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プログラミング教育の広域的な普及推進モデル
〜県内各市町において中核的役割を果たす指導者の育成〜

三重県教育委員会

H28年度第2次補正予算にて実証実施

1. モデルの概要

1.1 モデルの全体概要

事業者名 三重県教育委員会
実証ブロック/実証校 (エリア)東海 (実証校)
南伊勢町立南勢小学校
伊勢市立厚生小学校
亀山市立神辺小学校
伊賀市教育委員会
名張市教育委員会
育成メンター(メインメンター) メインメンター数:35名
メインメンター属性:
 三重県内の小学校教諭 22名
 三重県内の小学校教頭 1名
 三重県内の小学校校長 2名
 三重県内の中学校教員 7名
 津市教育委員会 指導主事 1名
 亀山市教育委員会 研修員 1名
 伊賀市教育委員会 研修員 1名
育成メンター(サブメンター) サブメンター数:
サブメンター属性:
研修時間 時間 20.5時間
(うち自宅研修時間) 時間 0時間
使用言語・教材・ツール 言語:スクラッチ
教材・ツール:
 レゴ マインドストーム EV3
 フィッシャープライズ コード・A・ピラー
(イモムシロボット)
使用端末とその帰属

PC/タブレット:台数)24台 (帰属:事業者持ち込み)
講座の受講児童・生徒数と学年 のべ受講者数:370名
学年:
 3年生:33名
 4年生:63名
 5年生:72名
 6年生:63名
カリキュラム (時間):17.8時間
 南伊勢町立南勢小学校
 伊勢市立厚生小学校
 亀山市立神辺小学校
 伊賀市教育委員会
 名張市教育委員会

 プログラミングフェスティバル
(1日完結か複数日か)
(複数日)1時間×3日
(複数日)2時間×3日
(1日完結)2時間×1日
(1日完結)2.5時間×1日
(1日完結)
0.6時間×1日×3回
(1日完結)2.5時間×1日
使用端末(PC・タブレット)の帰属 (事業者持ち込み)

(1)全体概要
 新学習指導要領(平成29年3月公示)では、2020年度から、小学校においてもプログラミング教育を実施していくことが示されました。このことに伴い、全国的に指導者の育成や指導方法、指導教材の開発が急務となっています。
 三重県教育委員会では、プログラミング教育を今後推進していく指導者の育成を図るとともに、実証校を指定し、小学校における効果的なプログラミング教育を進める指導方法や指導教材を研究することを通して、短期間で広域的に普及させるモデルづくりとその実証をおこないました。
 実証事業の最後の事業として、県内各地域の小学生を対象に、様々なプログラミングを体験するプログラミングフェスティバルを12月26日に開催しました。これは、県教育委員会が育成したメンターが指導者となりプログラミング講座を実施することで、メンターが互いに指導方法について研鑽するとともに、プログラミング教育の県内全域への普及推進をねらいとしたものです。
 本事業の実施にあたっては、有識者、学校関係者及び県教育委員会事務局職員からなるプログラミング教育推進委員会を設置し、事業の進捗管理及びメンターへの支援をおこないました。
また、各市町教育委員会や企業などと積極的に連携を図り、メンター育成を促進させることとしました。

(2)実証する内容
 今回の事業では、以下の点について実証をおこないました。
  • 育成したメンターが所属校及び所属校の教職員、市町教育委員会等の取組に対して、どのような役割を果たすことが可能かということについて(プログラミング指導者育成サイクル)
  • 県教育委員会が運営するサイト「研修フォーラム掲示板」やeラーニングシステムを活用した効率的・効果的なメンター育成研修の実施の在り方について
  • 地域の人材や企業と連携した持続可能なプログラミング教育について

1.2 実施体制

1.2.1 体制図

体制図

1.2.2 実証校、教育委員会、他外部団体との連携について

(1)プログラミング教育推進委員会の設置

プログラミング教育推進委員会を中心としたプログラミング教育の普及推進体制を構築し、委員会を以下のとおり開催しました。

日時 報告及び協議事項
5月15日(月)
16:30から17:00まで
【報告事項】
1 「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」実証事業の概要
【協議事項】
1 プログラミング教育推進委員会規約について
2 プログラミング指導者(メンター)育成研修実施について
3 実証校の選出について
12月26日(火)
16:00から17:00まで
【協議事項】
1 プログラミングフェスティバル実施について
2 メンター育成研修について
3 実証校での取組について
4 平成30年度の取組について
●メール及び県教育委員会が運営するサイト「研修フォーラム掲示板」により、随時、進捗状況を報告し、情報共有をおこないました。

(2)各市町教育委員会との連携
県教育委員会事務局職員が県内29市町教育委員会を複数回訪問し、本事業についての説明、協議をしたうえで、県内29市町教育委員会に対して受講者の推薦依頼をおこないました。

1.3 実施スケジュール

(1)メンター育成研修実施スケジュール

内 容
6月 第1回メンター育成研修の実施(プログラミング教育の概要について 等)
7月 第2回メンター育成研修の実施(ロボット等を用いたプログラミング教育について)
8月 第3回メンター育成研修の実施(学習指導案の作成・検討)
第4回メンター育成研修の実施(学習指導案の作成・検討)
10月 第5回メンター育成研修の実施(プログラミング教育の公開講座)
12月 第6回メンター育成研修の実施(プログラミングフェスティバル)

