フランス(最終更新:平成29年度) French Republic

各市場の主な動向 :
主要基礎データ集 :
より詳細な監督機関・法律・政策等の情報 :

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

(1)概要

2017年6月末現在、国内の固定ブロードバンド・サービス加入者は前年同期比3.0%増の約2,805万8,000である。うち約2,137万6,000がADSL利用であるが、超高速ブロードバンド(最大通信速度30Mbps以上)の伸長に伴い、接続別シェアは約76%と漸減傾向にある。超高速ブロードバンド加入者数は全体の21.9%の614万4,000(FTTHが264万2,000、残りは同軸ケーブル又はvDSL)。(幹線が光化されていない)ケーブル、衛星等のサービス加入者数は53万7,000である。超高速ブロードバンドの建物単位での普及状況については、接続可能な建物の数は2,960万で、うちFTTHサービスが可能なものは1,670万であった。このうち、建物内で異なる事業者の光回線共有が可能な建物は約891万3,000、実際に住人が回線共有を利用している建物は102万4,000であった。

ブロードバンド市場では、総合通信事業者4社でシェアの95%以上を占めており、この傾向は数年間変化がない。

モバイル・ブロードバンドは、スマートフォンの普及とともに利用が増大しており、2016年12月現在、普及率は74.4%で、欧州では16位、OECD諸国中では21位である。

(2)FTTx

主要4事業者はいずれもFTTHの商用サービスを提供しており、インターネット接続の最高速度は1Gbpsに達している。カバー地域については、SFRのネットワークが最も広く、2017年10月現在で、全国の1,000万世帯、オランジュがこれに次ぎ800万世帯である。

2015年3月のオランジュの戦略計画では、2018年までに150億EURを投じ、固定・移動双方の通信速度を現在の3倍にすることが目指されている。固定部門では、国内の光ファイバ接続世帯を現在の360万から2018年には1,200万、2022年には2,000万にするという。同社は2016年3月、2018年の目標値実現のため、今後3年は年ごとに30億EURをFTTx網構築に投資すると発表した。同6月には、人口密度の低い地域で2019年までに250万世帯を光ファイバに接続するという目標を追加している。

固定ブロードバンド加入者及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
固定BB加入者数(千) 23,980 24,940 25,969 26,867 27,664
固定BB普及率 37.5% 38.8% 40.2% 41.3% 42.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

携帯電話市場

2017年6月現在、移動電話サービスの加入者総数(M2Mを除く)は前年同期比2.2%増の7,349万8,000で、普及率は110.1%となった。うちポストペイド契約が占める割合は78.8%。ポストペイドで最低契約期間のないプランへの加入については、3,822万6,000でポストペイド全体の72.3%となった。M2M対応SIMカード数は2017年に入って大幅な伸びを見せ、6月には前年同期比33.5%増で1,365万9,000となった。

海外県・領土を除く事業者の種別では、ネットワーク事業者4社(オランジュ、SFR、ブイグ・テレコム及びフリー・モバイル)の個人契約合計加入者数は6,332万1,000で、前年同期比2.2%増であった。MVNO加入者の合計数は755万4,000、前年同期比2.7%増で、市場シェアは10.7%である。

3Gサービスについては、2004年11月にSFR、同年12月にオランジュが開始した。HSPA規格によるサービスは、SFRが2006年5月、オランジュが同年9月、ブイグ・テレコムが2007年11月に開始した。フリー・モバイルは、2009年末に3G対応周波数利用権(2.1GHz帯)を取得、2012年1月に市場に参入した。3Gサービス加入者は2017年6月現在、前年同期比7.4%増の5,626万8,000、対応SIMカードの全体に占める割合は74%であった。

