パブリックコメントの概要と研究会の考え方



第II章 料金届出制の手続

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)事前届出期間
「事業者によるより機動的かつ柔軟な料金設定・改定を可能とするため、現在の届出料金で実際に届出されている時期などを考慮し、1〜2週間程度とすることが妥当」
1ヵ月以上(地婦連)
各事業者が利用者に請求する料金の積算単位は「月」であり、届出期間を1〜2週間とすれば、事業者が「月」の途中で料金改定を行った場合、特にそれが値上げだった場合、経済的負担を考え新たな事業者と契約するにしても、契約締結に1〜2週間かかるのが現状であり、利用者がこのような事態へ対応するためには十分な期間が必要
1〜2週間とすることが妥当
(NTT,DDI,TWJ,IDC,TTNet,OMP,CTC,CTNet,QTNet,HOTnet,HTNet)
ケースに応じた標準期間の設定
軽微案件であれば前日とすることも検討すべき(IDC)
仮に期間を設ける場合には極力短い期間(一週間程度)とし、特別な事由がある場合には例外も認める(DoCoMo)
値上げ・値下げ等により行政対応が異なる(ワールドコム)
前日までの届出(事前届出期間を定めない)
(KDD,TOHKnet,DoCoMo,IDO,セルラー,DDIポケット,JSAT,イリジウム)
米国・英国は前日届出可能
周知期間は事業者の判断に委ねるべき
規制強化となる
事前届出期間は、1種・2種を含む全ての事業者のサービス・料金に対して同等に適用(NTT)
 事前届出期間は一週間とする。
 ただし、値上げの場合など、既存の利用者に負担増をもたらす可能性がある場合には、利用者に他の事業者への乗り換えを検討する等の期間を与えるために、自主的に周知期間を延長して、周知と同時に行政に届け出ることが適当であると考えられる。
 1週間の届出期間については、現状、1週間以上前に届出が行われる場合が大宗を占めており、実質的に規制強化にならず、事業者の機動的かつ柔軟な料金設定を妨げないものと考えられる。
 なお、一種事業者は電気通信ネットワークを建設して運用する基幹的な事業であって国民生活・経済に大きな影響を及ぼす事業者であることから、二種事業者と事前届出期間に差異を設けることは妥当であると考えられる。
(2)届出事項
  収支見通し
「利用者の適切な選択に資する情報や・・・料金の妥当性を判断するために必要な情報が届出事項として公表されることが必要である。
 具体的には、・・・料金の設定・改定の理由(収支見通し等)、・・・が届出事項と考えられる」
収支見通しは必要(テレサ協)
意見申出の際理由を示す材料が必要
特定電気通信役務は必要だがそれ以外は不要
(DDI,TOHKnet)
収支見通しは不要
(NTT,KDD,JT,TWJ,IDC,ワールドコム,BT,TTNet,OMP,CTC,CTNet,QTNet,HOTnet,HTNet,タイタス,武蔵野三鷹ケーブル,DoCoMo,IDO,セルラー,DDIポケット,JSAT,SCC,イリジウム,グローバルワン)
収支見通しは原価情報の積算結果であり、これを届出事項とすることは料金の妥当性を原価により事前に証明すべきとする認可制に極めて近い運用をもたらす
企業秘密に該当
事業者の負担が大きい
規制強化となる
正確な収支見通しを作成することが困難
規制を温存する結果、あるいは新サービス、料金の提供を抑えてしまう結果を招く恐れがある
収支見通しを任意的届出事項とすべき
(NTT,IDC,TTNet)
 収支見通しは任意的届出事項とするが、利用者がその料金の適正性について証明すること等意見を申し出た場合において、いつでも開示することが可能となる体制を整えておくべきである。
 収支見通しが提出されている場合は、料金水準に関する説明はある程度行われているため、根拠のない意見申出を抑制したり、例えそのような意見が出た場合であっても行政における調査を省略することができる。他方、収支見通しが提出されていない場合は、意見申出者は概略的な理由でも申出ができることとなる。
 なお、収支見通しはあくまで任意的届出事項であって、規制強化といった問題は起きないものと考えられる。
  任意的届出事項
「届出事項に「その他参考となる事項」といった、いわば任意的届出事項を加えることも考えられる」
任意的届出事項は不要
(KDD,DDI,TWJ,OMP,QTNet,DDIポケット,イリジウム)
不透明な行政裁量の余地を残すことが懸念される
制度運用の透明性を確保し、真に事業者の自主性が確保されることが重要だが、任意的届出事項は曖昧
届出事項とする場合料金設定・改定に係る限定的な運用とすべき
 任意的届出事項の提出はあくまで事業者の自主性に委ねられるものであって、提出しない場合であっても届出の形式的要件を満たすものであり、受理されることとなる。
  その他
「利用者からの問い合わせに対応する窓口」を義務的項目とすべき(地婦連)
 当該事項は、事業者が利用者に対しパンフレットや請求書に記載することにより積極的に周知すべきことであり、料金改定の都度、行政にまで周知する必要はなく、届出事項とする必要はないと考えられる。


第III章 意見申出制度

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)意見申出に係る原価情報の開示
「意見申出があった場合、行政としては、電気通信事業法上の報告徴収権をより積極的に活用するなどにより、当該事業者から料金の妥当性を説明するための原価情報等の開示を求めることとなる」
指定電気通信役務に係る料金並びに市場支配力を有する事業者が設定した不当に低廉な料金等、不当な競争を引き起こすものについては原価に基づく証明が必要(JT)
原価情報に関する報告を求めるとする場合には基準を予め明示する限定運用を考慮すべき
選択割引料金等において利用者間の料金格差が著しく拡大する場合に限定して開示