(2)実証校等における公開講座スケジュール

内 容
8月 伊賀市教育委員会と連携したプログラミング講座
伊勢市立厚生小学校におけるプログラミング講座(第1回)
10月 伊勢市立厚生小学校におけるプログラミング講座(第2回)
南伊勢町立南勢小学校におけるプログラミング講座(第1回)
南伊勢町立南勢小学校におけるプログラミング講座(第2回)
南伊勢町立南勢小学校におけるプログラミング講座(第3回)
11月 伊勢市立厚生小学校におけるプログラミング講座(第3回)
亀山市立神辺小学校におけるプログラミング講座
名張市教育委員会と連携したプログラミング講座


2. メンターの育成

2.1 育成メンター概要

メンター育成研修の受講対象者を県内小学校、中学校教員及び市町教育委員会事務局においてプログラミング教育を普及推進していこうとする者等とし、三重県内すべての市町教育委員会に対して、一市町あたり2名1組程度、全24名として受講者の推薦を依頼しました。結果的には、三重県内17市町教育委員会から予定数を超えた推薦があり、35名のメンターを育成することとなりました。

2.2 メンターの募集

メンター募集の流れは、以下のとおりです(平成29年4月〜5月)

1 県教育委員会は、「メンター育成研修」 実施要項を作成し、各市町教育委員会に対して受講者の推薦を依頼

2 各市町教育委員会は、所管する小中学校へ受講者を公募

3 各小中学校は、市町教育委員会に対して応募

4 各市町教育委員会は、県教育委員会に対して、受講者を推薦

メンター募集の流れイメージ

メンター育成研修受講者内訳は次のとおりです。

  • 小学校教諭:22名
  • 中学校教諭:7名
  • 小学校教頭:1名
  • 小学校校長:2名
  • 市町教育委員会指導主事等:3名

メンター育成研修受講者の所属自治体

2.3 育成研修

2.3.1 研修プログラム概要

(1)メンター育成研修の実施場所

  • 育成研修実施場所:三重県総合教育センター 情報教育棟および多目的ホール
  • プログラミング教育に関する公開講座:南伊勢町立南勢小学校

(2)研修プログラムの概要

実施日 講師 概要
6月15日
(5時間)
奈良女子大学 教授 駒谷 昇一
三重大学 名誉教授 下村 勉
県教育委員会事務局職員
  • プログラミング教育の概要
  • プログラミング的思考の育成について
  • パソコンを用いないプログラミング
  • ソフトウェア(スクラッチ)を活用したプログラミング
7月30日
(5時間)
三重大学 名誉教授 下村 勉
ラーニングシステムインストラクター
  • ソフトフェア(スクラッチ)を活用したプログラミング演習
  • ロボット(レゴ マインドストームEV3)を用いたプログラミング演習
8月8日
(3時間)
奈良女子大学 教授 駒谷 昇一
  • 国語、算数、総合的な学習等の授業でプログラミング的思考を取り入れた授業の学習指導案の作成・検討
8月21日
(3時間)
奈良女子大学 教授 駒谷 昇一
  • 国語、算数、総合的な学習等の授業でプログラミング的思考を取り入れた授業の学習指導案の作成・検討
12月11日
(2時間)
メンター育成研修受講者
  • 各校の実態に合わせたメンターによるプログラミング教育の普及推進として、南伊勢町立南勢小学校(実証校)にて公開講座を実施
12月26日
(2.5時間)
メンター育成研修受講者
  • 県内の小学生が様々なプログラミングを体験するプログラミングフェスティバルを開催

(3)研修にかけた時間

  • 三重県総合教育センター実施:18.5時間
  • 南伊勢町立南勢小学校における公開講座:2時間

(4)メンター育成研修の様子

メンター育成研修の様子 メンター育成研修の様子 メンター育成研修の様子
メンター育成研修の様子 メンター育成研修の様子 メンター育成研修の様子

(5)習熟具合をはかる仕組み・工夫

県教育委員会事務局が運営するサイト「研修フォーラム掲示板」を活用し、事務局からの事務連絡およびメンター間の情報共有が活発に行われるように支援しました。

2.3.2 研修教材

メンター育成研修で使用した教材は、以下のとおりです。

使用した教材 工夫した点、実際に使ってみての教育効果等
レゴ マインドストームEV3 レゴ マインドストームEV3
  • 各市町単位での貸し出しを実施しました(メンターによる教育効果の実証のため)。
  • 立体的に動きを確認できるため、試行錯誤によってプログラムは完成するということをより実感できる教材であると考えられます。
スクラッチ
  • 他者との対話によるコミュニケーション力、表現力の育成も重要な課題であるので、グループでの活動を取り入れる必要があります。
フィッシャープライズ コード・A・ピラー
(イモムシロボット) コード・A・ピラー
  • 低学年の授業やプログラミング講座の導入期の教材として適していると考えられます。
県教育委員会が作成した教材、
資料
  • 「パソコンを用いないプログラミング教育の進め方」について研修を進めるための説明資料として有効だと考えられます。


