総務省 東北総合通信局
Tohoku Bureau of Telecommunications 【地域情報化】

第2章 電波利用の動向 東北地域におけるIT推進の現状
TOPページへ
本編 データ編 資料編
chapter01 chapter02 chapter03 chapter04 chapter05 chapter06
1.無線局数の推移
2.主な電波利用システム
3.電波利用調査研究会プロジェクト
4.電波利用推進東北フォーラム
5.良好な電波利用環境の整備

 

(1)防災行政用デジタル同報無線システム

 県や市町村が運営する防災行政無線は、災害発生時における地域住民への情報伝達と的確な避難誘導の手段として不可欠なものとなっている。
 衛星系防災行政無線は、平成14年7月の山形県による運用開始により、東北管内の6県全てにおいて整備され、市町村防災行政無線については、平成15年度末現在で同報系又は移動系を設置している市町村は365となり、設置率は全国平均をやや上回る91.9%となっている。
 また、福島県南郷村では、平成14年4月に全国で初めてデジタル方式による防災行政用同報無線(親局1局、中継局1局、子局25局)が導入されている。従来のアナログ方式は、役場から一方的に音声情報を地域住民へ伝えるものであったが、デジタル方式では、文字や静止画などのデータ伝送や避難場所に設置された屋外拡声子局から役場への双方向通話などが可能になり、災害情報の伝達・収集機能が大きく向上するものと期待されている。


(2)ITS:高度道路交通システム

 多発する交通事故防止対策は我が国喫緊の問題であり、また、物流の効率化は社会経済活動を支え、その効率化による新たな産業創出も期待される。
 こうした需要に対応するため、ITS(高度道路交通システム)の実用化に向けた情報通信システムの研究開発が進められており、既に平成8年には交通渋滞情報等ドライバーにリアルタイムで情報配信するVICS(道路交通情報システム)等が実用化されている。また、高速道路の料金所でのETC(ノンストップ自動料金収受システム)は平成13年3月から導入され、東北管内では平成13年11月からサービスが開始されており、平成16年10月末現在117ヶ所で運用されている。
PHOT

(3)TAS:簡易型航空機衝突予防装置

 航空機の安全運行のために利用される無線システムには、地上との連絡用であるVHF/HF無線電話だけでなく、航空機へ空港の状態や航空路の情報を提供するATISやAEIS、空港に安全に着陸するための計器着陸システム(ILS)等がある。 
 また、ICAO(国際民間航空機関)では、航空輸送の増加にともない、航空路を飛行する航空機の輻輳が問題化していることから、旅客機等の大型旅客機に対しACAS(航空機衝突予防装置)が義務付けている。最近では、ACASの搭載義務のない小型航空機に係る事故が相次いだことから、小型機向けの簡易な航空機衝突予防装置(TAS)の導入を推進している。
 旅客機に搭載されるACASは、自機周辺の航空機を監視し、危険と判断されたときにパイロットに位置情報等を提供するための機上装置であり、周辺航空機の位置情報のみを伝える「ACASI」、位置情報と垂直方向の回避アドバイスを与える「ACASII」の二種類があり、旅客機にはACASIIが義務付けられていたものである。今回小型機に対して導入されるTASは、ACASIの機能、規格制度を一部緩和した装置である。

小型航空機向け衝突防止装置(TAS)の概要

(4)AIS:船舶自動識別装置

 平成11年2月から完全実施されたGMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的なシステム)により、船舶に搭載される無線システムは、船舶無線電話の他にデジタル通信技術(DSC、NBDP等)や衛星通信技術(衛星EPIRB、インマルサット等)を利用した無線設備が追加され、船舶がどのような海域で遭難しても陸上の救助機関と付近を航行する船舶が一体となった捜索救助活動を可能としている。
 更に、平成14年7月1日からは、「すべての旅客船、国際航海に従事する総トン数300トン以上の船舶及び国際航海に従事しない総トン数500トン以上の船舶」にAIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)の設置が義務づけられている。
 このシステムは、自船の位置、速度、進行方向や運航管理情報を自動的に送受信することで、これらの情報を船舶相互間又は陸上との間で共有し、船舶の衝突防止や運航管理等を効率的に行うもので、船舶の航行の安全向上に寄与するもとの期待されている。

AIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)

(5)SSAS:船舶保安警報装置

 2002年12月に開催された国際海事機関(IMO)第5回海上人命安全条約(SOLAS条約)締約国政府会議において、一定の船舶に対して船舶保安警報装置(SSAS:Ship Security Alert Systemの略)の搭載を義務付けること等を内容とするSOLAS条約の改正が採択され、2004年7月1日から発効している。
船舶保安警報装置とは、船舶に対してテロ等の危害行為が発生した場合に、該当船舶の保安が脅威にさらされている等の情報を、海上保安庁へ伝送する無線設備であることから、本装置の導入により、海上の安全がより一層確保されることが期待されている。


[本編目次] [データ編目次] [資料編目次] [前の項] [次の項] [地域情報化目次] [トップページ]


Copyright