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第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第2節 プラットフォーマーへのデータの集中

(2) 消費者の意識

大手プラットフォーマーは、エンドユーザーの属性情報、位置情報、電子商取引に係る購入履歴、動画・音楽配信に係る視聴履歴などの個人データを取得・分析し、各エンドユーザーの嗜好に応じた広告やコンテンツなどを提示するような付加価値サービスの提供を行っている。一方で、プラットフォーマーによるこのようなデータの取得や取扱いに関する透明性・公正性への懸念も増大している。総務省は、大手プラットフォーマーによるデータの取得・蓄積・利用について各国の消費者の意識等を把握するため、日本、米国、ドイツ、中国の消費者を対象にアンケート調査を実施した。

はじめに、各国の消費者に、大手プラットフォーマーが提供するインターネットサービスのうち利用経験があるものを尋ねた(複数回答)。全対象国でみると、「Google Map」(66.5%)、「YouTube」(63.8%)、「amazon(オンラインショッピング)」(61.3%)、「Gmail」(56.1%)、「Google Search」(55.3%)、「Facebook」(50.2%)の順に利用率が高い結果となった。日本では、「YouTube」(79.1%)、「Gmail」(65.2%)、「Google Map」(63.6%)となった。中国では同国独自のサービスの利用割合が高く、「WeChat(微信)」(90.8%)、「WeChat Pay(微信支付)」(88.6%)、「Alipay(支付宝)」(85.3%)となった。

【関連データ】利用したことがあるサービス(複数回答)

出典:総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00020別ウィンドウで開きます(データ集)

次に、このようなサービスやアプリケーションを利用するにあたりプラットフォーマーにパーソナルデータを提供することを認識しているか否かを尋ねたところ、「認識している」(「よく認識している」と「やや認識している」の合計)と回答した割合は、米国が最も高く(90.5%)、日本は約4割(42.2%)であった(図表2-2-3-3)。

不安感の有無をみると、「不安を感じる」(「とても不安を感じる」と「やや不安を感じる」の合計)と回答した割合はドイツが66.5%と最も高く、我が国は58.4%であった(図表2-2-3-4)。

なお、4カ国とも、パーソナルデータを提供していることを認識していないにもかかわらず「不安を感じる」と回答した者は、5割を超えていた。

図表2-2-3-3 パーソナルデータ提供に対する認識の有無
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
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図表2-2-3-4 パーソナルデータを提供することへの不安感の有無
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
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また、プラットフォーマーへパーソナルデータを提供する際に重視する点を優先度が高い順に選択してもらったところ、4カ国とも「提供先が十分なセキュリティを担保すること」が最も高い結果となった。国別にみると、我が国では、高い順に「提供先が十分なセキュリティを担保すること」(67.2%)、「提供されたデータの利用目的」(49.7%)、「適切なデータの取扱方法」(48.0%)となった。米国とドイツでは「データの提供に対する適切な同意の取得」が2番目に高くなった(図表2-2-3-5)。

図表2-2-3-5 パーソナルデータを提供する際に重視する事項
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
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さらに、サービス利用に伴いパーソナライズ(最適化)された検索結果や広告等が表示されることをどのように思うかを聞いたところ、中国を除く3カ国では、「不安を感じる」(「とても不安を感じる」と「やや不安を感じる」の合計)割合は5割を超え、中国は37.5%と他国と比較して低くなった(図表2-2-3-6)。

利用者に最適化した広告を提示していることが、大手プラットフォーマーの提供するサービスやアプリケーションの利用に当たって影響を与えるか、という質問に対しては、日本では「影響する」(「やや影響する」又は「非常に影響する」)と「影響しない」(「特に影響しない」又は「あまり影響しない」)との回答がほぼ同程度、その他3カ国では「影響しない」との回答が6〜7割であった(図表2-2-3-7)。

図表2-2-3-6 パーソナライズされた検索結果や広告等が表示されることへの不安感の有無
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
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図表2-2-3-7 パーソナライズされた広告が表示されることによる利用への影響
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
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プラットフォーマーにより、人々の日常生活のために必要な様々なサービスが提供される中で、より機微性の高いデータも取得・蓄積されるようになってきている。これらのデータを活用したプロファイリングやその結果を踏まえたレコメンデーションが幅広く行われることにより、利用者の利便性が向上する一方、知らないうちに利用者がその結果に影響される可能性も高まっている。パーソナルデータの取扱いに関する懸念を解消し、ユーザーが安心して個人に最適化されたデジタルサービスを利用できるようにするためには、ユーザーからデータの収集や活用の状況が見えないという状況を解消し、適切な取扱いを確保していくことが重要である。

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