3. 実証講座の実施

3.1 講座の概要及び様子

(1)伊賀市教育委員会と連携したプログラミング講座

  • 会場:ハイトピア伊賀
  • ねらい

伊賀市教育委員会と連携し、プログラミングの体験活動を通して、論理的に考える力の育成を目指しました。

  • 選出または募集方法

県教育委員会から伊賀市教育委員会を通じ、伊賀市内の全ての小学校に対して参加者を募りました。選出方法については、先着順としました。

  • 参加児童の学年:伊賀市内の小学校4・5・6年生
  • 参加人数:23人

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
8月26日(土)
9:30から11:50まで
ロボット教材(レゴ マインドストームEV3)を活用したプログラミング体験講座 育成メンター
  • 伊賀市教育委員会研修員(1人)
  • 伊賀市内中学校教諭(1人)

・講座の様子

ハイトピア伊賀での講座の様子 ハイトピア伊賀での講座の様子 ハイトピア伊賀での講座の様子

(2)伊勢市立厚生小学校(実証校)で実施したプログラミング講座

  • 会場:伊勢市立厚生小学校 ランチルーム
  • ねらい

子どもたちのプログラミング的思考を高めるとともに、新学習指導要領の本格実施に向けての指導内容の検討をおこなう機会としました。

  • 選出または募集方法

プログラミング講座に関するチラシを4・5・6年生に配布し参加者を募りました。

  • 参加児童の学年:4・5・6年生
  • 参加人数:各回24人

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
8月29日(火)
13:00から15:00まで
  • 「順次」手順を使った基礎的なプログラミングを学ぶ
育成メンター
  • 伊勢市内小学校教諭(1人)
10月13日(金)
15:00から16:30まで
  • 「順次」手順を使った基礎的なプログラミングを学ぶ(新たに参加した児童に対応)
  • 「繰り返し」手順を使った発展的なプログラミングを学ぶ
育成メンター
  • 伊勢市内小学校教諭(2人)
11月23日(木)
  • 「条件分岐」手順を使った発展的なプログラミングを学ぶ
育成メンター
  • 伊勢市小学校教諭(2人)

・講座の様子

厚生小学校での講座の様子 厚生小学校での講座の様子 厚生小学校での講座の様子

(3)亀山市立神辺小学校(実証校)で実施したプログラミング講座

  • 会場:亀山市立神辺小学校 教室
  • ねらい

子どもたちのプログラミング的思考を高めるとともに、新学習指導要領の本格実施に向けての指導内容の検討をおこなう機会としました。

  • 選出または募集方法

学校文化祭において設定するプログラミング講座の内容を3・4・5・6年生に説明し参加者を募りました。

  • 参加児童の学年:3・4・5・6年生
  • 参加人数:1部(44人)、2部(21人)

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
11月5日(日)
8:35から10:00まで
4・5・6年生を対象に、Hour of code(マインクラフトのキャラクターを指示されたとおりに動かす)を使ったプログラミングを体験 育成メンター
  • 亀山市教育委員会研修員(1人)
11月5日(日)
10:10から11:30まで
3・4・5・6年を対象に、レゴ マインドストームEV3を使ったプログラミングを体験(カラーセンサーを使ったプログラミングを学ぶ) 育成メンター
  • 亀山市内小学校教頭(1人)
  • 亀山市内小学校教諭(1人)

・講座の様子

神辺小学校での講座の様子 神辺小学校での講座の様子 神辺小学校での講座の様子

(4)名張市教育委員会と連携したプログラミング講座

  • 会場:名張市教育センター
  • ねらい

本講座は、プログラミング講座での体験を通じて、子どもたちの論理的思考力の育成について実践的に考える場としました。

  • 選出または募集方法

プログラミング講座に関するチラシを名張市内の小学校3・4・5・6年生に配布し参加者を募りました。応募多数の場合には、抽選をおこない参加児童を決定しました。

  • 参加児童の学年:3・4・5・6年生
  • 参加人数:90人(30人×3回)

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
11月25日(土)
9:30から10:10まで
「順次」手順を使った基礎的なプログラミングを体験
  • 『スタート地点からコーンを回ってスタート地点にもどる』プログラムを作成
育成メンター
  • 名張市内小学校教諭(2人)
メンターによって事前指導された名張市内小中学校教諭(9人)
11月25日(土)
10:20から11:00まで
11月25日(土)
11:10から11:50まで

・講座の様子

名張市教育センターでの講座の様子 名張市教育センターでの講座の様子 名張市教育センターでの講座の様子

(5)南伊勢町立南勢小学校(実証校)で実施したプログラミング講座

  • 会場:南伊勢町立南勢小学校 体育館
  • ねらい

子どもたちのプログラミング的思考を高めるとともに、新学習指導要領の本格実施に向けての指導内容の検討をおこなう機会としました。なお、第1回 12月11日(月)は、メンター育成研修と兼ねて実施しました。

  • 選出または募集方法

プログラミング講座に関する内容を全校集会でメンターが説明をし、参加者を募りました。

  • 参加児童の学年:5・6年生
  • 参加人数:各回24人

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
12月11日(月)
14:40から15:40まで
パーツを組み合わせて動きを作るイモムシロボットを用いて基礎的なプログラミングを学ぶ 育成メンター
  • 南伊勢町内小学校校長(1人)
  • 南伊勢町内小学校教諭(1人)
12月14日(木)
13:30から14:30まで
レゴ マインドストームEV3を用いて「順次」手順を使った基礎的なプログラミングを学ぶ 育成メンター
  • 南伊勢町内小学校校長(1人)
12月18日(月)
14:40から15:40まで
レゴ マインドストームEV3を用いて「画用紙の周りをまわって元の位置に戻る」課題に取り組む 育成メンター
  • 南伊勢町内小学校校長(1人)

