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1. 全国のICT支援団体を対象としたアンケートの結果

(1)アンケート実施概要

(2)アンケート回答状況

 回答者数は、121名であり、回答者が属しているICT支援団体の属性は表1のとおりである。各回答者が所属している団体が実践しているメニューとしては、パソコンボランティア養成と、パソコンボランティア派遣をおこなっているという回答が、それぞれ約4割である(複数回答)。どちらか、一方でも実践している団体の総数は、63団体(52%:個別に集計)であり、半数を超える。その他には、大学関係者、教育機関(養護学校等)が含まれる。サポートの対象としている障害種別は、肢体不自由及び視覚障害がそれぞれ6割以上であり、ついで多いのは知的障害である。ひとつの障害だけを対象としている団体は、31団体(26%:個別に集計)であり、多くは、複数の障害を対象としている。
フリーアンサーへの書き込みが非常に多く、ICT支援に関心の高い回答者が多かったようである。

表1-1:回答者が所属する団体のICT支援のメニュー(複数回答)
選択肢 回答者数 割合
障害者を対象としたパソコン教室 121人中56人 46%
パソコンボランティアの養成 121人中49人 40%
パソコンボランティアの派遣 121人中49人 40%
支援機器の提示や貸出 121人中36人 30%
その他 121人中58人 48%
回答者が所属する団体のICT支援のメニューの棒グラフ

表1-2:回答者が所属する団体が対象とする障害種別(複数回答)
選択肢 回答者数 割合
肢体不自由 121人中82人 68%
視覚障害 121人中75人 62%
聴覚障害 121人中49人 40%
言語障害 121人中45人 37%
知的障害 121人中70人 58%
重複障害 121人中49人 40%
その他 121人中24人 20%
回答者が所属する団体が対象とする障害種別の棒グラフ

(3)ICT支援の手順とポイントについて

 ICT支援の手順とポイントについては、「非常に役に立つ」「ある程度役に立つ」を併せると、役に立つという回答が9割近くになる。ダウンロードできる様式等についても、86%の人が役に立つと答えている。

設問1 手順とポイントに記述された内容は、これからのICT支援に役立つ内容でしょうか。
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中32人 26.4%
ある程度役に立つ 121人中76人 62.8%
あまり役に立たない 121人中13人 10.7%
まったく役に立たない 121人中0人 0%
設問1の回答円グラフ

設問2 手順とポイントにそって、各種様式(申込書や問診票等)をダウンロードできるようになっていますが、現場でのICT支援(パソコンサポート)に役立ちますか?
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中29人 24.0%
ある程度役に立つ 121人中74人 61.2%
あまり役に立たない 121人中15人 12.4%
まったく役に立たない 121人中3人 2.5%
設問2の回答円グラフ

 役に立つと回答した人たちのコメントとしては、今まで、体系だったものがなかったために、いつでも参照できる情報が掲載されていることが、非常に有意義であると感じている。ただ、一方で、用語が難しい、あるいは、もっと簡潔に記述して欲しいという要望もある。また、関係機関との連携の方法、書類の管理の方法なども掲載して欲しいという指摘もある。
 数は少ないものの、「あまり役に立たない」「まったく役に立たない」という否定的な回答をした人たちのコメントとしては、ICT支援の方法は、ひとつのやり方だけではないので、どこで、誰がどのようにサポートしているかという具体的な情報があったほうが役立つという意見があった。また、障害者施設等では既にもっている情報であり、目新しくないという意見もあった。さらに、掲載されている手順はわかりやすいが、現場では要員不足、スキル不足で、このような形での実施が難しいという指摘もあった。

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(4)支援機器情報について

 支援機器情報を検索する際の支援ニーズの選択画面については、78%の人が、ある程度以上には問題なく選択できると回答した。ニーズを選択した上で出力される支援機器リストについては、8割を超える人たちが役に立つと回答している。

設問3 検索項目となるニーズの選択は、問題なくできますか。
選択肢 回答者数 割合
現場での相談や計画作成時に役立つニーズが並んでおり、無理なく選択できる。 121人中21人 17.4%
ある程度的確なニーズを選択できる 121人中74人 61.2%
どのニーズを選べばいいかわかりにくい 121人中25人 20.7%
まったく選べない 121人中1人 0.8%
設問3の回答円グラフ

設問4  ニーズを選択して「支援機器リストを表示する」を押すと、ニーズを解決する製品のリストが作成されます。ICT支援の現場で役立ちますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中37人 30.6%
ある程度役に立つ 121人中69人 57.0%
あまり役に立たない 121人中15人 12.4%
まったく役に立たない 121人中0人 0%
設問4の回答円グラフ

 ニーズの検索は、わかりやすいという声も多かった一方で、キーワード検索や、結果が多く出てしまった場合の絞込み機能などに対する要望も多かった。
 支援機器リストについては、支援者の負担を軽減するとともに、支援者間での情報の共有、当事者や家族への説明等において、非常に役に立つという意見が多かった。特にe-AT製品は多岐にわたるため、それを自分で情報収集するのは大変だという背景があるものと考えられる。また、今回は、製品の概要と静止画、企業への連絡先のみの提供になったため、企業のホームページへのリンクや、製品選定のための仕様比較表、具体的な活用例などの情報をあわせて検索できるようにして欲しいと望む声も多かった。支援現場での活用を規模する声も多く、そのためには、外部から接続した際の速度向上が求められている。
 一方で、ニーズ検索ならびに支援機器リストが役に立たないという回答をした場合の多くは、画面が見にくい、ニーズの項目が探しにくいということが原因であった。情報の多さと見やすさのバランスをどうとっていくかは課題である。

