総務省トップ > 若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業 > ビスケットによるプログラミング入門全国のビスケットファシリテータを活用したプログラミング教育普及モデル

ビスケットによるプログラミング入門
全国のビスケットファシリテータを活用した
プログラミング教育普及モデル

合同会社デジタルポケット

H28年度第2次補正予算にて実証実施
事業者名 合同会社デジタルポケット
実証ブロック/実証校 (エリア)北海道・関東・東海・近畿・四国地区 (実証校)1.北海道石狩市こども未来館あいぽーと、2.茨城県龍ケ崎市立龍ケ崎小学校、3.栃木県足利市キッズピアあしかが、4.神奈川県川崎市立古川小学校、5.神奈川県海老名市立有鹿小学校、6.神奈川県二宮町立二宮小学校、7.静岡県長泉町立長泉小学校、8.愛知県清須市立西批杷島小学校、9.奈良県奈良女子大附属小学校、10.兵庫県ふたば学舎、11.徳島県阿南市立長生小学校
育成メンター(メインメンター)
※メイン/サブ兼任の場合は
メインにカウント
※メインメンターを事業者または
連携団体自身が務めた場合は
属性欄にその旨記載
メインメンター数: 12
メインメンター属性: 社会人・教職員・自営業・パート・アルバイト/無職
育成メンター(サブメンター) サブメンター数: 11
サブメンター属性: 大学・専門など・社会人・教職員・自営業・パート・アルバイト/無職
研修時間
※実証エリア・実証校によって
異なる場合は加重平均
7時間半 時間
(うち自宅研修時間) 0 時間
使用言語・教材・ツール
※ツールはPC・タブレット以外で
言語: Viscuit(ビスケット)
教材・ツール: 合同会社デジタルポケットが開発した教材
使用端末とその帰属
※実証会場によって
異なる場合は実証校ごとに記載
パソコン 1人1台
(足利,神戸はタブレット)
帰属:実証校
講座の受講児童・生徒数と学年 受講者数: 313人
学年:
※複数学年の場合は学年ごとの人数を記載
1年生5人、2年生7人、3年生39人、4年生80人、5年生92人、6年生39人、不明51人
カリキュラム (1児童あたりの総時間) 5時間
※実証校・実証エリアで異なる場合はそれぞれ記載
何日に分けて実施したのかは実証校により異なるが,トータルは5時間で共通
使用端末(PC・タブレット)の帰属 実証校

1. モデルの概要

1.1 モデルの全体概要

「ビスケット」は使いこなすために覚えなければならないことが少ないことが特徴で、短時間でプログラミングの本質に迫ることができるプログラミング言語である。デジタルポケットが開発した教育カリキュラム「ビスケットによるプログラミング入門」は、幅広い応用とコンピュータの本質に触れることができ、落ちこぼれを出さずに内容の濃い授業ができる特徴がある。その講座を教えることができる人材を全国に育成することで、コンピュータの本質と可能性を万人に伝えていくことを目標とする。

デジタルポケットが主催するビスケットファシリテータ講習は、このカリキュラムの一部(3時間分)が教えられる人材を育成している。修了生はすでに350名を超え、全国で活躍している。

一方で、講習を修了したファシリテータからは次のような課題が伝えられていた。

  • 1日の講習だけでは実際の現場に立てるまでの力はつかない
  • それぞれの現場での環境に固有の問題にはサポートできない
  • より高度な内容の授業がしたい

そこで、ビスケットファシリテータ講習修了生をメンターとし、各メンターが関係している学校等でそこの機材を使用して継続的に講座ができるように研修を行う。メンターを東京一箇所に集めて講習を行った後、各現地において引き続き実施のアドバイスを行う。プログラミング講習の様子はSNS等で各地と共有し、指導法のブラッシュアップを図る。

全体概要図
図)全体概要図

1.2 実施体制

1.2.1 体制図

体制図
図)体制図

1.2.2 実証校、教育委員会、他外部団体との連携について

実証校との調整は全て各地域のファシリテータが行った。各自の属性によって異なるので、いくつかの例を示す。

ファシリテータがその学校の教員:情報の教員で夏休みの特別イベントとして実施した(8奈良女子大学附属小学校)。

ファシリテータがその学校の保護者:すでに学校内で実施するイベントの開催に合わせて講座を実施した(5海老名市)。すでに何度かそのファシリテータがプログラミング講座を実施しており学校側の理解が高かった(4川崎市)。

ファシリテータがすでに学校とで何らかのつながりがあったケース:ファシリテータが高校・高専の教員で近隣の小学校とすでにつながりがあり、何度かプログラミング講座を実施していた(2龍ケ崎市、11阿南市)。ファシリテータがその小学校のICTサポーターで、何度かプログラミング講座を実施していた(6二宮町)。ファシリテータがその学校へ絵本の読み聞かせなどで支援していたケース(8清須市)。

ファシテーターが教育委員会を通じて学校を紹介してもらったケース:夏休みのイベントとして実施した学校以外に周辺の学校への参加を呼びかけて実施した(7長泉町)。

学校以外の実施は、ファシリテータがその施設の管理者もしくは関係者(1石狩市、3足利市、10神戸市)。

学校の協力度合いは様々であった(とても協力的から懐疑的まで)が、後述するように、講座終了後の学校側の態度はとても良好になった。

1.3 実施スケジュール

実施スケジュール

2. メンターの育成

2.1 育成メンター概要

メンターはビスケットファシリテータ講習受講者を対象とした。ビスケットファシリテータ講習は単にビスケットの効果的な教え方だけでなく、本来なら教養として一般人も持つべきであるとデジタルポケットが考えている「コンピュータサイエンス入門」の講座も含まれている。すなわち、なぜプログラミング教育が小学生段階から必要であるかということを、自分の言葉で語ることができる人材である(ただし、必ずしもコンピュータの専門家ではない点に注意)。また、これらの修了生の中にはそれぞれの地元・地域での活動の場をもとめている方々もいた。

本事業が告示されてから、本事業の条件(機材が学校にあり、講座の実施は無償)にあった学校・施設と交渉し実際に講座を実施してくれるファシリテータを募集したところ、15カ所で名乗りがあったが、応募の締め切りまでに教育委員会・学校の許可が取れたところということで11カ所として応募した。

採択され11カ所での実施が決定した後、それぞれの現場の近隣に住むファシリテータやその後に講習を修了された方にも手を挙げていただき、今回の23人のメンターとなった。

