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7 地方公営事業の状況

(1)地方公営企業

ア 概況

(ア)事業数[資料編:第114表

平成23年度末において、地方公営企業を経営している団体数は1,786団体(企業団・一部事務組合等でのみ地方公営企業を経営している4団体及び特別区を含む。)であり、その内訳は47都道府県、19政令指定都市、1,720市区町村となっている(地方公営企業を経営していない団体は3団体)。

これらの団体が経営している地方公営企業の事業数は8,754事業で、前年度末と比べると89事業減少している。これを事業別にみると、第79図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)、病院事業の順となっている。

第79図 地方公営企業の事業数の状況(平成23年度末)

(イ)業務の状況

地方公営企業は、住民の生活水準の向上を図る上で大きな役割を果たしている。各事業全体の中で地方公営企業が占める割合は、第20表のとおりである。

第20表 事業全体に占める地方公営企業の割合

平成23年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力7,036万8千m3/日、導送配水管73万1,009kmを有し、年間156億m3(対前年度比1.4%減)の配水を行っている。また、給水人口は平成23年度末で1億2,477万4千人で、全国人口に対する割合は96.9%に達している。

b 工業用水道事業

工業用水道事業においては、配水能力2,163万m3/日、導送配水管8,624kmを有し、年間44億79百万m3(対前年度比2.4%減)の配水を行っている。また、契約水量は1,721万4千m3/日(同0.7%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

都市高速鉄道事業においては、車両4,538両、営業路線540kmを有している。また、年間輸送人員は28億94百万人(対前年度比0.3%減)となっている。

d バス事業

バス事業においては、車両8,418両、営業路線9,231kmを有している。また、年間輸送人員は9億36百万人(対前年度比0.5%減)であり、近年減少が続いている。

e 病院事業

病院事業においては、863病院、病床20万632床を有している。また、年延患者数は1億4,349万人(対前年度比2.9%減)であり、10年連続の減少となっている。

f 下水道事業

下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,217万m3/日、下水管布設延長49万3,657kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は110億m3(対前年度比0.9%減)となっている。

(ウ)職員数[資料編:第115表

平成23年度末における地方公営企業に従事する職員の数は34万7,808人で、前年度末と比べると0.9%減となっている。

これを事業別にみると、第80図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっており、これら4事業で職員数全体の93.5%を占めている。また、行政改革の推進による定員管理の適正化等により、有料道路事業以外の事業において職員数は減少している。

第80図 職員数の状況

(エ)決算規模等[資料編:第116表

決算規模は17兆2,252億円で、建設投資額や「地方財政法」第33条の9の規定に基づく公的資金補償金免除繰上償還額(以下「補償金免除繰上償還額」という。)の減少等により、前年度と比べると4,267億円減少(2.4%減)となっており、普通会計歳出決算額の17.8%(前年度18.6%)に相当する規模となっている。なお、補償金免除繰上償還額を除いたベースでは16兆9,799億円となっており、前年度と比べると3,207億円減少(1.9%減)となっている。

これを事業別にみると、第81図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、交通事業の順となっている。

第81図 決算規模の推移

また、建設投資額の推移は、第82図のとおりであり、平成23年度の額は3兆4,486億円で、前年度と比べると1,289億円減少(3.6%減)となっており、普通会計の普通建設事業費の27.5%(前年度26.8%)に相当する規模となっている。

第82図 建設投資額の推移

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。建設投資額が前年度より減少した主な事業は、市場事業(対前年度比1,049億円減少、77.9%減)、下水道事業(同857億円減少、5.2%減)、宅地造成事業(同120億円減少、5.7%減)、交通事業(同41億円減少、2.2%減)となっている。

(オ)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況をみると、第21表のとおりであり、黒字事業数は全体の89.1%、赤字事業数は10.9%で、全体としては4,246億円の黒字となっている(前年度4,579億円の黒字)。また、黒字額が前年度に比べて減少した主な理由については、特定被災地方公共団体が経営する公営企業において、料金収入が減少したことや、震災により損壊した建物の除却による特別損失の増加等が総収支の悪化を招き、それが公営企業全体の総収支の額の減少にも影響したこと等が挙げられる。

第21表 地方公営企業全体の経営状況

(カ)料金収入

料金収入は8兆9,385億円で、前年度と比べると771億円減少(0.9%減)となっている。これを事業別にみると、第83図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、下水道事業、交通事業の順となっている。

第83図 料金収入の状況

(キ)企業債の状況

資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第84図のとおりであり、発行額は2兆4,195億円で、前年度と比べると2,715億円減少(10.1%減)となっている。なお、補償金免除繰上償還に係る借換債を除いたベースでは2兆2,405億円となっており、前年度と比べると1,678億円減少(7.0%減)となっている。

第84図 企業債発行額の状況

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。

企業債借入先別現在高の推移は、第85図のとおりであり、平成23年度末の額は51兆6,026億円で、前年度末と比べると1兆7,451億円減少(3.3%減)となっている。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合を占め、以下、地方公共団体金融機構、市場公募の順となっている。

第85図 企業債借入先別現在高の推移

(ク)他会計繰入金の状況

他会計からの繰入金は3兆2,702億円で、前年度と比べると326億円増加(1.0%増)となっている。

この内訳をみると、収益的収入として2兆1,234億円(収益的収入に対する割合17.7%)、資本的収入として1兆1,468億円(資本的収入に対する割合24.0%)となっている。

