世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Taiwan 台湾(最終更新:平成27年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

2015年6月末現在、固定ブロードバンド加入者数は757万7,202となっており、このうち、ケーブルモデムが123万9,350で、2011年10月に100万を突破してから伸び続けている。その他の主な方式としては、ADSLが121万235で、依然減少傾向にあり、FTTxは321万8,440となっている。

WiMAXサービスは計6社(大同電信、全球一動、遠傳電信、威邁思、威達雲端電信、大衆電信)によって提供されていたが、加入者数が減少し、各社が相次いでサービスを停止した。2015年12月10日には、唯一サービスを提供していた全球一動も免許の更新ができずサービスを終了した。通信放送委員会(NCC)は同サービス用だった周波数を回収し、LTE用に追加割当てを行った。

NCCなどの公的機関は、2011年10月より無料のWi-Fiサービス「iTaiwan」を提供開始した。空港や郵便局などの公共施設に約4,600のホットスポットが設けられている。このほか、台北市では独自の公共Wi-Fiサービス「Taipei Free」、新北市では「New Taipei」、台中市では「iTaichung」、台南市では「Tainan-WiFi」が運用されており、「iTaiwan」のアカウントがあれば、これらサービスが無料で利用できる。2015年6月末現在、各種サービスの登録者数は190万5,454に達した。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定BB加入数(千) 5,312 5,516 6,449 7,012 7,437
固定BB普及率 22.9% 23.7% 27.7% 30.1% 31.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

移動電話市場

台湾における2Gサービスは2009年末まで4事業者が提供していたが、和信電訊が遠傳電信に吸収合併されたため、現在は中華電信、台湾モバイル、遠傳電信の3社によって提供されている。2015年6月末現在、2G(GPRSなどを含む)サービスの加入者数は155万4,351で大幅に減少している。行政院は2015年11月、消費補助政策の一環として、2Gから4Gにアップグレードするユーザに対して、端末一台につき2,000TWD及び3か月間の月額200TWDの補助を行うとした。これに合せて、携帯各社も独自の優遇措置を相次いで導入したため、2015年末現在、ユーザ数は40万まで減少した。

大衆電信が提供するPHSサービスの2014年6月末時点の加入者数は70万3,703であるが、このうち、アクティブユーザは10万に過ぎないと見られる。長年の業績不振により、大衆電信は、負債が57億TWDに達したため、2015年1月に倒産に追い込まれた。同社の倒産に伴い、2015年3月にPHSサービスが停止となった。中華電信など携帯5社は、NCCからの要請を受け、これらのユーザに対して2015年9月末まで無料での番号移行サービス(PHS番号のままで3Gや4Gの利用が可能)を行うこととした。2015年10月以降、移行が完成していない番号もすべて回収され、同サービスの利用者ゼロの状態となっている。

3Gサービスは、中華電信、台湾モバイル、遠傳電信のほか、威寶電信、亜太電信も提供している。2015年6月末現在、携帯電話加入者数は2,047万6,688に達し、普及率は87.3%である。中華電信、遠傳電信、台湾モバイルの3社はそれぞれ2014年5月29日、6月3日と4日に、また、新規参入事業者の台湾之星は8月25日に、亜太電信は12月24日にそれぞれLTEサービスの提供を開始した。2015年6月末現在、LTE加入者数は720万8,050で、普及率は30.72%である。

移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
移動電話加入数(千) 27,840 28,865 29,455 29,710 30,358
移動電話普及率 119.9% 124.1% 126.5% 127.5% 130.2%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

固定電話市場

中華電信、台湾固網、亜太電信、新世紀資通の4社が市内電話サービスを提供している。2015年6月末現在、加入世帯数は1,196万7,076、普及率は51.0%で、減少傾向にある。中華電信の2014年末時点の加入者ベースの固定通信市場シェアは94.3%で、前年同期に比べて0.3ポイント下がった。

固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定電話加入数(千) 16,433 16,907 15,998 16,597 14,045
固定電話普及率 70.8% 72.7% 68.7% 71.2% 60.2%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

放送市場

地上放送

民間全民テレビ(FTV)による1997年の放送開始まで、台湾電視台(TTV)、中国電視台(CTV)、中華電視台(CTS)の寡占体制が続いていた。現在、商業放送のTTV、CTV、FTVと、公共放送の公共電視台(PTS)、CTSの合計5事業者が台湾全域向けに15のSDチャンネル及び5つのHDチャンネルを提供している。2012年6月末に各社はデジタルへの移行を完了した。なお、2014年における各社の売上高合計は69億7,162万TWDである。