2.2 メンターの募集

基本メンバーは申請前に募集し、追加されたメンターに関しては、その都度口頭で依頼した。

2.3 育成研修

2.3.1 研修プログラム概要

メンター育成研修
対面研修(1日間)
その他

  • 動画による自宅研修
  • SNS上でのディスカッション
  • 各実施現地にて各環境に特化した研修(初日の講座の前後)

日程
5月28日(日)、6月19日(月) 10:00~17:30 ※2日のうちいずれか1日

対面研修の内容

  • 導入:本プロジェクトの趣旨理解
  • 体験:5回分のプログラミング講座の体験、具体的な進行手順の説明
  • ロールプレイング:メンターによるロールプレイング
  • まとめ・質疑応答
  • 各実施現場(メンター)ごとの相談会

SNS上でのディスカッションの内容

  • 講座内容についての議論
  • 各地域での実施の様子の報告を受けた議論
  • 実際に講座を実施した際の時間配分についての議論
  • 講座参加者の募集チラシについての議論
    など

動画による自宅研修の内容

  • 新しく追加した2つの講座のファシリテーション部分の動画と手順書による自宅研修

概要
メンターは、すでにビスケットファシリテータ講習によってビスケットの考え方や子供への接し方などの指導は済んでいるので、メンター育成研修では、5回分の講座の具体的な流れについての確認が主な研修である。特に、新しく追加した2つの講座に関しては、現場での実施経験も少ないこともあり、他の現場での経験が多いメンターからの意見なども取り入れながら進められた。
また、研修の後に修正された点は、デジタルポケットが実施した小学生対象の模擬講座のファシリテーション動画を後日配信し、メンターはプログラミング講座までの間に自宅研修を実施した。

メンター育成研修に関する工夫
プログラミング講座の内容に関しては、どの地域(環境)で実施しても大差ないため、都内にメンターを集めて実施した。これにより、研修にかかる費用を大幅に節約した。
一方、各地域(学校)においては、設置してある機材・ソフトウェアのバージョン・管理用ソフト・ネットワークなど様々な違いがあるため、プログラミング講座の初日の講座の前後に各環境に有効なアドバイスを提供した。
たとえば、ある学校ではブラウザにインストールされているフラッシュのバージョンが古く、アプリの動作が不完全であることが確認された。フラッシュのバージョンアップはすぐには対応できない。そこで、インストール不要なスタンドアロン型の最新版フラッシュプレイヤーとそれを呼び出すスクリプトを現地の共有ディスク上に設置し、解決した。さらに、管理用ソフトを使用すれば、児童用のパソコンでアプリを一斉起動させることも確認できた。こうして毎回1台ずつ手作業で実施しなければならなかった手間をなくすことができた。これは、本事業の終了後にもプログラミング講座が定着するための小さいけれど重要なことである。

このような個別の問題とその解決法は実際の現場で作業・チェックしてみないとわからないことであり、丁寧な対応が必要である。

  • メンター育成研修の様子:子供と同じプログラムを体験する
  • 写真1)メンター育成研修の様子
    子供と同じプログラムを体験する
  • メンター育成研修の様子:メンターによるロールプレイング
  • 写真2)メンター育成研修の様子
    メンターによるロールプレイング
  • 写メンター育成研修の様子
  • 写真3)メンター育成研修の様子

各実証校で特化した研修について
固有の環境についてのアドバイスをした。主に配置とネットワーク環境の2点である。

配置:講座では操作法を説明する場所とコンピュータでの操作を明確に分けている。学校によっては児童用の画面のコントロールを強制的に奪う機能が入っている場合があるが、それを使用せずにコンピュータから離れた場所で説明をし、席に戻って作業をする。会場となったパソコン室は狭いため、そのスペースを作るのに苦労するが、説明用のプロジェクターやディスプレイの位置を工夫してどこに集めるのが良いのかのアドバイスをした。また、1講座目のビスケットランドではグループ制作を行うため、各グループごとに作品を表示するための別の画面が必要となる。それをどのコンピュータを使うと流れがスムーズになるのかも教室ごとのコンピュータのレイアウトに依存するため、デジタルポケットの過去の経験からアドバイスをした。

ネットワーク環境:児童のコンピュータを1台ずつセットアップすることなく、一斉に起動する方法は各学校ごとに異なるが、講座開始までに1ステップでも手順が少なくなるような方法を探り、次回以降に簡単に講座を開始できるようにした。また、インストールされているブラウザのバージョンが古く、プラグインの更新ができない(更新しても再起動すると古いバージョンに戻ってしまう)場合があったが、共有ディスクに新しいプレイヤーをインストールしてそれを呼び出すスクリプトを各会場ごとに用意することで、最新のバージョンで動作する方法を提供できた会場もあった。

2.3.2 研修教材
  • プログラミング講座「ビスケットによるプログラミング入門」全5回分の進行手順書
  • 各講座の解説スライド
  • 新しく追加した2つの講座のファシリテーション部分の動画

進行手順書
ビスケットの画面と共に、講座の進行手順を細かく記載した。「子供たちの驚きや喜びを最大化する」「自らの発見を奪わない」という、デジタルポケットが教える際に大切にしていること(原理)を突き詰めた手順である。

  • 進行手順書
    資料)進行手順書
  • 進行手順書

解説スライド
プログラミング講座の詳細は3.1講座の概要で記載するが、各講座の最後にまとめとして「解説」を実施している。内容を分かりやすくまとめたスライドを見ながら、解説する。

  • 解説スライド
    資料)解説スライド
  • 解説スライド

ファシリテーション動画
今回新たに追加した2つの講座「動きのデッサン」「動く模様」に関しては、デジタルポケットが実際に小学生を対象に実施した同内容の講座のファシリテーションを動画で配信した。

  • ファシリテーション動画
    資料)ファシリテーション動画
  • ファシリテーション動画

3. 実証講座の実施

3.1 講座の概要

講座の実施日程(講座内容1~5)・会場
1.北海道石狩市こども未来館あいぽーと
 実施日程:9月2日(1・2)、3日(3・4・5)
 会場:こども未来館あいぽーと 文化活動室

2.茨城県龍ケ崎市立龍ケ崎小学校
 実施日程:7月21日(1)、24日(2)、25日(3)、26日(4)、27日(5)
 会場:龍ケ崎小学校 コンピュータ室

3.栃木県足利市キッズピアあしかが
 実施日程:8月4日(1・2・3)、5日(4・5)
 会場:キッズピアあしかが

4.神奈川県川崎市立古川小学校
 実施日程:8月21日(1・2)、22日(3・4・5)
 会場:古川小学校 パソコン室

5.神奈川県海老名市立有鹿小学校
 実施日程:7月24日(1・3)、25日(1)、26日(1・4・5)
 会場:有鹿小学校 コンピュータ室
 ※各日程で参加者が異なります。