これを事業別にみると、下水道事業への繰入額が最も大きな割合(繰入額全体の54.9%)を占め、以下、病院事業(同22.4%)、水道事業(同6.7%)、交通事業(同5.2%)の順となっている。

(ケ)法適用企業の経営状況[資料編:第117表

a 損益収支

法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、当該年度の総合的な収支状況を表し、総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、過年度の職員給与費等の費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表し、経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、ここでいう経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は10兆252億円、総費用(経常費用+特別損失)は9兆6,735億円となっている。この結果、純損益は3,517億円の黒字となっており、総収支比率は103.6%と前年度より0.5ポイント減少している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は9兆9,542億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は9兆5,022億円となっている。この結果、経常損益は4,520億円の黒字となっており、経常収支比率は104.8%と前年度より0.3ポイント減少している。

経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度からは9年連続で100%を上回っている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第22表のとおりである。

第22表 法適用企業の経営状況

b 累積欠損金

過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は5兆1,251億円で、前年度と比べると369億円増加(0.7%増)となっている。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、交通事業(累積欠損金合計額の42.8%)、病院事業(同39.7%)である。

c 不良債務

貸借対照表日現在において、流動負債の額が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は2,022億円で、前年度と比べると216億円減少(9.7%減)となっている。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額全体の71.6%)、下水道事業(同11.2%)、病院事業(同7.7%)である。

d 資本収支

建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は5兆5,963億円で、前年度と比べると1,555億円減少(2.7%減)となっている。これに対する財源は、企業債等の外部資金が2兆9,719億円、損益勘定留保資金等の内部資金が2兆5,476億円、財源不足額は768億円となっている。

資本的支出のうち建設改良費は2兆4,236億円で、前年度と比べると498億円減少(2.0%減)となっている。建設改良費が大きい事業は、水道事業(建設改良費全体の38.2%)、下水道事業(同32.3%)、病院事業(同15.2%)である。

(コ)法非適用企業の経営状況[資料編:第119表

法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の97.5%、赤字事業数は2.5%を占めており、全体では729億円の黒字(前年度632億円の黒字)となっている。

(サ)経営健全化等の状況

地方公営企業の経営健全化、抜本改革の推進等に向けた取組については、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」(平成21年7月8日付け総務省自治財政局公営企業課長、公営企業経営企画室長、地域企業経営企画室長通知)において、事業そのものの意義や必要性を再検討し、採算性を踏まえた上で、平成25年度までに抜本的改革を推進するよう要請している。各地方公共団体においては、同通知を踏まえ、民間への事業譲渡、地方独立行政法人制度、指定管理者制度、PFI事業、民間委託等の事業手法の導入など、さまざまな取組が進められているところである(詳細は第3部4(2)参照)。

イ 事業別状況[資料編:第114表第119表

(ア)水道事業

a 事業数

(a)上水道事業

地方公共団体が経営する上水道事業で、平成23年度決算対象となるものは、1,354事業であり、このうち、末端給水事業は1,281事業、用水供給事業は73事業(うち建設中5事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、政令指定都市営が18事業、市営が688事業、町村営が523事業、企業団営等が48事業であり、用水供給事業は、府県営が22事業、政令指定都市営が1事業、企業団営等が50事業となっている。

(b)簡易水道事業

地方公共団体が経営する簡易水道事業で、平成23年度決算対象となるものは、780事業(うち法適用22事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が507事業で全体の65.0%を占め、以下、市営が264事業、政令指定都市営が5事業、一部事務組合営等が3事業、県営が1事業となっている。

b 業務の状況

水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、平成23年度末で1億25百万人(上水道事業1億21百万人、簡易水道事業4百万人)であり、前年度と比べると微減となっている。また、平成23年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は185億38百万m3(前年度188億3百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は304l(同311l)となっている。

c 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

上水道事業及び法適用の簡易水道事業の総収益は2兆9,737億円、総費用は2兆7,686億円となっており、この結果、純損益は2,051億円の黒字(前年度2,143億円の黒字)、総収支比率は107.4%となっている。また、経常収益は2兆9,613億円、経常費用は2兆7,381億円となっており、この結果、経常損益は2,231億円の黒字、経常収支比率は108.1%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第23表のとおりである。

第23表 水道事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は1,656億円で、前年度と比べると1.1%増となっている。また、不良債務は2億円で、前年度と比べると58.8%減となっている。

(ii)資本収支

資本的支出は、第86図のとおりであり、平成23年度の額は1兆6,848億円で、前年度と比べると1.8%減となっている。これに対する財源は、外部資金が5,753億円、内部資金が1兆1,081億円で、財源不足額は14億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は9,267億円で、前年度と比べると0.2%増、企業債償還金は6,499億円で、前年度と比べると6.2%減となっている。

第86図 水道事業(法適用企業)の資本的支出及びその財源

(iii)給水原価と料金

有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は173.84円で、前年度と比べると2.3%増となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が65.26円、職員給与費が25.08円、受水費が29.80円、その他の経費が53.70円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価は171.15円であり、給水原価が供給単価を2.69円上回る状態となっている。

また、平成23年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は117事業(前年度143事業)で、営業中の事業の8.5%となっている。

(b)法非適用企業

簡易水道事業における法非適用企業は758事業で、実質収支をみると、黒字事業が750事業で52億円の黒字、赤字事業が8事業で2億円の赤字となっており、差引50億円の黒字となっている。

