昭和54年版 通信白書

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第2章 公衆電気通信

第1節 概   況

 電電公社は,発足以来「加入電話の積滞解消」と「全国ダイヤル自動化」を二大目標として掲げ,その達成に努力してきたが,52年度末の全国的規模における積滞解消に引き続き,53年度末において「全国ダイヤル自動化」を達成した。
 基幹的電気通信メディアの代表たる電話について,このような普及整備を完了したことは,電気通信が社会経済諸活動,国民生活の各場面において,より一層の利便を提供していくことを意味するとともに,他面,電気通信事業の今後の運営にとっては,これまでの電話の加入需要への的確な対応を中心とした,いわば量的拡大への対応の時期から質的拡充へ一層のウェイトの移行を要する時期が到来していることを意味するものと理解される。
 これらの状況を踏まえ,電電公社は,52年に「電信電話拡充・改良第6次5か年計画」を策定し,53年度を計画の初年度として,充実した国民生活の実現と経済社会活動の効率化に寄与すべく,諸施策を推進した。
 また,53年度は,東京ラウンドの政府調達問題に関連し,電電公社の資材調達問題が多くの議論を呼んだ年でもある。
 48年9月,東京宣言によって開始された東京ラウンド交渉―関税及び貿易に関する一般協定(ガット)に基づく多角的貿易交渉―の一環において,政府の物品調達について国際的な競争機会の拡大をはかり,貿易の拡大に貢献することを目的として政府調達分野に内国民待遇及び無差別待遇の原則を確立し,また入札手続等の公開性を定める政府調達に関する協定について交渉が進められてきた。電電公社は当初この協定の適用対象には含められていなかったところであるが,対日貿易収支不均衡問題の存する米国との間において,電電公社への適用問題を含め,累次の交渉等が重ねられた。
 本問題の取扱いについては,国際間の経済問題に関連するものであると同時に,国内的には,電気通信事業の円滑な運営と適切な電気通信サービスの提供を期するとの観点から,諸般の事情について慎重な配慮を必要とするところであるが,日米間においては,54年6月,日米共同発表により,政府調達問題についての交渉の枠組みと今後の手順につき合意し,今後,この合意に基づき,更に所要の交渉を重ねていくこととなった。
 53年度の建設投資の予算額は,景気回復という政府の方針に添いつつ,「電信電話拡充・改良第6次5か年計画」を基調として編成され,当初予算1兆6,100億円,補正予算300億円,合計1兆6,400億円の予算規模となった。
 この予算執行により,一般加入電話154万9千加入,公衆電話4万1千個の増設,新電話局建設410局及び市外回線増設12万5千回線等の建設が行われた。この結果,加入電話等の総数は,3,640万加入(対前年度比4%増)となり人口100人当たりの普及率は31.5加入(52年度30.6加入)となった。
 電電公社の事業経営についてみると,事業収入3兆5,823億円,事業外収益401億円,事業支出3兆1,307億円,事業外費用1,009億円となり,3,908億円の利益を計上し,52年度に引き続き黒字決算となった。
 また,農林漁業地域における有線放送電話は,電電公社の加入電話の普及等に伴い施設数,端末設備数とも減少傾向にある。
 次に,国際電気通信についてみると,53年度における主要三大業務の取扱数は前年度に比べ,国際電報7.8%減,国際加入電信18.8%増,国際電話29.5%増となっており,国際電電の収支状況は,総収入1,292億円(対前年度比14%増),総支出1,194億円(同15%増),当期利益98億円(同6%増)となっている。

 

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