世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

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国家ブロードバンド政策

国家ブロードバンド政策

(2023年1月調査)

名称 政府監督機関 発表時期 主要政策概要
米国 国家ブロードバンド計画 連邦通信委員会 2010年3月 同計画の策定の根拠法である「米国再生・再投資計画法」では72億USDの補助金を支給。同計画では、「コネクト・アメリカ基金」を設置し、普及を支援することを勧告。2012年4月に、コネクト・アメリカ基金から、第1段階として合計3億USDを交付すると発表。2012年7月には同基金からの交付を開始した。トランプ政権(当時)は、インフラ整備の一環としてブロードバンド整備も推進するとしていたが、具体的な計画の策定はなかった。バイデン政権では、具体的な政府目標は策定されていないが、2021年11月に成立した「インフラ投資・雇用法」において、総額650億USD規模の資金がブロードバンド・インフラ構築等のために割り当てられ、各プログラムを所掌する省庁で手続が進められている。
中国 ダブル・ギガビット網の共同発展行動計画(2021~2023年) 工業・情報化部 2021年3月 ダブル・ギガビット網とは光ファイバ網と5G網の二つを意味する。主な目標では、2021年末までに、ギガビット級光ファイバ及び10G-PON以上のシステムによるカバー世帯数をそれぞれ、2億と500万以上に増やし、ギガビット級光ファイバ網への加入世帯数の1,000万突破を目指す。5Gでは、県レベル以上の行政エリアをすべてカバーし、基地局の新設数を60万か所以上とする。2023年末までには、ギガビット級光ファイバ及び10G-PON以上のシステムによるカバー世帯数をそれぞれ、4億と1,000万以上に増やし、ギガビット級光ファイバ網への加入世帯数の3,000万突破を目指す。5Gは郷・鎮レベルの行政単位を基本的に全てカバーする。
韓国 10ギガビット級ブロードバンド商用サービス化促進※KR1 科学技術情報通信部 2018年12月 ギガビット級ブロードバンド網のカバレッジは2017年9月までに全国85市において98%に達している。文在寅政権期の取組課題として、2018年から10ギガビット級ブロードバンドの商用サービス化を進めている。2018年末に発表された「第6次国家情報化基本計画」では2022年までに10ギガビット級ブロードバンドのカバレッジを85市基準で50%に拡大する方針が盛り込まれた。
EU Connectivity for a Competitive Digital Single Market - Towards a European Gigabit Society等 欧州委員会 2016年9月 2025年までのブロードバンド普及戦略として以下の目標を掲げ、Connecting Europe Broadband Fund(CEBF)等の支援基金から、主にルーラル地域の接続環境向上に対する各種プロジェクトへの助成を実施している。
  • 社会・経済上重要な地域に1Gbps級のネットワークを敷設
  • 都市部、主要交通路、鉄道で通信が途切れない5Gサービスを提供
  • 域内のすべての世帯が最大速度100Mbps以上のブロードバンド接続
また、2021年3月に、2030年までのEUのデジタル・トランスフォーメーション(DX)にかかる具体的施策事項を示した「デジタル・コンパス2030」を発表し、EUの全世帯にギガビット網を接続し、すべての人口密集地を5G網でカバーするという目標を示している。
英国 プロジェクト・ギガビット デジタル・文化・メディア・スポーツ省(現科学・イノベーション・技術省) 2021年3月 50億£の公的資金を投入、提供最困難地域にある100万以上の世帯や企業を接続。2025年までに最低85%のギガビット対応カバレッジが目標。全土の地域に超高速ブロードバンドを提供、公共サービスを活性化、パンデミックからの回復を目指す。2億1,000万£相当のブロードバンド・バウチャー制度の拡張、1億1,000万£の最大7,000の地方の開業医院、図書館、学校の接続、衛星や5G技術を使って電波の届きにくい地域を接続。
ドイツ ギガビット戦略 連邦デジタル・交通省 2022年7月 2025年末までに光ファイバ接続を3倍にして、家庭や企業の半数は光ファイバ接続されていることを目標とする。また、できれば2026年までに、全国で音声やデータ通信ができる状態にする。次いで、2030年までに、光ファイバを家庭に、人々が生活し、働き、移動するあらゆる場所で、最新のモバイル通信規格を導入する。政府は投資の円滑化のために許認可の迅速化や協力体制の構築等の支援を行う。
フランス 超高速ブロードバンド計画 電子通信・郵便・出版流通規制機関(ARCEP)等 2013年2月 2013年2月、「2022年までに全国の世帯を光ファイバに接続可能にする」という目標の下に、超高速ブロードバンド助成の予算計画が組み直された。現行の計画では、2022年までの中央政府助成金総額は30億EUR、助成対象は地方自治体の主導するプロジェクトとされ、公募によるプロジェクト審査と助成金の交付が進められている。ARCEPは事業者等の投資促進を図る目的で、3か月ごとに国内のFTTH網整備状況を報告するほか、光ファイバ網の整備計画を発表した地域を「ファイバ地域」に認定、加入者回線の光ファイバへの変換を優先的に実施している。無線網からのブロードバンド接続については、移動体通信事業者にはTD-LTE網の構築また固定網の加入者のLTE網接続の受入れが求められている。
日本 デジタル田園都市国家インフラ整備計画 総務省 2022年3月 光ファイバ、5G、データセンター/海底ケーブル等の整備に向けて一体的かつ効果的な対策を推進する目的で策定され、目標では、2027年度末までに光ファイバの世帯カバレッジ99.9%、2023年度末に5Gの人口カバレッジ全国95%、全市区町村に5G基地局整備、2025年度末に全国97%、各都道府県90%程度以上、2030年度末に全国・各都道府県99%を目指す。また、10数か所のデータセンターの地方拠点を5年程度で整備するとともに、海底ケーブルで日本を周回する「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を2025年度末までに完成させる。
  • ※KR1
    固有名称の計画名はない。