(イ)工業用水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する工業用水道事業で、平成23年度決算対象となるものは、152事業(うち建設中3事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が40事業、政令指定都市営が8事業、市営が82事業、町村営が13事業、企業団営が9事業となっている。

施設数は258施設、給水先事業所数は6,088箇所、年間総配水量は44億79百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの。)の平均は57.0%(前年度58.1%)となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

工業用水道事業の総収益は1,454億円、総費用は1,226億円となっており、この結果、純損益は228億円の黒字(前年度214億円の黒字)、総収支比率は118.6%となっている。また、経常収益は1,443億円、経常費用は1,218億円となっており、この結果、経常損益は225億円の黒字、経常収支比率は118.5%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第24表のとおりである。

第24表 工業用水道事業の経営状況

累積欠損金は567億円で、前年度と比べると4.2%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は1,084億円で、前年度と比べると3.6%減となっている。これに対する財源は、外部資金が440億円、内部資金が641億円で、財源不足額は2億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は339億円で、前年度と比べると1.3%減、企業債償還金は441億円で、前年度と比べると7.1%減となっている。

(c)給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価は28.08円(資本費14.31円、職員給与費3.70円、その他の経費10.07円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は30.00円となっている。

これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(15.25円)が給水原価(13.02円)を2.23円上回っており、補助事業では供給単価(33.63円)が給水原価(31.78円)を1.85円上回っている。

c 経営健全化措置

工業用水道事業の経営健全化措置については、平成14年度から水利権の転用等を伴う未稼動資産等の整理により抜本的な経営健全化策に取り組む地方公共団体を対象として未稼動資産等整理経営健全化対策を講じたところであり、1団体2施設が取組を行っている(経営健全化団体の指定は平成18年度をもって終了している。)。

(ウ)交通事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する交通事業で、平成23年度決算対象となるものは、98事業(うち未開業1事業)である。これを事業別にみると、バスが35事業、都市高速鉄道が10事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が46事業となっている。

これらによる年間輸送人員は39億4,325万人、1日平均1,077万人(対前年度比0.6%減)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが256万人(同0.8%減)、都市高速鉄道が791万人(同0.5%減)、路面電車が14万人(同0.7%増)、その他が17万人(同5.0%増)となっている。

公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を輸送人員からみると、第87図のとおりであり、バスについては21.1%、鉄道については13.2%となっている。

第87図 バス、鉄道における公営交通事業の状況

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用の交通事業の総収益は7,631億円、総費用は7,369億円となっており、この結果、純損益は262億円の黒字(前年度388億円の黒字)、総収支比率は103.6%となっている。また、経常収益は7,580億円、経常費用は7,307億円となっており、この結果、経常損益は273億円の黒字、経常収支比率は103.7%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第25表のとおりである。

第25表 交通(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は2兆1,914億円で、前年度と比べると0.4%減となっている。また、不良債務は1,447億円で、前年度と比べると1.3%減となっている。

これを事業別にみると、バス事業においては、経常損益は17億円の赤字となっており、純損益は21億円の赤字となっている。また、累積欠損金は1,411億円で、前年度と比べると1.3%増となっており、不良債務は208億円で、前年度と比べると2.0%減となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第26表のとおりである。

第26表 交通事業のうちバス事業の経営状況

都市高速鉄道事業においては、経常損益は314億円の黒字となっており、純損益は304億円の黒字となっている。また、累積欠損金は1兆9,884億円で、前年度と比べると0.6%減となっており、不良債務は862億円で、前年度と比べると1.4%減となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第27表のとおりである。

第27表 交通事業のうち都市高速鉄道事業の経営状況

(ii)資本収支

資本的支出は5,422億円(うち都市高速鉄道事業4,922億円、バス事業361億円)で、前年度と比べると6.2%減となっている。これに対する財源は、外部資金が2,900億円、内部資金が2,112億円で、財源不足額は410億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1,824億円(うち都市高速鉄道事業1,547億円、バス事業159億円)で、前年度と比べると2.0%減、企業債償還金は3,321億円(うち都市高速鉄道事業3,112億円、バス事業189億円)で、前年度と比べると6.6%減となっている。

(b)法非適用企業

交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の39事業で、実質収支をみると、黒字事業が37事業で2億円の黒字、赤字事業は2事業で2億円の赤字となっている。

c 地下鉄事業の経営健全化措置

地下鉄事業の経営健全化措置については、不良債務の計画的な解消及びその発生の抑制を図ること等を目的に、資金不足額について一般会計からの繰出し(一般会計出資)分を起債できることとする地下鉄事業経営健全化対策を講じており、平成23年度末現在において4団体が取組を行っている。

(エ)電気事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する電気事業で、平成23年度決算対象となるものは、63事業であり、法適用企業が26事業、法非適用企業が37事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が26事業、政令指定都市営が4事業、市営が15事業、町村営が14事業、一部事務組合等営が4事業となっている。施設数は351施設で、最大出力の合計は274万9千kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は96億kWh、年間売電電力量は90億86百万kWhとなっている。