・講座の様子

南勢小学校での講座の様子 南勢小学校での講座の様子 南勢小学校での講座の様子

3.2 プログラミングフェスティバル

(1)プログラミングフェスティバルの概要

  • 会場:三重県総合教育センター 多目的ホール
  • ねらい

メンター育成研修を兼ねて実施するものとし、メンターがグループ別に各種のプログラミングの体験ブースを担当することで、互いに指導方法について研鑽する機会としました。

全県下の小学生を対象にして参加者を募集し、様々なプログラミングを体験できるようにすることで、県内へのプログラミング教育の普及をねらいとしました。

  • 選出または募集方法

三重県内の全ての小学校へ参加者を募りました。選出方法については、先着順としました。

  • 参加児童の学年:4・5・6年生
  • 参加人数:48人

実施日程 内容 講座進行担当者の属性(人数)
12月26日(火)
13:00から15:40まで
プログラミング講座1
  • 「わくわくプログラミング」
プログラミング講座2
  • メンター等が指導者となり様々なプログラムを体験する
育成メンター
  • 県内小学校教諭(24人)
  • 県内中学校教諭(7人)
  • 市町教育委員会指導主事等(3人)

(2)体験ブースで使用した教材

教材名 講座進行担当者の属性(人数) 備考
レゴ マインドストームEV3 育成メンター
  • 県内小学校教諭(2人)
連携企業(3人)
体験ブースの講座運営は、メインメンターがおこないました。その他のメンターは、児童の活動支援に携わりました。
  • 県内小学校校長(2人)
  • 県内小学校教諭(15人)
  • 県内中学校教諭(7人)
  • 市町教育委員会指導主事等
(2人)
スクラッチ 育成メンター
  • 県内小学校教諭(3人)
アーテックロボ 県教育委員会研修員(1人)
連携企業(4人)
ピョンキー 育成メンター
  • 県内小学校教頭(1人)
  • 県内小学校教諭(1人)
アワー オブ コード 育成メンター
  • 県内小学校教諭(1人)
  • 市町教育委員会研修員(1人)

(3)プログラミングフェスティバルの様子

プログラミングフェスティバルの様子 プログラミングフェスティバルの様子 プログラミングフェスティバルの様子
プログラミングフェスティバルの様子 プログラミングフェスティバルの様子 プログラミングフェスティバルの様子

3.3 メディア掲載

実施日 掲載内容 掲載メディア 画像
8月26日(土) 「できる!わかる!プログラミング」 in 伊賀市 伊賀市ケーブル
テレビ
(※割愛)
11月25日(土) プログラミング体験講座〜ロボットをうごかそう〜
:名張市
毎日新聞 (※割愛)
12月11日(月) 実証校(南伊勢町立南勢小学校)におけるプログラミング講座 中日新聞 (※割愛)

3.4 参加者の声

3.4.1 児童・生徒の声

(1)プログラミングをやってみて感じたことについて

  • いろいろなロボットでプログラミングができるようになりたいです。
  • いろいろな課題に挑戦するのが楽しかったし、次々課題がクリアできて楽しかった。もっと難しい課題をやってみたい。
  • プログラミングには何通りも使い方があるので、もっとつづけてみたいです。
  • プログラミングをもっとして、ロボットを自由に動かせるようになりたい。
  • ロボットに速く、複雑な動きができるようにプログラミングをしてみたい。

(2)日々の生活や学校でプログラミングを使って工夫したいと思うこと

  • コンピュータをもっと自由に操作してロボットを作りたい。
  • 学校でパソコンを使う授業があったら、パソコンを使って自分でゲームを作ってみたいし、いろいろやってみたい。
  • 自分で考えて、その通りに動くのが楽しい。わからなかった時によく考えるのが楽しい。

(3)プログラミング講座を受けて、ゲームやアプリについて

  • ゲームやアプリは楽にできると思っていたけど、難しいことが分かりました。
  • 自分でプログラミングをつくってみたいと思うようになった。

(4)その他

  • すぐに答えを言わずにていねいに教えてくれたのでよかった。
  • 考えるのが楽しかったし、友だちと協力して取り組めたことが楽しかった。

3.4.2 メンターの声
  • プログラミング教育のねらいや指導すべき内容を理解できたことで、指導場面を具体的にイメージできるようになった。実際に指導に当たり,子どもたちが共同的に学ぶ場面を意図的につくることができたのではないかと思う。プログラミングを学ばせるのではなく,プログラミングで何を学ばせるのかという視点で授業を考えることができた。研究協議会の中でも研修内容を還流し,今後のプログラミング教育に関する研修の方向性を決める上での良いヒントとなった。
  • 研修を受けるまで、スクラッチなどの学習用プログラミングソフトをやったことがなかったので、研修で実物を触りながらねらいや使い方を知ることができた。プログラミング学習が教育課程に導入されると聞いたときは、コンピュータ言語の学習のことかと思っていたので、プログラムそのものだけでなく、思考力を育成するという目的を知ることができて、自分の考えや指導する際の誤解がなくなった。
  • 今後、小学校学習指導要領の完全実施に向けて、市教育委員会事務局指導主事として、各小学校への指導・助言を行うにあたって、プログラミング教育の概念やプログラミング的思考、パソコンを使わないプログラミングについてよく理解できた。また、ソフトウェアやロボットを活用した実践も体験することができ、今後の指導・助言に役立った。さらに、他のメンターと一緒にプログラミング教育実施に向けた指導案の作成も、今後に生かすことができるものとなった。