不当性が疑われた料金については原価情報を開示
不当廉売の検証は原価に基づき判断せざるをえない(TWJ)
行政が事業者に対し料金妥当性を説明する原価情報等の開示を求めることを了承(TTNet)
意見申出制度の信頼性を高めるため事後3年間は収支実績を公表(テレサ協)
競争的市場においては原価情報は開示する必要はない
(KDD,DDI,JT,TWJ,IDC,セルラー,DDIポケット,イリジウム,グローバルワン)
料金は原価ではなく競争で決まるため、料金の妥当性の判断基準として原価情報を用いるべきではない
営業施策上の秘密に係る項目も含まれる
会計規則の情報で十分
 料金の妥当性を証明するためには、原価情報、サービスの性格や市場の実情等様々な側面から見て総合的に判断する必要があると考えられる。
 したがって、原価情報は、あくまで料金の妥当性を証明するための一つの手段であり、必ずしもそれが必要事項というわけではない。
 ただし、選択割引料金において通常料金の利用者の負担増をもたらしていないことの検証や不当廉売等料金の水準に関する問題においては、原価情報により料金の妥当性を証明できる場合が多いと考えられる。
(2)現在の認可料金に対し意見申出があった場合の料金の妥当性の証明
現行認可制の下認可を受けた料金は意見申出があった場合でも認可をもって妥当性を説明できることの明記を要望(TWJ)
 現行認可制の下では、料金が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、利用者の利益を阻害しているときに変更命令を行うこととなっており、社会的経済的事情に変動がなければ、認可をもって料金の妥当性を推定できる。
(3)意見申出者への通知
「意見申出に基づいて料金の妥当性について検証し、適切に処理を行った上で、意見申出者に処理の結果及びその判断の理由を通知するとともに、原則としてその通知した内容について公開することが行政手続の透明性の観点から必要」
申出者に対しては、処理の結果を簡潔に知らせるだけで、詳細な説明資料等の提出までは行わない(DDIポケット)
 様々な内容の意見の申出が考えられるため、その意見の内容に応じた説明に必要な範囲で情報を提供すべきであると考える。
 ただし、不開示情報にあたる情報までも公開するものではない。
(4)申出に対する標準処理期間
「意見申出から最終決定までの標準処理期間を設けることについても、諸外国の例や意見申出制度の運用の実態を踏まえ、今後検討する」
標準処理期間を設けるべき(NTT,KDD,OMP,テレサ協)
手続きの迅速化を図る
行政手続きの透明性を高める
設定には事前届出期間との整合性をとる必要がある
標準処理期間は設けるべきではない(DDIポケット,イリジウム)
案件により所要期間が異なるため個別に判断すべき
 現実の運用においては、様々な意見が出てくることが考えられ、その対応もそれぞれ異なるものと考えられることから、運用の実態を踏まえ検討することとする。
 なお、事前届出期間は料金の妥当性の審査を行うための期間ではなく、あくまで周知期間であり、申出の処理期間とは整合性をとるべき性格のものではない。
(5)意見申出の手続
「為にする」意見申出を回避する観点から、予備審査と調査の2段階のアプローチ等を考える必要(TTNet,HOTnet)
苦情マニア等からの意見に対し全て対応することは行政・事業者の負担増になることから、一定の基準を設けた対応を要望(HTNet)
 意見申出を行政が受けた時点で、申出内容や届出公開事項を踏まえ、調査の必要性について当面個別具体的に判断することとなるが、具体的基準については、今後運用の実態を踏まえ検討していくこととする。
(6)意見申出制度に係るガイドラインの作成
制度運用後に事例の積み重ねでガイドライン等を作成することが妥当(OMP)
 意見申出の内容は多岐にわたると考えられるため、ガイドラインの作成については、運用の実態を踏まえ今後検討していくこととする。


第IV章 料金変更命令の手続

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)料金変更命令の発動要件の在り方
望ましくない料金の基準を、個別具体的に判断するというだけでなく、事前に可能な限り明確にすべきであり、例えば、意見申出があった場合に原価情報等の開示を求めることとなるのであれば、原価と価格に対する考え方を明らかにすべき(タイタス)
基本的には変更命令の発動はきわめて異例なことから、その判断基準を明確にし、かつ限定的に解釈・運用すべきであり、具体的には個別ケースごとに判断せざるを得ない(OMP)
料金変更命令を発動する際の判断要素について何ら指標的なものが明らかにされていないため、新たな割引料金の設定等の際には郵政省に相談しないと判断できなくなり、届出制の趣旨が失われるおそれがあることから、料金変更命令の発動要件については、事業者において判断できる指標的なものの明示並びに具体的な事例の充実が必要(DoCoMo)
競争分野については、料金変更命令は現実にはほとんど起こらないと考えているが、もし、料金変更命令発動が行われる場合には、具体的理由が明示されるものであり、その理由については、具体的ガイドライン等に則っていることが望ましい(DDIポケット)
市場メカニズムにより料金が決定される競争領域においては、そもそも料金変更命令が発動される事態は想定し難いが、仮に発動される場合においては、料金の変更を必要とする具体的かつ明確な理由の提示がなされるべき(イリジウム)
料金変更命令の該当基準は尺度のない曖昧なものであり料金変更命令の発動が市場原理を阻害する危険性がある(グローバルワン)
市場性の反映を料金の妥当性の理由として認めていただきたい(JSAT)
例えば衛星通信サービスの場合衛星ごとに人気が異なり、不人気の衛星の事業者は値下げして需要喚起を検討することもあり得る