上記のうち稼働中の水力発電施設は288施設、ごみ発電施設は15施設、スーパーごみ発電施設は3施設、ごみ固形燃料発電施設は1施設、風力発電施設は36施設、太陽光発電施設は1施設であり、自家消費部分を含む最大出力の合計は水力発電施設で239万kW、ごみ発電施設で14万kW、スーパーごみ発電施設で78千kW、ごみ固形燃料発電施設で12千kW、風力発電施設で95千kW、太陽光発電施設で1千kW、年間発電電力量は、水力発電施設で84億79百万kWh、ごみ発電施設で6億39百万kWh、スーパーごみ発電施設で2億71百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で63百万kWh、風力発電施設で1億49百万kWh、太陽光発電施設で305千kWh、年間売電電力量は、水力発電施設で83億95百万kWh、ごみ発電施設で3億12百万kWh、スーパーごみ発電施設で1億94百万kWh、ごみ固形燃料発電施設で39百万kWh、風力発電施設で1億46百万kWh、太陽光発電施設で305千kWhとなっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用の電気事業の総収益は717億円、総費用は666億円となっており、この結果、純損益は52億円の黒字(前年度62億円の黒字)、総収支比率は107.8%となっている。また、経常収益は715億円、経常費用は660億円となっており、この結果、経常損益は55億円の黒字、経常収支比率は108.4%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第28表のとおりである。

第28表 電気事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は30億円で、前年度と比較すると11.0%増となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(ii)資本収支

資本的支出は321億円で、前年度と比べると15.4%減となっている。これに対する財源は、外部資金が74億円、内部資金が247億円で、財源不足額は生じていない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は106億円で前年度に比べると10.0%増、企業債償還金は126億円で、前年度と比べると10.3%減となっている。

(b)法非適用企業

電気事業における法非適用企業は、ごみ発電事業、スーパーごみ発電事業、風力発電事業及び水力発電事業の37事業(うち建設中1事業)で、実質収支をみると35事業において黒字であり、黒字額は15億円となっている。一方、1事業において赤字であり、赤字額は1億円となっている。

(オ)ガス事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営するガス事業で、平成23年度決算対象となるものは、30事業である。これを経営主体別にみると、政令指定都市営が1事業、市営が21事業、町村営が7事業、企業団営が1事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は86万戸(前年度89万戸)で、供給区域内戸数に対する普及率は68.0%となっている。また、販売量は352億14百万MJで、前年度と比べると8.7%減となっている。

ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、事業数で14.4%、供給戸数で3.0%、販売量で2.3%となっている。なお、民間大手4社を除いた割合では、供給戸数で10.8%、販売量で8.5%となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

ガス事業の総収益は948億円、総費用は963億円となっており、この結果、純損益は15億円の赤字(前年度8億円の黒字)、総収支比率は98.4%となっている。また、経常収益は937億円、経常費用は928億円となっており、この結果、経常損益は10億円の黒字、経常収支比率は101.1%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第29表のとおりである。

第29表 ガス事業の経営状況

累積欠損金は504億円で、前年度と比べると6.6%増となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は304億円で、前年度と比べると14.3%増となっている。これに対する財源は、外部資金が94億円、内部資金が207億円で、財源不足額は3億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は168億円で、前年度と比べると26.0%増、企業債償還金は120億円で、前年度と比べると2.1%増となっている。

(カ)病院事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する病院事業(「地方公営企業法」を適用する病院事業)で、平成23年度決算対象となるものは、652事業(うち建設中3事業)であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は863病院である。これを経営主体別にみると、都道府県立が162病院(37都道府県)、政令指定都市立が37病院(15政令指定都市)、市立が379病院(316市)、町村立が181病院(173町村)及び一部事務組合等立が104病院(77組合)となっている。

自治体病院のうち病床数300床以上の病院は、一般病院の32.4%に当たる268病院となっており、地域における基幹病院、中核病院として高度医療の提供を行っている。

一方、病床数が150床未満であり、直近の一般病院までの移動距離が15キロメートル以上となる位置に所在している等の条件下にある「不採算地区病院」は、一般病院の37.0%に当たる306病院となっており、民間医療機関による診療が期待できない離島、山間地等のへき地における医療の確保のため、重要な役割を果たしている。

さらに、自治体病院全体の85.0%に当たる734病院が救急病院として告示を受けており、地域の救急医療を担っている。

平成23年度末における病床数は20万1千床で、前年度と比べると2.8%減となり、入院、外来延患者数は1億4千万人で、2.9%減となっている。

また、病床利用率は74.4%(前年度74.8%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は165.3%(前年度164.7%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第88図のとおりである。

第88図 全国の病院に占める自治体病院の状況

b 経営状況

(a)損益収支

病院事業の総収益は3兆9,515億円、総費用は3兆9,526億円となっており、この結果、純損益は11億円の赤字(前年度9億円の黒字)、総収支比率は99.9%となっている。また、経常収益は3兆9,203億円、経常費用は3兆9,108億円となっており、この結果、経常損益は95億円の黒字、経常収支比率は100.2%となっている。純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第30表のとおりである。

第30表 病院事業の経営状況

累積欠損金は2兆319億円で、前年度と比べると1.9%減となっている。また、不良債務は155億円で、前年度と比べると49.6%減となっている。

また、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は92.3%(前年度92.4%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が92.9%(同92.9%)、結核病院が39.6%(同43.4%)、精神科病院が68.7%(同69.6%)となっている。

平成23年度においては、東日本大震災の影響による固定資産の除却費の増加等により、特別損失が前年度に比べ139億46百万円、50.1%増加したため、純損益は赤字となっている。

