インタ−ネット上の情報流通について

−電気通信における利用環境整備に関する研究会−

報 告 書

平成8年12月

郵政省電気通信局

は  じ  め  に

 インタ−ネットは、新たなライフスタイルの実現や企業活動の高度化等21世紀に向けた政治、経済、 社会、文化のあらゆる領域におけるフロンティアを開拓する可能性を有しているメディアであるが、その一方 で、インタ−ネットにおけるわいせつ情報、他人を誹謗中傷する情報等違法又は有害な情報の流通が社会問題となっている。このよう なインタ−ネット利用におけるいわば影の部分に適切に対応しながら、インターネット をマルチメディア時代を担う中核的メディアとして発展させていくことが大きな政策課 題となっている。
 この研究会では、インタ−ネット上の情報の流通に関して、できるかぎり多くの意見 を聞くため、有識者、インタ−ネット・プロバイダ−、インターネット利用者から意見 を聞くヒアリング、インタ−ネット等を通じたアンケ−ト調査、インタ−ネットを利用 したことのない人を含む一般利用者に対するアンケ−ト調査を実施した。
 研究会に寄せられた様々な意見を参考に、この報告書を取りまとめたが、我が国にお いては、インタ−ネットの利用に関して、本格的な議論が開始されたばかりであること から、諸外国における議論や対応策等を踏まえ、論点を整理することに力点を置いた。 また、研究会としては当面の対応策をまとめたが、今後、引き続き検討すべき課題が多 い。インタ−ネット上の情報流通の在り方については、国民的議論が必要であり、本研 究会の報告書が契機となって、いっそう議論が深まり、国民的コンセンサスが形成され ることを期待する。本報告書に対して、各方面から幅広く意見が寄せられることを望み たい。


目次

1 インターネットの機能と可能性
2 インターネット上の情報流通の問題点
3 インターネット上の情報流通に関する論点
  (1) インターネットに対する現実社会のルールの適用
  (2) インターネットの法的位置づけ
  (3) インターネットにおける通信の秘密の保護
  (4) インターネット上の情報流通に関するルール化と表現の自由の保証
  (5) インターネット上の情報流通に関する具体的ルール化の問題点
  (6) インターネット上の情報流通に関する責任と対応
4 諸外国の動向
  (1) アメリカ
  (2) イギリス
  (3) フランス
  (4) ドイツ
  (5) オーストラリア
  (6) シンガポール
  (7) 国際機関における議論
5 対応策の在り方
  (1) 技術的対応
  (2) 制度的対応
6 当面の対応策
  (1) 国際連携の強化
  (2) 各国における自主的な取組みの促進
  (3) 技術的対応策の連携強化
  (4) 苦情処理体制の整備、情報提供の充実
  (5) 情報社会教育の充実
参考資料
  インターネット利用に関する意見募集、インターネット利用に関するアンケート調査結果