3.4.3 実証校の先生・保護者の声

(1)実証校の先生

  • ロボットを実際に操作し、動きを確かめながら行うことはとても分かりやすくていいなと思いました。
  • とても勉強になりました。プログラミングについて詳しく知ることができてよかった。
  • 学校によってかなり取組に温度差が出るのではないかと感じました。
  • 教師の指導力が今後必要になってくると感じました。
  • 今後もプログラミングが広がっていけばよいと思いました。今回、興味を持ったので、より詳しく勉強していきたいと思いました。

(2)保護者

  • プログラミング教育が学校で始まると聞き、どんなものか分からず、知りたいと思い、親子で参加しました。ロボットやタブレットを使った講座で、子どもも楽しそうでした。遊びの中から学べるプログラミング講座として取り組んでもらえるのは、とてもいいと思いました。楽しかったです。
  • 学習指導要領が変わり、大変だと思いますが、学校の授業中でプログラミングが始まるのは楽しみです。どのようなカリキュラムで始めるのか気にはなりますが、今回の講座のように子どもが楽しみながら取り組める授業に期待します。プログラミングって何?と息子に聞かれ分からず参加しましたが、息子もとても楽しそうに参加していました。
  • 3人1組でチームで取り組むことで、話し合いながら協力して考えて進められるところが良かったと思います。
  • プログラミングとは個々でスキルを上げるものといったイメージでしたが、現代社会ではグループでの協調性、協力体験といったものが大事なのかもしれません。国語や算数のように個々での学習とグループ活動の場があっても良いと思います。ただ、必修化することによって、子どもの学習時間が増えるのか、他の教科の学習時間を削るのかといった疑問は大きいです。
  • 親の世代でプログラミングと言えばベーシック、ACCESSなど命令文で作るものだと思っているのではないでしょうか。しかし、今日の講座を見れば考え方も変わると思いました。時代の差を感じます。

3.4.4 実証校校長先生・教育委員会の声

(1)実証校を引き受けた理由について

  • 今後のプログラミング教育の在り方をさぐりたい。
  • これからの情報化社会を生きて行く子どもたちの思考能力と対応能力を伸ばしたい。
  • 基礎基本だけでなく、主体的に協働的にいろいろな経験を深めることで学ぶ活動を重視している。そのための1つの学び方であると考えた。

(2)児童・生徒の様子で気づいたこと、発見したこと

  • 大半の児童が主体的に取り組み、協働的に活動できた。プログラミングで思考することは楽しめることに加えて「ああ、疲れた」というつぶやきがでるぐらい、頭をつかうことがいっぱいあるのかと嬉しく思った。

(3)児童・生徒の印象的だったエピソードや感想

  • すぐに飽きてしまう児童が、最後まで興味を持ち集中して課題をこなし、最終的には、一番、早く課題を解決できていた。

(4)小学校教育におけるプログラミング教育必修化に関して

  • 指導の方法は、子どもたちが自ら学ぶことを前提にしたカリキュラムを作成していくこと。
  • 指導者は、教えるのでなく、学びを支援していくこと。
  • 最低限に教えることをきちんととらえておくこと。
  • 指導者がコントロールしようとすると、児童が思考する姿は見られなくなるので旧来の学習から逸脱できず、プログラミング教育を推進する意味がなくなる。


4. アンケート結果

4.1 児童・生徒

児童・生徒向けアンケート(Q1-8)あなたはこれまで、「プログラミング」という言葉を知っていましたか。またはこれまで「プログラミング」を体験したことがありますか?最も近いものをひとつ選んでください。、「プログラミング」を経験したことがあった32%、「プログラミング」を経験したことはないが、意味は知っていた24%、「プログラミング」という言葉を聞いたことはあるが、中身まではよく知らなかった30%、「プログラミング」という言葉を聞いたことがなかった12%、無回答2%

児童・生徒向けアンケート(Q2-1)「プログラミング講座」は楽しかったですか。最も近いものをひとつ選んでください。、プログラミングすることも、講座も楽しかった・・・92%90%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったが、講座は楽しかった・・・0%1%、プログラミングすることは楽しかったが、講座はあまり楽しくなかった・・・8%4%、プログラミングすることはあまり楽しくなかったし、講座もあまり楽しくなかった・・・0%1%、無回答4%