6.神奈川県二宮町立二宮小学校
 実施日程:8月7日(1・2)、8日(3・4・5)
 会場:二宮小学校 パソコン教室

7.静岡県長泉町立長泉小学校
 実施日程:8月1日(1・2・3)、2日(4・5)
 会場:長泉小学校 コンピュータ室

8.愛知県清須市立西批杷島小学校
 実施日程:7月8日(1・2・3)、15日(4・5)
 会場:西批杷島小学校 パソコン室

9.奈良県奈良女子大附属小学校
 実施日程:7月24日(1・2)、25日(3)、26日(4)、27日(5)
 会場:奈良女子大付属小学校 コンピュータ室

10.兵庫県ふたば学舎
 実施日程:7月23日(1・2・3)、26日(4・5)
 会場:ふたば学舎

11.徳島県阿南市立長生小学校
 実施日程:6月9日(1)、16日(2)、30日(3)、7月7日(4)、14日(5)
 会場:長生小学校 コンピュータ室

講座各回の内容・ねらい
全5回で、タブレット・マウスの操作から子供に人気のゲーム制作までを、無理なくステップアップできるように構成。各回の終わりには伝えたいメッセージを添え、最終回で「コンピュータを育てるのはみなさんです」の言葉で締めくくる。

1. プログラミングの基本(ビスケットランド)
2. シミュレーション(情報の原理)
3. 動きのデッサン
4. 動く模様
5. ゲーム入門(たまごが割れたら)

講座各回の内容・ねらい1プログラミングの基本

講座各回の内容・ねらい2シミュレーション(情報の原理)

講座各回の内容・ねらい3動きのデッサン

講座各回の内容・ねらい4動く模様

講座各回の内容・ねらい5ゲーム入門(たまごが割れたら)

参加児童の募集・選出方法
既存の枠組みで参加者を募集し全員受け入れ:5海老名市、11阿南市
チラシを配布し個別に申し込み・抽選:他の学校・施設すべて

配布チラシ例(参考:4川崎市立古川小学校)

  • 配布チラシ例(参考:4川崎市立古川小学校)
  • 配布チラシ例(参考:4川崎市立古川小学校)

参加児童数(学年別)

1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 不明 合計
1石狩市こども未来館 0 0 7 2 4 1 0 14
2龍ケ崎市立龍ケ崎小学校 0 0 0 8 5 6 0 19
3キッズピアあしかが 0 0 0 8 3 5 0 16
4川崎市立古川小学校 0 0 0 11 14 8 0 33
5海老名市立有鹿小学校 0 0 0 12 5 0 38 55
6二宮町立二宮小学校 0 0 17 11 8 3 0 39
7長泉町立長泉小学校 4 3 5 4 3 3 8 30
8清須市立西批杷島小学校 0 0 0 17 7 7 0 31
9奈良女子大学附属小学校 0 0 0 0 35 0 0 35
10神戸市ふたば学舎 1 2 5 1 4 0 5 18
11阿南市立長生小学校 0 2 5 6 4 6 0 23
合計 5 7 39 80 92 39 51 313

参加メンター数・属性

高校生 大学・
専門など
社会人 教職員 自営業 パート・
アルバ
イト/
無職
その他 合計
1石狩市こども未来館 0 0 1 1 0 0 0 2
2龍ケ崎市立龍ケ崎小学校 0 0 0 1 0 0 0 1
3キッズピアあしかが 0 0 2 0 1 2 0 5
4川崎市立古川小学校 0 0 1 2 0 0 0 3
5海老名市立有鹿小学校 0 0 0 0 0 1 0 1
6二宮町立二宮小学校 0 1 0 0 0 2 0 3
7長泉町立長泉小学校 0 0 2 0 1 0 0 3
8清須市立西批杷島小学校 0 0 0 0 2 0 0 2
9奈良女子大学附属小学校 0 0 0 1 0 0 0 1
10神戸市ふたば学舎 0 0 0 0 1 0 0 1
11阿南市立長生小学校 0 0 0 1 0 0 0 1
合計 0 1 6 6 5 5 0 23

3.2 実施の様子

6神奈川県川崎市立古川小学校の講座実施の様子。

写真)メンターは児童を前に集めて説明
実施の様子:メンターは児童を前に集めて説明

写真)メンターの説明を聞く児童
実施の様子:メンターの説明を聞く児童

写真)児童はメンターの指示を聞き、その後自分のパソコンに戻り、実際にプログラムをつくる。
実施の様子:児童はメンターの指示を聞き、その後自分のパソコンに戻り、実際にプログラムをつくる。

写真)サブメンターは児童・生徒の発見を奪わないように、児童と同じ目線に立ち、どこにつまずいているのかを洞察しながらヒントを出していく。
実施の様子:サブメンターは児童・生徒の発見を奪わないように、児童と同じ目線に立ち、どこにつまずいているのかを洞察しながらヒントを出していく。

写真)児童同士の教え合いも見られた。
実施の様子:児童同士の教え合いも見られた。

写真)児童の作成したプログラム。回を重ねるに連れて、「ぶひん」の数、「めがね」の数が増え、作品が複雑になっていった。
実施の様子:児童の作成したプログラム。回を重ねるに連れて、「ぶひん」の数、「めがね」の数が増え、作品が複雑になっていった。

写真)各講座の終わりでは解説スライドをつかい、その講座のまとめをする。
実施の様子:各講座の終わりでは解説スライドをつかい、その講座のまとめをする。

各学校ではそれぞれのメンター進行手順に従いながらも、それぞれの味わいがある講座を実施した。6月の11徳島県阿南市立長生小学校の実施から、9月の1北海道石狩市こども未来館あいぽーとでの実施の間、それぞれの実施を踏まえて変更があった。
多くの学校で1日で複数回の講座を実施したため、授業のテンポや盛り上がりなどを考慮して、各講座の時間配分を変更した。教え方の変更としては、奈良女子大附属小学校での第一回目の講座において、このメンターは当小学校の教員で子供たちの能力を熟知しているということもあって、講習での教え方よりも1行程少ない(その分子供たちが自分で発見する度合いが増す)教え方をし、それが予想以上にうまくいった、ということがあった。その後、同じ教え方を他の小学校でも実施したところ、まったく問題がなかったので、より説明項目が少ない教え方に変化していった。

3.3 メディア掲載

メディア掲載一覧

新聞 毎日新聞 5/11 3キッズピアあしかが 総務省事業採択について
下野新聞 3キッズピアあしかが 総務省事業採択について
上毛新聞 3キッズピアあしかが 総務省事業採択について
徳島新聞 6/27 11阿南市立長生小学校 実施された様子について
雑誌 チエルマガジン 秋冬号 4川崎市立古川小学校 実施された様子について