今後の検討の中で、または今後制度運用後の事例の積重ねで、英国OFTELが策定した「公正取引条項の運用に関するガイドライン」のようなものが必要(OMP)
 料金変更命令を発動する際には、法律上の3要件のいずれかに該当する料金かどうかについて、個別具体的に判断することとなるが、本研究会における問題事例の考察等を基礎にして、事前にその具体的要件を可能な限りガイドライン等により明確化すべきである。
 また、意見申出制度の運用等を踏まえ、事例の積み重ねによって明確となった具体的要件については、適宜ガイドラインに追加・修正を行うこと等により明らかにしていく必要がある。
 なお、料金変更命令発動の際に、具体的に理由を明示することは、行政手続上当然である。
(2)料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていない
現状の契約約款には、「別に算定する実費」と規定されている料金があり、この場合、契約約款では別記として算定式を記載しており、現状の「別に算定する実費」という規定も明確に定められている料金として認めて頂きたい(TTNet,HOTnet)
NTT等の大規模事業者に対しては、市場の影響力が極めて大きいことから厳密な運用が必要だが、CATV等の地域限定小規模事業者は、市場の影響力からすると第二種電気通信事業者より小さく、第二種電気通信事業者と同等の取り扱いとするなど、事業者の規模により適用の基準をそれぞれ設定すべき
(武蔵野三鷹ケーブル)
 原則として、相対料金のように料金表に料金の具体的な支払額が規定されておらず、料金表利用者が支払うべき料金額が明らかでないものは、「料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていないとき」に該当する。
 しかし、宅内工事のうち多様な形態が想定され一律に決定することが困難なものや、設備費、端末装置等機能に多様な種類があり、また、機能向上、価格低下等によりその全てを事前に記載することが困難な場合には、「別に算定する実費」とすることも認められる。
 ただし、この場合には事業者は、利用者に対して、具体的な支払額やその計算方法について適切な説明を行うことが必要である。
 この規定は、消費者保護の観点から、利用者に対し契約内容について適切に情報提供を行うことを義務づけるものであり、事業者の市場への影響力の大小にかかわらず必要である。
(3)特定の者に対し不当な差別的取扱い
どのような料金が「不当差別」に該当するかについて現段階で明確に判断することは困難であることから、意見申出制度を一定期間運用した後その基準を明確化すべき(TWJ)
極端な事例でない限り、厳密なコスト検証に極力とらわれない多様な証明を認める方向性を強調すべき(IDC)
特定の者向けの料金の設定は、利用者にとってもよい結果をもたらすと考えており、また、弱者救済等の観点からもある程度の差別的扱いは認められるものと考えるが、不当な差別との線引きは明確化されることが望ましい
その際の基準の中にコストが問題視されることについては、競争市場の中では意味をなさないと考えており、対象から外すべき
(DDIポケット)
 「不当な差別的取扱い」とは、合理的かつ妥当な理由なく特定の利用者を優遇又は冷遇することであり、合理的かつ妥当な理由があるかどうかは、当該サービスのコスト・効用、公正競争条件の確保、社会政策上の観点、社会通念等に照らしながら総合的に判断されることとなる。
 したがって、「不当な差別的取扱い」に該当するかどうかについては、必ずしも、サービスのコストのみにより判断されるものではないが、コストにより合理的に説明される場合には、「不当」と判断される可能性は低いと考えられる。
  大口利用者向け料金
大口割引が差別的取扱いに該当するかどうかについては、意見申出があった場合等に事後的にネットレベニューテスト等により証明することで個別に判断(NTT)
大口利用者向け料金はすでに社会通念上合理的なものとして認知されており、当該事業者の契約者間での料金の格差が、選択料金を含めて事後的に検証したときに著しく拡大する場合を除き、差別的取扱いには該当しない(JT)
一般的に、大量に購入すれば割引があるという考え方は商慣習として広く社会に受け入れられており、小口利用者の保護は小口利用者の料金レベルの問題であって、大口割引制度を否定することにより達成する問題ではない
また、コスト説明や増分収支検証を必須とすることは、事業者が利用者のニーズや経営戦略に基づき自由に設定することを妨げる(TTNet)
 電気通信サービスは公共性の高いサービスとして、一般の利用者が不利な取扱いを受けるべきでないということにつき社会的期待があることを考慮すると、大口割引料金が不当差別に該当しないと言い得るためには、小口利用者に比べて大口利用者の方がコストが小さいといったことや、増分収支検証により十分に当該割引の根拠が説明できるものであるか、または、当該割引料金を含む料金体系全体が社会通念上合理的なものであることが要請されると考えられる。
 この場合、事業者が、利用者のニーズに応じて多様な料金を設定する自由をなるべく制限しないことが望ましいという観点からは、利用者等から不当であるとの意見申出がない場合は基本的に当該料金を容認すべきと考えるが、不当性が明白であると判断される場合には、行政みずからが申出によらず料金変更命令を発動することもあり得る(例えば、コストから大きく乖離して、大幅な割引を行う場合などが考えられる。)。
  地域別料金
域別料金の妥当性はコスト等の合理性、社会政策的配慮、競争政策上の整合性等を総合的に判断すべき
ユニバーサルサービスであっても、競争が進展している地域においては、不当低価格による提供等、競争阻害的な料金でなく、また、利用者間に極端な不公平をもたらすものでなく、国民のコンセンサスが得られるものであれば、地域別料金も基本的には是認されてくる(NTT)
