第2章 平成21年度決算に基づく健全化判断比率等の状況

 第2章は、「平成21年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(確報)」(平成22年11月30日総務省公表)に基づくものである。地方公共団体数は、都道府県47団体、政令指定都市19団体、市区790団体、町村941団体の合計1,797団体であり、公営企業会計の総数は、7,146会計である。それぞれの比率において、平成21年度決算に基づく健全化判断比率等が早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上であった場合には、平成22年度末までに財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない。

 また、第2章において「市区」とは、用語解説における「中核市」、「特例市」、「都市」及び「特別区」をいう。

 なお、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律等の概要」については、附属資料を参照のこと。

(1)実質赤字比率

 平成21年度決算に基づく実質赤字比率の状況は、第109図のとおりである。

 実質赤字額がある(実質赤字比率が0%超である)団体数を団体種類別にみると、都道府県は該当団体がなく、政令指定都市は1団体、市区8団体、町村4団体であり、合計13団体となっている。

 このうち実質赤字比率が早期健全化基準以上である団体はなかった。

(2)連結実質赤字比率

 平成21年度決算に基づく連結実質赤字比率の状況は、第110図のとおりである。

 連結実質赤字額がある(連結実質赤字比率が0%超である)団体数を団体種類別にみると、都道府県は該当団体がなく、政令指定都市2団体、市区19団体、町村10団体であり、合計31団体となっている。

 このうち連結実質赤字比率が早期健全化基準以上である団体はなかった。

(3)実質公債費比率

ア 早期健全化基準・財政再生基準以上である団体数

 平成21年度決算に基づく実質公債費比率の状況は、第111図のとおりである。

 実質公債費比率が早期健全化基準以上である団体数は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区2団体、町村10団体の合計12団体となっている。そのうち財政再生基準以上である団体数は市区1団体となっている。

イ 実質公債費比率の段階別分布状況

 実質公債費比率の段階別分布状況は、第112図のとおりである。

 実質公債費比率が地方債許可制移行基準(18%)以上である団体数は、都道府県4団体(構成比8.5%)、政令指定都市2団体(同10.5%)、市区117団体(同14.8%)、町村183団体(同19.4%)の合計306団体(同17.0%)となっている。

 このうち実質公債費比率が早期健全化基準(25%)以上であり財政再生基準(35%)未満である団体数は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区1団体(同0.1%)、町村10団体(同1.1%)の合計11団体(同0.6%)であり、財政再生基準(再掲35%)以上である団体数は、市区1団体(同0.1%)となっている。

ウ 団体種類別実質公債費比率の状況

 団体種類別の実質公債費比率の状況は、第44表のとおりであり、実質公債費比率の平均が最も高いのは、町村13.7%であり、以下、政令指定都市13.2%、都道府県13.0%、市区10.2%の順となっている。

(4)将来負担比率

ア 早期健全化基準以上である団体数

 平成21年度決算に基づく将来負担比率の状況は、第113図のとおりである。

 将来負担比率が早期健全化基準以上である団体数は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区2団体、町村1団体の合計3団体となっている。

イ 将来負担比率の段階別分布状況

 将来負担比率の段階別分布状況は、第114図のとおりである。

 将来負担比率の段階別分布状況では、都道府県においては200%以上300%未満の区分、政令指定都市においては100%以上200%未満の区分、市区及び町村においては100%未満の区分における団体数が最も多くなっている。

ウ 団体種類別将来負担比率の状況

 団体種類別の将来負担比率の状況は、第45表のとおりであり、将来負担比率の平均は、都道府県229.2%、政令指定都市190.5%、市区68.9%、町村68.6%となっている。

エ 団体種類別将来負担額等の状況

 団体種類別の将来負担額等の規模は、第115図のとおりである。

 一般会計等に係る地方債の現在高や債務負担行為に基づく支出予定額等を合計した将来負担額から基金等の充当可能財源等を控除した実質的な将来負担額(将来負担比率の分子となる額)の団体種類別合計額は、都道府県52兆9,270億円、政令指定都市9兆6,499億円、市区12兆528億円、町村2兆1,773億円となっている。