衛星放送

ケーブルテレビ向けに番組を供給する運営方式が主流であり、2014年6月末現在、域外事業者は30社112チャンネル、また域内事業者は84社166チャンネルを提供している。一方、直接受信(DTH)による事業者は7社である。そのうち、海外向けサービスを運用している宏観電視は、4機の衛星で全世界をカバーしている。

ケーブルテレビ

台湾全体が51に及ぶ経営区域に分かれており、計62社が100以上のチャンネルを月額500~600TWDの料金で提供していたが、2012年7月にNCCは県・市単位での経営区域に切り替えると同時に新規及び既存事業者による参入の促進政策を打ち出した。2014年7月現在、計13の新規事業者による参入申請があった。このうち、2015年5月に免許取得した全国デジタル有線電視がサービスを開始した。また、新規参入を目指している事業者のほとんどは新北市、台北市及び台中市でのサービス提供を予定している。

2015年6月現在、ケーブルテレビ加入世帯数は502万3,988で、世帯普及率は59.6%である。また、デジタル・ケーブルテレビ受信用のセットトップボックスの導入済世帯数は全体の85.0%を占める427万1,409世帯で、デジタル有料チャンネルの受信世帯数は130万5,225である。

更にNCCの政策に合わせて、新しい料金プランによるケーブルテレビ・サービスの提供に加え、100Mbpsのブロードバンド・サービスの提供、1世帯につき2台のセットトップボックスの無料供給が義務化されている。

2014年1月、NCCは合計4億1,000万TWDを、2014年度に実施するケーブルテレビ網のデジタル化支援に割り当てた。保有するケーブルテレビ網の80%をデジタル化、若しくは2014年中に前年比40%のデジタル化進捗度合を達成できた事業者は、700万TWDの助成金を受け取ることができるとされた。更に、2014年中にネットワークの100%デジタル化を達成した場合、加入者が2万人未満の場合には200万TWD、加入者が5万人未満の場合には500万TWD、加入者が10万人未満の場合には1,000万TWD、加入者が10万人以上の場合には1,500万TWDの助成金を得るとなっていた。

重要政策動向

ICT利活用推進政策

行政院は2010年12月、「デジタル融合発展方案(2010~2015年)」を承認した。行政院は同方案の推進によって、イノベーションの促進、市場競争メカニズムの強化、リーズナブルな料金での融合サービス提供実現を通じて、産業全体の競争力の向上を目指すとしている。2015年までに約96億8,000万TWDの財政支出を通じて、270億TWDに達する民間投資のけん引効果が期待されている。

融合サービスの実現に必要とされる法整備について、2015年までの法律の成立を目標に、2012年までには現行法の改正作業を終え、2013年から2014年にかけて、融合サービスに関する法律のフレームワークを確立させるとしている。また、2015年までの数値目標として以下を挙げている。

  • 100Mbpsの固定ブロードバンド・サービス利用世帯を80%に
  • FTTH世帯数を720万に
  • 無線ブロードバンド利用世帯数を2,100万に
  • デジタル・ケーブルテレビの普及率を50%に(後に75%に引上げ)
  • 新興メディアサービスの普及率を50%に

5G推進の取組み

行政院は2013年8月、江宜樺院長(当時)が5Gの技術開発関連で、2013年末ごろに「5G産業発展戦略会議」を招集し、半年以内に「2020年TW-5G戦略構想」をまとめるよう、同院科学技術諮問会合事務室に指示した。

2015年3月に経済部直轄の産業技術研究開発機関である工業技術研究院(ITRI)の提出した5Gに関する計画案がEUによる研究・イノベーションへの投資計画「ホライズン2020」の対象に選出され、今後2~3年間でEUと共同で5G技術を開発することとなった。また、同年6月には、ITRIが中国本土の通信企業協会との5Gに関する共同研究を行うことで合意した。なお、台湾では、2020年までの5Gの実用化を見込んでおり、そのために計120億TWDの予算が計上されている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
3万6,000㎢
人口
2,322万人(2015年)
首都
台北
公用語
北京語

経済関連データ

通貨単位
1ニュー・タイワンドル(TWD)=3.61 円(2016年12月末)
会計年度
1月から1年間

法律

通信 通信放送基本法、電信法 等
放送 ラジオ・テレビ法 等

監督機関

通信 交通部・郵電局、通信放送委員会
放送 交通部・郵電局、文化部、通信放送委員会