ユニバーサルサービスに該当しない場合であって、地域別料金格差を生じせしめる合理的な理由、局地的ではない十分な地域の広さがあり、利用者に著しい不公平をもたらさないものは差別的取扱いに該当しない(JT)
同一事業者の業務区域内における地域別料金は、「不当な競争を引き起こす」という面からも認めるべきではない
(TTNet,HOTnet)
地域単位等地域別の定義を論理的に区分けするのは困難(TTNet)
 地域別料金については、ユニバーサルサービスに該当するサービスであるかどうかで分けて考えるべきであり、
ユニバーサル・サービスの場合には、基本的に、地域別格差を設けるべきではない
と考えられるが、
ユニバーサル・サービスに該当しないサービスである場合には、
 コスト的に説明できること
 利用者に極端な不公平をもたらさないと判断されるものであること(当該事業者の料金体系全体の中で整合性がとれていること)
の両方を満たす場合には認められる
と考える。
  選択割引料金
増分収支検証を事後的に満たしうる選択割引料金であって、一定の利用形態に該当する利用者であれば誰でも利用可能なものは「不当な取扱い」とならないのは当然として、既に提供している選択料金との比較において割引率が著しく拡大するものを除き、増分収支検証も不要(JT)
一般加入電話サービスでは、料金値下げしても需要が増えないような状況も出てきており、増分収支検証が果たして有効なのか、他に替わる検証方法は無いのか検討する必要(TTNet)
 少なくとも、以下の2つを満たす選択割引料金ならば、「不当な差別的取扱い」には当たらないと考えられる。
 増分収支検証を満たし
 一定の利用形態に該当する利用者で有れば誰でも利用可能なもの
 これら以外の料金であっても、事業者が利用者のニーズに応じて多様な料金を設定する自由をなるべく制限しないことが望ましいという観点からは、利用者等から不当であるとの意見申出がない限りは、基本的に当該料金は容認すべきであると考える。
(4)不当な競争を引き起こす
支配的事業者の料金をベースにそれ以外の非支配的事業者は料金を設定せざるをえないことから、公正競争阻害性の判断に当たっては、市場支配力の有無を考慮し判断することが適当(DDI)
市場の影響力に鑑みて支配的事業者がそのドミナント性に基づいて設定する料金のみが該当(TWJ)
指定電気通信設備を用いたものについては、その市場について支配的であるため、反競争的料金の設定が可能だが、一方、競争市場においては、複数サービスを統合する形態の非競争的サービスを提供する場合を除き、反競争的料金の設定は不可能 (DDIポケット)
 「不当な競争を引き起こす」料金とは、当該料金が設定されることにより、電気通信事業者(第二種電気通信事業者を含む。)間の公正な競争を阻害することとなる料金と考えられる。
 公正競争阻害性の判断に当たっては、当該事業者の料金設定の意図や市場支配力、当該料金設定が競争事業者に与える効果等を総合的に考慮して判断する必要がある。この場合の市場支配力とは公正な競争を阻害する力として実質的に考えるべきであり、市場シェア、ボトルネック設備支配の有無、親会社の資本力等を総合的に考慮して考えるべきである。
  不当低料金
不当な低価格であると認定する場合、サービスの単位をどうするのか、コストとの乖離をどの程度まで認めるかの議論が必要なこと、また、新サービスは一定の需要規模に達するまでコスト割れにならざるを得ないことから、運用開始後に個別のケースごとに議論し料金準則を明確化(NTT)
市場競争力のある事業者が不当に低廉な料金を設定することは、競争事業者を排除又は弱体化させる行為であり、不当な競争を引き起こす(JT)
不当廉売に該当するか否かは原価情報につき判断せざるをえないため、検証にあたっての原価情報の開示を必須とすることはやむをえない(TWJ)
NTTの接続料=原価という認識でいるため、接続料との関係を見ることは原価との関係を見ることになる(TTNet)
 事業者が意図的に短期的利益を犠牲にして、競争事業者を排除又は弱体化させるため、不当に低廉な料金を設定することは「不当低料金」に該当する。
 ただし、具体的な料金が不当低料金に該当するかどうかは、公正競争阻害性の有無について判断する必要があり、例えば、新サービスの立ち上げ時期の場合については、一時的にコスト割れになっても公正競争阻害性があるとはいえない場合もあるなど、個別具体的に判断する必要がある。
  不当な競争を引き起こす差別料金 (1)競争事業者のユーザーのみに対する料金
 「競争事業者のサービスを利用するユーザのみに限定した料金」は公正な競争を阻害(NTT)
(2) 競争事業者の業務区域に限定した割引料金
  「競争事業者の業務区域に限定した選択割引料金」については、コスト等合理的理由の存在や、競争に与える影響如何によっては、認められる(NTT)
  複数の事業区分を提供する事業者がその優位性を生かし、特定の事業分野において他の事業者を排除するようなことは十分に予防すべき(IDC)
  中間取りまとめにおける競争事業者の業務区域のみを対象とした料金について、態様如何によってはという条件がついているが、態様如何とはいかなることか(TTNet)
(3) 合算割引
  「異なるサービスや異なる事業者との合算割引料金」については、コスト等合理的理由の存在や、競争に与える影響如何によっては、認められる(NTT)
  支配的事業者が異なる事業者との間で合算割引を行うことは、特定の事業者と行う場合に限らず問題となる(DDI)
  合算割引等については、コスト差等の合理的かつ妥当な理由があれば認めるとなっているが、その前提としてそのサービス及び料金が公正な競争上問題がないか判断する必要(セルラー)
  例として複数メニューによる割引が該当(TOHKnet)
  例として複数サービスを統合する形態の非競争的サービスが該当(DDIポケット)
 合理的理由に基づかず、競争事業者を市場から排除することを目的に競争事業者の既存又は潜在的利用者をターゲットとして差別的な料金を設定することは、公正な競争を阻害することとなり「不当な競争を引き起こす差別料金」に該当する。