なお、東日本大震災による被害を受けた特定被災地方公共団体の決算を除いてみると、純損益は26億円の黒字となっており、昭和63年度以来22年ぶりの純損益が黒字となった前年度決算と同様、診療報酬の改定等により黒字基調を維持している。

(b)資本収支

資本的支出は7,284億円で、前年度と比べると7.9%増となっている。これに対する財源は、外部資金が5,125億円、内部資金が2,048億円で、財源不足額は111億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,688億円で、前年度と比べると16.9%増、企業債償還金は3,224億円で、前年度と比べると1.7%減となっている。

(キ)下水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する下水道事業で、平成23年度決算対象となるものは、3,625事業(うち建設中27事業)であり、法適用企業が454事業、法非適用企業が3,171事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が81事業、政令指定都市営が47事業、市営が1,886事業、町村営が1,586事業、一部事務組合等営が25事業となっている。

下水道事業の平成23年度末における現在処理区域内人口は1億人、現在処理区域面積は469万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は149億m3で、前年度と比べると0.1%減となっており、年間有収水量は110億m3で、前年度と比べると0.9%減となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用企業の下水道事業の総収益は1兆6,669億円、総費用は1兆6,035億円となっており、この結果、純損益は634億円の黒字(前年度721億円の黒字)、総収支比率は104.0%となっている。また、経常収益は1兆6,527億円、経常費用は1兆5,806億円となっており、この結果、経常損益は721億円の黒字、経常収支比率は104.6%となっている。純損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第31表のとおりである。

第31表 下水道事業の経営状況

累積欠損金は1,995億円で、前年度と比べると1.5%増となっている。また、不良債務は226億円で、5.0%減となっている。

(ii)資本収支

資本的支出は1兆9,600億円で、前年度と比べると0.2%減となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆1,708億円、内部資金が7,676億円で、財源不足額は216億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は7,825億円で、前年度と比べると1.3%増、企業債償還金は1兆1,649億円で、前年度と比べると1.2%減となっている。

(b)法非適用企業

下水道事業における法非適用企業の総収益は1兆4,368億円で、前年度と比べると2.6%減となっている。その内訳をみると、料金収入が6,087億円(総収益に占める割合42.4%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が6,344億円(同44.2%)等となっている。一方、総費用は9,869億円で、前年度と比べると3.6%減となっており、うち地方債利息が3,663億円(総費用に占める割合25.5%)となっている。

資本的支出は1兆6,974億円で、前年度と比べると7.2%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は7,730億円で、前年度と比べると11.0%減、地方債償還金は9,188億円で、前年度と比べると3.7%減となっている。

実質収支をみると、黒字事業が3,099事業で824億円の黒字、赤字事業が47事業で219億円の赤字となっており、差引606億円の黒字となっている(第31表)。

(c)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の黒字額は1,637億円、赤字額は454億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は1,240億円の黒字となっている。このように、全体の収支は黒字となっているが、これは他会計からの繰入れが大きく影響している。

汚水処理原価(汚水処理費を年間有収水量で除したもの)は、156.13円/m3(維持管理費72.04円/m3、資本費84.09円/m3)で、前年度と比べると0.5%増となっており、使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除したもの)は、135.98円/m3で、前年度と比べると0.1%増となっている。

その結果、経費回収率(使用料単価を汚水処理原価で除したもの)は87.1%となっており、前年度と比べると0.4%減少している。回収率が減少した要因としては、東日本大震災に係る料金減免等が考えられるが、それを差し引いても適正な回収率に達していない事業は依然として多いことから、引き続き経営の健全化に向けた取組を進めていく必要がある。

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の建設改良費は1兆5,556億円で、前年度と比べると5.2%減となっている。建設改良費は、平成11年度以来、年々減少しており、公共事業予算全体の縮減傾向が影響しているものと考えられるが、23年度においては東日本大震災に伴う災害復旧事業や施設の耐震化工事等の影響により、その減少幅は小さくなっている。

(ク)その他の地方公営企業

a 事業数

地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、平成23年度決算対象となるものは、港湾整備事業が99事業、市場事業が170事業、と畜場事業が70事業、観光施設事業が356事業、宅地造成事業が459事業、有料道路事業が2事業、駐車場整備事業が230事業、介護サービス事業が591事業及びその他事業が37事業(診療所、廃棄物等処理施設、自動車学校等)となっている。

b 経営状況

その他の地方公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。なお、このうち、観光施設事業については全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)が1億円の黒字となっており、法適用企業の累積欠損金は294億円で、前年度と比べると0.8%減と改善されているものの、引き続き厳しい状況となっており、経営状況が悪化している事業について、事業の廃止を含め、抜本的な改革に積極的に取り組む必要がある。また、宅地造成事業については、全体の収支は257億円の黒字となっているものの、法適用企業の累積欠損金が3,298億円で、前年度と比べると30.7%増となっているほか、販売用土地の時価評価額が当該土地の地方債残高を下回っている事業が全体の6割以上を占めているなど、厳しい経営状況にある事業が極めて多くなっており、経営状況が悪化している事業について、対応を先延ばしにすることなく、抜本的な改革に早急に着手する必要がある。

第32表 その他の地方公営企業の経営状況

(2)国民健康保険事業[資料編:第120表

平成23年度末の国民健康保険事業の保険者は、1,746団体(19政令指定都市、41中核市、40特例市、687都市、932町村、4一部事務組合等、23特別区)で、総保険者数は前年度末と比べると7団体減少している。また、直営診療所を設置している団体は368団体(2政令指定都市、8中核市、10特例市、154都市、192町村、2一部事務組合)で、前年度末と比べると10団体減少している。