LTEサービスについては、オランジュとSFRが2012年11月に2.6GHz帯と800MHz帯で商用サービスを開始した。ブイグ・テレコムについては、2013年10月からのサービス開始で、利用周波数帯が2Gサービスの再利用の1800MHz帯である。フリー・モバイルのLTEサービス開始は2.6GHz帯で2013年末、2014年12月には非人口稠密地域へのサービス向けに1800MHz帯の一部の周波数を割り当てられており、この帯域で2015年1月から地方都市を中心にサービスを開始している。LTE-Advancedサービスについては、2014年6月にブイグ・テレコム及びオランジュ、同10月にSFRが開始、パリを中心に国内の数都市で最大通信速度300Mbpsのサービス利用が可能になっている。2017年6月現在、国内のLTEサービスの人口カバレッジは90%を超え、加入者数は前年同期比36.8%増の3,653万1,000で、対応SIMカードの全体に占める割合は50%になった。

端末利用では2010年からスマートフォンが急増、2017年6月現在のスマートフォン所有率は74.8%であった。使用OSでは、Androidが80.5%で、残りはほぼiOSである。

携帯電話加入者数及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
携帯電話加入者数(千) 62,260 63,324 65,425 66,681 67,571
携帯電話普及率 97.4% 98.5% 101.2% 102.6% 103.5%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

2017年6月末現在、固定電話全体の加入者数は約3,882万6,000、うちPSTN回線によるものは前年同期比10.1%減の約1,085万4,000で、IP電話は3.7%増の約2,797万3,000であった。IP電話では、オランジュへの回線契約を伴わない商品の加入者が前年同期比1.4%増で、電話全体の70%に達している。固定電話サービスを提供可能な回線数は約3,670万で、うち3,200万を銅線が占めている。

固定電話加入者数及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
固定電話加入者数(千) 39,710 39,080 38,805 38,929 39,006
固定電話普及率 62.1% 60.8% 60.0% 59.9% 59.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

ラジオ

公共放送ラジオ・フランスは、総合編成のFrance Inter、ニュース専門のFrance Info、文化専門のFrance Culture、クラシック及びジャズ音楽のFrance Musique、音楽総合のFIP、若年層向け音楽のLe Mouv’の6系統のほか、44の地方局を結ぶFrance Bleuネットワークを全国で展開しており、2016年の聴取者数は約1,390万であった。

商業放送はFMでの周波数利用許可の取得が必要とされ、許可を取得した局は900を超えている。CSAにより商業ラジオ放送は以下に分類されている。

  1. ①同好者の協会によるサービス
  2. ②独立系ローカルサービス
  3. ③全国向けプログラムを放送するローカルサービス
  4. ④全国ネットでの専門サービス
  5. ⑤全国ネットでの総合サービス

大手民間ラジオ事業者はほとんど⑤の分類で周波数割当を受けており、聴取者が多い局には、NRJ、RTL等がある。

テレビ

2017年6月現在、仏世帯の94.1%が、テレビ受像機を所有している。地上波の直接受信を主なテレビ視聴方法としている世帯は、このうち52.4%、地上波のみでテレビを視聴する世帯は24.9%である。全国をカバーする無料放送チャンネル数は27(民間18、公共9)、有料放送チャンネル数は5である。

ローカル放送については、2007年9月から開始され、2017年10月現在、海外県・領土を含め、67の無料チャンネルが放送を実施している。

これらのチャンネルにはR1~R6のマルチプレックスが割り当てられており、R1は主に公共放送、R3は主に有料放送、その他は無料の商業放送中心に用いられている。

衛星放送

衛星放送視聴世帯は、2017年6月にテレビ視聴世帯の23.1%である。主要事業者は、ビベンディ・グループに属するカナル・プリュスのみで、同社はアストラ衛星を用いて3つの基本パッケージのほか、テーマオプション、ウェブテレビ・サービスやオン・デマンド放送を行っている。2007年6月から、同社はDTTチャンネルの衛星による配信にプラットフォームを提供、TNTSatの名称で無料放送を実施しており、2016年4月にはサービスをHDに全面移行した。

国外向けには、France24が欧州、中東、アフリカを中心に英語、フランス語、アラビア語の24時間放送を実施している。また、フランス語圏を中心にTV5 Monde(フランス・テレビジョンやフランス・メディア・モンドのほか、スイスのSSRやベルギーのRTBF等が出資)が国内チャンネルの再送信等を実施している。