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(5)支援事例情報について

 支援事例(特に「利用者の事例」と「サポートの事例」)については、今まで、公開されている情報がほとんどなかったため、9割を超える人たちが、参考になると回答している。パソコン教室の事例についても、8割弱の人たちが、参考になると回答している。

設問5 利用者の事例は参考になりますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に参考になる 121人中48人 39.7%
ある程度参考になる 121人中64人 52.9%
あまり参考にならない 121人中7人 5.8%
まったく参考にならない 121人中2人 1.7%
設問5の回答円グラフ

設問6 サポートの事例は参考になりますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に参考になる 121人中49人 40.5%
ある程度参考になる 121人中62人 51.2%
あまり参考にならない 121人中9人 7.4%
まったく参考にならない 121人中1人 0.8%
設問6の回答円グラフ

設問7 パソコン教室の事例は参考になりますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に参考になる 121人中17人 14.0%
ある程度参考になる 121人中77人 63.6%
あまり参考にならない 121人中21人 17.4%
まったく参考にならない 121人中6人 5.0%
設問7の回答円グラフ

 事例に関しては、支援者側と障害当事者側双方からの情報を提供したことが高い評価につながっている。今後の課題としては、個人情報にどう配慮しながら詳細な情報を継続的に提供できるかという方法の検討が挙げられる。また、支援者がこうした事例情報の意図を正確に把握して実践できるだけのスキルをもつことが重要で、断片的な支援事例が、かえって、実態に合わない支援を助長する結果にならないよう配慮することも重要である。

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(6)関連情報について

 関連情報については、「相談関係機関・組織の情報(全国の障害者ITサポートセンターのご紹介等)」で81%、「イベント・セミナー等のスキルアップ情報」では76%、「関連する法律・制度等の情報、その他有用な情報」では88%の人が役に立つと回答している。イベント・セミナー等の情報に関してはニーズは高いものの、現状ではICT支援の人材育成に関するセミナーの絶対数が少なく、地域に密着した研修の情報までは提供できなかったため、役に立つと回答した人の割合がやや少ない傾向にあるものと思われる。法律・制度等の情報については、情報自体はあまり多くないが、ICT支援の関係者の中にはこうした情報をはじめて見たという人も多かったため、「役に立つ」と回答した人の割合が多くなっていると思われる。

設問9 「相談関係機関・組織の情報(全国の障害者ITサポートセンターのご紹介等)」は役立ちますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中37人 30.6%
ある程度役に立つ 121人中61人 50.4%
あまり役に立たない 121人中21人 17.4%
まったく役に立たない 121人中2人 1.7%
設問9の回答円グラフ

設問10 「イベント・セミナー等のスキルアップ情報」は役立ちますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中34人 28.1%
ある程度役に立つ 121人中57人 47.1%
あまり役に立たない 121人中27人 22.3%
まったく役に立たない 121人中3人 2.5%
設問10の回答円グラフ

設問11  「関連する法律・制度等の情報、その他有用な情報」は役立ちますか。
選択肢 回答者数 割合
非常に役に立つ 121人中50人 41.3%
ある程度役に立つ 121人中57人 47.1%
あまり役に立たない 121人中14人 11.6%
まったく役に立たない 121人中0人 0%
設問11の回答円グラフ

 関連情報に関する共通したコメントとしては、自分ではなかなか収集しきれない情報が一覧化されていることに対して評価が高い。ただ、情報を充実して欲しいという要望も高く、地域に密着した情報、福祉機器メーカーの一覧、就業に関する情報、法改正に伴う法律・制度関連の情報等、タイムリーな情報提供が望まれている。イベント等は、幅広いセミナー情報が望まれている。
 一方、キーワード検索や、地域別一覧など、より、見やすく使いやすくする工夫についての要望もある。
 否定的な回答については、「すでに、知っている情報である」、あるいは、「情報が少ない」という点が指摘されていた。

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(7)情報の共有について

 今後、情報を拡充するにあたって、各支援団体が情報提供可能な事例を有しているか確認した。24%の団体が、そうした事例は「たくさんある」と回答している。「少しならある」が半数で、両方あわせると、75%を超える。それぞれの団体が、情報を提供してくれる環境を整えることで、かなりの情報が集約できる可能性がある。
 一方、「まったくない」「ほとんどない」と回答している団体では、個別に補足した情報によると、まだ、十分なICT支援が出来ていないため、提供できる情報がない、あるいは、個人情報保護の視点から提供できないという状況である。

設問8 あなたの団体では、本サイトに情報提供できる支援事例があると思いますか?
選択肢 回答者数 割合
たくさんある 121人中29人 24.0%
少しならある 121人中61人 50.4%
ほとんどない 121人中27人 22.3%
まったくない 121人中4人 3.3%
設問8の回答円グラフ

(8)今後の拡充の方向性

 Webアンケートの中で寄せられた今後の拡充への主な要望は下記のとおりである。

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