市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
固定ブロードバンドの接続方式は、FTTxが7割弱を占め、主流である。他方、無線接続による接続方式が2割弱を占めている。市場シェアは、スパーク(旧テレコム・ニュージーランドサービス部門)が最大手であり、ボーダフォン・ニュージーランドがこれに続く。2022年7月にISP事業者ヴォーカス・ニュージーランドと合併し、総合通信事業者としての事業展開を進める2degreesも市場シェアを高めている。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
固定BB加入数(千) | 1,583 | 1,648 | 1,698 | 1,765 | 1,801 |
固定BB加入率 | 33.4% | 34.1% | 34.2% | 34.9% | 35.1% |
移動電話市場
スパーク、ボーダフォン・ニュージーランド、2degreesが移動体通信の設備事業者である。上記の3事業者はルーラル地域に移動体カバレッジを拡げることを目的とした合弁会社Rural Connectivity Group(RCG)を2017年1月に設立し、インフラ共用により、非採算地域でのネットワーク展開を推進している。
5Gについては、ボーダフォン・ニュージーランドが2019年12月からNSA方式により主要4都市で商用サービスを開始した。一方、スパークは2020年7月よりウェリントン近郊で商用サービスを開始、2021年9月には国内主要9都市でサービスを開始等、カバレッジの拡大を進めている。
移動電話加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
移動電話加入数(千) | 6,400 | 6,319 | 6,011 | 6,236 | 5,846 |
移動電話加入率 | 134.8% | 130.6% | 121.2% | 123.2% | 114.0% |
固定電話市場
固定電話の加入者数減少が顕著である。主な事業者はスパーク、ボーダフォン・ニュージーランドである。ボーダフォン・ニュージーランドには旧テルストラクリア所有のHFCケーブルを使用したサービスが存在するが、原則として、固定電話は、半官半民で設立されたコーラス(旧テレコム・ニュージーランド設備部門)等の「地域ファイバ事業者(LFC)」が提供する卸売サービスを使用した小売サービスである。
固定電話加入数及び加入率(2017-2021年)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
固定電話加入数(千) | 1,790 | 1,073 | 967 | 844 | 651 |
固定電話加入率 | 37.7% | 22.2% | 19.5% | 16.7% | 12.7% |
放送市場
公共放送のTVNZが3系統(タイムシフト放送を除く)で地上放送を行っている。商業放送ではMediaWorks New Zealandが4系統、有料放送のスカイ・ネットワークが運営するPrime、カナダ資本により2012年4月に新規参入したChoice TVが各々1系統で全国放送を実施している。
有料放送市場では、スカイ・ネットワークが衛星直接受信(DTH)方式での放送を行っており、市場を独占している。ケーブルテレビは、ウェリントン、クライストチャーチ等の一部地域でのみ提供されており、市場での存在感は小さい。
重要政策動向
公共放送関連政策
公共放送には、テレビジョン・ニュージーランド(TVNZ)とラジオ・ニュージーランド(RNZ)が「クラウン・エンティティ」と称される、省庁と国有企業以外の政策実施業務を行う機関として位置付けられており、100%政府保有の株式会社となっているが、政府は2022年2月にTVNZ及びRNZを統合し、新たな公共放送メディア事業者「アオテアロア・ニュージーランド公共メディア(Aotearoa New Zealand Public Media:ANZPM)」を設立することを決定、2023年3月に事業を開始する計画を示している。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 立憲君主制
- 面積
- 27万534㎢
- 人口
- 513万人
- 首都
- ウェリントン
- 公用語
- 英語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ニュージーランド・ドル(NZD)=82.93円(2021年9月末)
- 会計年度
- 7月から1年間
- GDP
- 2,498億8,569万 USD(2021年)
法律
通信 | 2001年電気通信法、1989年無線通信法 |
---|---|
放送 | 1989年放送法 |
監督機関
通信 | ビジネス・イノベーション・雇用省、商務委員会 |
---|---|
放送 | ビジネス・イノベーション・雇用省、文化遺産省、NZ On Air、放送基準(倫理)委員会 |