ケーブルテレビ

全国でサービスを実施している大手事業者はSFRのみであるが、同社のテレビサービスプランは、技術中立で高速ブロードバンドのトリプルプレイとして提供されているため、CSAの分類上ではIPTVに含まれている。2017年10月現在、基本パッケージは200のテレビチャンネルを含み、各種専門チャンネルパッケージがオプションで利用可能である。

重要政策動向

デジタル分野での国際競争力強化政策

2013年9月、オランド大統領はフランスにおける重要産業分野として34の分野の開発を強化する計画「新産業フランス」を発表した。「新産業フランス」では、今後10年の間に、この34分野にかかわる企業が48万の新規雇用を実現し、450億EUR(うち40%が輸出による)の売上高を挙げることを目標としている。選定された34の分野は、主に以下の三つの基準に基づいて選定された。

  • 世界経済において成長途上である分野あるいは成長が見込まれる分野
  • フランスが開発、流通及び新たな製品の産業化において影響力を持っている分野
  • 同分野においてフランスのリーディング・カンパニーが存在するか、あるいは経済面、産業面又は学術面からフランスが強い位置付けを占めている分野

2015年3月には、各指定分野の成果確認が実施され、デジタル技術関連の11分野について以下が示された。

  • ビッグデータ:五つの官民共同イニシアチブが発足、2016年末までに55のベンチャー・プログラムを実施する。
  • クラウド・コンピューティング:2014年末にSaaSアカデミー設立。また防衛省下の国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)より、クラウド・サービスにおけるセキュリティ認証ラベルが公表される。
  • スーパーコンピュータ:Atos-Bull社が7,000EURの国家助成を得て2016年までに世界最高レベルのスーパーコンピュータのシステム開発に従事。
  • コネクテッド・オブジェクト:ベンチャー支援プログラム「French Tech」の主導で、ラスベガスCESで各種製品を発表。2015年末のパリCESに向けて新製品開発。
  • 拡張現実:複数の利用プロジェクトが発足、2015年夏までに、現行のプロジェクトのうち幾つかの特殊領域の技術開発に関する公募を実施。
  • NFC:2014年1年で対応カードは50%、端末は20%、取引数は700%の成長。
  • ロボット開発:2014年末に、中小企業向けのイニシアチブが発足、3,300万ユーロの予算で250社を支援。また8,000万EURの予算を持つ基金「Robolution Capital」が発足、うち1,000万EURが7社のプロジェクトに割当てられる。
  • サイバーセキュリティ:セキュリティ関連の企業支援の基金が設立され、プラットフォームのテストやデモンストレーションが実施される。2015年1月には17の世界の主要業者が参加する国際フォーラムを開催。
  • 埋め込みソフトウェア及びファームウェア:先端産業育成計画「未来への投資」の枠組みで、8プロジェクトに2,400万EURの助成が決定。2015年9月には、関連技術開発者と機器利用者が共同で「産業アンドロイド」プロジェクトを発足。
  • 通信網の高速化:欧州委員会による5Gの官民協力プロジェクトの公募で、13のプロジェクトに仏事業者が参加。
  • ナノテクノロジー:欧州レベルの「Nano2017」計画に基づき、197社が10のR&Dプロジェクトを推進。

2015年4月からの第2フェーズでは、①市場のニーズに即応、②国際競争力の強化、③発展計画の効果的な進行という観点から、指定分野が九つに絞られ、先端産業育成計画「未来への投資」等で総額34億EURの助成を実施するとされた。指定分野のうち、特にICT利活用と関連の深い4分野の2020年までの到達目標は以下のとおりである。

  • 持続可能な都市:2020年までに以下のスマート化プロジェクトで1億EURの売上高と合計11万の現地雇用を達成(スマートハウス:7万5,000名、水管理:1万6,000名、植林:9,000名、スマートグリッド:1万名)。
  • ビッグデータ管理:2020年までに次世代スーパーコンピュータを開発するとともにビッグデータ関連で13万7,000の雇用を創出。
  • IoT:2020年までに人口20万以上の都市の50%以上にNFCシステムを導入、現行のカード支払の55%をモバイル端末上での決済に置き換える。
  • デジタル空間の信頼性向上:サイバーセキュリティ関連商品の売上高を国内で年ごとに20%増加、世界市場では30%の増加を図る。2020年までに現在の1,000倍の容量の5G網を構築。