(※画像割愛)

3.4 参加者の声

3.4.1 児童・生徒の声

※属性は以下の順で記載(学年/性別/場所)

Q2.2「プログラミング」をやってみて面白かったところ、もっと続けてやってみたいと思ったところがあったら、自由に書いてください。
「プログラミングをすることはとても奥が深くておもしろかったです。」(4/男/足利)
「何日もやったら100万個のメガネも作れると思った」(男/石狩)
「自分のイメージしたことができる、どこが違うか考えるのが面白かった」(5/女子/奈良)
「プログラミングの講座でいろいろ知っていくのが面白かったです。なぜなら、自分がどんどんものしりになっていくのかも!と思ったからです。あと、講座の内容が面白かったからです。」(4/女/二宮)
「プログラミングが自分で作れるなんておもいませんでした。パクパクんがおもしろかったです。」(有鹿)

Q2.3「プログラミング」をやってみて難しく感じたところがあったら、自由に書いてください。
「意外に思い通りにいかない、新しく増やすと実行できなくなる(仕組みの組み合わせ方)が難しかった。」(5/女/奈良)

Q3.3日々の生活や学校でプログラミングを使って工夫したいと思うことがあったら、自由に書いてください。
「難しいゲームを自分で作って自分でクリアしたいです。日々の生活を楽しくしたいからやってみたいです。」(4/女/龍ケ崎)

Q3.5(「プログラミング」を続けたていきたい)理由を自由に書いてください。
「「プログラミング」は「難しい勉強」というイメージが消えた」(5/女/奈良)

Q4.3 「プログラミング」の講座を受けた結果、ゲームやアプリについての考え方は変わりましたか。変わった方は、どのように変わったかについて自由に書いてください。
「楽しく遊んでいるゲームでもいろんなプログラムあると考えると少し考え方が深くなった。」(6/男/足利)
「ゲームの作り方は簡単と思っていたけど難しいことがわかった」(3/男/石狩)
「すごい手間がかかるとわかった」(男/石狩)
「変わりました。ゲームは、ビスケットのようにプログラミングの(メガネ)のようにできているんだな、と思いました」(5/男/石狩)
「よく考えて作っているというのがわかった」(5/男/石狩)
「まったくわからない=>すこしできる」(3/男/神戸)
「受ける前はまっったく仕組みもわからず疑問でいっぱいだったが、受けてから、1つ1つの動きを組み合わせていることがわかった。家でもやってみる」(5/女子/古川)
「もうちょっとどうなっているのかな、プログラミングはどうやっているのか考えてみたい」(6/男/清須)
「昔のゲームは今日やっていたビスケットと設計が似ているように感じた。普段やっているゲームを作るということはとてもむずかしそう」(4/女/長泉)
「ゲームやアプリもプログラミングで動いているということがわかった」(男/長泉)
「ゲームやアプリを作るにはどうなるのかを自分で確かめながらやることがわかった」(6/男/長泉)
「変わった。理由:感想からだけど、プログラミングをするのは根気のいる努力の必要な作業だから、感謝しながらできそうになった」(6/男/長泉)
「操作が簡単なゲームでもつくるのは難しいんだなと思うようになりました」(3/男子/長泉)
「こんな複雑なのをつくってすごいと思うようになった」(5/男/奈良)
「人が考えてコンピュータを作ってくれているから、もっと大切にしようと思った」(5/男/奈良)
「あたまがやわらかくなった」(5/男/奈良)
「難しい=>楽しい」(5/女/奈良)
「少しずつプログラムを大きくしてあのような細かいものができているんだと思った」(5/女/奈良)
「ゲームやアプリについて僕はあらためてすごいなぁ~と思いました。作った方も動いている方もです。」(5/男/奈良)
「売っているゲームはどれだけ指示がある?と思った」(5/男/奈良)
「機械に慣れていなかったけど慣れるかもしれないから」(3/男/二宮)
「「前まで難しそう」って思ってたけど、やったら「作れそう」って思った」(4/男/二宮)
「自分はゲームやアプリを作れないと思ったけど、講座を受けたらできるかもしれないと変わった」(3/女/二宮)
「少しひらめくようになったかもしれない」(女/二宮)
「変わりました。ゲームを作るのは大変だと思いました」(3/女/有鹿)
「色々なミニゲームがあるのにミスなく遊べることだけでもスゴイなと思いました」(6/女/龍ケ崎)
「中をみてみたいなぁーっておもったり、どうやったらつくれるかなぁと考えることが変わった」(4/女/龍ケ崎)

3.4.2 メンターの声

Q3.5 研修を受講してよかった点(今後、自分が指導するにあたって、研修で最も印象に残った点や役立つと思った知識など)について、具体的に教えて下さい。
「分からない所など、とても丁寧に教えてくれました。今後もやりたい、早く実践したいという気持ちが強くなりました。また、スライドの台本など分かりやすかったです。」(足利)
「講座の内容やねらいはわかりやすく理解できました。自動・生徒との細やかなやりとりもできたので、今後のワークショップや指導にも大変参考になりました。」(足利)
「児童がつまずきやすい点を具体的かつ丁寧に教えていただいたことです。研修のレジュメも流れが良く分かりやすいものでした。」(足利)
「日頃、シニア向けのパソコン教室を運営しているためか、説明しすぎる習慣がある。研修を受けて、「発見や驚きを奪わない」指導の仕方に非常に興味をもった。シニア向けであれば、目に見えるボタンは丁寧に説明してしまう。しかし、子供に指導する時にはこれではダメで、できるだけ自分で見つけ自分で理解できるように促すことが重要ということがわかり、とても納得できたし、ためになった。ストーリーの持っていきかた、言葉の選び方が一つ一つ重要になる。今後、子供に指導していく上でとても役たつ注意点だと思った。」(足利)
「児童・生徒の自発的な気づきをいかに導くか、という点を重視しており、その点を意識して講座を実施するというスタンスを確認できた」(石狩)
「教えるだけでなく、子供がたちが考える場面がたくさんあり、工夫の仕方があると思いました。」(古川)
「子供が「発見」する機会を奪ってはいけない!との教えは、とても印象的でした。」(長泉)
「ビスケットの使い方はもちろんのこと、開発者本人からビスケットの理念や想い、プログラミング教育に対する考え方をうかがうことができて、大変有意義でした。また、子供への声がけの方法やタイミングなども話し合いながら、ロールプレイなどができたので、メンター実施に対する不安を払拭することができました。」(長泉)