児童・生徒向けアンケート講座を体験したことによって、以下の内容について達成できたと思いますか。あてはまるものをそれぞれひとつ選んでください。(Q3-1@)プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった、よくできた41%、だいたいできた43%、どちらともいえない5%、あまりできなかった2%、ほとんどできなかった2%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1A)自分なりのアイディアを取入れたり、工夫したりするようになった、よくできた40%、だいたいできた39%、どちらともいえない10%、あまりできなかった2%、ほとんどできなかった2%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1B)自分なりの作品を作ることができるようになった、よくできた38%、だいたいできた35%、どちらともいえない15%、あまりできなかった2%、ほとんどできなかった3%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1C)うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった、よくできた52%、だいたいできた28%、どちらともいえない10%、あまりできなかった1%、ほとんどできなかった2%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1D)自分から積極的に取り組むようになった、よくできた47%、だいたいできた29%、どちらともいえない11%、あまりできなかった4%、ほとんどできなかった2%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1E)友達と協力して作業を進められるようになった、よくできた58%、だいたいできた26%、どちらともいえない7%、あまりできなかった0%、ほとんどできなかった2%、無回答7%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1F)人前で作品や意見を発表できるようになった、よくできた33%、だいたいできた29%、どちらともいえない20%、あまりできなかった7%、ほとんどできなかった3%、無回答8%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1G)難しいところであきらめずに取り組めるようになった、よくできた54%、だいたいできた25%、どちらともいえない9%、あまりできなかった2%、ほとんどできなかった1%、無回答9%

児童・生徒向けアンケート(Q3-1H)自分でもの(ゲーム等のプログラムを含む)を作りたいと思うようになった、よく思うようになった54%、まあまあ思うようになった26%、どちらともいえない4%、あまり思わない2%、ほとんど思わない6%、無回答8%

児童・生徒向けアンケート(Q3-2)プログラムが思うように動かなかったとき、どうすることが一番多かったですか。最も近いものをひとつ選んでください。、自分でプログラムを見直し、「命令」の組み合わせを直して、やりなおした37%、すべてのプログラムや「命令」を消して、もう一度初めからやりなおした4%、少しずつ「命令」や数字を変えてみて、繰り返しやりなおした44%、メンター(先生)や近くの大人に教えてもらった3%、進んでいる友達に教えてもらった2%、どうしたらよいかわからなかったので、そのままにした0%、その他1%、無回答9%

児童・生徒向けアンケート(Q3-4)あなたは今後も「プログラミング」を続けていきたいと思いますか。あてはまるものをひとつ選んでください。、続けたい76%、わからない12%、続けたくない3%、無回答9%

実証校ならびに市町教育委員会が中心となって実施したプログラミング講座では、以下の力の育成につながりました。

  • 体験的な活動を通したプログラミング的思考力の育成
  • 対話を通して問題を解決したり、新しいアイディアを創出したりする演習を取り入れることによるコミュニケーション力の育成
  • 発表する活動を通した豊かな表現力の育成

児童アンケートQ3,1 1、Q3,1 4、Q3,2の結果では、児童がプログラミングの基礎的なことを理解し、その知識をもとにして、プログラムが動かない時にどのようにすればよいのかを意欲的に考え、プログラムを見直し、繰り返しやり直すなど、具体的に試行錯誤することにより問題解決を図ろうとする児童の様子がわかります。このことから、児童が最適な組み合わせについて思考したり、改善したりする活動を体験することは、プログラミング的思考力を育成することにつながると考えられます。
また、児童アンケートQ3,1 2、Q3,1 6の結果では、自分なりのアイディアを取り入れたり、工夫したり、友だちと協力して作業を進めるようになった児童の割合が高くなっていることがわかります。三人程度のグループを編成し、様々なアイディアを出し合いながら活動を進めることは、コミュニケーション力の育成につながると考えられます。
児童アンケートQ3.1 7の結果を見ると、人前で作品や意見を発表できるようになったと回答している児童は6割を超えています。ロボット教材等の動き方について意見交換をする場面の設定は、表現力の育成につながると考えられます。しかし、「どちらともいえない」と回答している児童の割合が、他のアンケート結果に比べやや高いことから、個々の作品について詳しく説明する場面や作品に対して感想を述べ合う活動をさらに取り入れることなどが必要だったようです。

4.2 メンター

育成メンター向けアンケート(Q3-3)メンター育成研修を受けて、全体的に内容を理解できましたか。あてはまるものをひとつ選んでください。、よく理解できた17%、だいたい理解できた74%、どちらともいえない9%、あまり理解できなかった0%、ほとんど理解できなかった0%

育成メンター向けアンケート(Q3-6)実際にメンターを行うにあたって、不安はありますか。あてはまるものをひとつ選んでください。、まったく不安はない37%、あまり不安はない28%、わからない29%、やや不安がある3%、非常に不安がある3%

育成メンター向けアンケート(Q3-7)(3.5で1または2と答えた方)具体的にどういったことに不安がありますか。あてはまるものを全て教えてください。(複数回答)、児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートできるか27%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言ができるか55%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導ができるか55%、児童・生徒が自分の指導や助言を聞き入れ、従ってくれるか9%、時間内に予定のプログラムを終了できるか9%、用意された教材を効果的に使用して指導できるか18%、その他18%

育成メンター向けアンケート(Q5-1)講座は当初予定していた通りに実施できましたか。最も近いものをひとつ教えてください。、実施できた18%、だいたい実施できた76%、どちらともいえない3%、あまり実施できなかった3%、まったく実施できなかった0%