 また、団体区分別の項目別将来負担額等の状況は第46表のとおりであり、都道府県は一般会計等に係る地方債現在高が87兆3,338億円と最も多く、退職手当負担見込額14兆4,816億円、公営企業債等繰入見込額3兆7,171億円の順になっており、政令指定都市は一般会計等に係る地方債現在高が19兆12億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額5兆4,536億円、退職手当負担見込額1兆7,677億円の順になっており、市区も一般会計等に係る地方債現在高が31兆5,050億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額13兆6,260億円、退職手当負担見込額6兆3,556億円の順になっており、町村も一般会計等に係る地方債現在高が6兆2,689億円と最も多く、公営企業債等繰入見込額2兆7,567億円、退職手当負担見込額1兆1,498億円の順になっている。

 平成21年度決算に基づく健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数の状況は、第47表のとおりである。団体種類別の合計(純計)は、都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区3団体、町村11団体の合計14団体となっており、前年度(都道府県及び政令指定都市は該当団体がなく、市区6団体、町村16団体の合計22団体。平成21年度末までに財政健全化計画又は財政再生計画を策定済み。)に比べて8団体(市区で3団体、町村で5団体)減少している。新たに早期健全化基準以上となった団体はなく、財政健全化計画に基づいて、厳しい歳出削減により捻出した財源で繰上償還を行うなどの取組を行った結果、平成21年度決算で早期健全化基準未満となった8団体全てが法に基づき財政健全化計画の完了報告を行った。

(5)資金不足比率

ア 資金不足額がある公営企業会計数

 平成21年度決算に基づく資金不足比率の状況を団体種類別にみたものが第116図である。

 資金不足額がある(資金不足比率が0%超である)公営企業会計数をみると、都道府県3会計、政令指定都市11会計、市区98会計、町村38会計、一部事務組合等12会計であり、合計162会計となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は、都道府県は該当がなく、政令指定都市4会計(資金不足額がある会計数の36.4%)、市区の25会計(同25.5%)、町村14会計(同36.8%)、一部事務組合等6会計(同50.0%)であり、合計49会計(同30.2%)となっている。

 また、資金不足比率の状況を事業別にみたものが第117図である。

 資金不足額がある公営企業会計数をみると、病院事業が80会計と最も多く、以下、宅地造成事業(21会計)、交通事業(20会計)、観光施設事業(15会計)、下水道事業(9会計)の順となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は、観光施設事業が11会計(資金不足額のある会計数の73.3%)が最も多く、以下、病院事業が10会計(同12.5%)、交通事業9会計(同45.0%)、宅地造成事業5会計(同23.8%)、下水道事業4会計(同44.4%)の順となっている。

イ 公営企業会計の資金不足額

 公営企業会計の資金不足額の状況を団体種類別にみたものが第118図であり、都道府県43億円、政令指定都市668億円、市区557億円、町村46億円、一部事務組合等124億円であり、合計1,438億円となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、都道府県は該当する会計がなく、政令指定都市563億円(資金不足額がある会計の84.4%)、市区275億円(同49.3%)、町村29億円(同62.1%)、一部事務組合等116億円(同93.2%)で、合計983億円(同68.3%)となっている。

 また、資金不足額の状況を事業別にみたものが第119図であり、交通事業が549億円と最も多く、以下、病院事業(484億円)、宅地造成事業(150億円)、市場事業(134億円)の順となっている。

 このうち資金不足比率が経営健全化基準以上である会計の資金不足額は、交通事業が516億円(資金不足額がある会計の93.9%)と最も多く、以下、病院事業141億円(同29.2%)、市場事業134億円(同99.9%)、宅地造成事業80億円(同53.6%)の順となっている。

 平成21年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数の状況は、第48表のとおりである。経営健全化基準以上となった会計の合計は49会計であり、前年度(都道府県は該当がなく、政令指定都市4会計、市区33会計、町村19会計、一部事務組合5会計の合計61会計)より12会計(市区で8会計、町村で5会計減少。一部事務組合で1会計増加)減少している。その内訳は、平成21年度決算で新たに経営健全化基準以上となった会計が4会計あり、平成21年度決算で経営健全化基準未満となった会計が14会計、平成21年度末までに会計を廃止したため、平成21年度決算に基づく資金不足比率の算定を行わなかった会計が2会計である。

 また、平成20年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった61会計のうち、経営健全化計画の策定を要する53会計(平成21年度末までに会計を廃止した6会計、健全化施行令第20条の規定による2会計の合計8会計については、経営健全化計画の策定を要しない)については、平成21年度末までに経営健全化計画を策定済みであり、経営健全化計画に基づいて、収益の増加や経費の節減などの取組を行った結果、このうち、平成21年度決算で経営健全化基準未満となった8会計のうち7会計が法に基づき経営健全化計画の完了報告を行った。