(1) 指摘の通りと考えられる。
(2) 競争事業者の業務区域に限定した選択割引料金については、コスト差等合理的な理由に基づくものであれば、「不当な競争を引き起こす差別料金」には該当しないと考えられる。
 「態様如何」とは、コスト差等により合理的に説明できない場合をいう。
(3) 市場支配的事業者が異なる事業者と合算割引を行う場合であっても、全ての事業者との間で無差別に行う場合であって競争中立的なものについては、「不当な競争を引き起こす差別料金」には該当しないと考えられる。
(5)社会的経済的事情に照らして著しく不適当
競争分野においては、競争原理が働き、料金水準等が利用者の選択によって決まることと、また、電気通信分野においては、技術革新のテンポが早いため「著しく不適当」と判断することは難しいことから不適当と判断できる事例は、あまりない (DDIポケット)
 指摘の通りであるが、抱き合わせ料金等利用者の適切な選択を妨げる料金等の場合は、「著しく不適当」と判断される場合もあると考えられ、一概に判断できない。
  不当に高額な料金
競争市場においては、需給関係を無視した高額な料金設定は、ユーザニーズを捉えられることができず、市場原理によりその料金を変更せざるをえないものと考えられることから、基本的には不当に高額な料金といった問題はない
上限価格制の対象となるサービスの料金については、バスケット全体として基準料金指数以下であれば、通常不当に高額な料金という問題は生じない(NTT)
 指摘の通りと考えられる。


第V章 上限価格方式の運用の在り方

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)特定電気通信役務の範囲
  付加機能
「パブリックコメントを踏まえてさらに検討する必要があり、特にプッシュホン接続機能の取扱いについては、利用者や関係事業者の意見を聞いた上で、基本料や通話料の収支に与える影響も考慮してその在り方を判断すべき」
付加機能は上限価格方式の対象とすべきではない(NTT)
同様の機能を電話端末の機能で代替することが可能
規制緩和の流れに逆行する
プッシュホン、回線非対応番号、番号呼び変え、転送、発信番号表示等、交換機が標準的に持つ機能によって行われるサービスは対象とすべき(テレサ協)
欧米に比較して付加機能料金は高い
当該サービスは電話サービスの基本的要素
プッシュホン、キャッチホン等普及率が高く利用者に与える影響が大きいものについては対象とすべき(KDD,DDI,JT,TWJ)
収入額が大きい
料金低廉化を促すべき
プッシュホンは上限価格方式の対象とすべき
(TTNet,HTNet,QTNet)
利用比率、収入額が大きく利用者に及ぼす影響が大きい
欧米主要国では無料であり、将来は無料とすべき
米国のほとんどの州では料金規制の対象
機器コストは大幅な低廉化が図られている
 付加機能のうち、プッシュホン接続機能については、収入額が大きく、普及率も約47%と高くなっていること、また、欧米ではユニバーサルサービスとされており、しかも欧米主要国では無料となっていることからも、料金低廉化を促していくことが必要であり、特定電気通信役務に含めることが適当である。
 なお、キャッチホン等他の付加機能については普及率もまだ低く、欧米においても現在のところユニバーサルサービスとされていないことから、当面は特定電気通信役務に含めないこととするが、今後、普及率や料金の推移等を踏まえ、検討していくこととする。
  ATM専用
「ATM専用サービスについては、高速デジタル専用の代替的サービスと言えることから特定電気通信役務に含めることが適当」
特定電気通信役務とすべき(KDD,TWJ,TTNet)
今後の需要増が見込まれる
当面特定電気通信役務としない(NTT)
利用者が少ない
 ATM専用サービスについては、高速デジタル専用の代替的サービスと言えることから特定電気通信役務に含めることが適当である。
(2)バスケットの範囲
  電話・ISDNの取扱い
「ISDNサービスは今後電話サービスに代わり基本的なサービスとなることが期待されるサービスであり、利用者層もほぼ同様であることを考えると同一のバスケットとすることが適当」
電話とISDNは別のバスケットとすべき(DDI)
電話サービスに比べてISDNサービスの接続料金は著しく高い
将来的には別のバスケットとすべき(OMP)
電話とISDNは同一のバスケットでよい(NTT,TTNet)
 現在、電話とISDNは利用者層がほぼ同様であると考えられること、また、新ノードの導入により、電話とISDNの接続料の乖離が将来小さくなることが見込まれていることから、当面は電話とISDNは同一のバスケットとすることが適当であると考えられる。
  住宅用一般ユーザー料金
住宅用一般ユーザー料金についてバスケットを設けるべき(BT)
 住宅用料金と事業用料金に合理的理由なく格差を設けることは、不当な差別的取り扱いに該当し、料金変更命令の対象となることから、バスケットを設ける必要はないと考えられる。
(3)サブバスケットの取扱い
  電話・ISDNの基本料・施設設置負担金
「加入者回線設備を用いて提供されるサービスを独立した種別とし、その料金である基本料や施設設置負担金に対して基準料金指数を設けることが適当」
サブバスケットを設けるべき(DDI)
通信料との内部相互補助防止
電話とISDNは分離すべきであり、その中でもISDNについては、INS64とINS1500でも分けるべき
サブバスケットは不要(NTT)
極端な値上げを防止するには諸外国にあるような一定の変動幅を設けるサブキャップとすべき
 同一のバスケット内において通信料との内部相互補助を防止するためにも、基本料・施設設置負担金についてはサブバスケットを設けるべきである。
