世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

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電子政府政策

電子政府政策

(2023年1月調査)

名称 政府監督機関 発表時期 主要政策概要
米国 第4代連邦最高情報責任者(連邦CIO)の任命 大統領府 2018年1月 オバマ大統領(当時)は、2009年3月、行政予算管理局電子政府局の局長を連邦最高情報責任者(CIO)とし、ビベック・クンドラ氏を指名した。連邦CIOは、連邦政府内システムの相互運用性や情報共有の確保、情報セキュリティとプライバシー確保のため、エンタープライズ・アーキテクチャの構築、監督も行う。
トニー・スコット氏が政権交代に伴い辞任した後、1年間空席が続いていたが、2018年1月にスゼット・ケント氏が第4代連邦CIOに指名されたものの、2020年7月に辞任した。政権交代後、バイデン大統領は、2021年3月にクレア・マルトラマ氏を連邦CIOに任命した。
中国 「インターネットプラス行政サービス」の一層の深化・行政サービス「ワンネット、ワンドア、ワンス」改革推進の実施方案 国務院 2018年6月 ワンネットは「一つのネットで手続完了」、ワンドアは「一つのドアだけを開けばよい」、ワンスは「足を運ぶのは最大1回」をそれぞれ意味し、行政手続を「ネットショッピング」のように簡便に実現することを目指す。2019年末までの目標では、重点分野と利用頻度の高い事項は、「ワンネット、ワンドア、ワンス」を基本的に実現する。「ワンネット」について、省級行政サービスのオンライン手続可能率を90%以上、市・県級行政サービスの同比率を70%以上とする。「ワンドア」については、場所に特殊な要請がある項目以外は、総合実体行政ロビーへの編入を基本的に実現、70%以上の行政サービスについて「ワン窓口」受付を実現する。「ワンス」については、窓口手続に必要な資料を60%以上削減し、省・市・県各級において利用頻度の高い100項目で「ワンス」を実現する。
韓国 デジタル政府革新推進計画 行政安全部 2019年10月 政府がAI・クラウド中心のデジタル・トランスフォーメーション(DX)対応戦略としてまとめた。各種証明書のペーパーレス化やモバイル身分証導入等が進められる。2021年以降は公務員証をはじめ、運転免許証、住民登録証のスマートフォン搭載が順次進められている。2021年6月に行政安全部がまとめた中長期計画としての「第2次電子政府基本計画」では、2025年までに主要公共サービスのDX率80%、行政・公共クラウド移行率100%達成を目指す。
EU デジタル単一市場戦略 欧州委員会 2015年5月 「デジタル単一市場戦略」では、重要アクションの一つに電子政府のアクションが挙げられており、2016年4月には前アクションの後継となる「電子政府アクションプラン2016~2020」が欧州委員会によって公表され、各種プロジェクトが実行されている。2019年には公的オンライン・サービスのセキュリティと透明性の強化、国境を越えた利用可能性の増大が今後の主要課題とされ、各国政府は社会的・経済的に有用な公的データに誰もが無料でアクセスし、マシンで読み込める形式で入手可能とする高価値データベースを設定すべきとされた。
英国 国家データ戦略 内閣府 2020年9月 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復とEU離脱後の新しい英国経済の発展を目指し、データの利用、成長及びイノベーション促進をすることで新規雇用を生み出し、公共サービスを改善することを目的とする。優先すべき課題として、①経済全体のデータの価値を引き出すこと、②成長促進と信頼できるデータ体制の確保、③政府のデータ利用を変革して効率を高め、公共サービスを改善すること、④データが依存するインフラのセキュリティと回復力を確保すること、⑤国際的なデータフローの推進を挙げた。
ドイツ 国家電子政府戦略 連邦内務省・IT計画協議会 2010年9月 連邦、州、及び地方自治体が組織の枠を超えてICTを活用しながら協力し、電子政府を推進することを目的とする。また、「デジタル・アジェンダ」「デジタル戦略2025」の中でも行政のデジタル化を重要政策の一つとして位置付けている。2014年には電子政府促進法が施行され、行政手続の提供について、原則として電子を義務付けた。
フランス 国家デジタル化計画 首相府 2015年6月 2015年6月の「国家デジタル化計画」では、「デジタル・サービス提供モデルとしての国家」が主目標の一つに挙げられた。2016年10月の「デジタル共和国法」発効後、公共データの公開が進み、2022年現在、首相府の司るオープン・プラットフォーム「https://www.data.gouv.fr」上で、11の行政分野に関する各種政府データの閲覧が可能になっている。
日本 デジタル社会の実現に向けた重点計画 デジタル庁 2022年6月 デジタル庁発足に伴い、デジタル社会実現に向けた羅針盤としての重点計画がまとめられた。重点計画では行政サービスのオンライン化実施の3原則として、①デジタルファースト、②ワンスオンリー、③コネクテッド・ワンストップの実現を目指す。デジタルファースト原則では、スマートフォンで行政手続が完結する形のペーパーレス化を目指す。