このほか、ドローンの民間利用、電子教育、再生エネルギーの3項目が別枠での支援対象に指定されている。

デジタル・ベンチャー振興

政府は、デジタル産業振興と国際競争力強化戦略の一環として、2013年末から以下を基本方針とするデジタルベンチャー支援プログラム「French Tech」による企業支援を実施している。

  1. ①全国の都市に向けて地域経済活性化・都市環境デジタル化計画の公募を実施、関連施設の設置や雇用の斡旋の実施を求める。
  2. ②公共投資銀行(BpiFrance)が2億EURの基金を設定、年に1,000程度のベンチャーへの融資を実施する。
  3. ③French Techの成果の国際的な周知や国外からの優秀な人材の募集のため、総額1,500万EURの基金を設置して国際ベンチャー間協力を支援する。

2016年から2017年にかけて行われた主な支援は以下のとおりである。

  • 2016年7月までにIoT、eヘルス、セキュリティ等を含む主要9分野の地方都市での推進を意図して102の拠点を設け、さらに国内の主要13都市を複数の分野にわたる地域の支援の中心、パリを国際展開支援の場所と位置付ける。
  • 2017年1月のラスベガスCES(Consumer Electronics Show)で233社、同2~3月のバルセロナMobile World Congressで165社の出展に対し、各種の便宜を図る。
  • 特に成長力の強いデジタルベンチャーを年ごとに選出、協力企業や投資家への仲介の便宜を図る「Pass French Tech」ラベルを2016~2017年にはデジタル化分野を中心に87社に付与。
  • 国外デジタルベンチャー誘致プログラム「French Tech Ticket」により国外からのプロジェクト公募を実施、2016年3月に50、2017年3月に70のプロジェクトを選出。
  • 東京を含む世界の主要都市に順次「French Tech Hub」を設け、国外に進出した仏起業家間のネットワーク形成を支援。2017年10月現在、世界の22都市に公式ハブが存在する。

個人情報保護

個人情報保護を目的とした「情報処理、情報ファイルと自由に関する1978年1月6日付法律第78-17号」に基づき、インターネット・コンテンツ・プロバイダ等には、オンラインでの個人情報の利用について、その利用目的の明確化と関係者の同意を得ることが義務付けられている。

また、国家個人情報保護機関(CNIL)は、「2012年3月30日のデクレ第2012-436号」に基づき、通信事業者に対し、自社の通話やネット接続等のサービスにかかわる事項で個人情報侵害の事実があった場合、直ちにその詳細と講じた対策について通知することを義務付けている。

「デジタル共和国法」第2部(Ⅱ-2の項参照)は、2016年4月に欧州議会で採択されたEU「データ保護規則」に準じて個人情報保護の原則を規定している。特に個人情報の自己管理権については、CNILを監督機関と定め、同機関が違反者に科す罰金額の上限を従来の15万EURから300万EURまで引き上げた。CNILは2017年には「忘れられる権利」の周知や個人情報の自己管理の方法等、消費者向けガイドラインの充実を図るほか、事業者向けには個人情報を含むデータの国外への持ち運び規則や個人情報侵害の事実のCNILへの通告義務等に関する啓発活動を活発化している。

基礎データ集

国の基礎データ

政体

共和制

面積

54万4,000㎢

人口

6,531万人(2016年)

首都

パリ

公用語

フランス語

経済関連データ

通貨単位

1ユーロ(EUR)=131.79円(2017年10月末)

会計年度

1月から1年間

GDP

2兆4,655億USD(2016年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 郵便・電子通信法典
放送 コミュニケーションの自由に関する1986年9月30日の法律第86-1067号

監督機関

通信 経済・財務省、電子通信・郵便規制機関
放送 文化省、視聴覚高等評議会
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