 なお、現時点では、INS1500は64kbpsの24回線分として利用されている(例:ISPのダイアルアップ用回線)ことが多いため、INS64とINS1500で別々のサブバスケットに分けて考える必要はないと考えられる。
  電話・ISDNの市内通信サービス
「一部の地域においては、市内交換機接続により一定の競争が出てきつつあることから値上げの可能性は低いこと、また、料金設定の多様化を促進することが望ましいことから、現時点においては、サブバスケットを設ける必要はない」
サブバスケットを設けるべき(DDI,KDD)
実質的な設備独占が続いている
サブバスケットを設ける必要はない(TWJ,TTNet)
一部競争が開始されつつある
 市内通信については、一部地域においてNCCがGC接続を開始しており、今後の競争の進展が見込まれることから、当面はサブバスケットを設けないこととし、今後の推移を見守っていくことが適当である。
  近距離専用サービス
「中継系事業者が足回りとして利用する近距離専用サービスについても、接続料金により調達することが可能となること、また、企業・大口ユーザー向けの近距離専用サービスの提供については、NCCも積極的に事業展開を行っており、…競争がある程度進展してきていると思われることから、当面サブバスケットを設ける必要はない」
サブバスケットを設けるべき(KDD,DDI,TWJ,テレサ協)
中継事業者や二種事業者のサービス提供に大きな影響を与える
近年値上げの方向にある
競争が不十分
欧米等に比較して料金が高い
当面サブバスケットを設けない(TTNet)
 現在、企業・大口ユーザー向けの近距離専用サービスについては、NCCも積極的に事業展開を行っており、今後、加入者系無線アクセスシステムの導入等により、さらに競争が進展することが見込まれること。
 また、NTTの県内の専用回線数のうち、単位料金区域における専用回線数は9割近い(※)ものとなっており、サブバスケットを設けても何らバスケットの範囲と変わらないものとなると考えられること。
等から、当面サブバスケットを設けないこととし、今後の推移を見守っていくことが適当である。
※NTTの県内専用回線数のうち単位料金
区域内専用回線数の割合 :89.1% 
(高速デジタルにおける割合  :77.5% 
 一般専用における割合 :91.1%)
  一般専用サービス
「一般専用サービスと高速デジタル専用サービスとの間には代替性があるとともに、現在一般専用サービスは赤字であるため内部相互補助による高速デジタル専用サービスの料金の不当な料金値下げの可能性は高くないと考えられることから、必ずしもサブバスケットを設ける必要はない」
高速デジタル専用と区別し、品目別・距離段階別にサブバスケットを設けるべき(DDI)
現在の料金水準から考えて一般専用サービスと高速デジタル専用サービスの間に代替性があるとの内容は容認できない
一般専用サービスはほぼNTTの独占状態
サブバスケットを設ける必要はない(TWJ,TTNet)
市場に対する影響が少ない
 一般専用サービスと高速デジタル専用サービスとの間には代替性があるとともに、現在一般専用サービスは赤字であるため内部相互補助による高速デジタル専用サービスの料金の不当な料金値下げの可能性は高くないと考えられることから、必ずしもサブバスケットを設ける必要はない。
 なお、品目別・距離段階別にサブバスケットを設けることについては、現在の個別認可制と何ら変わりないものとなり、事業者の料金設定の多様化を促進するという観点からも望ましくない。
  番号案内サービス
「値上げによって収支相償が図られること、将来的には競争の進展が見込まれることから、今後の料金の推移を見守ることとし、当面サブバスケットを設けないことが適当」
サブバスケットを設けるべき(KDD)
近年値上げが続いている
当面サブバスケットを設けない(TTNet)
 番号案内については、今般の値上げによって収支相償が図られたばかりであり、また、JMS(二種事業者)が昨年12月からサービスを開始しており、競争が出てきつつあることから、今後の料金の推移を見守ることとし、当面はサブバスケットを設けないこととすることが適当である。
(4)X値の算定
「需要予測や適正な原価予測に基づき、電気通信分野に特有の生産性向上見込率を表す数値としてX値を算定し、一定期間固定することとする」
X値の設定については、設定根拠等を公開すると共にパブリックコメントを求めることを要望(TTNet)
他事業者の参入状況や市場動向を踏まえ、合理的な設定を要望 (OMP)
X値が意図的に高く設定されると必要以上に料金が下がり、他事業者も追随せざるをえない
 具体的なX値の算定方法については、事業者等の意見を踏まえつつ今後検討することとしている。
(5)需要予測の算定
「時系列モデルや説明変数モデル等の統計的予測方法を使用することが適当であると考えられるが、他事業者の参入や事業動向など個別の事情についても考慮していく必要がある」
市場の実態を踏まえて慎重に検討する必要(NTT)
統計的予測手法の使用については、過去のトレンドを正確に捉えられたとしても、構造変化が起こる現時点以降にモデルをそのまま適用することが妥当か疑問
説明変数の将来予測値が適切か疑問
 時系列モデルや説明変数モデル等の統計的予測方法を使用することが適当であると考えられるが、他事業者の参入や事業動向など個別の事情についても考慮していく必要があり、具体的な算定方法については、事業者等の意見を踏まえつつ今後検討することとする。
(6)将来原価の算定
「全要素生産性向上率…を用いる方法、…ヤードスティック方式を用いる方法、個別原価項目ごとに適切に審査する方法が考えられるが、具体的には、事業者の費用構造も踏まえ、引き続き検討する必要」
サービスの安定的・健全な提供に配慮すると共に、事業の発展を阻害しない観点から、具体的な手法を検討すべき(NTT)
TFPは算定方法が確定されておらず、算定の過程や使用する物数等によってTFP値が変動し信頼度が低く、その使用は問題がある