被保険者数は3,522万人であり、加入世帯数は2,039万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は31万人減、加入世帯数は1万世帯減となっている。

なお、退職者医療制度の被保険者数及び被扶養者数は211万人で、前年度末と比べると6万人増加(2.9%増)している。

ア 事業勘定

(ア)歳入

事業勘定の歳入決算額は13兆7,408億円で、前年度と比べると5,847億円増加(4.4%増)している。

歳入の内訳をみると、第89図のとおりであり、国民健康保険税(料)及び国庫支出金の合計で歳入総額の46.9%を占め、前年度(47.6%)と比べると0.7ポイント低下となっている。

第89図 国民健康保険事業の歳入決算の状況(事業勘定)

それぞれの決算額をみると、国民健康保険税(料)は3兆442億円で、前年度と比べると550億円増加(1.8%増)、国庫支出金は3兆3,951億円で、前年度と比べると1,188億円増加(3.6%増)している。国庫支出金の主な内訳としては、療養給付費等負担金が2兆5,429億円、財政調整交付金等が8,522億円で、前年度と比べるとそれぞれ547億円増加(2.2%増)、642億円増加(8.1%増)している。

また、都道府県支出金は6,001億円で、前年度と比べると142億円増加(2.4%増)している。

さらに、他会計繰入金は1兆1,821億円で、前年度と比べると46億円減少(0.4%減)している。この内訳をみると、財源補填的な繰入金が3,341億円(対前年度比3.1%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が4,429億円(同2.9%増)、高医療費基準超過額に係る繰入金が13億円(同80.9%増)等となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は13兆5,069億円で、前年度と比べると4,852億円増加(3.7%増)している。

歳出の内訳をみると、第90図のとおりであり、保険給付費は9兆826億円で、前年度と比べると2,534億円増加(2.9%増)している。

第90図 国民健康保険事業の歳出決算の状況(事業勘定)

保険給付費の主な内訳をみると、療養諸費等が8兆8,963億円で、前年度と比べると2,688億円増加(3.1%増)、その他の給付費が1,596億円で、前年度と比べると96億円減少(5.6%減)している。

(ウ)収支

実質収支は2,326億円の黒字(前年度1,336億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字基調が続いている。

しかし、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、1,886億円の赤字(前年度2,980億円の赤字)となっており、18年連続して赤字となっている。

再差引収支を団体規模別にみると、政令指定都市が1,272億円の赤字(前年度1,685億円の赤字)、中核市が269億円の赤字(同424億円の赤字)、特例市が221億円の赤字(同285億円の赤字)、都市が507億円の赤字(同881億円の赤字)となる一方、町村が176億円の黒字(同127億円の黒字)、一部事務組合等が5億円の黒字(同1億円の黒字)、特別区が202億円の黒字(同168億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると61団体増加の1,066団体で、その黒字額は395億円増加の1,739億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると68団体減少の680団体で、その赤字額は698億円減少の3,625億円となっている。

赤字の団体が占める割合を団体規模別にみると、政令指定都市が89.5%、中核市が61.0%、特例市が60.0%、都市が44.1%、町村が33.0%、特別区が8.7%となっており、特に政令指定都市、中核市及び特例市においては、厳しい財政運営が続いている。

イ 直診勘定

直診勘定の歳入決算額は649億円で、前年度と比べると24億円減少(3.6%減)している。

このうち、診療収入は420億円で、前年度と比べると8億円減少(1.9%減)しており、歳入総額に占める割合は64.7%(前年度63.6%)となっている。一方、他会計繰入金は138億円で、前年度と比べると12億円減少(7.9%減)しており、歳入総額に占める割合は21.2%(前年度22.2%)となっている。

直診勘定の歳出決算額は626億円で、前年度と比べると25億円減少(3.8%減)している。

このうち、総務費は343億円で、前年度と比べると8億円減少(2.1%減)している。また、医業費は219億円で、前年度と比べると1億円増加(0.6%増)しており、歳出総額に占める割合は34.9%(前年度33.4%)となっている。なお、医業費の診療収入に対する割合は52.0%で、前年度と比べて1.2ポイント上昇している。

実質収支は22億円の黒字(前年度21億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、113億円の赤字(同125億円の赤字)となっている。

(3)後期高齢者医療事業[資料編:第121表

後期高齢者医療事業では、保険料の徴収や後期高齢者医療連合へ保険料等の納付を行う市町村(1,740団体(19政令指定都市、41中核市、40特例市、687都市、929町村、1広域連合、23特別区))及び後期高齢者医療事業を実施する都道府県区域ごとの後期高齢者医療広域連合(47団体)に特別会計が設けられている。

ア 市町村

市町村の特別会計の歳入決算額は1兆2,683億円で、前年度と比べると239億円増加(1.9%増)している。このうち、被保険者が支払う後期高齢者医療保険料は9,098億円で、前年度と比べると189億円増加(2.1%増)しており、歳入総額に占める割合は71.7%(前年度71.6%)となっている。

歳出決算額は1兆2,459億円で、前年度と比べると224億円増加(1.8%増)している。このうち、後期高齢者医療広域連合への納付金が、1兆1,716億円で、前年度と比べると200億円増加(1.7%増)しており、歳出総額に占める割合は94.0%(前年度94.1%)となっている。