Q5.4 指導するうえで工夫した点やうまく指導できた点を具体的に教えてください。
「与えるヒントを最小限にして正しいプログラムを自動自らが発見できるように促した。説明の時に児童が自分のこととして考えられるよう卑近な例を挙げたり、プログラムの動きを実際にやってみせた。」(足利)
「メンター育成研修で受けた注意点を心がけ、サブ指導者として子供たちの操作を見守ることができた。子供たちをよく見ていると、様々なことを試行錯誤している様子がうかがえ、その間にたくさんの気づきがあるように思えた。それをさえぎるように余計な説明を入れないよう、注意深く観察できた。こちらが想像する以上に色々なことに挑戦している様子がとてもわかった。」(足利)
「すべて教えてしまうのではなく、まずは子供の「こうした!」という思いをきき、「それをやるにはどうしたらいいのかな?」などと問いかけることで、考えながら進めることができたのがよかった。」(古川)
「ファシリテータ講習で教えていただいた「生徒の発見を奪わないこと」を意識しながら、適宜フォローすることができた」(長泉)

Q9今後プログラミング教育を全国に普及させていくにあたりご意見・ご要望や、指導方法・教材に関するアイディア等あればご自由にお書きください。
「今、キッズピアで開催しているプログラミングワークショップを今後も続け、今回やった新しいものも組み込んでやっていこうと思っています。学校や公民館へ出張をしていきたいです。」(足利)

3.4.3 実証校の先生・保護者の声

Q3.2 児童・生徒の様子で気づいたこと、発見したことがございましたら自由にお書きください。
「話を聞くときと作業をするときなど、メリハリがあって子供たちが率先して動いていて、自由に楽しく学んでいる様子が見られたのでよかったと思います。自発的にできる事がよかったと思います。」(保護者/足利)
「のびのびと生き生きと活動していました。自分から「このプログラムで何ができるのか」を探りながら取り組む姿が印象的でした」(教職員/奈良)
「思い通りの動きが出来た時や作品を作り上げた達成感は今後の自信につながると思う」(教職員/奈良)
「プログラミングということを強く意識せずに自然に理解が深まるのがよい。BasicやC言語などはとにかくとっつきにくかった。」(教職員/奈良)
「子供たちの反応がとても良く、みんな生き生きと積極的に参加していた。受け身の授業ではなく、参加型はこうも違うのかと思った。」(保護者/長泉)

Q5.1 公開講座に参加して、講座の内容、進め方、指導方法等についてご意見やご要望がございましたら自由にお書きください。
「操作方法の説明、実践、確認、共有、振り返りをしていただき、とても理解しやすいワークショップだったと思います。」(保護者/足利)
「興味があり、自主的に参加しました。簡単なことから始まり、楽しんで絵を描き、言われた通り動かしていくと、いつの間にか色々な事ができるようになっているようでした。」保護者/足利)
「まず、さわってみるから、工夫させてみる。やってみた作業について説明を受ける「なるほど!」と理解できる進め方だったと思います。」(保護者/足利)
「子供が集中できる工夫をされていると思いました。また、これほど集中して行う事ができるのはすごいと思いました。」(市内別小学校保護者/古川)
「よくあるプログラミング教室(ロボット教室)とは少し違い、アニメーションである事が面白かった。創造力が広がるのではないかと思った」(保護者/奈良)
「教えすぎないという指導法が子供の気づき、意欲を大いに引き出していたと思います。毎回の講座の内容も適切な段階を踏んでいたと考えます。」(教職員/奈良)
「なるべくヒントを与えず、子供に発見させる進め方がとてもよかったです。内容もとても子供の実態に合っていたと思います。最初は機能を制限していたことがあり、徐々にできることが増えていく感覚を味わう事ができていたと思います。」(教職員/二宮)
「非常に高度に計算された練られた運営でした。」(教職員/二宮)
「ポイントを抑えた無駄のない指導によって、子供たちは主体的に活動をしていた。1回1回の指示ごとに「前に集めて」という方法が効果的であった」(教職員/二宮)

Q5.2 2020 年の小学校教育におけるプログラミング教育必修化に対する期待や疑問・懸念、指導カリキュラム等についてのご意見やご要望がございましたら自由にお書きください。
「何かを創造する」という楽しい機会は特定の子供のみではなく、すべての子供に平等に与えられることが望ましいと思います。」
「だれでも継続して学習できる機会と場所があるといいです。」(保護者/足利)

3.4.4 実証校校長先生・教育委員会の声

Q2.4 児童・生徒の様子で気づいたこと、発見したことがございましたら自由にお書きください。
「子供たちが2日間にわたって集中して意欲的に取り組んでいたのが印象的だった。」(古川小学校校長先生)
「楽しくやれるソフトであったので、子供たちは自分の感性で作品を作っていたように思えた。」(西批杷島小学校校長先生)

Q3.2 講座全体を通じて、児童・生徒がつまずくことなくスムーズに学べていたポイントについてご自由にお書きください。
「出来るようになる喜びが子供たちの意欲へと結びついていた。また、難しい操作が必要なく、どの子も作品として完成させることが出来ていたのがよかった。」(古川小学校校長先生)
「希望者ということもあるが、みな積極的にまずやってみようという姿勢で取り組んでいて、それに見合ったハードルの高さであったと思う。最初にうまくいったという経験を積めるということは、スタートとしてはとても大事なことだと思う。」(二宮小学校校長先生)
「進め方について、ステップを踏みながら丁寧に説明されていたのでスムーズであった。思いがけない画面の動きに喜ぶだけでなく、自分の考えた動きが実現したときに満足し、喜んでいたように感じた」(有鹿小学校校長先生)

Q3.3 講座全体を通じて、児童・生徒の印象的だったエピソードや感想について自由にお書きください。
「1~6年、全学年の子供たちがいる中で、発達段階に関係なく、みんなが同じように学べる講座で素晴らしいと感じた」(長泉小学校校長先生)
「最終日までほとんどの子供がプログラミング学習に主体的に取り組んでいた」(龍ケ崎小学校校長先生)

メールでの感想
「今後、ビスケットを活用した実践を(グループワークについて紹介する、市の冊子に)掲載しようと考えております。ビスケットに触れる機会=プログラミング教育に出会う機会の可能性として考えております。」(川崎市総合教育センター情報・視聴覚センター担当)

講座終了後の発言
「失敗しても取り返しがきくし、何度もチャレンジできるのがよい。」(古川小学校校長先生)

4. アンケート結果

4.1 児童・生徒

Q1-8 あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまで「プログラミング」を体験したことがありますか?最も近いものをひとつ選んでください。