将来原価の算定については、パブリックコメントを求めることを要望(TTNet)
 全要素生産性向上率を用いる方法や個別原価項目ごとに適切に審査する方法等、様々な方法が考えられるが、具体的な算定方法については、事業者等の意見を踏まえつつ今後検討することとする。
(7)X値の算定単位
サブバスケットについては個別にX値を算定する必要はない (NTT)
 基本的には、サブバスケットにも個別のX値を設けることを考えているが、事業者等の意見を踏まえつつ今後検討することとする。
(8)実際の運用におけるX値の取扱い
NTT分割後、東西2社が対象となり、理論的には別個のXの設定が可能だが、実際の運用においては1つのXの設定が妥当(OMP)
 基準料金指数は能率的な経営の下における適正な原価及び物価その他経済事情を考慮することとなっており、基本的にはX値についても別個に設定することを考えているが、事業者等の意見を踏まえつつ検討することとする。
(9)基準料金指数以下の料金の事前届出期間
「料金体系の変更を含む料金改定の場合には、確認に時間を要することも想定されることから、上限価格方式導入時においては、事前届出期間を当面1ヵ月とすることが適当」
1ヵ月より長い期間(BT:3ヵ月,TOHKnet:2ヵ月)
料金変更の影響を評価するには長い期間が必要
利用者に及ぼす影響が大きい
1ヵ月(TTNet,HTNet)
一般の届出と同程度の期間(NTT)
県内通信の競争におけるハンディキャップが大きい
基準料金指数以下であることの審査は事後でも問題ない
 特定電気通信役務に関する料金の届出については、法律上基準料金指数以下であるという形式的要件を満たしている必要があり、行政においてもその確認のために一定の期間が必要となることから、当面1ヵ月とすることが適当である。ただし、確認作業が不要な単純な改定の場合の短縮化や確認作業の効率化等の実績を踏まえ、将来的には、期間の短縮化についても検討することが必要となる。
(10)特定電気通信役務の原価情報の開示
「特定電気通信役務のサービス及び種別ごとの原価情報(レートベース、報酬率を含む)等について、毎年度行政に対し報告するとともに、企業秘密に該当するもの以外はできるだけ公開することが適当」
特定電気通信役務については原価情報を開示
(DDI,TWJ,TTNet,OMP,CTNet,TOHKnet,セルラー,DDIポケット,イリジウム)
略奪的料金設定等の検証等が必要
利用者に及ぼす影響が大きい
基準料金指数の適正さを検証する必要
特定電気通信役務に限定した原価情報の毎年度の郵政省への報告及び一般への公表については不要(但し3年ごとのX値の見直しに当たり、必要な原価情報を郵政省に報告することは必要)(NTT)
会計規則によりサービスごとの収支状況は把握可能
 特定電気通信役務のサービス及び種別ごとの原価情報(レートベース、報酬率を含む)等について、毎年度行政に対し報告するとともに、企業秘密等に該当するもの以外はできるだけ公開することが適当である。
(11)適用開始時期
「再編時において策定される事業収支見積、又は再編後最も早い時期に出される会計データ等をもとに、生産性向上見込率を算定し、平成11年度中を目途に基準料金指数の適用を開始することが適当」
平成11年度末を要望(NTT)
再編後に把握できる東西地域会社の収支実績、少なくとも中間決算を踏まえ、X値を算定する必要
 再編時において策定される事業収支見積、又は再編後最も早い時期に出される会計データ等をもとに、生産性向上見込率を算定し、平成11年度中を目途に基準料金指数の適用を開始することが適当である。


第VI章 情報公開の在り方

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)個別的要請に対応した情報開示
「利用者からは、中立的な立場に立つ組織が、各事業者の料金につき適切かつわかりやすく比較できる情報を提供する仕組みを構築して欲しいとの要望が寄せられており、…こうしたニーズに対応したコンサルタントビジネスの支援措置などを検討していく必要がある」
個人の明細情報をブラウザ上で閲覧するシステムを実現するためには、様々な問題点をクリアにする必要がある(石塚)
個人の利用明細情報の所有権が明確ではない
利用明細情報を現在の郵送形式ではなく、オンライン上のみで提供してほしいというニーズが出てくることが予想され、従来の紙媒体のみならず、様々なデジタル形態での提供でも可能との示唆をしておくべき
 ここでいうコンサルタントとは、個人の利用明細情報を提供するものではなく、事業者の料金・サービスに関する情報等の提供を行うものを考えている。
 なお、個人の利用明細情報等の取扱いについて注意する必要があるのは当然のことであり、郵政省としても、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」を作成するなどしている。
(2)事業者の市場支配力と情報公開の関係
「市場支配力を有する事業者は、…情報公開の程度についても、他の事業者に比べ、より広い範囲で、かつ、より詳細なものが求められるべきものと考えられる。
他方、…利用者等による意見申出制度が新たに創設されることとなっており、…支配的事業者の料金に対しては、この制度の下で様々な意見が出され、支配的事業者からはそれに対応した情報開示が行われることが期待できることや…どのような事業者を支配的事業者とすべきか…についても様々な議論があり得ることから、今後の新しい料金制度の具体的な運用を通じて、支配的事業者と非支配的事業者との間で情報公開の範囲につき制度的に差を設けることを検討していくべき」
市場支配力を有する事業者についてはより詳細に開示
(DDI,TWJ,TTNet,OMP,CTC,CTNet,QTNet,HTNet,イリジウム,テレサ協)
市場支配力を有する事業者については原価情報の公開を義務づけるべき(DDI,OMP,イリジウム)