育成メンター向けアンケート(Q5-2)実施前のイメージと比較して、メンターを実施することは難しかったですか。最も近いものをひとつ教えてください。、非常に難しかった6%、やや難しかった48%、どちらともいえない14%、比較的容易だった26%、非常に容易だった0%、無回答6%

育成メンター向けアンケート(Q5-3)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できたと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。、児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること29%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと49%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと37%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと37%、時間内に予定の講座内容を終了させること20%、用意された教材を効果的に使用すること11%、その他3%

育成メンター向けアンケート(Q5-5)実施前のイメージと比較して、どういった点でメンターをうまく実施できなかったと思いますか。あてはまるものを全て教えてください。、児童・生徒の気づきやつまずきをうまく拾って、ファシリテートすること26%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、実証講座の目的に沿った適切な指導・助言を行うこと11%、児童・生徒の疑問や悩みに対して、児童・生徒の能力に合わせた適切な助言・指導を行うこと14%、児童・生徒に自分の指導や助言を聞いてもらい、集中を切らさずに講座に参加してもらうこと11%、時間内に予定の講座内容を終了させること29%、用意された教材を効果的に使用すること20%、その他6%

育成メンター向けアンケート(Q8-3)今後のあなた自身のメンターとしての関わり方について、最も近いものをひとつ教えてください。、メインの指導者として、ひとりで、または経験の少ないサブメンターと一緒にプログラミング教育の指導ができると思う51%、メインの指導者として、経験のあるサブメンターがついてくれれば指導できると思う(ひとりで指導するのは不安だ)17%、サブメンターとして、経験のあるメイン指導者と一緒にさらに指導経験を積みたい17%、メンター業務を今後もやるには不安が大きい9%、今後はメンターをやりたくない0%、わからない(考えがまとまっていない)3%、その他0%、無回答3%

指導者(メンター)育成研修研修終了後には、以下の活動をおこなうこととしています。

  • 各市町教育委員会において次年度以降、プログラミング教育の普及推進に努めます。
  • 可能な限り、プログラミング講座へ指導者または支援者として参加します。
  • 平成30年度に実施される県教育委員会ならびに市町教育委員会が主催する研修会の講師として参加します。

メンターのアンケート結果(Q8,3)のとおり、8割以上のメンターが、メンターもしくはサブメンターとしてプログラミング教育の指導ができる、または、経験を積みたいと回答しており、上記の三点の活動に一定程度つなげることができたと考えられます。今回実施した育成研修は、プログラミング教育のひとつの普及推進モデルとなったといえます。

5. 発見・成果と課題・改善

5.1 発見・成果

5.1.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築

今後のプログラミング教育の広域的な普及推進モデルのイメージ

県内各市町において中核的役割を果たす指導者を育成し、教材を整備・管理することで、プログラミング教育の広域的な普及推進モデルをつくることができました。
県教育委員会としては、各市町教育委員会と連携し本事業をすすめたことで、プログラミング教育については、2020年度の新学習指導要領の実施にむけてスタートをきれたと考えています。

5.1.2 メンター育成および講座内容

今年度は、メンター育成研修を中心としてプログラミング教育の普及推進を進めてきました。波及効果として、以下の点が挙げられます。

  • 実証校では、メンターが校内研修の講師となり、自校の教員に対して、プログラミング教育に関する校内研修会を実施するとともに、メンターより指導を受けた教員が、新たに講師となりレゴ マインドストームEV3等のロボット教材の使い方に関する研修を実施
  • メンターが講師となり、市内の小中学校の教員に対してプログラミング教育に関する研修会を実施。さらに、研修会に参加した教員が講師となり、市内の小学生を対象としたプログラミング講座を実施

これらのことから、短期間にプログラミング教育の県内への普及が促進されたと考えられます。
メンターが学校や地域の状況に応じたプログラミング講座を企画・運営することは、県教育委員会の特徴的な取組として挙げることができます。
本事業で実証校で使用した教材は、県教育委員会が管理し、貸し出すこととしました。三重県総合教育センターの研修用iPadとマインドストームEV3とセットにして貸し出しました。メンターには、8月〜12月まで長期間貸し出しすることにより、どのように子どもたちにプログラミング講座を実施するかを考えることができました。また、実証校には、プログラミング講座の時だけでなく、前後1〜3週間程度貸し出ししたり、実証校以外のメンターの所属する学校へ貸し出したりしました。その他、メンターの意見を参考に、マインドストームEV3以外の教材もそろえ、メンターがプログラミング講座を実施するためのサポート体制を整えました。
県教育委員会としてのこのような取組は、今後プログラミングを普及推進していくためのメンターの育成に対して、たいへん有効であったと考えられます。
次年度についても、本年度と同様の研修を実施することで、さらなるプログラミング教育の普及推進が期待できます。

5.2 課題・改善

5.2.1 実証校・教育委員会他との連携体制の構築

メンターから出された多くの意見としては以下のとおりです。

  • 機器を使用することでプログラミング教育は深まる。貸していただいたマインドストームの台数が今後増えれば,より児童に魅力的な学習につながると感じる。
  • 機器の普及やインターネット環境の普及が完全になされていかないと普及は厳しい。特に自治体による格差が県内でも多く見られていることは早急に解決するべき課題だと言える。人材育成はもちろんのこと、環境面の整備が必要。
  • 小学校においては、特に、「プログラムの書き方を教えるのではない。」ということを県内で意思統一をしておかなければならないと思う。