合計 215
1 経験あり 71
2 経験したことないが、意味は知っている 48
3 聞いたことあるが、中身は知らない 45
4 聞いたことない 51

児童・生徒向けアンケート(Q1-8)あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまで「プログラミング」を体験したことがありますか?最も近いものをひとつ選んでください。「プログラミング」を経験したことがあった、33.00%、「プログラミング」を経験したことはないが、意味は知っていた、22.30%、「プログラミング」という言葉を聞いたことはあるが、中身まではよく知らなかった、20.90%、「プログラミング」という言葉を聞いたことがなかった、23.70%。

経験がある児童が若干多いが、経験がない児童・まったく知らない児童もほぼ同じくらいの割合に混在していたのがわかった。

Q2-1 「プログラミング講座」は楽しかったですか。最も近いものをひとつ選んでください。

合計 217
1 楽しかった 193
2 プログラミングは楽しくないが、講座は楽しかった 8
3 プログラミングは楽しかったが、講座は楽しくなかった 15
4 どちらも楽しくなかった 1

児童・生徒向けアンケート(Q2-1)「プログラミング講座」は楽しかったですか。最も近いものをひとつ選んでください。プログラミングすることも、講座も楽しかった、88.90%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったが、講座は楽しかった、3.70%、プログラミングすることは楽しかったが、講座はあまり楽しくなかった、6.90%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったし、講座もあまり楽しくなかった、0.50%。

ほぼ全員の児童に楽しんでもらえた。

Q2-4 プログラミングの講座で利用した教材は簡単でしたか。

合計 214
1 簡単すぎた 33
2 簡単だった 43
3 ちょうどよかった 101
4 少し難しかった 34
5 難しかった 3

児童・生徒向けアンケート(Q2-4)「プログラミング」の講座で利用した教材は簡単でしたか。最も近いものをひとつ教えてください。簡単すぎた、15.40%、簡単だった、20.10%、ちょうどよかった、47.20%、少し難しかった、15.90%、とても難しかった、1.40%。

様々な児童に対する経験を踏まえて今回のカリキュラムが作成されているので、多くの児童にとって適したレベルであったということが、カリキュラムの適切さを裏付けている。

Q3-1 講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。
1 プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった。

合計 219
1 よくできた 133
2 だいたいできた 75
3 どちらともいえない 6
4 あまりできなかった 4
5 ほとんどできなかった 1

児童・生徒向けアンケート講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。あてはまるものをそれぞれひとつ選んでください。(Q3-1@)プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった、よくできた、60.70%、だいたいできた、34.20%、どちらともいえない、2.70%、あまりできなかった、1.80%、ほとんどできなかった、0.45%。

講座の最後では、命令を増やすことで少しずつ複雑な動きができることを直感的にしることができ、またそれと世の中のコンピュータとの関係についても話をしているので、多くの子供達がそれを理解してくれたのは、内容・解説が適切であったことの現れであろう。

2 自分なりのアイディアを取り入れたり、工夫したりするようになった。

合計 219
1 よくできた 152
2 だいたいできた 54
3 どちらともいえない 7
4 あまりできなかった 4
5 ほとんどできなかった 2

児童・生徒向けアンケート(Q3-1A)自分なりのアイディアを取入れたり、工夫したりするようになった、よくできた、69.40%、だいたいできた、24.70%、どちらともいえない、3.20%、あまりできなかった、1.80%、ほとんどできなかった、0.90%。

講座では、基本的な動作を全体で一緒に学んだ後は、各自が自由に制作できるように設計している。最初の全体の指導と、その後の自由度の選び方が適切でなければ、自由すぎて何をやっていいかわからないとか、難しすぎてサンプルと同じにしか作れないという結果になる。この結果は、それらが適切であったということである。

3 自分なりの作品を作ることができるようになった。

合計 216
1 よくできた 168
2 だいたいできた 42
3 どちらともいえない 4
4 あまりできなかった 1
5 ほとんどできなかった 1

児童・生徒向けアンケート(Q3-1B)自分なりの作品を作ることができるようになった、よくできた、77.80%、だいたいできた、19.40%、どちらともいえない、1.90%、あまりできなかった、0.48%、ほとんどできなかった、0.47%。

これも前項と同じであるが、毎回友達との作品を比べる時間をとっていることから、自分の独自性を感じ取れたのではないか。

4 うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった。

合計 217
1 よくできた 92
2 だいたいできた 75
3 どちらともいえない 32
4 あまりできなかった 14
5 ほとんどできなかった 4

児童・生徒向けアンケート(Q3-1C)うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった、よくできた、42.40%、だいたいできた、34.60%、どちらともいえない、14.70%、あまりできなかった、6.50%、ほとんどできなかった、1.80%。

講座では、特にデバッグの方法を指導したりはしていないが、手順を逐一教えるのではなく、自分で発見させるスタイルを多く取り入れているので、このような問題解決も自分でできるようになっているのではないか。

5 自分から積極的に取り組むようになった。

合計 219
1 よくできた 130
2 だいたいできた 67
3 どちらともいえない 11
4 あまりできなかった 10
5 ほとんどできなかった 1

児童・生徒向けアンケート(Q3-1D)自分から積極的に取り組むようになった、よくできた、59.40%、だいたいできた、30.60%、どちらともいえない、5.00%、あまりできなかった、4.60%、ほとんどできなかった、0.46%。

講座内で例として見せる絵や動き、その後のテーマの選び方には、児童のモチベーションが高まるような工夫をしていることが、この積極性に繋がっているように思う。

6 友達と協力して作業を進められるようになった。

合計 218
1 よくできた 117
2 だいたいできた 58
3 どちらともいえない 22
4 あまりできなかった 10
5 ほとんどできなかった 11

児童・生徒向けアンケート(Q3-1E)友達と協力して作業を進められるようになった、よくできた、53.70%、だいたいできた、26.60%、どちらともいえない、10.10%、あまりできなかった、4.60%、ほとんどできなかった、5.00%。

講座では、第1回を除いて特にグループで問題を解決する課題は用意しておらず、すべて個人制作になっているが、講師と児童という1対多の関係ではなく、講師は方向を指示して後は児童たちで自ら考える、という関係を取っているため、友達同士の協力関係が生まれたのかもしれない。

7 人前で作品や意見を発表できるようになった。

合計 217
1 よくできた 80
2 だいたいできた 58
3 どちらともいえない 45
4 あまりできなかった 19
5 ほとんどできなかった 15

児童・生徒向けアンケート(Q3-1F)人前で作品や意見を発表できるようになった、よくできた、36.90%、だいたいできた、26.70%、どちらともいえない、20.70%、あまりできなかった、8.80%、ほとんどできなかった、6.90%。