イ 後期高齢者医療広域連合

(ア)歳入

後期高齢者医療広域連合の歳入決算額は12兆6,125億円で、前年度と比べると3,863億円増加(3.2%増)している。

歳入の内訳をみると、第91図のとおりであり、支払基金交付金が5兆1,963億円(歳入に占める割合41.2%)、国庫支出金が3兆9,242億円(同31.1%)、市町村支出金が2兆1,244億円(同16.8%)、都道府県支出金が1兆307億円(同8.2%)で、それぞれ前年度と比べると支払基金交付金が2,197億円増加(4.4%増)、国庫支出金が1,930億円増加(5.2%増)、市町村支出金が831億円増加(4.1%増)、都道府県支出金が496億円増加(5.1%増)している。

第91図 後期高齢者医療事業の歳入決算の状況

(イ)歳出

後期高齢者医療広域連合の歳出決算額は12兆5,051億円で、前年度と比べると4,057億円増加(3.4%増)している。

歳出の内訳をみると、第92図のとおりであり、保険給付費は12兆2,948億円で、前年度と比べると5,608億円増加(4.8%増)しており、歳出総額の98.3%(前年度97.0%)を占めている。

第92図 後期高齢者医療事業の歳出決算の状況

(ウ)収支

実質収支は47団体全て黒字となっており、その黒字額は1,075億円(前年度1,269億円の黒字)となっている。

(4)介護保険事業[資料編:第122表

介護保険制度を実施する保険者である市町村が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65歳以上の者)からの保険料や、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る支払基金からの交付金である支払基金交付金等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる居宅サービス及び施設サービス等を実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

なお、市町村が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業は介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

平成23年度末の介護保険事業の保険者は、1,581団体(19政令指定都市、41中核市、39特例市、633都市、786町村、40一部事務組合等、23特別区)で、前年度と比べると7団体減少している。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は770団体(9政令指定都市、14中核市、19特例市、322都市、383町村、9一部事務組合等、14特別区)で、前年度と比べると13団体減少している。

ア 保険事業勘定

(ア)歳入

保険事業勘定の歳入決算額は8兆2,295億円で、前年度と比べると3,742億円増加(4.8%増)している。

歳入の内訳をみると、第93図のとおりであり、第1号被保険者が支払う保険料が1兆4,117億円(歳入総額に占める割合17.2%)、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあたっては100分の15)に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が1兆8,373億円(同22.3%)、支払基金交付金(第2号被保険者の介護給付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)が2兆3,082億円(同28.0%)、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあたっては100分の17.5)に相当する額)を含む都道府県支出金が1兆1,600億円(同14.1%)、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が1兆2,277億円(同14.9%)、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が1,674億円(同2.0%)等となっている。

第93図 介護保険事業の歳入決算の状況(保険事業勘定)

また、それぞれ前年度と比べると保険料が88億円増加(0.6%増)、国庫支出金が1,118億円増加(6.5%増)、支払基金交付金が1,000億円増加(4.5%増)、都道府県支出金が519億円増加(4.7%増)、他会計繰入金が601億円増加(5.2%増)、基金繰入金が517億円増加(44.7%増)している。

(イ)歳出

保険事業勘定の歳出決算額は8兆1,303億円で、前年度と比べると3,760億円増加(4.8%増)している。

歳出の内訳をみると、第94図のとおりであり、保険給付費は7兆6,414億円で、前年度と比べると3,754億円増加(5.2%増)しており、歳出総額の94.0%(前年度93.7%)を占めている。

第94図 介護保険事業の歳出決算の状況(保険事業勘定)

(ウ)収支

実質収支は953億円の黒字(前年度1,000億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、916億円の黒字(同980億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると49団体減少の1,513団体で、全団体に占める割合は95.7%(前年度98.4%)となっており、その黒字額は56億円減少の946億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると42団体増加の68団体で、全団体に占める割合は4.3%(前年度1.6%)となっており、その赤字額は8億円増加の30億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定

介護サービス事業勘定の歳入決算額は312億円で、前年度と比べると4億円増加(1.1%増)している。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は119億円(前年度比0.1%減)で、歳入総額に占める割合は38.1%(前年度38.6%)となっている。

普通会計等からの繰入金は168億円で、前年度と比べると1億円減少(0.8%減)しており、歳入総額に占める割合は53.8%(前年度54.8%)となっており、このうち、普通会計からのものが154億円で前年度と比べると2億円減少(1.1%減)している。

歳出決算額は298億円で、前年度と比べると2億円増加(0.8%増)している。このうち、サービス事業費が104億円で、前年度と比べると1億円増加(0.8%増)しており、歳出総額に占める割合は34.8%(前年度34.8%)となっている。

また、公債費の元利償還金は、105億円で、前年度と比べると1億円増加(1.0%増)しており、歳出総額に占める割合は35.1%(前年度35.1%)となっている。

なお、実質収支は13億円の黒字(前年度12億円の黒字)となっており、再差引収支は147億円の赤字(同151億円の赤字)となっている。

(5)その他の事業

ア 収益事業[資料編:第123表

収益事業を実施した地方公共団体の数は前年度と同じ延べ294団体となっている。

これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が107団体と最も多く、以下、自転車競走事業61団体、競馬事業53団体、小型自動車競走事業7団体の順となっている。