このようなアンケート結果を受け、市町教育委員会との連携を密にし、プログラミング教育のさらなる普及推進を図っていきたいと考えています。
また、学校でプログラミング講座を実施するにあたっては、ロボット教材等の機器の管理・メンテナンス及びICT環境整備を行う必要があります。学校のICT環境整備等については、所管する各市町教育委員会がおこなっています。教員は、プログラミング講座を企画・運営しますが、専門的知識を持っていない教員がアプリのインストールなどの事前準備等をおこなうことについては、課題があります。そこで、アプリが既にインストールされたPCや教育委員会が保守管理するロボット教材等を学校に持ち込み、プログラミング講座を実施することで、教員の負担軽減につながると考えています。

5.2.2 メンター育成・講座内容

昨年度の本事業の報告書によると、メンター育成研修の多くは、プログラミング教材に関する知識技能よりも、教育スキル、つまり、子どもの主体性を引き出すファシリテーションスキル、子どもの悩みに寄り添うメンタリングスキル・知識、子どもに楽しさを伝える力等の育成を目指しておこなわれていました。教員をメンターとして育成する場合、すでに教育スキルは備わっています。そして、子どもたちとの関係ができていますので、少数のメンターでも子どもたちにプログラミング講座を実施することができます。また、メンター育成研修で習得したプログラミング教材の知識と、教員としての自らの経験を活かして、子どもたちの実態に応じたプログラミング講座を実施することもできます。しかし、今後、子どもたちの試行錯誤を伴った活動を充実させるために、教員は、教えすぎないコーチングマインドを身に付ける必要があると考えています。
また、市町教育委員会担当者やメンターから出された多くの意見としては以下のとおりです。

  • メンター受講者が相互に学び合うことが大切であると感じた。指導方法がうまくいっているのかを検証しフィードバックするシステムが必要である。
  • プログラミング教育実施に向けた指導案作成や作成後の交流の時間が足らず、中途半端になってしまった。もう少し、じっくり考察する時間がほしかった。
  • 授業での有効な活用事例の紹介が大切であると考えます。各教科でこれはプログラミングでないとできないという授業を増やしていきたいですね。

このようなことを受け、次年度以降のメンター育成研修計画を再構築することにしました(6.2参照)。

6. 実証モデルの普及に向けて

6.1 モデルの横展開の可能性

6.1.1 メンター育成、講座の構成、教材

プログラミング教育の普及推進を継続的に実施していくために、来年度も教員向けの研修講座としてメンター育成研修を実施します。今年度の講義や演習の様子をeラーニングの教材として作成しましたので、来年度はコストを抑えたメンター育成が可能となります。
また、名張市教育センターが中心となり、メンターからプログラミング教育についての考え方や指導の仕方を学んだ「子メンター」が、名張市教育フォーラムで子どもたちを対象としたプログラミング講座をおこないました。このような取組は市町教育委員会の取組モデルとなりうると考えています。

6.2 普及のための活動

今年度実証したモデルでは、教育課程外の時間を活用してプログラミング講座を実施しました。講座の内容は、プログラミングを体験的に学ぶことやグループ活動を取り入れ、言語活動の充実につなげるなどといった新学習指導要領に沿ったものとしました。実証事業から得られた指導方法やノウハウ等は、今後教育課程内でプログラミング教育を実施していく場合に、参考となり十分活用できるものとなりました。
また、今後は、プログラミング教育に取り組む市町教育委員会が増えてくることが予想されます。そこで、教材選定に係る資料提供や具体的な指導方法の紹介等をおこなうことで、市町教育委員会の取組を支援していきます。さらに、学校現場では外部人材をメンターとして活用することも考えられることから、市町教育委員会及び学校とのマッチングの必要性も生じてくると考えています。
次年度のメンター育成研修計画は、以下のとおりとし、県内のプログラミング教育の普及を進めていきます。

内容 時間 備考
小学校におけるプログラミング教育の実施に関する背景について学ぶ
・プログラミング教育の概要について
・プログラミング的思考を育成することについて
3時間 ・eラーニングシステムを用いた事前学習
・講義及び受講者によるディスカッションを通じた内容の確認
各種プログラミング教材について体験的に学ぶ 7時間 ・パソコンを用いないプログラミング
・レゴマインドストームEV3(ロボット教材)
・アーテックロボ(ロボット教材)
・スクラッチ(コンピュータソフト)
・Hour of Code(アワーオブコード) 等
学習指導案作成演習 5時間 ・具体的なイメージを持つための模擬授業の実施
・プログラミング的思考を取り入れた学習指導案の作成
・受講者による情報共有
プログラミング教育の普及推進を図る実践
・勤務校等で、授業公開を通じた研修
・プログラミング的思考の育成をねらいとした校内研修の実施
4時間 ・受講者による授業公開
・公開授業後の検討会
・受講者の取組概要の交流
プログラミングフェスティバルを通じた実践的な研修 3時間 ・メンターによるプログラミングフェスティバルの運営
・メンターによる体験ブースの運営

7.参考添付資料

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