この講座では、プレゼンテーションを重視した設計をしていないため、その部分の変化は少ないと思われる。

8 難しいところであきらめずに取り組めるようになった。

合計 218
1 よくできた 139
2 だいたいできた 56
3 どちらともいえない 13
4 あまりできなかった 9
5 ほとんどできなかった 1

児童・生徒向けアンケート(Q3-1G)難しいところであきらめずに取り組めるようになった、よくできた、63.80%、だいたいできた、25.70%、どちらともいえない、6.00%、あまりできなかった、4.10%、ほとんどできなかった、0.40%。

講座は、とても初歩の段階から自分で考えて解決させるサイクルを作っているため、小さな成功体験の積み重ねが、あきらめずに取り組むとで大きな問題に取り組む態度として現れたのではないか。

9 自分でも(ゲーム等のプログラムを含む)を作りたいと思うようになった。

合計 217
1 よくできた 163
2 だいたいできた 38
3 どちらともいえない 12
4 あまりできなかった 3
5 ほとんどできなかった 1

児童・生徒向けアンケート(Q3-1H)自分でもの(ゲーム等のプログラムを含む)を作りたいと思うようになった、よくできた、75.10%、だいたいできた、17.50%、どちらともいえない、5.50%、あまりできなかった、1.40%、ほとんどできなかった、0.50%。

主体的に制作活動に関わりたいと思う人が多いのは、講座の目的が成功していることを表している。

Q3-2 プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。

合計 196
1 自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした 102
2 全てのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした 21
3 少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした 34
4 メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった 29
5 進んでいるお友達に教えてもらった 10
6 どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした 3
7 その他 3

児童・生徒向けアンケート(Q3-2)プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。最も近いものをひとつ選んでください。自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした、50.50%、すべてのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした、10.40%、少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした、16.80%、メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった、14.40%、進んでいる友達に教えてもらった、5.00%、どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした、1.50%、その他、1.40%。

2、3があまり多くないのはビスケットの特徴が現れている。とくに「初めからやり直したら上手く行く」ということは、プログラミングを手順で覚えていることの現れで、それはたとえば絵かき歌で絵を覚えるのと同じと言える(絵かき歌ではその絵は完璧に描けても応用の絵は描けない)。その解決法をとる人が少なかったのが良かった。

Q3-4 あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。

合計 205
1 続けたい 175
2 続けたくない 2
3 わからない 28

児童・生徒向けアンケート(Q3-4)あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。あてはまるものをひとつ選んでください。続けたい、85.40%、わからない、13.70%、続けたくない、1.00%。

続けたいという人が多いのは良いことであるが、わからない人がいたこともこれは想定の範囲である。

4.2 メンター

Q3-3 メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。

合計 22
1 よく理解できた 14
2 だいたい理解できた 8
3 どちらともいえない 0
4 あまり理解できなかった 0
5 ほとんど理解できなかった 0

育成メンター向けアンケート(Q3-3)メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。あてはまるものをひとつ選んでください。よく理解できた、63.60%、だいたい理解できた、36.40%、どちらともいえない、0.00%、あまり理解できなかった、0.00%、ほとんど理解できなかった、0.00%。

そもそもメンターの募集が意欲の高い人に限定であったためこのような結果になった。一般人を対象にしてはもう少し厳しい意見も出ただろう。

Q3-6 実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。

合計 20
1 まったく不安はない 2
2 あまり不安はない 10
3 わからない 0
4 やや不安がある 8
5 非常に不安がある 1

育成メンター向けアンケート(Q3-6)実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。あてはまるものをひとつ選んでください。まったく不安はない、9.50%、あまり不安はない、47.60%、わからない、0.00%、やや不安がある、38.10%、非常に不安がある、4.80%。

メンターの属性には教育経験の有無等はバラバラであったため、意見が分かれる結果となった。

Q3-7 (3.5で4または5と答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。(複数回答可能)

育成メンター向けアンケート(Q3-7)(3.5で1または2と答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。あてはまるものを全て教えてください。(複数回答)、児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートできるか、44.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言ができるか、33.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導ができるか、44.00%、児童・生徒が自分の指導や助言を聞き入れ、従ってくれるか、0.00%、時間内に予定のプログラムを終了できるか、22.00%、用意された教材を効果的に使用して指導できるか、33.00%、その他、0.00%。

1、2、3は児童に直接接する経験が少ないことから生じる不安であり仕方がない。4はそもそも講座の進行で子供達に無理な流れを取らないように設計されているため、そのような不安はなかったのだろう。

Q5-1 講座は当初予定していた通りに実施できましたか。

合計 23
1 実施できた 8
2 だいたい実施できた 14
3 どちらともいえない 1
4 あまり実施できなかった 0
5 全く実施できなかった 0

育成メンター向けアンケート(Q5-1)講座は当初予定していた通りに実施できましたか。最も近いものをひとつ教えてください。実施できた、34.80%、だいたい実施できた、60.90%、どちらともいえない、4.30%、あまり実施できなかった 、0.00%、まったく実施できなかった、0.00%。

講座の流れ・時間配分は多くのメンターがこなせる分量となっていたことを示している。

Q5-2 実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。

合計 23
1 非常に難しかった 1
2 やや難しかった 8
3 どちらともいえない 6
4 比較的容易だった 8
5 非常に容易だった 0

育成メンター向けアンケート(Q5-2)実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。最も近いものをひとつ教えてください。非常に難しかった、4.30%、やや難しかった、34.80%、どちらともいえない、26.10%、比較的容易だった、34.80%、非常に容易だった、0.00%。

1と5が少なかったことは、育成という意味で適切な難易度であったことを示している。

Q5-3 実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。(複数回答)

育成メンター向けアンケート(Q5-3)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること、61.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと、44.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと、57.00%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと、52.00%、時間内に予定の講座内容を終了させること、26.00%、用意された教材を効果的に使用すること、39.00%、その他、4.00%。


当初の不安が実際の講座の経験によって払拭されたことを示している。

Q5-5 実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。(複数回答可)

育成メンター向けアンケート(Q5-5)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること、9.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと、0.00%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと、22.00%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと、17.00%、時間内に予定の講座内容を終了させること、22.00%、用意された教材を効果的に使用すること、13.00%、その他、9.00%。

実証講座の目的に「コンピュータサイエンスを伝える」ということが含まれていたため、その意味で2の評価が低かったのではないか。1や3が上手くいったことは彼らの大きな自信になったのだろう。

Q8-3 今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について、最も近いものをひとつ教えてください。