また、宝くじは、47都道府県及び19政令指定都市の66団体で発売されている。

これらを団体種類別にみると、都道府県においては延べ68団体、市町村においては延べ226団体が収益事業を実施している。

(ア)経営状況

収益事業の決算額は、歳入3兆798億円、歳出3兆643億円で、前年度と比べると歳入は1,822億円増加(6.3%増)、歳出は1,566億円増加(5.4%増)している。

実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は4,267億円の黒字(前年度3,601億円の黒字)となっている。

普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が6億円(前年度2億円)、自転車競走事業が32億円(同41億円)、小型自動車競走事業が6億円(同5億円)、モーターボート競走事業が81億円(同65億円)、宝くじ事業が4,215億円(同3,818億円)となっている。

(イ)収益金の使途状況

収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は4,341億円で、前年度と比べると410億円増加(10.4%増)している。

収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、土木費が1,225億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合28.2%)を占め、次いで、民生費の801億円(同18.5%)となっており、これらの費目で繰入総額の46.7%を占めている。

このほか、教育費が590億円(同13.6%)、衛生費が199億円(同4.6%)、商工費が150億円(同3.5%)等となっている。

イ 共済事業

(ア)農業共済事業[資料編:第125表

農業共済事業を実施した市町村の数は前年度と同じ56団体となっている。

農業共済事業会計の決算額は歳入144億円、歳出137億円で、前年度と比べると歳入は3億円減少(1.8%減)、歳出は3億円減少(2.0%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、36億円の赤字(前年度33億円の赤字)となっている。

(イ)交通災害共済事業[資料編:第126表

直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は81団体(43市町村、38一部事務組合等)で、前年度と比べると8団体減少している。

また、加入者は平成23年度末で944万人(前年度末980万人)となっている。

交通災害共済事業会計の決算額は歳入68億円、歳出56億円で、前年度と比べると歳入は11億円減少(13.5%減)、歳出は10億円減少(14.9%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は14億円の黒字(前年度20億円の黒字)となっている。

ウ 公立大学附属病院事業[資料編:第124表

公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体は1団体である。

公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益19億円、総費用19億円となり、前年度と比べると総収益は1億円減少(3.2%減)し、総費用は微増(0.5%増)となっている。

また、資本的収支では資本的収入3億円、資本的支出3億円となり、前年度と比べると、資本的収入及び資本的支出ともに微増(ともに2.7%増)となっている。

実質収支は1億円の黒字(前年度1億円の黒字)となっている。

(6)第三セクター等

第三セクター等の状況については、平成24年度の「第三セクター等の状況に関する調査」(平成24年3月31日現在)によると次のとおりである。

ア 第三セクター等の定義

第三セクター等とは、次の法人をいう。

(ア)第三セクター

a 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)等の規定に基づいて設立されている社団法人、財団法人及び特例民法法人(以下「社団法人・財団法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

b 「会社法」(平成17年法律第86号)の規定に基づいて設立されている株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び特例有限会社(以下「会社法法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

(イ)地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社(以下「地方三公社」という。)

(ウ)地方独立行政法人

イ 第三セクター等の数

第三セクター等の数は第33表のとおりであり、法人数の総計は8,308法人で、前年度末(8,484法人)に比べ176法人減少している。

第33表 第三セクター等の数

ウ 第三セクター等の経常損益の状況

第三セクター等のうち、(1)地方公共団体等の出資割合が25%以上の社団法人・財団法人及び会社法法人(2)出資割合が25%未満であるものの財政的支援(注1)を受けている社団法人・財団法人及び会社法法人(3)地方三公社(4)地方独立行政法人の7,063法人から22法人(注2)を除いた7,041法人(以下「経営状況等調査対象法人」という。)の経常損益の状況については第34表のとおりであり、4,196法人(59.6%)が黒字、2,845法人(40.4%)が赤字となっている。

第34表 第三セクター等の経常損益の状況

(注1)ここで「財政的支援」とは、補助金、貸付金及び損失補償のことをいう。

(注2)第三セクター等のうち、清算手続中、休眠中、設立後間もない等の理由により財務諸表(損益計算書、収支計算書)が作成されていない22法人については除いている。

エ 第三セクター等の純資産又は正味財産の状況

経営状況等調査対象法人の純資産又は正味財産の状況は、第35表のとおりである。

第35表 第三セクター等の純資産又は正味財産の状況

負債が資産を上回っている法人は356法人(5.1%)であり、当該法人の負債が資産を上回っている額の合計は2,901億円となっている。

オ 地方公共団体からの補助金交付額の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの補助金交付額の状況は、第36表のとおりである。

第36表 地方公共団体からの補助金交付額の状況

地方公共団体から補助金を交付されている法人は、3,027法人(43.0%)であり、交付総額は5,889億円となっている。

カ 地方公共団体からの借入残高の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの借入残高の状況は、第37表のとおりである。

第37表 地方公共団体からの借入残高の状況

地方公共団体からの借入残高を有する法人は935法人(13.3%)であり、借入残高は5兆192億円となっている。

キ 損失補償・債務保証の状況

経営状況等調査対象法人の損失補償・債務保証の状況は、第38表のとおりである。

第38表 損失補償・債務保証の状況

地方公共団体以外からの借入残高を有する法人は2,066法人であり、借入残高は8兆5,320億円となっている。また、地方公共団体による損失補償・債務保証が付されている債務残高を有する法人は994法人(48.1%)であり、債務残高は5兆7,126億円となっている。

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