昭和50年版 通信白書

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第2節 情報化の動向

 「情報化社会」という言葉が使われだし,我々の社会生活における情報の果たす役割が注目され始めてから既に久しいが,社会の情報化の進展には依然として目覚ましいものがある。
 我々の日常生活における情報とのかかわりを見ても,10年前のそれとは非常に異なってきている。テレビジョン受信機及び電話機の普及は,通信衛星の利用とあいまって世界中の出来事を瞬時に茶の間に運び込み,遠隔地間の声や画像の通信をますます容易にしている。更に,種々の新しい情報流通メディアが実用化されつつある。例えば,家庭に居ながらにして新幹線の座席指定券を電子計算機との対話により予約することができるプッシュホン,遠く海を隔ててホーム・ドクターの心臓検診を受けることができるペース・メーカー・チェック信号伝送装置,送り手が書く字や絵が直ちに先方に伝わるテレメール等である。このように我々の生活は新鮮な多量の情報と固く結び合わされてきており,情報は我々の生活において中心的役割を果たしつつあると言えよう。
 しかし,この情報化社会の進展は,「情報洪水」,「情報禍」等の言葉に代表されるように,適切な対応を欠けば計り知れない悪影響をもたらしかねない。この情報化社会において情報流通の担い手である通信の果たすべき役割はその意味からもますます重要性を増しており,通信に関する適切な施策のためにも情報化社会に対する的確な認識は欠くことができないものであろう。
 よって以下本節においては,このような社会の情報環境の実体を情報化指数により定量的には握し,もって我が国の情報化の動向を明らかにすることとする。
 (注)情報化指数:1人当たり郵便差出通数,1人当たり通話回数,100人当たり新聞発行部数,1万人当たり書籍発行点数,人口密度(以上情報量),100人当たり電話機数,100人当たりテレビ台数,1万人当たり電子計算機台数(以上情報装備率),就業人口に占める第三次産業の比率,100人当たり大学在学者数(以上通信主体水準),個人消費支出中の雑費の比率(情報係数)の11項目につき,それぞれの基準値を基に指数化し,更に,各要素ごとの指数を平均化したものであり,財団法人電気通信総合研究所の算定方式に準じて算定したものである。

 

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