特殊法人に関する調査結果に基づく勧告

−財務内容の公開・子会社等を中心として−

(要旨)

勧告日   :平成8年12月24日
勧告先   :総務庁、北海道開発庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁、
       国土庁、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、
       運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省(18省庁)




背景事情−特殊法人のディスクロージャー(財務内容等の公開)を巡る経緯−

臨調基本答申/特殊法人の経営の効率化・適正化のため、財務諸表を含む経営内容の公開を指摘
昭和59年11月勧告/特殊法人の会計処理基準の標準化 → 統一的開示の基盤
しかし、特殊法人の財務の公開は、必ずしも十分とは言い難い状況。また、特殊法人の一翼を担う子会社等を含めた事業活動の全体像が不透明との指摘
「特殊法人の整理合理化について」(平成7年2月24日閣議決定)/
i) 全特殊法人の財務諸表等について一覧が可能な閲覧窓口の整備、
ii) 子会社・関連会社を含む法人全体としての財務内容等の情報公開の推進
「特殊法人のディスクロージャーについて」(平成7年12月19日閣議決定)/
i) 貸借対照表、関係会社の概要等の官報掲載、
ii) 行政監察の結果をも踏まえディスクロージャーの一層の推進

調査の概要

実地調査期間:平成7年12月〜8年3月
調査対象機関:全特殊法人 (91法人)
調査の視点 :特殊法人のディスクロージャーの現状を明らかにし、その一層の推進を図る   

勧告の基本的考え方

特殊法人の業務内容及び財政基盤 = 公共的 → その活動に対する国民の信頼性確保は重要
財務内容等の情報は、主として会計情報の面から特殊法人の事業活動の実態を明らかにするもの
子会社等の情報は、特殊法人の事業活動の全体像を明らかにするもの
これらのディスクロージャーは、特殊法人の業務の見直しの判断材料となるもの
ディスクロージャーのレベル/ 民間並み+特殊法人の業務内容 を勘案 

主な勧告事項等

1 財務内容等の公開の現状【実態】

特殊法人のディスクロージャーの全体像を初めて明らかにするもの

(1) 財務内容等に関する書類の作成・公開の概況



(2) 事業報告書及び附属説明書類の記載状況(概要)



2 財務内容等の公開に関する制度の充実

(1) 財務内容等に関する書類の作成・公開の義務付け
財務内容等に関する書類の中には、作成・公開が行われていないものもみられる

【勧告要旨】

財務内容等に関する書類の作成・公開を法令上義務付けること。


(2) 財務内容等に関する書類の開示期間の標準化
特殊会社(12法人)を除き、法令上、財務内容等に関する書類の公開期間の規定なし
財務内容等に関する書類の事務所備付けによる公開期間が法人や書類の種類によって区々

【勧告要旨】

財務内容等に関する書類の必要的開示期間を5年間とし、省令上の規定整備を行うこと。


(3) 事業報告書の記載事項の標準化
事業報告書(貸借対照表や損益計算書の内容を補足し、文書による情報によって法人の事業活動の実態等を説明するため書類)の記載内容が不十分かつ法人によって区々

【勧告要旨】

事業報告書の必要的記載事項を次のとおりとし、省令上の規定整備を行うこと。
i
事業内容、本社・支社等の住所、資本金の状況(金額、政府の出資金額、前期末比増減)、役員の状況(氏名、経歴等)、従業員の状況(定数、増減等)、法人の沿革その他法人の概要
ii
当該年度及び過年度分の事業実施状況(財政投融資資金の状況、国庫補助金等の状況等)
iii
子会社・関連会社等の状況(後述)
iv
資金供給業務としての出資の状況(後述)
v
法人が対処すべき課題


(4) 附属説明書類の記載事項の標準化
附属説明書類(貸借対照表や損益計算書の内容を補足し、資金の増減や費用の明細を説明するための書類)の記載内容が不十分かつ法人によって区々

【勧告要旨】

附属説明書類の必要的記載事項を次のとおりとし、省令上の規定整備を行うこと。
i
出資者及び出資額の明細等。
ii
主な資産及び負債の明細(長期借入金(財政投融資資金等)、債券、引当金等の明細)
iii
固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細
iv
関係会社株式の明細(後述)
v
出資先団体等に対する出資等の明細(ivに係るものを除く。後述)
vi
関係会社に対する債権・債務の明細(後述)
vii
主な費用及び収益の明細(国庫補助金等の明細、役員及び職員の給与費の明細等)


3 特殊法人の子会社・関連会社等の現状【実態】

特殊法人の子会社等の全体像を初めて明らかにするもの
子会社・関連会社等の概況





4 特殊法人の子会社・関連会社等の情報開示の推進

(1) 特殊法人の子会社・関連会社の情報開示の推進
特殊会社を除く子会社・関連会社の情報開示についての規定なし
子会社・関連会社の情報開示は不十分(13法人中7法人は子会社との関係を開示せず。)

【勧告要旨】

以下の事項を事業報告書及び附属説明書類の必要的記載事項とし、省令上の規定整備を行うこと。
i 事業報告書 : 子会社・関連会社等の概況、名称、住所、資本金、事業内容、役員の状況、従業員数、持株比率及び特殊法人との関係
ii 附属説明書類: 関係会社株式の明細、関係会社に対する債権・債務の明細


(2) 資金供給業務としての出資の情報開示の推進
資金供給業務としての出資の情報開示についての規定なし
資金供給業務としての出資の情報開示は不十分(13法人中6法人は個別出資先の情報を開示せず)

【勧告要旨】

以下の事項を事業報告書及び附属説明書類の必要的記載事項とし、省令上の規定整備を行うこと。
i 事業報告書 : 出資事業全体の概要、出資事業別の出資目的と出資根拠、出資先の概要(出資比率20%以上のものの名称、事業内容、出資目的、出資根拠、出資額、出資年月)
ii 附属説明書類: 出資金の明細(出資比率20%以上のものの名称、一株の額、所有株数等)


(3) 特殊法人と特定の関係を有する公益法人の情報開示の推進
関連公益法人の情報開示についての規定なし
関連公益法人の情報開示は不十分(28法人中17法人は全く開示せず。)

【勧告要旨】

以下の事項を事業報告書及び附属説明書類の必要的記載事項とし、省令上の規定整備を行うこと。
i 事業報告書 : 関連公益法人の名称、住所、基本財産、事業内容、役員の状況、職員数、特殊法人との関係
ii 附属説明書類: 関連公益法人の基本財産に対する出捐や寄付等の明細


5 特殊法人のディスクロージャーの総合的・統一的推進

(1) 財務内容等に関する書類の作成・公開の法定化

【勧告要旨】

財務内容等に関する書類の作成・公開に関し、法律上の位置付けの明確化を速やかに行うこと。


(2) 政府としての統一的対処方針の明確化

【勧告要旨】

本行政監察の結果を踏まえ講ずべき具体的措置につき政府としての対処方針を明らかにすること。


(3) フォローアップの実施

【勧告要旨】

ディスクロージャーの推進状況を明らかにするなど、必要なフォローアップを図ること。
 

【資料編】
資料1 特殊法人のディスクロージャーを巡る経緯
資料2 特殊法人のディスクロージャーについて(平成7年12月19日閣議決定)の概要
資料3 特殊法人に関する調査結果に基づく勧告の概要−財務内容の公開・子会社等を中心として
資料4 特殊法人一覧
資料5 特殊法人の財務内容等に関する書類
資料6 民間部門(株式会社)におけるディスクロージャー
資料7 子会社・関連会社等の概要



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