て下女下男の地位は多く犬によりて占められ犬が人の使に歩く世となるべし

最後は、予言の荒唐無稽さの例と笑われることが多い一項であるが、「下男下女にとって代わる」に重点を置けば、これはコンピュータとロボットが普及する世界と解釈することで、あえてICTと考えたい。
これらの予言を行った人物は伝わっていない。しかしその後の社会は間違いなくこの予言に向けて動いた。当時の社会インフラの状況を考えると、明治の識者が持っていた社会問題への認識と、ICTの社会への貢献と将来のビジョンの的確さに驚かされる。

バーゲルマンは、「予測は現在の意思決定を助けるもので、未来そのものではない」(1987、「ハーバードで教えるR&D戦略」)とした。未来は決して単一でなく、現在の私たちが選ぶものであり、予測とはその選択を助けるものである。

白書に記された現状を出発点として、私たちはどのように未来のビジョンを持ち将来を選択しうるだろうか?明治の識者に笑われないだけの回答を用意しなければならないのは、私たち全員なのである。

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略歴

森俊介(もり しゅんすけ)

経歴

昭和51年3月東京大学工学部電子工学科卒業
昭和53年3月同大学院電気工学専門課程修了
昭和56年3月同大学院電気工学博士課程修了
工学博士.同年4月東京理科大学理工学部経営工学科助手
昭和58年4月同講師
平成元年4月同助教授
平成6年4月同教授
現在に至る。この間
1981-1983経済企画庁経済研究所客員研究員
1986-1987国際応用システム解析研究所(IIASA)(オーストリア), 研究員
1988-1993科学技術庁科学技術政策研究所客員研究官
1997-2000政府間気候変動パネル(IPCC) 特別報告書“Special Report on Emission Scenarios”主要著述者
1998-2001政府間気候変動パネル(IPCC) 第3次評価報告書WG-3主要著述者
2005-2007IPCC 第4次評価報告書Expert Reviewer
2002-2007地球環境産業技術研究機構(RITE)主席研究員
2007-2008総務省地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会委員及び評価WG座
2009- 総務省ICTタスクフォース 地球的課題検討部会構成員など。

専門分野

システム工学
エネルギーシステム
地球環境問題
廃棄物再資源化
社会システムなど、おもに社会に現れる学際的領域のモデル開発と評価の研究に従事。

論文:(2009-)

(1)森俊介、加藤正弘、井戸隆文、「GISELA-GISを用いた土地利用と食糧市場モデルによる温暖化の影響分析」、エネルギー・資源学会誌、Vol.30,No.2, PP1/8 (電子版), 2009
(2)森 俊介、石田武士、小池祥元、大蔵将史、「分散型エネルギーシステムによるCO2排出削減効果の地域性評価と広域評価-GISによるミクロ評価と広域評価拡張への予備的考察」、環境科学会誌、Vol.22, No.4, PP.290/300、2009
(3)津田邦和、田野俊一、市野順子、森 俊介、「寒冷地の冷熱エネルギーを活用した地域間エネルギー統合によるデータセンターのCO2排出削減」、エネルギー・資源、Vol.30,No.5,PP.28-32, 2009年9月
(4) Shunsuke Mori, Masahiro Kato, Takahumi Ido, “GISELA-GIS-based evaluation of land use and agriculture market analysis under global warming”, Applied Energy 87 (2010), pp. 236-242
(5) Ayami Hayashi, Keigo Akimoto, Fuminori Sano, Shunsuke Mori and Toshihisa Tomoda, “Evaluation of global warming impacts for different levels of stabilization as a step toward determination of the long-term stabilization target”, Climatic Change, Vol.98, No.1-2, PP.87-112, 2010
(6) 大蔵将史、森 俊介、「需要家の連携と設備構成を考慮した太陽エネルギー利用システム最適構成の検討」、電気学会論文誌C、Vol.130, No.2,PP.209-215, 2010
(7) 大蔵将史,森 俊介,大塚 薫,「家庭部門エネルギー需要削減効果に与える太陽光発電および太陽熱集熱設置面積の影響」,エネルギー・資源、Vol.31,No.2, PP1/8 (電子版), 2010

受賞

(1)エネルギー・フォーラム優秀作品賞(電力新報社)、「地球環境と資源問題」に対して、1993年3月
(2)エネルギー資源学会 第2回論文賞 林 礼美、時松宏治、山本博巳、森 俊介、「クロスインパクト分析による地球温暖化対策評価のための叙述的シナリオの構築」、エネルギー・資源、Vol.26,No.3, PP.63/69, 2005、2006年6月

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