合計 22
1 メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒に
プログラミング教育の指導ができると思う
12
2 メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う
(ひとりで指導するのは不安だ)
3
3 サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい 5
4 メンター業務を今後もやるには不安が大きい 0
5 今後はメンターをやりたくない 0
6 わからない 1
7 その他 1

育成メンター向けアンケート(Q8-3)今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について、最も近いものをひとつ教えてください。メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒にプログラミング教育の指導ができると思う、54.50%、メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う(ひとりで指導するのは不安だ)、13.60%、サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい、22.70%、メンター業務を今後もやるには不安が大きい、0.00%、今後はメンターをやりたくない、0.00%、わからない(考えがまとまっていない)、4.50%、その他、4.50%。

今回は11地区で、実際にメインとなって指導の経験したメンターが12名であったことから、この評価はある意味で順当である。

5. 発見・成果と課題・改善

5.1 発見・成果

5.1.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築

4川崎市立古川小学校
講座を見学された川崎市総合教育センター情報・視聴覚センターが「かわさき共生*共育プログラム」というグループワークを中心としたプログラムを実践にて講習用テキストにビスケットを活用した実践を掲載。
8清須市立西枇杷島小学校
学校・教育委員会の理解が高まり、平成29年度プログラミング教育実証事業での実施に繋がった。

5.1.2 メンター育成

デジタルポケットが開発したカリキュラムは誰が実施しても一定の成果が得られることが特徴であるが、実際にメンターの方々からも評価する声をいただいたことで、再確認することとなった。とくに、教えすぎず自分で考えさせるという点が重要だと認識されているようだ。

5.1.3 講座内容

子供たちのアンケートからこちらが伝えたいメッセージ(AI時代を主体的に生きる態度)が伝わっていることがわかった。また、動画教材、紙教材を工夫することにより、多くのメンターから「わかりやすい講座だった」と感想をもらうことができた。

5.2 課題・改善

5.2.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築

「総務省の事業なので」という力がなければ、なかなか実施させてくれる学校はまだまだ少ない(そういう名目があっても協力してくれない学校の方が多い)。
現場の先生方も含め、見学者があまり多くなかった。子供たちの反応を見ていただければ、言葉で説明するよりもわかる部分もあるのに。

5.2.2 メンター育成

従来まで実施していたファシリテータ講習では不十分だった点(1日の講習だけでは現場に立てる自信がないなど)を、今回のメンター講習では補うことができたわけであるが、どのようにしたら継続的に実施することが可能なのかを今後考えてゆく必要がある。

5.2.3 講座内容

特に講座内容についての課題はないが、今後、クラブ活動などで継続的に使用することを考えると、もっと多くの講座を用意する必要がある。一方で、あまり多くの時間が割けない学校に対しての、もっと短くアレンジした内容というのも用意する必要がある。

6. 実証モデルの普及に向けて

6.1 モデルの横展開の可能性

6.1.1 メンター育成

ビスケットファシリテータ講習は定期的(月1回)に開催している。東京だけでなく地方での開催もしている(大阪・福岡)。ただし、講習のターゲットが絞られているわけではないので、たとえば学校の先生向けに特化した内容で短い時間のものを実施する必要がある。

ファシリテータ講習の内容も本事業の経験を生かして修正され、以前は3時間分しか教えていなかったのに対し、本事業で追加した2時間分も一部講習するようにしている。

アンケート結果を宣伝などで積極的に利用して、より多くの方に参加してもらえるようにしたい。

メンターに必要な資質について、今回の事業を通して新たに得られた知見というよりも、これまでデジタルポケットで育成してきたファシリテータの属性について述べたい。
統計をとった訳ではないが、講習を受講した動機については実に様々で、主婦が自分の子供に教えたい、パソコン教室を経営していて(今のパソコン教室は主にシニア向け)子供向けプログラミング教育に事業展開したい、小学校の教員、ICT支援員、現役のSEなどである。ビスケット自身がそれを教えることにそれほどスキルを必要としないため間口が広くなっている。主婦の場合でも以前の仕事がSEや数学の教師といったコンピュータに親和性の高いケースもあるが、必ずそうかというと全く理系ではない人もしっかりとしたメンターとして活躍している。こういう資質がなければメンターをやれないということは何もない。小学生にスポーツや音楽を教えることと比べると、ビスケットはかなり敷居が低いツールであるといえる。

6.1.2 講座の構成、教材

今回使用した教材(ビスケットの環境と進行例)はビスケットのホームページにて学校向けに無償公開する(12月現在一部公開中)。今回、様々な学校の環境の違いについて知ることとなったが、そのような場合でも、機械に明るくない人が簡単に講座が実施できるように工夫されている。

ビスケット 学校向けホームページのイメージ

6.2 普及のための活動

ファシリテータやビスケット指導者の情報交換を目的として、ビスケットユーザー会を設立した。

地域で活躍するメンターを中心に、ファシリテータ講習の地方開催を事業として始めた。昨年の2月(この事業の応募)の時点でファシリテータ講習修了者は250名であったが、いまは450名とこの1年で200名ものファシリテータが育成された。昨年は月1回開催であったが、12月からは都内と地方で1回ずつ月2回開催となった。最近の講習では本事業での成果も取り入れることができ、より内容が充実した。特に地方開催の受講者は多くが口コミであることから、参加者はますます増加すると思われる。実際に授業を実施したという報告も多くいただいており、そうやってプログラミング教育に触れる機会が増えるほど、その地域への理解も深まると思われる。

学校側への環境の件であるが、今回の取り組みにおいてはトラブルはあったがそれを回避する方法が見つかったので、そのノウハウを周知すればよい。しかし、今後、さらに追加のコンテンツを配信するといったことを考えると、ほとんどの学校がYouTubeを禁止していることが問題となる。ニーズとしては、全ての学校からアクセス可能な動画配信サイトを運営していただけるとありがたい。NHKやYahoo kids といった大手が独自に展開しているが、プログラミング教育に関係する事業者にはまだそれほど体力のないところも多い。その事業者がYouTubeなみに手軽にコンテンツをすべて無償という制約ではなく配信できるのがとても望ましい。

今回育成したメンタを近隣地域に派遣する体制であるが、直接本人に問い合わせがある場合は問題ないが、弊社に問い合わせがあった場合、近隣地域の方を紹介している。現在、弊社が責任を持って紹介できる方はそれほど多くないが、増えてきた場合、その旨をホームページなどで告知して行きたい。

7.参考添付資料

参考動画(お問い合わせください。)

  • movieビジュアルプログラミング言語ビスケット(子どもたちが使っている様子)

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