差異を設ける必要はない(NTT,KDD,IDC)
市場支配力を有する事業者、市場で注目される事業者は自ら進んで情報開示を行うものと期待される
意見申出制度に対応することによって情報開示量が多くなる
移動体通信は支配的事業者として扱うことは不適当(DoCoMo)
競争が進展しており、市場シェアの変動が激しい
 市場支配力を有する事業者は、利用者や他の事業者に大きな影響を及ぼすことになるため、情報公開の程度についても、他の事業者に比べ、より広い範囲で、かつ、より詳細なものが求められるべきものと考えられる。
 他方、利用者等による意見申出制度が新たに創設されることとなっており、利用者等にとって関心の高い支配的事業者の料金に対しては、この制度の下で様々な意見が出され、支配的事業者からはそれに対応した情報開示が行われることが期待できることや特定電気通信役務を提供する事業者のほかにどのような事業者を支配的事業者とすべきかについても様々な議論があり得ることから、今後の新しい料金制度の具体的な運用を通じて、支配的事業者と非支配的事業者との間で情報公開の範囲につき制度的に差を設けることを検討していくべきであると考えられる。
(3)不開示情報
個別サービスに係る原価情報は不開示(JT)
「営業秘密等」、「原価情報」等は本来公開になじまないものであり、開示する場合であっても当該事業者への事前通知や事業者の非公開要求の考慮等、慎重な検討を要望(IDC)
コスト情報については、国内の大手電気通信事業者が十分なコストデータを競合企業に公表し、競合企業が公正かつ合理的な条件の下で競争していると納得できることが必要(BT)
商業上の機密事項を厳密に規定し、大手事業者にはそれに該当しないデータの公表を要求すべきであり、事業者が商業上の機密事項という事由で情報の公表を拒否した場合、その情報の公表が事業活動に及ぼす実質的な影響の実証を課すべき(BT)
ネガティブリスト方式の採用を早急に検討すべき(TTNet)
ネガティブリストを作成する際にはグリーンペーパー方式とすべき(DDI)
 今後事業者等の意見を踏まえつつ、早急に検討することとする。
 なお、原価情報の開示範囲をより明確にするため、開示することにより問題となる情報を列挙して、それ以外は不開示情報には当たらないとするネガティブリスト方式を採用することとすることが適当である。


中間取りまとめに記載していない事項

中間取りまとめの内容 意見 研究会の考え方
(1)非対称規制の在り方
非対称規制は本来、指定電気通信設備を有するか否かではなく、独占的領域と競争領域で取扱いを区別すべきであり、そのうち競争領域においても、市場支配力の濫用を防止するという観点から、市場支配力を有するか否かで区別することが適当 (DDI)
 電気通信事業法においては設備に着目し、一種と二種、指定とそれ以外とに分けて異なる規制の方式を採用しているが、それ以外の区分については、今後運用の実態を踏まえ検討することとする。
(2)制度運用における一種事業者と二種事業者の区別
大規模第一種電気通信事業者以外は、第二種電気通信事業者と同等の運用となることを要望(武蔵野三鷹ケーブル)
 一種事業者は電気通信ネットワークを建設して運用する基幹的な事業であって国民生活・経済に大きな影響を及ぼす事業者であることから、二種事業者と規制の程度に差異を設けることは妥当であると考えられる。
(3)サービス区分による制度運用の在り方
電話や専用線等の基本的サービス以外は、事前届出期間、届出事項、妥当な料金の考え方、情報公開内容などにおいて規制をさらに簡略化することの検討を要望(IDC)
 特定電気通信役務以外は可能な限り一律自由化としており、これ以上の規制緩和は難しいと考えられる。 なお、現行の制度においても、軽微なものについては料金規制の対象となっていない。
(4)上限価格方式適用までの手続
基準料金指数の適用までの移行期間において、不適当な駆け込み料金の設定がなされないような対応が必要(TOHKnet)
NTTが再編成されるまでの間は県間通信も含めて全て認可制を適用するという理解でよいか(TWJ)
基準料金指数が適用されるまでは、特定電気通信役務に係る料金については認可制としている。
「電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律」附則第6条第3項
「この法律の施行の際現に新電気通信事業法第38条の2第2項に規定する指定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務であって新電気通信事業法第31条第3項の郵政省令で定めるものに関する料金については、同項に規定する基準料金指数が適用されるまでの間は、…新電気通信事業法(新電気通信事業法第31条第3項を除く。)の規定は適用せず、なお従前の例による。」
県間通信については、新電気通信事業法施行後届出制となる。
(5)制度の見直し
定期的にグリーンペーパー方式等により料金制度を見直すべき
(NTT,KDD,DDI,TWJ,IDC,タイタス,セルラー,DDIポケット)
 必要において適宜料金制度を見直していくことを考えている。
 その際に、グリーンペーパー方式を用いることも検討する。
(6)届出手続
届出は地方電気通信監理局で行えるようにすべき
(OMP,CTNet,QTNet,HOTnet,TOHKnet,HTNet)
 現在でも地方電気通信監理局で一部届出が受理されており、それを踏まえて検討することとする。
(7)卸料金の導入
一種事業者から二種事業者への卸料金を導入すべき(テレサ協)
 二種事業者と一種事業者との間の接続については、実態として利用者約款において行われることが多いことから、一種事業者が利用者約款においていわゆる卸料金を設定することが透明、公平かつ迅速な接続という観点から望ましい。




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